2021年4月17日(日本時間18日)米国ラスベガス「UFC APEX」にて『UFC Fight Night: Whittaker vs. Gastelum』が開催された。
メインのミドル級戦では、元ミドル級王者ロバート・ウィテカー(ニュージーランド・1位)が、185.5ポンド(84.14kg)でパス。対するケルヴィン・ガステラム(米国・8位)が185ポンド(83.91kg)でパスした。
“ブリッツ”の異名を持ち、剛柔流空手をベースとするウィテカーは、TUFウェルター級優勝から、2014年11月にミドル級転向し、以降10勝1敗。2017年7月にミドル級暫定王座決定戦でヨエル・ロメロに勝利し、UFC世界王者に輝いた。
唯一の敗北は、2019年10月のにイスラエル・アデサニヤとの同級王座統一戦。2R KO負けで王座陥落したが、2020年7月にダレン・ティル、10月にジャレッド・キャノニアをいずれも判定で下し、2連勝中だ。
当初はパウロ・コスタと対戦予定だったウィテカーだが、コスタがインフルエンザにより欠場。代役のガステラムと対戦することになった。
ガステラムはTUF17ミドル級優勝後、本戦ではウィテカー同様にウェルター級で参戦。2016年12月からミドル級に転向し、マイケル・ビスピン、ホナウド・ジャカレイに勝利も、イスラエル・アデサニヤ、ダレン・ティル、ジャック・ハーマンソンに敗れている。3連敗を喫したが、2021年2月の前戦ではイアン・ハイニッシュに判定勝ちで再起を遂げた。
ウィテカーvs.ガステラムは、2019年2月にタイトル戦を行う予定だったが、ウィテカーが計量後の試合当日に腸ヘルニアの緊急手術により欠場で中止となっていたカード。今回はコスタの欠場により、ガステラムがスクランブル参戦。2年越しの対戦が実現することになった。試合直前の両者のコメントは以下の通りだ。
◆ロバート・ウィテカー「正直言って自分は全ての面で彼を上回っている」
「最初に予定されていた試合は取り消しとなり、2人にとって最悪な結果となってしまった。だけどそれから自分はファイターとしても人間としても成長した。だから今週末オクタゴンで前よりもっと強くなっている危険な相手との対戦を楽しみにしている。
ガステラムは非常に危険なファイターだし、どの分野でも闘うことができる。彼はレスリング、組み技、そして打撃と相手を倒すパワーを持っている。危険な相手で非常に試合の組み立てがうまい。彼に敬意を払いながら闘いたい。
正直言って自分は全ての面で彼を上回っていると思う。打撃、組み技、そしてレスリングでも彼より優れている。動きでも彼を圧倒できると思う。身体能力でもレベルが違う。試合の流れを掴んだ方が有利になるだろう」
◆ケルヴィン・ガステラム「今はもっと戦術的にスキルを使って戦いたい」
「2人とも成長していると思う。ウィテカーは良くなったがそれは自分も同じだ。2人ともより成熟して頭を使った試合ができるようになっている。2年前は彼をノックアウトしようと思っただろうけど、今はもっと戦術的にスキルを使っていきたい。
彼は非常に良い選手だ。もちろん彼がチャンピオンになる前からずっと彼との試合を待ち望んできた。彼のスタイルは非常にエキサイティングで、オクタゴンで2人のスタイルがぶつかり合えば非常にエキサイティングな試合になるだろう。自分は全ての面で彼より優れていると思う。ボクシング、キックボクシング、グラウンド、レスリング、柔術すべてでね。どの分野でも彼より少し上回っていると思う。頭をつかって注意深い試合運びを心掛けたい。1位の選手を倒せば自分が1位になるんだ」
なお、セミファイナルで行われる予定だったライト級のジェレミー・スティーブンスvs.ドラッカー・クロースは、クロースが「首と手に違和感を感じ、朝に眩暈・頭痛もあり」(本人のSNSより)ドクターチェックの末に欠場、試合は直前に中止となっている。
また、キャッチウェイトで実施予定だったザラ・フェイリンvs.ジェジアニ・ヌネスの一戦もフェイリンが約3.6kgの大幅体重超過。体重管理に問題があったとされ、中止となっている。
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UFC Fight Night: Whittaker vs. Gastelum 試合リポート
現地時間2021年4月17日(土)、日本時間18日(日)米国ネバダ州ラスベガス/UFC APEX
【メインイベント】
▼ミドル級 5分5R〇ロバート・ウィテカー(豪州)185.5lbs/84.14kg[判定3-0] ※50-45×3×ケルヴィン・ガステラム(米国)185lbs/83.91kg
1R、サウスポー構えのガステラム。オーソドックス構えのウィテカー。ガステラムは右ローもそこに右ストレートを狙うウィテカー。ウィテカーは右インロー。ガステラムも左インローを返す。
左ストレートで圧力をかけるガステラム。ジャブから右ハイはウィテカー! ガードで飛ばされるガステラム。さらに連打も詰め返すガステラムは左。そこに組んで両脇を差してテイクダウンはウィテカー!
