2021年3月27日(日本時間28日)、米国ネバダ州ラスベガスのUFC APEXにて「UFC 260」が開催された。
前日計量では、メインイベントの「UFC世界ヘビー級選手権試合」(265lb/120.2kg)に出場する王者スティペ・ミオシッチ(米国)は234lbs(106.14kg)、挑戦者フランシス・ガヌー(カメルーン)は263lbs(119.30kg)と王者より13kg重い体重で計量をパスしている。
UFC 260: MIOCIC VS NGANNOU 2
メインイベントは、UFC世界ヘビー級タイトルマッチ。38歳の王者ミオシッチは2度目の防衛戦。34歳でランキング1位のガヌーは2度目の王座挑戦となる。
両者は2018年1月の『UFC220』で対戦し、王者のミオシッチが挑戦者のガヌーを判定3-0で下している。
その後、王者は二階級同時制覇を狙ったダニエル・コーミエーにKO負け。2019年8月のダイレクトリマッチでKO勝ちしベルトを取り戻すと、2020年8月の3度目の試合も判定勝利し、コーミエーに引導を渡している。
対するガヌーは、2013年にプロMMAデビュー後、5勝1敗でUFC入り。もともとはボクシングで身を立てるためにカメルーンからフランスまで徒歩とボートで3年かけて亡命。フランスでは当初路上生活をしていたが、MMAジムに寝泊まりをすることを許され、フランスで「100% Fight」等で連勝し、オクタゴン入りを決めた。
UFCで6連勝でミオシッチが持つ王座に挑戦も敗退。その後、デリック・ルイスにも判定負けで2連敗。しかし、2018年11月にカーティス・ブレイズに45秒KO勝ちすると、2019年2月にケイン・ヴェラスケスを1R 26秒KO、同年6月にジュニオール・ドス・サントスも1R 71秒KOで元王者を連続撃破。2020年5月に、当時無敗だったジャルジーニョ・ホーゼンストライクも1R KOに下し、再戦のチャンスを掴んだ。
▼UFC世界ヘビー級選手権試合 5分5R×スティペ・ミオシッチ(米国)234lbs/106.14kg[2R 0分52秒 KO] ※左フック→鉄槌○フランシス・ガヌー(カメルーン)263lbs/119.30kg※ガヌーが新王者に
1R、ともにオーソドックス構え。静かな立ち上がり。中央を取るガヌーは右ローから。左右に回るミオシッチを追うガヌーはなお右ロー。左インローを返すミオシッチは遠い距離に。ガヌーはジャブ2発から右ストレート! テンプル狙うもブロック上。
前足にシングルレッグのミオシッチを腹の下に入れて切るガヌーは背後から崩してサイドバックでパウンド連打! 立ち上がるミオシッチに今度はガヌーからダブルレッグも今度はミオシッチが切る。
オーソから左ハイを当てるガヌー。ブロックするミオシッチ。左ローを突くミオシッチ。回るミオシッチに正面に立つガヌー。ミオシッチにの左ローに右のカウンターを狙う。右ローを当てるガヌー。左ローを返すミオシッチ。ブザー。
2R、オーソから右、鋭い左ジャブを打ち抜いたガヌー! アゴが上がるミオシッチは後退。ガヌーはすぐに金網に詰めて右アッパー、さらに左を連打! ミオシッチも押し返し右を当てるが、それを受けながらもガヌーは崩れず左フック! 左足首が折れ曲がりながら後方に倒れたミオシッチにガヌーは鉄槌1発! レフェリーが間に入った。
試合後、ガヌーは解説のジョー・ローガンのインタビューで「紹介するよ」との前置きを聞くと、共に「New Heavyweight Champion of the World!」と唱和。
続けて、「言葉がちゃんと見つかるか分からない。最高の気分だ。試合は仕事だけど、自分自身に約束したんだ。必ずトップに立つと。もっと強くなる、そのためにもここにいる」と戴冠を語った。
さらに、ローガンから、カメルーンから欧州に渡り、UFCの王座戦までたどり着いたことを問われ、「ずっと私のことを見てくれて感謝したい。これはすべて約束だった。誰も信じなくても自分は信じていた。疑念も自分が実行することで払拭できたと思う」と軌跡を振り返った。
「(ミオシッチとの)初戦の敗戦、それこそが素晴らしい学びだった。人生における学びもあった。こんなことを言うのはおかしいけれど、前回の試合すら負けたと思っていないんだ。何を学んだか、ファイターとして成長したし、自分自身をマネージメントすることを学んだ。その経験がさらに僕を高みに連れていってくれた」と初戦の敗戦が、自身を成長させたと語る新王者。
