ダウンを奪われた後、凄まじい猛攻を見せるタネ
2019年4月29日(月・祝)東京・ベルサール高田馬場で開催されるキックボクシング大会『KNOCK OUT 2019 SPRING「THE FUTURE IS IN THE RING」』。
同大会のメインイベント、KING OF KNOCK OUTフライ級タイトルマッチでタネヨシホ(INNOVATION・直心会)が王者・石井一成(ウォーワンチャイプロモーション)に挑戦する。
タネは強打を武器に関西で活躍。デビューから8勝無敗の快進撃を続け、2016年にはDEEP☆KICK53kg級初代王座を獲得した。関東進出を果たすと2017年7月からKNOCK OUTに参戦。各団体の王者クラスを立て続けに破り、2018年2月にはWBCムエタイ日本統一フライ級王座も獲得した。
激しい試合を常に見せるタネだが、その名が一躍高まったのは2018年10月の大崎一貴戦。ダウンを奪われたタネは立ち上がると凄まじい猛攻で逆襲し、「凄すぎる」と話題を呼んだ。さらに、今年2月の大崎孔稀戦でも、ボディを効かされて2度のダウンを奪われ、KO負け寸前まで追い込まれたところで逆襲開始。最終Rに怒涛のラッシュを仕掛けて3度のダウンを奪い、大逆転KOに成功した。
一発大逆転男が、石井のベルトに挑む。
今までとは違って気合い入りすぎです
――昨年は9月のタイ・ルンピニースタジアムでの試合(スペイン人に5R判定負け)も含めて5戦3勝2敗でしたが、ご自身にとってどういう1年でしたか。
「ピンチで始まりピンチで終わった1年だったと思います。試合では全部ピンチばかりで心に余裕がありませんでした。今年は初戦の大崎孔稀戦でもピンチから始まりました」
――その大崎戦では、大崎選手が今年1月にお兄さんのタネ(ハートマーク)ヨシキ選手を倒していることでリベンジに向けてのモチベーションは高かったですか?
「兄貴がKO負けしてここで僕まで負けられないというのはありました。そう思うことで練習で気合いが入りましたし、もう無理だと思ったところでも多めにパンチが出せました。やってみてお兄ちゃん(=大崎一貴)の方が強かったのですが、弟も何でも出来て純粋に強い選手でした」
――2017年7月のKNOCK OUTに初めて上がってから約2 年で、今回、石井一成選手が保持するKING OF KNOCK OUTフライ級タイトルに挑戦が決まって心境はいかがですか?
「今までとは違ってもう気合い入りすぎです(笑)。練習やりすぎて身体がしんどいのですが、いい感じで追い込めています」
――当初は石井選手とノンタイトルマッチで対戦予定でしたが、タネ選手がSNSで「平成最後の日本人対決によるタイトルマッチを4.29のメインイベントで挑戦したいです! 石井選手! 覚悟があるのなら挑戦を受けてくれ!」と石井選手に呼び掛けたことでタイトルを懸けた試合になりました。どういう気持ちでタイトルマッチでの対戦を呼び掛けたのでしょう。
「僕は元々フライ級でやるつもりがなかったので、契約体重でやるのかが気になっていて、話を進めていくうちにフライ級契約での試合で落ち着きました。それならやることは一緒なのでタイトルマッチでお願いした流れです。正直3割ぐらいしかタイトルマッチになる自信はありませんでした(笑)。逆にタイトルマッチになったことに僕はビックリしてます。こういうのは何でも言ってみないと始まらないので結果、言って良かったと思います」
5Rの残り1分半ぐらいで壊れたサイボーグを見せる
――石井選手は事前インタビューで「『チャンピオン』と『トーナメント3位』の実力差をリング上で見せ付けてわからせたい」と言われてます。
「去年10月のトーナメント以降、僕は経験値を上げています。石井選手が先に行っているのか、僕がその差を詰めているのかは試合にならないとわからないですし、今は差を埋めて石井選手を超える練習をしています」
――あの時の自分よりも強くなっている自信は?
「そうですね。試合を重ねることで気持ちの面で強くなっていますし、負けの経験、ピンチになった場面を経験して、今年2月のKNOCK OUTでは大崎孔稀選手に勝ったので僕の中では強くなっていると思います」
「オールラウンダーで全部技が出来てテクニック、スタミナもある選手だと思います。全てにおいて高いレベルがあります」
――ご自身は何で勝負しますか?
「実際やってみたら僕とは同じぐらいのレベルだと思うんです。でも、いかに4月29日に全力を出せるかが勝負だと思います。練習でなんぼ強くても、その当日に最高のコンディションで臨めるように細かいことから修正してやっていこうと思ってます。大きな差はないですし、僕がKO負けするとも考えられません。勝つために小さなことをどう埋めていくか、試合までにどれだけ出来るかが重要でしょう」
――フルラウンドの勝負になると思います?
「間違いなく5Rいくでしょうね。今年は落ち着いて試合をするようにしたいので、行くときは行ってしっかり5Rを組み立てていこうと思います」
――落ち着いてということは、タネラッシュを見せることもなく?
「いや、見せます(笑)。もう相手の攻撃で効いたと思ったら、もう止めてくれ! と思われるぐらいに攻めたりますわ。もし一回ダウンでも奪われたらもう逃がさないですよ。石井選手はうまい選手ですし、5Rしっかり戦うスタミナがあります。試合中に捕まえるのは
難しい相手だと思うのですが、それでも5R中に捕まえていくかがポイントになります」
――ちなみにダウンを奪われてからでないと、タネラッシュは見られないもの?
「ダウン取られたら兄貴(=ヨシキ)と会長にめちゃくちゃ怒られるんです。いつも気合いが入っているのですが、気合いが入りすぎて逆に攻撃をもらってしまいタネラッシュになります。今回の試合は綺麗に勝ちたいですね」
――KNOCK OUTのベルトを獲って、どういう1年にしたいですか?
「ベルトを取って6月にまたタイに練習に行く予定なので、タイで遊ぶお金を4月のKNOCK OUTで稼ごうと思ってます(笑)。とりあえず、次の石井戦では5Rの残り1分半ぐらいで壊れたサイボーグを見せるので楽しみにしといて下さい」