パウンドから左足をまたぐウィテカー。ハーフからヒジ打ち。アンダーフックするガステラムを差し返すウィテカーがヒジ打ち。亀から立ち上がるガステラムに右ハイを叩き込む。
2R、右インローはウィテカー。ガステラムのシングルレッグも切る。ワンツーは遠いガステラム。左ジャブを突くウィテカー。さらに右前蹴り。右インローも。ガステラムの打ち終わりに両脇を差してテイクダウン! ガステラムの立ち上がりに抑え込みはこだわらない。
右ハイはウィテカー。さらに右ストレートもかすめる。左ジャブのウィテカーに右から左を伸ばすガステラム。しかしウィテカーも右ハイをブロック上に叩き込む。左右を振るガステラムに右ミドルをヒットさせるウィテカー。左の蹴りも。さらに左ジャブが顔面を的確にとらえる。組んで行くガステラムを突き放し、ウィテカーがハイを打ち込んでブザー。
3R、右ローから入るガステラム。ウィテカーは左の三日月蹴り。ガステラムはワンツーで詰めて左ローまで繋ぐがローブローに。ウィテカーのハイに左ハイを返すガステラムは詰めて左ストレートをヒット! サークリングして距離を取るウィテカー。ワンツーから、ノーモーションの左ジャブを突く。ガステラムの左を左回りでかわすウィテカーは、左の蹴りに続いて左ジャブ! 近づくとクリンチからヒザを突いてガステラムを突き放す。ジャブから右ハイを、右ローと蹴り分けるウィテカーはガステラムの蹴り足を掴んでテイクダウン狙いも。ワンツーの右もヒット!
4R、いきなりガステラムのシングルレッグを切るウィテカー。詰めるガステラムはなおもシングルレッグも切られる。右インローはウィテカー。ガステラムの入りに右、さらに跳びヒザも! 右回りでかわすウィテカー。左ジャブから右アッパーをヒットさせるウィテカー。さらに右ハイをガステラムのガード上に当てる。
ウィテカーの右の蹴り、ストレートがあるなか、果敢に入って行くガステラム。しかし左腕でハイを受けるダメージはいかに。ダブルレッグテイクダウンで尻餅を着かせるガステラムだが、ウィテカーはすぐに頭を押さえて立ち上がる。右を伸ばして、そのまま右ハイを打つウィテカー。
5R、先に右ミドルハイはウィテカー。詰めるガステラムだが、さばいて左に回るウィテカーが組みへ。ここは離れる両者。詰めるガステラム。ウィテカーは右にステップして今度は腹に右ミドル! 左の関節蹴りから左ストレートはウィテカー! 同じ左関節蹴りから左ストレートも当てるウィテカーはシングルレッグテイクダウン! 残り2分弱で背中を着かせたウィテカーは、左で枕に巻き右で脇差し。ガステラムの立ち上がりにバックテイクし、両足をフックし完全バック奪取。正対際も上を取りブザー。
判定は3-0(50-45×3)でウィテカーがフルマークの勝利。MMA23勝5敗としたウィテカーはまだ30歳。王者イスラエル・アデサニヤとの再戦なるか。試合後、ウィテカーは「アデサニヤとまた道を交えたいね」と語った。
◆ウィテカー「タイトルに挑戦する権利を得た」
「最後に自分の腕が上がった瞬間が今回の試合で一番印象に残っている。ハードな試合だった。苦労して勝ち取ったと思っている。自分のメンタリティが違うんだ。どうして戦うのか、どうやって戦うのか、その理由が違う。試合までの一週間のアプローチ、キャンプ、トレーニング、試合そのもの、そのすべてが違っている。昔とはまったく違う。今の方がもっと楽しめている。ハッピーなロブ(・ウィテカー)は危険だからね。自分にとって次の戦いはタイトルマッチ。これでタイトルに挑戦する権利を得ることができた」
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【コ・メインイベント】
【中止】
▼ライト級 5分3Rジェレミー・スティーブンス(156lbs/70.76kg)ドラッカー・クロース(156lbs/70.76kg)※クロースが怪我で欠場、試合は中止に
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【メインカード】
▼ヘビー級 5分3R〇アンドレイ・アルロフスキー(ベラトール)250.5lbs/113.62kg[判定3-0] ※29-28×3×チェイス・シャーマン(米国)251lbs/113.85kg
1R、ともにオーソドックス構え。回転早めるアルロフスキーは4連打で前に。左ハイもブロックするシャーマンが圧力をかけて、右カーフから右ボディ打ち。右カーフをかえすアルロフスキーに一気に右で詰めたシャーマンは右! さらに左右連打もアルロフスキーも凌ぐ。
2R、右オーバーハンドはアルロフスキー。右目を赤くするシャーマンは圧力かける。ボディ打ちから顔面と散らす。ボディロックから押し込むアルロフスキーは右ヒジ打ちから離れる。さらに右カーフキック! ふくらはぎを効かされたシャーマンは足を引く。さらに右カーフ。