コンパクトに打ち抜いたフィニッシュについては、「パンチのときに(相手の)カウンターも当たっているけど、コーチも『大丈夫だ、リラックス』と言い聞かせてくれて、“落ち着こう、いい気分で戦えている”と心の中で思っていた。自分も痛んでいたけど、落ち着いてカウンターを当てることができた。コーチのエリックに感謝したい」と語った。 また、今回、ガヌーのセコンドに現UFC世界ウェルター級王者のカマル・ウスマン(ナイジェリア)がついたことについて、「自分からウスマンにセコンドを頼んだ。彼こそが感情的な精神的な部分で支えになってくれると思ったんだ。彼の存在が私を落ち着けてくれて、的確な指示を与えてくれた。彼こそがチャンピオンで、僕にインスピレーションを与えてくれる。彼のようなチャンピオンになりたい、アフリカ系のチャンピオンとして彼に続きたいと願ってきたんだ」と、アフリカの先達に感謝の言葉を述べた。
また、ヘビー級転向を表明しているジョン・ジョーンズの「Show me the money」のツイートに対し、「ジョーンズは歴史に名を残す最高のファイターだ。ヘビー級に挑戦してくるなら最高のチャレンジになるし楽しみだ。いつでも、どこでもすぐにでも、7月でも8月でも、彼が準備が出来たならやろう」と対戦を受けると返答。
最後に「この王座は特別なものだった。このベルトを持つことはファンやサポーター、いまカメルーンは早朝だけど、カメルーンのみんなも喜んでくれると思う。彼らを代表して戦えることは幸せだった。フランスの友達にも感謝したいし、関わってくれた一人ひとりに感謝したい」と路上生活をしていたフランス時代にジムに寝泊まりを許してくれた関係者にも感謝の言葉を語り、新王者としての最初のインタビューを終えた。
◆フランシス・ガヌー「次? ジョン・ジョーンズだろうね。実現させたい」
「最高だ。この感覚はとにかく最高。これまでの人生ずっと欲しかったもの手に入れるために苦労して、ときにはもがくこともあった。そして今こうしてここにいる。自分の感情を整理して実感するには少し時間がかかりそうだ。今はいろいろな感情があるからね。自分の人生の中で一番大きな出来事になるんだろう。まだ勝ったことを実感できないよ。もちろん、最高の気分だけど、今はそれ以上考えられない。
ああ、なんて最高なんだ。昂る感情やみんなの思いを考えると特にね。ベルトだけじゃなく、それが何を表しているかも重要だ。理念であり、倫理であり、夢であって人生でもある。自分を支えてきてくれた人たち、自分の夢に向かって共に歩んできてくれた人たち、自分のことを信じて目標を達成するために尽力してくれた人たち。それがすべてだ。自分だけでは決してできなかっただろう。たとえタイトルマッチじゃなかったとしても、スティペとは再戦したかった。2018年1月に彼に負けて以来、ずっと彼を相手にタイトルマッチがしたかった。リベンジしたかったし、彼のキャリアを見れば彼が史上最高のファイターであることは明らかだし、彼を破って名を挙げたかった。
自信はあった。もちろん自分が背中をつけてテイクダウンされたくなかったのもあるけど、彼をテイクダウンすることさえ考えていたんだ。ずっと力を入れて取り組んできたことだし、グラウンドでもグラップリングでも彼を苦しませる自信はあった。彼の倒れ方を見ると怪我をしているんじゃないかと思ったけど、彼はタフだから絶対にチャンスを与えたくなかった。だから最後まで攻撃の手を緩めなかった。
今日の勝利は自分だけではなく全員のものだ。全力で支えてくれて信じてくれた人たち、世界中の人々、ファンのみんな、信じてくれたみんなのものだ。それがとても重要だと思っている。そういう人たちが必要なときに力を与えてくれるし、疲れてトレーニングをサボりたくなったときにはモチベーションを高めてくれる。みんな喜んでくれているだろう。今母に電話したけど話すことができなかった。今はカメルーンにいる誰とも話せる気がしない。みんな熱狂しているだろうからね。いい意味での狂気だ。前回はうまくいかずたくさん泣いたけれど、今ここで喜びの涙を流している。次はどうするか? ジョン・ジョーンズだろうね。彼はその試合について話したばかりだから。実現させたいね」
