キックボクシング
インタビュー

【KNOCK OUT】川島えりさ、ぱんちゃんにライバル心は「もちろんあります」

2021/04/10 00:04
 2021年4月25日(日)東京・後楽園ホール『KNOCK OUT 2021 vol.2』にて、、井之上弥生(橋本PREBO)とKNOCK OUT-BLACK女子-45.0kg契約2分3Rで対戦する川島えりさ(クロスポイント吉祥寺)のインタビューが主催者を通じて届いた。  川島はアマチュア大会を経て、2018年に東京MXのスポーツ情報番組『BE BOP SPORTS』の企画『PANCRASE REBELS TRYOUT』でKING OF KNOCK OUT初代スーパーライト級王者・不可思のコーチを受け、17歳でプロデビュー。そのデビュー戦では同じ企画でプロデビューしたぱんちゃん璃奈と対戦。2度のダウンを奪われて敗れたが、ぱんちゃんに得意のパンチで鼻血を出させ、最後まで逆転を狙って戦い続けた。  当時はまだ珍しかった“JKキックボクサー”として注目を集めたが、練習中に左手首を骨折したまま試合に出ており(バンテージを巻けば痛みがなく試合には支障がなかったと本人)、試合直後に手術をしたため完治するのに1年を要した。加えて大学受験もあったため、2020年12月に1年10カ月ぶりの復帰戦を行い、ねこ太に判定3-0(29-28×2、30-28)で勝利した。  まだ19歳で、アパレルブランドのマリオンアパレルのモデルとして「あの可愛い女の子は誰だ?」とネットで話題になった。デビュー戦から2年近く空いた中での2戦目では判定勝利を得た川島は、今回の3戦目についてどういう意欲、テーマを持って臨んでいるのか? 見てる人の心を動かすような存在なのは私かな ──今回の試合がプロ3戦目になりますが、前回、昨年12月のねこ太戦は「再デビュー戦」と言われていました。実際、ご自分でもそのような位置づけでしたか? 「そうですね。宮田プロデューサーが最初に『再デビュー戦』っておっしゃってくださったんですけど、その時に私自身も「そうだなあ」と改めて思いました。というのが、トレーニング内容だったり練習量なんかもデビュー戦とは全く違って、新しい環境で試合を迎えられたので、そういう意味で自分自身でも「再デビュー戦」だったなと思ってます」 ──「ちゃんとプロとして一歩踏み出せた」という感じ? 「本当にそうですね。意識が高められた試合だったので」 ──その試合で初勝利もものにしました。ただ、試合内容については不満が残ったというコメントでしたね。 「練習でやってきたことは出せてはいたんですけど、全部出し切れてはいなかったので。それと、ぱんちゃん璃奈選手とのデビュー戦の時は『熱い気持ちで前に出る姿に感動した』と評価していただく声がすごく多かったんですけど、そういうアグレッシブさとかがこの前の試合では足りなくて、終わった時の達成感というか、やり切った感が自分でもなくて、見てる方の心を動かすような動きができなかったことが反省点で。結果は残せたものの、まだまだ内容には満足できなかったなという感じでした」 ──アグレッシブさが足りなかった理由は何だったんでしょう? 「そこを言い訳にするのはダメだとは思うんですが、私自身はデビュー戦から2年近く経っていて、ブランクが空いてしまったことかなとは思ってます」 ──では、「次こそは」という思いが強いと。 「はい。今回の試合に向けては、前回の試合で出し切れなかった気持ちの面をしっかり出して、前に出てアグレッシブに戦おうと思っています」 ──今回の相手は井之上弥生選手です。現時点での印象は? 「試合数は私とそこまで差がないんですが、すごくタフな選手だなというのが第一印象で、打たれても打たれても前に出続けるタフさと打たれ強さが、女子の中でも珍しいタイプの選手だなと思いました」 ──となると、お互いの気持ちのぶつかり合いになりそうですね。 「私も前に出てぶつかっていこうとは思うんですけど、今回はテーマとして『完勝』を目指しているので、お互いにただ前に出てゴチャゴチャした試合になるよりかは、いなすぐらいの気持ちでテクニックも見せられたらなとは思ってます」 ──アグレッシブに前に出つつ、テクニックも見せると。 「前回の試合はうまく私が勝つ試合展開に運んでいったとは思うんですけど、『見せ場』というところが一つもなかったので、今回は見せるところはしっかり前に出て、打ち合っても勝つ自信はあるので。ただ、女子の試合でよくあるようなゴチャゴチャした試合にはなりたくないので、そこはしっかりテクニックで相手をいなしていきたいと思ってます」 ──川島選手はすでにいろいろとファンやメディアの注目を浴びていますよね。ここで勝てばさらに存在感をアピールできると思いますが、注目度やアピールという面についてはどう考えてますか? 「もともと女子選手って、どちらかというと珍しい存在なので注目されやすいとは思うんですよね。その中でも『KNOCK OUT』といえば、今はぱんちゃん璃奈選手がチャンピオンでもあって注目を浴びていて、『KNOCK OUT』を引っ張っている存在でもありますけど、私は選手としてリングに上がれなかった間は会見の司会をしたり、今もYouTubeのナレーションを務めていて、盛り上げようという気持ちでは負けてないと思っています。今回はファイターとして、『KNOCK OUTの女子はぱんちゃん選手だけじゃないんだよ』ということをいろんな人に知ってもらいたいという気持ちです。