3R、スイッチして左ミドルはアルロフスキー。左ボディから右、さらに右から左フックもそこにヒザを突くシャーマン。アルロフスキーの股間に入りローブローに。再開。シャーマンの右カーフにカウンターの右ストレートを当てるアルロフスキー! さらに遠間から右オーバーハンド! 右フック。追うシャーマンに、アルロフスキーは左にサークリングで逃げ切り体勢に。
判定は3-0(29-28×3)で42歳のアルロフスキーが勝利。前戦のトム・アスピナル戦の敗戦から再起を遂げ、UFCヘビー級で20勝目を挙げた古豪は、オクタゴンに一礼をしてケージを降りた。一方、前戦でUFC復帰戦勝利していたシャーマンは、9カ月の停止処分明けの試合を落とした。
◆アルロフスキー「少なくとも勝利できた」
「今回、直前のオファーでオクタゴンに上がるチャンスを与えてくれたダナ・ホワイト、UFC、マッチメーカーに改めて感謝したい。2月20日に起きたことで悩んだけど、今回のような機会を与えてくれて本当に嬉しい。みんなが望んでいるような、UFCが望んでいるようなパフォーマンスはできなかったけれど、少なくとも勝利できたし、次はもっとうまくやる。家族、妻、母、かわいい子供たちが待っているから早く家に帰りたい。このあとは少し家族と時間を過ごすつもりだ」
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▼ミドル級 5分3R〇ジェイコブ・マルクーン(豪州)185.5lbs/84.14kg[判定3-0] ※30-27×3×アブドゥル・ラザク・アルハサン(ガーナ)185.5lbs/84.14kg)
1R、ともにオーソドックス構えから。シングルレッグから引き出してテイクダウンはマルクーン。しかし立ち上がるアルハサンが突き放しワンツー。そこにシングルレッグ、さらにボディロックテイクダウンでコントロールするマルクーン。正対するアルハサンに小外がけテイクダウンはマルクーン。中腰まで立つアルハサンになおもボディロックから崩してテイクダウン。アルハサンは立ち上がり正対する。
2R、右ローを蹴るアルハサンの打ち終わりにダブルレッグテイクダウンはマルクーン。立ち上がりもボディロックテイクダウンするとマルクーンはアナコンダチョーク狙い。首を抜かれると今度はアームインギロチンへ。ここもアルハサンは首を抜く。次はダースチョークを狙うアルハサンは立ち上がる。サウスポー構えになるアルハサン。左の蹴りもマルクーンのワンツーに下がる。
3R、サウスポー構えのアルハサンは左を突くが、詰めるマルクーンはまたもシングルレッグを引き出してテイクダウン。2R同様に首狙いもリフトして外すアルハサン。四つ組みからヒザ蹴りを突く。しかし、マルクーンは何度もテイクダウンアタックし、シングルレッグでテイクダウン。立ち上がったアルハサンは最後にバランスを崩したマルクーンに飛び込んでパウンドもかわすマルクーン。ブザー。
メインで戦うトレーニングパートナーのウィテカーも会場でマルクーンに拍手を送るなか、判定は3-0(30-27×3)でマルクーンがUFC2戦目で初勝利。アルハサンはUFC3連勝から3連敗となった。
◆マルクーン「2週間の隔離があるにもかかわらずオーストラリアからコーチが来てくれた。彼らの献身が正しいことを証明するために必死に頑張っている」
「外からの影響を無視しないといけないと思っていた。自分を信じて自分らしく、何も変えずにやってみたらうまくいったんだ。この1週間、コーチが勝つために一番いい方法と、勝つために最も簡単な方法を実行 する ことを教えてくれた。勝利への最も簡単な方法は最も賢い方法だ。もちろん、自分 はファイターだから 効果があれば頭にパンチを打ち込む。何でもかんでも打ち込んでテイクダウンを取ろうとは思わないけど、やらなきゃいけない場面もある。相手はとても危険だし、アブドゥルはいろんな相手をノックアウトしてきているから、とにかく攻めて最適な方法で勝ちにいく必要があった。ただのレスラーと思われることがあるけど、そんなことはなく何だってできるんだ。
試合後、満足していたらコーチから『まだ40%しか発揮していない』と言われたから、まだまだ頑張っていきたい。彼は自信ではなく経験値を高めてくれている。自分にはまだそれほど経験がないからね。言いたかったのはそれだけさ。2週間の隔離があるにもかかわらずオーストラリアからコーチが来てくれたんだ。彼らのためにもやらなければ、と思っていた。正直、自分のためというよりは彼らのために闘った。彼らのやっていることすべてが正しいことを証明する必要がある。今のところ、コーチたちは自分からそれほど多くの経済的な利益を得ているではないから、彼らの献身が正しいことを証明するために必死に頑張っている。心の底から本当に感謝している。
