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【UFC】ショパンを奏でるナマユナスが、ウェイリーと握手を交わした意味「ベルトはすべての鍵になる」

2021/04/24 17:04
 2021年4月24日(日本時間25日)に、米国フロリダ州ジャクソンビルのベテランズ・メモリアル・アリーナにて開催される「UFC 261: Usman vs. Masvidal 2」に向けたファイトウィークの只中、計量を控えたローズ・ナマユナス(米国)は、ホテルにピアノを見つけると、ショパンの幻想即興曲を奏で始めた。  フレデリック・ショパンはポーランドの作曲家だが、リトアニア、ウクライナ、ベラルーシなどの文化が身近にあり、それらがショパンの楽曲に影響を与えていることが知られている。  米国ウィスコンシン州ミルウォーキーで生まれたローズ。両親はリトアニアからの移民だった。6歳の兄ノジュスと4歳のローズが最初に学んだのはテコンドー。その後、空手と柔術にも取り組み、高校時代にキックボクシングとレスリングも始めたローズは、アマチュアで4勝無敗の戦績を残してプロへ転向している。  プライベートのピアノスタジオを始めた兄の影響もあり、ローズもピアノを学んだが、子供の頃にいじめを受けた経験を持つローズは、格闘技を止めることはなかった。  そんな生い立ちを持つナマユナスの会見での発言が、波紋を呼んでいた。  ソビエト時代にリトアニアを脱出した家族。そこで受けた不当な扱いに抗議するために、ローズは反共産主義のスローガン「Better Dead than Red(赤よりも死んだ方がまし)」を、会見で口にしたのだ。  政治的な色合いの強いこのコメントは人種差別だと非難されるなど、否定的に受け止められた。  すぐにローズは、「特別にウェイリーのことを言ったわけでも、個人的に言ったわけでもありません。ドキュメンタリー映画『The Other Dream Team』(1992年のバルセロナ五輪におけるリトアニア代表バスケットボールチームの物語。リトアニア系アメリカ人のマリウスA.マルケビチウスが監督した)を参考にしただけなんです。メディアは物事を実際よりも大きくするのが仕事でしょうけど、私の意図したものではありませんでした。それをコントロールすることはできません。私は自分らしく、自分の家族の歴史や、私がアメリカにいる理由、MMAファイターである理由を話していただけです」と説明。 「私がここにいるのは、そういったもののおかげであり、彼女(ウェイリー)とは何の関係もありません。私は中国や彼女の文化について、そのようなことを言ったことはありません」と釈明した。  一方で、ウェイリーは、この会見直後のフェイスオフでは、ナマユナスから差し出された握手に一瞬の戸惑いを見せたものの、今回の公開計量では、自らも手を差し出し、笑顔を見せている。 「この試合に勝つためにベストを尽くします。ヨアナ(イェンジェイチック)との試合よりも厳しいかもしれません。ローズは真の格闘家ですから。ローズは非常に優れたストライカーで、身長とリーチでも私より有利ですが、彼女との打ち合いも厭わない」と、覚悟を見せると、「試合が終わったら、彼女と絆を深めたい」とも語っている。  現在21連勝中。黒星はMMデビュー時の1敗のみという圧倒的な強さを誇る“マグナム”を相手に、MMA9勝4敗のナマユナスは語る。 「他の人と比べて、私がどうかは分かりません。重要なのは、これまでの私と比べてどうなのかということだと思います。自分のビジョン、自分を信じること、そして自分の感情をコントロールすることが大事で、ベストを尽くせばベストになれると思っています。  ファイターとして、人々にインスピレーションを与え、MMAを通じて世界を変えるという機会を得られたことは、とても幸せなことです。  以前、ダナ(ホワイトUFC代表)が私に言ったことを思い出します。『ベルトはすべての鍵だ』と。それは、最高のパフォーマンスをして、ベストを尽くした結果の産物で、私の将来の目標やビジョンを実現するために、多くの扉を開くことができると思っています」  果たして、24日、新たな世界への扉を開くのは、ウェイリーかナマユナスか。「UFC 261」は、パンデミック後、初の1万5千人の観客を動員して開催される。
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