その意味では、ぱんちゃん選手も同じ日に試合があるので、いいアピールになるなと思いました」 (写真)デビュー戦はぱんちゃんとのデビュー戦対決だった──ぱんちゃん選手にライバル心はある? 「私は、もちろんあります。向こうは私のことは全く気にとめてないと思うんですけど、私自身は悔しい気持ちでずっとキックを続けているし、負けず嫌いな気持ちも強いので、リベンジしたいという気持ちはすごくあります。もちろん対戦する相手は井之上選手なんですけど、ファンの人からは試合内容が比較されると思うので、そこはすごく意識してます」 ──ぱんちゃん選手にはない、自分の強みはどういうところだと思っていますか? 「さっきの話と矛盾してしまうかもしれないんですけど…。ぱんちゃん選手は強いので、勝つのはうまいと思うんですけど、アグレッシブさとか打たれ強さでは負けない自信があるので、見てる人の心を動かすような存在なのは私かなと、勝手に思ってます」 ──先ほど「リベンジ」という言葉もありましたが、いずれはもう一回? 「とは思ってるんですけど、ぱんちゃん選手は階級を上げて、私は今下げているので、試合の機会は難しいかもしれないですけど、今回みたいに同じ日に試合があって比較された時に、内容でいかに上回れるかということはすごく意識してます」 [nextpage] 『学業があるからキックが弱いんだ』と言い訳には絶対にしたくない ──さて、すごく今さらなところにさかのぼりますが、格闘技と出会ったのはいつのことなんですか? 「キックボクシングを始めたのは高校1年の時です。最初はエクササイズ目的でジムに入会したので、週1回行けばいい方というのを半年ぐらい続けてました。そこで小笠原瑛作選手から『試合に出ないの?』って言っていただいて、そこから週2~3回は行くようになって、アマチュアデビューしたのが高1の終わりの頃です」 ──エクササイズ目的と言っても、女子高校生がキックジムに入会というのはまだ珍しいかなと思うんですが…。 「そうですね(笑)。父が以前ボクシングをやっていて、幼い頃に私も家でパンチを教わったりしていたんです。父は格闘技全般好きだったので、その影響はあると思います。家では格闘技の試合映像を日常的に見ていましたし」 ──子供の頃は誰か好きな選手とかはいたんですか? 「魔裟斗選手はカッコいいなと純粋に思ってましたね。UFCとかも父と一緒に見たりしていて、格闘技は本当に身近にありましたね」 ──でも、始めた時はプロになることなどは考えてなかったんですよね? 「はい、全く考えてなかったです」 ──それがこうしてプロになった今、何を目標にしていますか? 「『ベルトを獲る』と答える選手も多いと思うんですが、私は…もちろんそういう欲もあるんですけど、そこがゴールとは思っていないんですね。プロとして何試合やれるのかも分からない中で、ぱんちゃん選手みたいに格闘技一本でやっているわけではなく、大学の学業とキックを両立させながらやっているので、試合間隔もどれぐらいでできるかもまだ分からない状態なんです。なので一戦一戦で、見てくれる人に感動してもらえたり、『川島選手のおかげで元気がもらえた』と思ってもらえるような試合がどれだけできるか、というのが一つの目標です。あとは純粋に強くなりたいという気持ちがあるので、そこで負けたくないなというのはあります。その結果としてチャンピオンになれればいいんですけど、それを最終目標にしているわけじゃないという感じです」 ──大学の話が出ましたが、この春で2年生ですよね。ということは、コロナの影響で大学生活も想像と全く違ったのでは? 「そうなんです。高校の卒業式も大学の入学式もできなくて、去年は全くキャンパスに足を運ぶこともなく、友達もまだ片手で数えるほどしかできてなくて、まだ実感がないですね。今年は対面授業のメドもつきそうらしいので、そうなったらまた変わってきそうです」 ──そうなったらなったで、キックとの両立という面では忙しくなりそうですね。 「そうですね。今以上に厳しくなるとは思うんですけど、どっちかがおろそかにならないようにしっかりやるというのは始める時に自分でも決めていて、『学業があるからキックが弱いんだ』とか、そういう言い訳には絶対にしたくないので、全力で両立させようとは思っています」 ──なるほど。 「実はもう一つあって…。私は幼い頃から将来の夢があって、そのために大学とは別のスクールに通ってるんですよ。だから本当は、実質3つをやってる感じなんです。大学の授業は私にとっては苦じゃなくて、とても楽しいんですけど、そのスクールの方はいろんな分野が入ってくる職業を目指しているので、毎日、机に向かって頑張っているという感じです」 ──そうなんですね。でも、大変な分やる気になるタイプのように聞こえますね。 「はい、もともと忙しい方が好きなタイプなので、厳しい状況なのは分かってるんですけど、逆に『頑張ろう』とやる気も湧いてくるので、全然、苦にはなってないです」 ──そういった中で今回の試合は「完勝」を目指すと。では改めて、この試合で一番見てほしいところはどこですか? 「本当にもう、私自身を見てほしいと思ってます。「KNOCK OUTには川島えりさっていう女子選手がいるんだ』ということを意識して試合を見てほしいです。内容も問われると思っているので、そこも含めてしっかり見てほしいですね。
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