ロバート・ウィテカーと一緒にトレーニングしていて、お互いに気を遣ってもいる。トレーニング中は常に親友というわけじゃない。でも、彼の試合の一部として自分を連れてきてくれているし、そばにいるだけで多くの経験を積んで学ぶことができるから彼にも感謝している。このあと出てくる選手たちに期待している。ここにはファンのために来たんじゃないし、何かのために来たわけでもない。戦って、勝って、自分の評判を確立し、他の選手たちのように俺もここにいるべきだということを証明するために来たんだ。俺もここにいるべきだということを証明するために来たんだ」
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▼女子フライ級 5分3R〇トレイシー・コルテス(米国)126.5lbs/57.38kg ※[判定2-1] ※29-28, 28-29, 30-27×ジャスティン・キッシュ(ロシア)125.5lbs/56.93kg※コルテスが体重超過。試合は予定通り行われるものの、対戦相手に報奨金の20%を支払う。
1R、ともにオーソドックス構え。右を振って金網に詰めて右で差すキッシュが投げに。しかし残したキッシュが大内刈狙い。それを潰したコルテスが上に。インサイドから鉄槌を当てる。
下から腕十字を狙うキッシュ。腕を抜くコルテスに、下からキッシュはヒジ打ち。脇を差して立ち上がろうとするキッシュをコルテスは潰してバックテイク。完全バックを奪うと、リアネイキドチョーク狙い。キッシュは正対試みるもコルテスがさせない。
2R、左前足でサイドキックはキッシュ。コルテスは右ロー。さらにキッシュの右ローには掴んで金網まで詰めてボディロックテイクダウン。早々にバックを奪う。コルテスが4の字の足を組み直した瞬間に正対し立ち上がるキッシュ。コルテスも右前蹴り。右ミドル。左右のローを連打で打つとワンツーで前に。キッシュは右を打ち返すと追って、右カーフを連打する。
3R、キッシュの左のダブルの打ち終わりに詰めて小外がけテイクダウンはコルテス。キッシュの足を担いでパス。亀になり立とうとするキッシュをサイドバックで潰してさらに立ち際に左腕でノーアームギロチン。金網まで押し込んで極めようとするが、首を抜いたキッシュは、コルテスの蹴りにカウンターの右でフラッシュダウンを奪う。左インローを連打はキッシュ。そこにストレートを返すコルテスは組んで離れ際にヒザを突く。右ミドルはコルテス。ブザーに両者が手を挙げる。
判定は2-1(29-28, 28-29, 30-27)で体重超過のコルテスが勝利。UFC3連勝を決めた。
◆コルテス「あと3試合か4試合あればトップ5になれる」
「かなり自信を持って試合に臨んだ。とても落ち着いていた。素晴らしいチームがついていてくれるし、今回のファイトキャンプの進み方も完璧で全く不満はない。今日の自分のパフォーマンスにはとても満足している。思い通りに立ち技でいけたし、そうしたいと思ったタイミングでグラウンドでも戦えたから満足している。辞めるつもりはない。気持ちがあるし、もし倒されても立ち上がる。落ち込んだままなんていうタイプじゃない。止めたければ殺すしかないかもね。私は絶対にダメにならない。彼女がタフな相手になることは分かっていた。パンチを喰らっても一歩も引かないと思っていた。タフだけどいい試合になるだろうって。
今年はあと2回か3回は試合したい。アクティブでいたい。もちろん、健康でいて、ファイトキャンプがうまくいき、コーチとか……いろんなことがうまくいけば、今年の終わりにはトップ5にランクインできるかもしれない。少なくともトップ15入りまであと数試合というところに来ているはず。そうならない理由はない。あと3試合か4試合あればトップ5になれると思っている」
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▼ライト級 5分3R〇ルイス・ペーニャ(米国)155lbs/70.31kg[判定2-1] ※29-28×2, 28-29×アレックス・ムニョス(米国)155.5lbs/70.53kg
1R、ともにサウスポー構え。先に飛び込んでいくムニョス。ペーニャは後ろ手を上下に動かしフェイント。しかしそこにダブルレッグテイクダウンはムニョス。ボディロックでコントロールし、立ち上がるペーニャを再びテイクダウン。背後からヒザ。正対するペーニャが離れて前足の右ハイ。ムニョスのワンツーをスウェイする。左カーフキックを連打で当てるムニョス。足を流すペーニャ。
左の跳びヒザはペーニャ。それをキャッチするムニョスは詰めてテイクダウン狙いも切るペーニャに、ワンツーで飛び込むムニョス。スウェイでかわすペーニャ。
2R、左ストレート、左ミドルはペーニャ。さらにワンツー。ムニョスの入りにヒザも突く! しかしムニョスも左カーフを効かせると、右ストレート、さらにダブルレッグテイクダウン! 足を取りに行くペーニャの脇を潜るムニョスに、立ち上がるペーニャは正対!
