佐藤嘉洋(左)と前田日明が武尊vsレオナ・ペタス戦の翌日に語り合った(前田日明チャンネルより)
前田日明とK-1 WORLD MAX 2006・2007日本王者の佐藤嘉洋が、武尊とカーフキックについて語り合った。
両者の対談は4月5日(月)に前田のYouTubeチャンネル『前田日明チャンネル』にて公開された。前田は2008年4月、K-1 WORLD MAXで勝利した佐藤に勝利者賞を渡した時に「花束を渡したら彼は何を言うかと思ったら『前田さん、何かアドバイスあったらアドバイスください』って言われてビックリしてね」とのエピソードを披露。佐藤は「1ミリでも世界王者になれる確率を上げる方法をいつも考えていて。せっかく目の前に格闘王の前田さんが、初めてお見かけして話す機会があったのでとっさにアドバイスをいただこうと思って」とその時のことを振り返る。
前田は控室へ戻った後に何かできるアドバイスはないかと考え、センサク・ムアンスリン(ムエタイのルンピニースタジアム王者からボクシングに転向し、3戦目で世界王座を奪取して7度防衛した)の映像を見ることを勧めたという。佐藤は「リングを降りた後に考えてくれたのがめちゃくちゃ嬉しくて。控室へ来てくれて。センサクのビデオを見てパンチの打ち方を研究したりもしました」と、そのアドバイスを活かしたという。
佐藤はその後、ブアカーオ・ポー.プラムックをKO、魔裟斗と歴史に残る接戦を演じた。前田は「佐藤君が強くなったのは、俺のアドバイスのおかげやぞと自慢してまわってましたね(笑)」との秘話も明かした。
(写真)佐藤が前田にリング上でアドバイスを求めた実際の場面
対談は3月29日に行われ、前日の28日には日本武道館で武尊(K-1GYM SAGAMI-ONO KREST)vsレオナ・ペタス(THE SPIRIT GYM TOP ZEROS)のK-1スーパー・フェザー級タイトルマッチが行われたばかり。
前田は「凄い試合だったですね。武尊の…多分、直接の勝因はカーフキックを上手く使ったっていうのがあると思うんですけれど、それで相手の足を止めて相手の持ってるコンビネーションを上手くできないようにバランスを崩すように持って行って。打たれるのを覚悟しながら接近戦に持ち込んで、本当ギリギリのところで上手くかわしていきながらカウンター狙いでいって。武尊の技術力って凄いですね。ビックリしたね、見直した」と、武尊を絶賛。
また、カーフキックについては、現役時代にリングスの試合でたまたまカーフを蹴られ、後十字靭帯を切ってしまったとのエピソードも。
そのカーフについて佐藤は「今の前重心のボクシングキックと言われているパンチ重視のスタイルが根底からこの1、2年で変わってくるんちゃうかなって思いますね。戦い方が。だから多分、ムエタイの選手ってああいう構えになったのかなって思うんですよ。ムエタイの長い歴史の中でひょっとしたらカーフキックみたいなのがあったかもしれない。それを防ぐためにあの構えだったのかなって。僕らはカーフキックの存在を忘れていて、前重心のパンチ主体の流行りが訪れて、カーフキックの有効性がまた出てきたんちゃうかなと思っていて」と、歴史は繰り返すとの持論を展開。
「これからの格闘技の立ち技での攻防が変わって来るでしょうね。打たなくても『カーフキックがあるかもしれん』って思うだけで戦い方って変わるので」と、カーフキックの存在が今後さらに格闘技に大きな影響を及ぼすと予言した。