東京都、大阪府、京都府、兵庫県の4都市に発令された緊急事態宣言は、それぞれの都市であらゆるイベントの中止・延期をもたらした。
2021年5月9日(日)東京・大田区産業プラザPIOで開催するはずだったJAPAN KICKBOXING INNOVATION『Resistance-2』も会場サイドより使用中止を申し渡され、延期または中止せざるを得ない事態となったが、同連盟の成田理事長が緊急事態宣言の対象外である千葉県千葉市中央区のTKPガーデンシティ千葉との話し合いをまとめ、参加各ジム各選手の賛同も取り付け、開催にこぎつけた。
INNOVATION相談役であり、プロ・アマで多くの名王者を輩出し続ける橋本道場の橋本敏彦相談役は、「成田理事長の今回の活躍はMVP級」とコメントしている。
新会場「TKPガーデンシティ千葉」へのアクセスは、電車の場合、千葉モノレール1号線「市役所前駅」より徒歩7分、京成千葉線「千葉中央駅」より徒歩9分、JR京葉線「千葉みなと駅」より徒歩11分の好立地。自動車の場合、京葉道路「穴川IC」より20分程度。併設の地下駐車場は1000台収納可能で、観戦者は駐車料無料。
成田理事長インタビュー「急転直下会場変更裏話」
提供:JAPAN KICKBOXING INNOVATION文責:INNOVATION広報部
――先日4月25日より発令された、昨年のコロナ禍発生より3回目となる緊急事態宣言が5月11日までとなり、INNOVATIONとしては初使用会場「大田区産業プラザPIO」で開催予定だった5月9日興行の中止を余儀なくされたと聞いております。が、そこから急転直下の会場移動興行リセット開催との英断、驚きました。
「はい、PIOは、東京都所有の会場で初めて興行をさせていただくにあたり、INNOVATIONをご支援いただいております方々のご尽力あっての開催でした。当方としてもより充実したイベントとすべく誠心努力をしておりましたところ、この悪夢の通達。東京都所有の会場ですが、当地管理の大田区から宣言初日に使用中止を言い渡されました」
――察するに余りありますが、どんな心持ちでしたでしょう?
「もう愕然です。私は、当団体の理事長である以前に千葉県千葉市稲毛区でジム(マスターズピット)を運営しており、まずは毎日ミットを持って鍛える選手たちの顔が浮かび、続いて当連盟の選手ジム関係者、フリーのジムや地方のジムにも申し訳なく、どうしたものかと。すぐに橋本敏彦相談役に文字通りご相談させていただき『延期も止む無しか』と覚悟を決めておりました」
――そこで電光石火の会場移設となったわけですね。約2週間前のウルトラCには驚きました。
「まずは無観客開催を考慮しました。しかし、何をどうしても赤字が莫大になるばかりで、これでは5月興行が連盟最後の主催興行になりかねません。選手たちのファイトマネー分チケットは、現金に差し替えるとしても、そこの穴埋めに今から追加スポンサーがつくわけもなく、ツイキャスの有料放送や投げ銭(アイテム収益)もたかが知れています。ならば、選手たちがすでに大多数を販売しているチケットをスライドできる会場変更しかないなと」
――そう考えるのは容易いですが、通常、半年から1年前に予約するのが普通の会場選定が、この短期間で可能だったとは一体?
「ミラクルと言う他ありません。ですが、私には、どこか必然に思えてならなくて」
――必然?
「うちのジムの話で恐縮ですが、今回、プロ4戦目の若原聖(わかはら・つばさ)とプロデビューの若原快(わかはら・こころ)、彼らは極真空手出身なのですが、KWF極真会館の田中規順師範というその世界では名の通った指導者が師匠でした。ところが、昨年、お亡くなりになられまして、その告別式がこのTKPガーデンシティ千葉だったのです」
――それは奇遇で済まない何かがありそうな。
「首都圏にリング興行をできる会場なんて定番のいくつかしかないわけで、我がの千葉市でそんなところがあるなんて何もなければ気づきもしなかったでしょう。それが田中師範のことで知ることができたところ、プロレス興行で2AWという団体のTKPガーデンシティ千葉興行ポスターを見かけたので記憶の片隅に引っかかっていたそれを引き出すことができました」
(写真)田中規順師範、若原聖(中段右から3番目)、若原快(最前列左端)――田中師範の件がなければ、さらっと忘れてしまっていたであろうと?
「それと会場を見つけたとて、キックボクシング興行にお貸しいただけるところは非常に稀少で、しかも約2週間前。本当にダメ元で連絡してみたら『たまたま空いている』と。そして、担当のキクチさんにお会いしに行くと非常に丁寧で前向きなご対応をしていただきました。自分の経験からして、何かに導かれなければこんなトントン拍子に道が拓けることなんてあるわけがないと実感します。それだけに『ツバサとココロを頼みます』と田中師範に助けられたような気がします」
――良いお話です。それにしてもこれからの追加業務がただならぬ煩雑ではありませんか?
「一旦は絶望した状態から甦って試合ができるのですから、そんな忙しさなんて苦に感じません」
――この状況で興行を復活させたINNOVATIONの存在感は、とても大きくなると思われます。
「他の団体やプロモーションだって忸怩たる思いをされて、できる努力を最大限にされた上での無念の延期・中止だと思います。『選手ファースト』『選手あってこそのキック』、そんなことどこでだって当たり前。その中でうちがたまたま導かれるように機会を拾うことができたのは、様々なご縁がつながりラッキーだったこと。それと少しだけ背伸びして言わせていただければ、コツコツとやってきたことを『見ている人は見ているんだな』という確信はあります」
――ご謙遜はされていますが、大変な仕事をされているなとお察しします。
「他に大きいのは、うちの加盟ジム会長連や参戦ジム代表者、それに参戦選手から反対意見やネガティブな言動が一切なかったことです。今は毎日無数の電話をしておりますが、『試合、ありがとうございます!』といった感謝のお声しかいただいておりません」
――素晴らしいことです。
「昨年までのINNOVATION主催本興行名を『Join Forces』シリーズと銘打ち、16回行いましたが、これに続く新たなシリーズ名は『Resistance(抵抗、反乱軍の意)』とつけたのは、昨年から猛威を振るっていたコロナに立ち向かい反撃することを暗喩のひとつとは考えていましたが、まさか本当にこんな事態となり1年以上も引き摺るとは。『雨降って地固まる』とは言いますが、今回の大田区興行換わって千葉興行は、モチベーションの高い者同士が全力で激突する凄い試合が見られそうです。もちろん、コロナ対策は最善を尽くします。まだ、若干のチケットはお売りできるので、是非、多くのファンにお越しになっていただきたいです。よろしくお願いいたします!」