右アッパーを当てるペーニャ。互いに右ジャブの刺し合い。しかし長いペーニャがヒット。ムニョスは左カーフを返す。左の打ち下ろしのヒジ狙いのペーニャ。ムニョスはなおも左ローを当てると右オーバーハンド! ペーニャもワンツー、しかしムニョスも打ち返す。
3R、左ストレートで圧力をかけるペーニャにボディ打ちはムニョス。カーフも蹴ると、ペーニャはサイドキック、右アッパーを返す。左カーフのムニョスに跳びヒザ狙いのペーニャ。ジャブから左のペーニャ。ムニョスも中に入りワンツー、左ロー! さらに距離を詰めて右ボディストレート。しかし、ペーニャも打ち下ろしの右! ムニョスはダブルレッグテイクダウンもペーニャもすぐに立つ。
ペーニャの左テンカオを掴んで金網まで詰めるムニョスだが、切るペーニャが反撃。左右の回転を速め、左ヒザまで繋ぐ。このラウンド手数が減ったムニョスもワンツー!
判定は2-1(29-28×2, 28-29)でペーニャが熱戦を制し「自信があった。やりたいことはすべてやれた」と笑顔で語った。AKAのペーニャはフェザー級からライト級に転向し、UFC3勝2敗と勝ち越し。
◆ペーニャ「2Rで手を骨折したんじゃないかと思う」
「最高の気分だ。最初のラウンドは10カ月の休養から来る不安を解消するために使ったけど、試合が進むにつれて自分のリズムやグルーブを感じられるようになった。慣れるまでにもう少し時間があれば、毎回、バイオレント・ボブ・ロス(ペーニャの愛称)をお見せできるはずだ。準備はできている。走り出す準備は整っている。
アレックスはタフな相手だ。何事にも一生懸命だし、彼のレスリングは本当にすごい。非常に強い相手で、彼を引き離すのは大変だったけど、たぶん自分が成長できているからだと思う。まだ若いし、強度を上げるトレーニングをして強くなればもっと成長できるし、あんな攻撃は通じなくなるだろうね。
正直に言うと、2Rで手を骨折したんじゃないかと思う。それでも、全力で打っていった。すべてを尽くしてやりきったと思っている。自分がここに来た目的を成し遂げられたはず。相手に対してできる限りのことはできたと思う。バイオレント・ボブ・ロス(VBR)に戦う喜びを感じさせれば、最も危険なVBRになる2R目に手を骨折していなければ、フィニッシュできてたと思う。3Rにもクロスを打って、“もう2度とできないかも”と思った。調整しないといけなかったけど、それでも相手には来るぞと思わせたかったし、フェイントをかけて上からヒジを打っていった。実際には手を骨折したあとのエルボーで相手の後頭部をカットしたんじゃないかと思う。
ケージの中では全体的に落ち着いていけたはず。笑顔にもなれたしね。良い時間を過ごせた。休んで復調したら、もっと上達したい。自分が本当にやりたいのは向上心を持ち続け、成長し続け、楽しい試合をし続けること。この勢いを維持してトップ15、トップ10と駆け上り、最終的にはタイトル獲得を目指していきたいと思っている」
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【プレリム】
▼ヘビー級 5分3R〇アレクサンドル・ロマノフ(モルドバ)264lbs/119.75kg[判定2-1] ※29-28×2, 28-29 ※ローブローにより3R途中までの判定×フアン・エスピーノ(スペイン)257lbs/116.57kg
モルドバのロマノフは13戦全勝・全試合フィニッシュというヘビー級ファイター。UFC2連勝中。初戦はDEEPメガトン王者のロッキー・マルティネスに肩固めで一本勝ち。2戦目は前腕チョークで一本勝ち。
対するスペインのエスピーノは最後のTUFウィナー。40歳でさまざまな民族相撲のマスターで、2020年9月の前戦では、ジェフ・ヒューズを袈裟固めで極めている。
1R、サウスポー構えのロマノフ、オーソドックス構えのエスピーノ。前手を突くエスピーノの左ハイを打つロマノフ。組んで小外がけテイクダウンはロマノフ! 立ち上がるエスピーノに背後から圧力をかける。しかし正対し、がっぷり四つに組むエスピーノ。
金網背に足を取りに行くが離れるロマノフは左ストレートで入っていく。左で差す四つ組み、エスピーノは大外刈テイクダウン! サイドから脇を開けさせアメリカーナ狙いでマウントに。
下のロマノフは首投げでスイープ狙いもバックに回るエスピーノは背後から崩し。しかしロマノフは正対し右で差して押し込んでいく。離れ際にバックフィストのロマノフに、右を返すエスピーノ。
2R、右の蹴りで牽制するロマノフに右を打つエスピーノ。しかし、そこにロマノフは左右で突進。シングルレッグに入ると、そこにギロチンチョークはエスピーノ。しかし引き込みで対角に飛ぶロマノフが上になり首を抜く。足を戻すエスピーノに、インサイドガードから前腕チョークはロマノフ。さらに鉄槌の連打!
