元陸上自衛隊員、体力には自信のある大谷翔司 (C)KNOCK OUT
2021年4月25日(日)東京・後楽園ホール『KNOCK OUT 2021 vol.2』にて、王者バズーカ巧樹(菅原道場)にKNOCK OUT-BLACKライト級タイトルマッチで挑む大谷翔司(スクランブル渋谷)のインタビューが主催者を通して届いた。
大谷は陸上自衛隊出身。2016年にデビューし、2019年1月にはREBELS-MUAYTHAIライト級タイトルへの挑戦を経験(ドロー)。他団体の王者クラスと試合経験を積み、2020年8月にはJAPAN KICKBOXING INNOVATIONで紀州のマルちゃんを破り、INNOVATIONライト級王座に就いた。そして12月にバズーカとノンタイトルマッチで対戦し、3Rに右フックでダウンを奪って判定2-0(29-28、28-28、28-27)で勝利を収めている。
試合のプラン、ベルトへの思い、そしてその先のビジョンを語ってもらった。
相手の状態をしっかり見極めてとどめを刺せるようにしたい
──前回バズーカ選手に勝ったことで、タイトルマッチで再戦することになりました。まず前回の対戦を振り返ると?
「結果的には勝てたんですけど、本当にただ勝ったというだけで。内容を見返しても、1Rから相手にコントロールされていたので、自分の中では勝ったという感じはあまりしてないですね」
──そうですか。試合中から「コントロールされている」という意識だったんでしょうか。
「そうですね。足技がうまいなというか、ポンポン出してきて足数が多くて、今までの相手にはなかったタイプでしたね」
──ただ、後半に行くに従ってプレッシャーもかけていたように見えましたし、実際ダウンも奪いましたよね。
「でもあそこで倒し切れるようでないと、今後チャンピオンになった時にKNOCK OUTを背負っていけるような選手にはなれないと思うので。一見、前に出てるようには見えるんですけど、グチャグチャになってそのまま勝ち逃げできればいいなという下心が少し出ちゃったので、落ち着いて相手の攻撃とか状態を見極めて倒し切るというのが今回の課題です」
──実際に対戦してみたバズーカ選手の強さや攻撃力などはどう感じましたか?
「想像通りでしたね。今まで63kgでやっていたので多少の大きさは感じたんですけど、想定の範囲内だったので、やってみても怖さはなかったです」
──事実として1回勝っているわけですが、それは今回、気持ちの上でどういう影響がありますか?
「前回は練習の時から『格上のバズーカ選手を倒してやろう』というモチベーションでやってましたけど、それが今回はただ『ベルトを獲る』という目的に変わっただけで、相手が誰とかは考えてないです。『1回勝った』ということは忘れるように周りからも釘を刺されてますし、自分でも、前に勝ったからどうこうというのは考えないようにしています。やることは、誰が相手でも一緒という感じですね」
──では今回のテーマは「倒し切る」ということ?
「そうですね、倒したいです。でも、KOを狙いすぎるといい動きにならないので、流れの中で相手の状態をしっかり見極めてとどめを刺せるようにしたいです。畳みかけるところでしっかりまとめたいです」
──そこで「倒し切るための武器」というと……。
「やっぱり得意なのは右なんですけど、最近は倒せる武器を増やしたいなと思って、左フックとかも意識して練習しています。なのでちょっとずつですけど、自信はついていってる感じですかね」
──ここまで、傍目には「フィジカルの強さで押し勝つ」イメージがありますが。
「フィジカルにはもともと自信があるんですけど、練習では別の戦い方もできるんですよ。単純に、それが出し切れていないというか。今までの試合ではよくても練習の5割ぐらいしか出せたことがないんですね。そこが一番の課題かなと思ってるんですけど、そういうテクニックも出せるように、これからもっと成長していきたいと思ってます。それが出せれば、勝てない選手はそんなにいないと思っているので」
──出せていない理由というのは?
「今までは経験も少なくて、試合になると焦っちゃう場面が多かったですね。いい攻撃をもらったら『取り返さなきゃ!』と焦っちゃうのがダメだなと思ったので、入場の時から平常心を意識してリングに上がりたいと思ってます」
──これまでは、焦ってグチャグチャになっても何とか押し返せてはいたと。
「そうですね。今まではそれでいけたかもしれないですけど、トップレベルの相手になってくると、全てがパーフェクトに近くなければ勝てないと思うので、フィジカル、メンタル、テクニック全てを、トップレベルに上げられるように頑張りたいです」
──そういう点で、理想像というか、目指す存在みたいなものはありますか?
「格闘技を始める前、学生時代によく見ていたのが、アーネスト・ホーストなんですよ。そこにちょっと影響されてるのかなというのはありますね。あの当時は、自分がキックボクシングでプロになるなんて思ってなかったですけど、今も無意識にそこを目指してるなということに、最近気づきました」
──ミスター・パーフェクトですか。
「そうなりたいですね(笑)。ホーストはいろんなところに攻撃を散らして、最終的に倒すというスタイルですよね。最初からドカン! と打って倒すのではなくて、削って削って倒すというのがカッコいいなと思いますね。今はまだ全然ですけど、一つ自分のスタイルというものを確立したいです」