足を開いたエスピーノを担ごうとするが、エスピーノも後転して立ち上がり。バックについていくロマノフは、正対際にギロチンチョーク。それをボディロックから背後に回ろうとするエスピーノが両差しも、突き放し左右を突くロマノフがダブルレッグへ。切ったエスピーノだが、スタミナが苦しい。
3R、右のオーバーハンドのエスピーノにシングルレッグに入るロマノフ。それを金網で耐えてボディロックテイクダウンはエスピーノ! なおも立ち上がるロマノフにエスピーノのヒザが当たりローブローに。中断に、いったんエスピーノも座り込んでしまう。レフェリーにうながされ立ち上がるエスピーノ。ロマノフはドクターチェックの末、ロシア語の通訳を通して試合続行不可能を伝えた。
判定は3R途中までのテクニカルディシジョンとなり、29-28×2, 28-29のスプリットで股間を押さえたロマノフの左手が挙げられた。ロマノフは頭を振る仕草、ヘビー級のプロペクト相手にエスピーノは惜しい星を落とした。
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▼女子ストロー級 5分3R〇ジェシカ・ペネ(米国)116lbs/52.62kg[判定2-1] ※29-28×2, 28-29×ルピータ・ゴディネス(メキシコ)116lbs/52.62kg
3Rに左で差して金網に押し込むゴディネスに、右で小手に巻き投げを狙うペナ。なおも左で差すゴディネスにペネが跳びついて三角絞めを狙うが、それをペナは豪快に前方に放り投げてエスケープ。立ち上がったペネはなおも跳びつき三角絞めも、極めきめれず、着地する。
判定はスプリットに割れ、29-28×2、28-29でペネが接戦を制した。
◆ペネ「失った時間を取り戻すことはできないけれど、そこから学び、成長することができた」
「まず、とても疲れた。アドレナリンが出過ぎてね。それでも、今回の経験は心から感謝している。ここに戻ってくるのは簡単なことじゃなかったし、この1週間はかなり感情的になっていて、本当に自分はここにいるべきなんだろうかと自問していた。でも、それを乗り越えて勝利を手にした自分を誇りに思っている。思っていた以上に素晴らしい試合になったと思う。試合というのは予測できないものだから。
対戦相手が攻めてくるのは分かっていたし、彼女がついてくるだろうってことも分かっていた。相手がそういうゲームプランで来ているのを知って、それでもしっかりと対応し、激しく押し返すことができて良かった。自分がベテランであることを証明できたし、何が起きても対応できること、気持ちがあること、忍耐力があること、それから献身的だってことを証明できたはず。努力しないといけないことや思うようにできなかったことは確かにあるけれど、それを実現するには経験を積むしかない。ここに戻ってきて勢いをつけられたことが嬉しい。
4年のブランクを経て復帰するのは大変だけど、自分を誇りに思う。またすぐに戦う自分を想像できるし、とにかく忙しくしてアクティブで居続けたい。失った時間を取り戻すことはできないけれど、そこから学び、成長することができた。すべての経験から学んで成長することができて満足している」
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▼ミドル級 5分3R〇ジェラルド・マーシャート(米国)185.5lbs/84.14kg[1R 2分00秒 ギロチンチョーク]×バルトス・ファビンスキ(ポーランド)184.5lbs/83.69kg
ファビンスキのダブルレッグにマーシャートがギロチンチョークを合わせてマウントに。上から絞り、最後はハイエルボーの形で極めた。マーシャートは2020年9月のチマエフ戦のKO負けから再起。
◆マーシャート「レスリングのチェストラップから始めるのがコツだった」
「最大の敵は自分自身。自分が強いことを自分自身に対して証明しないといけなかった。自分は戦えるし、UFCで12試合から13試合してきたから、最高の相手と戦える。ただ、頭の中の声を消して実行あるのみ。最終的に向こうが打ってくるという意味では予想通りだったけど、それでもちょっと驚いた。戦いを挑んできたんだ。立ち技では向こうの方が打ってきた。こっちが振りかぶれば相手も振り返してきて熱かったね。いつもは相手がショットを打つ前に少し手を出してくる感じだったんだけど、彼は打ち合おうと思ったらしく、少しだけそうなった。
クリンチしているときの彼のボクシングはすごくて、こちらにテイクダウンさせないためのものだったと思う。だから頭や肩の位置を変えずに、向こうがアンダーフックなどを使えないようにしたんだ。できるだけケージに背中をつけないようにして、向こうが打ってきたら自分は胸を張ってギロチンを狙ったら、それがうまくいった。
彼がケージ内の“ダブルス”を好んでいるのは分かっていたし、たくさんの対戦相手が間違った方向に行ってしまい、背中を見せてしまうことがある。彼はそこからのリフティングがとてもうまいから、頭の方を向けばそれを防げる。レスリングのディフェンス技であるチェストラップから始めるのがコツで、腰を落とし、頭に向かって重くなるようにする。ギロチンと組み合わせた。この方法で座らせてくれ。首を取るか、勢いをつけてしゃがみ、腰を落として倒そうと考えていた。一番良いシナリオは彼の首を取ること。最悪のケースは飛び上がってマウントを取り、戦い続けるパターンだ。もうすぐ父親になるから、戻ってそれに専念しないといけない。完璧なシナリオは家に戻って家族と過ごし、年内にもう一度、試合をすることだ」
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▼ライト級 5分3R〇オースティン・ハバード(米国)156lbs/70.76kg[判定3-0] ※29-28×3×ダコタ・ブッシュ(米国)155.5lbs/70.53kg
1R、ともにオーソドックス構え。右のカーフ、ハイキックと蹴りで先制するブッシュ。そこに左を狙うハバード。なおも右カーフキックを打つブッシュだが、ハバードは右ボディ打ち。縦ヒジも狙う。
左ミドルを当てるブッシュに右テンカオを突くハバードもお返しの右カーフキック。しかしハバードの前手の広げた右がブッシュの左目に入り中断。
再開。やはり左右の足技で距離を取るブッシュ。詰めるハバードに近距離でも蹴りで返すとバックフィストも。かわすハバードも右カーフ! 残り10秒でダブルレッグテイクダウンも奪う。
2R、左で差して押し込み、シングルレッグに切り替え、右を振って離れるブッシュ。大外刈のフェイントから組みに行くが、スタミナ厳しいか、下になるブッシュ。上のハバードは腰を殺して両足を束ねて背中を着かせる。ケージウォークから立とうとするブッシュは亀になりヒザを立てるが、その際で脇を差し上げ寝かせるハバードがヒジ打ち、アメリカーナ、チョークと叩みかけてブザー。
3R、ローから後ろ蹴りを見せるブッシュ。右から左を振って詰めるブッシュ。ボディロックから脇を潜りバックテイク、引き込みも、すぐに正対したハバードが上に。マウントを奪いヒジを落とすと、起き上がってきたブッシュに三角絞め。これをかついで外したブッシュはキムラ、ギロチンを狙うが、ここは外したハバードが上からヒジを落とし、マウントからパウンドでブザー。
判定は3-0(29-28×3)でハバードが勝利。UFC3勝3敗の五分に戻した。
◆ハバード「メンタルコーチと一緒に取り組んできた」
「満足している。勝利を手にするのはいつだっていいことだからね。相手はとてもタフだった。攻めてきたし、彼のスタミナは自分が思った以上だったから、その点はすごかったと思っている。すべてを出し切りたかったし、そうできたと思う。そのために調整が必要だった。相手はいい動きをしていたし、何発か良い打撃を喰らった。少し落ち着く必要があった。いったん落ち着いていい感じになったら、そこからは問題はなかった。どういうわけか、ときどき動き出すのに1秒とか2秒かかることがある。今回はいつもより早く動き出せたような気がするから、そこは満足している。
前回の試合以降、試合へのアプローチに関してメンタル面に力を入れてきた。メンタルコーチと一緒に取り組んでいて毎週会っている。メンタルトレーニングの本や呼吸法の本とか、いろんな種類の本を読んだり聞いたりしているんだ。この数カ月、多くの難題があったけど、ひたすらそれに取り組んできた。今ここにいられることが本当に幸せだと思っている。地に足をつけること、それが本当に大事だ。マックス(ロシュコップ)戦のあと、とてもいい気持ちで試合に臨み、最高のパフォーマンスを発揮して順調にいっていると思っていた。でも、少し先を見すぎていたし、未来を見すぎていたんだ。自分が集中しないといけないはずの今に集中できていなかった。そこに必死に取り組んで、これからもやり続けないといけないことも分かっている。今回の勝利も過去のもの。今はもう何もない。もちろん、今回の勝利には満足しているけれど、一戦一戦に集中していく必要があるし、それを実行している。
これまでかなりハイレベルなグラップラーと戦ってきたし、自分にもグラップリングできるんだってことを示したかった。今日はそれを証明できたと思う。正直、相手の映像をまったく見ていなかったから、相手が組み技が得意なのか 打撃が得意なのか分からなかったけど、自分のレスリングの方が上回っているのは分かっていた。打撃でも自分の方が良かったと思う。数字は知らないけど、かなり完成度の高いパフォーマンスを見せられたと思っている。アクセルを踏み続けてアクティブであり続けようとしたし、打撃に出る前にポジションをコントロールしないといけないこともあるけれど、とにかくできるだけ動き続けようと思っていた。
6月の後半か7月のどこでもいいから試合がしたい。あまり休みたくないタイプなんだ。前回の試合で怪我をしていたから復帰するのに時間がかった。負傷に手術に……でも今は準備万端だ」
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▼バンタム級 5分3R〇トニー・グレーブリー(米国)135.5lbs/61.46kg[2R 1分31秒 TKO] ※左ストレート×アンソニー・バーチャック(米国)135.5lbs/61.46kg
1R、ともにオーソドックス構え。右を当てたグレーブリー、組んだグレーブリーは四つから回してテイクダウン。立ち上がるバーチャックは右で小手に巻き、崩すが、離れ際にグレーブリーが右ストレート! ダウンしたバーチャックだが、下から跳ね上げスイープ。
上を取るとグレーブリーの立ち際にアームインギロチン! しっかりクローズドガードに入れるが、頭を抜いたグレーブリーが、バーチャックの立ち際をバックから崩してパウンド! 左手を背後から内側でコントロールし、右手で脇下からパウンド連打! 止めないレフェリー。立ち上がるバーチャックにまたもグレーブリーが右フックを当ててゴング。
2R、バーチャックの右の打ち終わりに組むグレーブリー。ダブルレッグに入ると尻下でクラッチして左に回してテイクダウン! バーチャックは金網際で立ち上がり、右前蹴りもそこにグレーブリーはカウンターの左ストレート! バーチャックが後方に倒れ、すぐにレフェリーが試合を止めた。
グレーブリーはMMA21勝6敗、UFC2勝1敗に。バーチャックは古巣UFCにカムバック2戦目も勝利ならず。オクタゴン2連敗となった。
◆グレーブリー「ただのレスラーだと思われているけど、何でもできるんだ」
「最高の気分だ。振り返ると、こうすればよかったとか、ああすればよかったと思うかもしれないけど、気分は最高だよ。初めてのフィニッシュだし、自分のことをただの退屈なレスラーだと思っている人が多かったかもしれないけど、そうじゃないってことを示したかったんだ。
前回のパフォーマンスはいつもの戦い方じゃなかった。とにかくフィニッシュできたことが良かったし、ノックアウトできてよかった。前回の試合はスプリット判定で終わってしまい、自分は明らかにユナニマスだと思っていたのに、守りに入って本気で打ち込まず、それでもフィニッシュを狙おうとしたうとしたのは、自分の責任だ。今回は精いっぱいやって倒そうと思っていた。いつもブロックとリターンを同じ方でやるようにしている。向こうはターンでキックを放ってきたけど、こっちはフックを打ち込んでいった。それが当たって相手が倒れたから全力で追い詰めて仕留めようとした。
とにかくひたすら削っていくだけ。ダメージが蓄積すると、どんなにタフな選手でも消耗するから、とにかく削っていったんだ。良い打撃を当てることができたから、最後までひたすら削っていった。これで自分のスタンディングにも注目してもらえるんじゃないかな。さっきも言ったように、ただのレスラーだと思われているけど、何でもできるんだってことを分かってもらえるはず。とにかくアクティブでいたい。勝ちたいし、できるだけ試合がしたい。試合をして勝って、ボーナスをもらいたい」
【中止】キャッチウェイト(139lbs/63.05kg)5分3Rザラ・フェイリン(147lbs/66.68kg)** ジェジアニ・ヌネス(136lbs/61.69kg)※フェイリンが体重超過。体重管理に問題があったとして試合は中止に。