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【セミメインイベント】
▼ウェルター級 5分3R×タイロン・ウッドリー(米国)171lbs/77.56kg[1R 3分56秒 ダースチョーク]○ビセンテ・ルーケ(ブラジル)170.5lbs/77.34kg
ウェルター級7位のウッドリーと、10位のルーケの対戦。ウッドリーは3連敗中。ルーケはUFC12勝3敗。白星のうち判定勝ちはマイク・ペリー戦の1度しかないフィニッシャーだ。2019年11月のステェファン・トンプソン戦の判定負け以降、ニコ・プライス、ランディ・ブラウンをいずれもTKOに下している。
1R、ともにオーソドックス構え。いきなり突っ込み金網際で四つに持ち込むウッドリーだが、体を入れ替えるルーケが離れる。またもダブルレッグはウッドリーも、差し上げるルーケが金網に押し込むと四つから両脇を差して自ら離れる。
右を当てたウッドリー! 前に出て右アッパーを狙うが、そこにルーケがカウンターの右の打ち下ろし! 足が泳ぐウッドリーは金網まで後退。そこに左右から右を当てて崩したルーケは、跳びヒザ蹴りも。さらにがぶりからダースチョークをセット。ウッドリーが回れないよう足をひっかけて絞め上げタップを奪った。
ウッドリーはUFC4連敗。UFC3連勝を決めたルーケは、「最高の試合だった。相手はレジェンド、強いことは分かっていたけど、強くパンチを当てれば倒れると思った。一つひとつのことに感謝したい。息子も生まれるんだ。バランスは崩したけど、僕はアゴが強い。カウンターを狙って、最後は僕のダースが強いから勝てた」と語った。
◆ビセンテ・ルーケ「ネイト・ディアスとなら喜んでやる」
「大きな勝利だ。本当に嬉しい。頭の中にこのビジョンがあった。このためにトレーニングしてきたけど、それは現実とは違う。もっともっとエキサイティングで爽快だ。自分は常に対戦相手のベストを引き出す傾向があるから、誰に対しても過小評価せず、ベストの状態であることを想定している。今日もそうだった。ここが自分のホームだよ。戦うことが好きだ。大きな勝利を掴めて最高だ。
彼に打たれて少しバランスを崩したとき、彼が3人いるように見えていたけど、いずれにしても向こうが積極的にノックアウトしようとしているのは分かっていた。対戦相手にカウンターをしかけるならそれが絶好のチャンスになる。だからしっかりと立って、相手のパンチが見えたら同時に打っていくつもりだったし、それがうまくいった。向こうが大振りのパンチを打ってきたから頭をかがめて右を出した。それが最初の一発で向こうは倒れたし、その後は何発か打ってぐらつかせ最終的にはグラウンドに連れ込んだ。ノックアウトを狙っていたけど、あのサブミッションがいけると思ってそうした。相手のガードが開きあごが見えたからサブミッションを仕掛けた。相手に強烈な打撃を当てたけど簡単に倒れないとわかっていたからサブミッションで仕留めようと思った。自分の得意としていることだし、しっかりと決まった。彼は抜け出すことができずタップしたんだ。組み技から始めてそこでも闘えることを示せた。自分は簡単には倒れない。自分にとっても良いテストになったしトレーニングの成果が出た。良い対策ができたしグラウンドでもフィニッシュできる強さを見せた。普段は打撃中心だけどチャンスがあればグラウンドで仕留める。素晴らしい試合だったし結果に非常に満足している。
ワンダーボーイ(スティーブン・トンプソン)との対戦は自分にとってはビッグステージで初めてのビッグネームとの試合だったし、ビッグファイトのすぐ前だったから少しナーバスになった。どの試合でもナーバスになるし興奮しすぎることがある。自分の打撃に集中しすぎてガードが緩くなった。その敗戦からハイレベルな試合では多くのミスが許されないことを実感した。ミスの多い方が代償を支払うことになる。だからプラン通り頭をつかって闘わないといけない。今夜はそれができた。元王者という強敵相手に苦戦しながらも冷静に自分のやるべきことをやって試合を終わらせた。だからワンダーボーイとの対戦は大いに役に立ったと思う。まずは家に戻って妻と時間を過ごしたい。もうすぐ初めての息子が生まれるから、その瞬間を楽しみたい。今はその瞬間に立ち会いたいし、少しは休みもほしい。それにふさわしい試合をしたと思っている。その後はこの階級のトップを目指したい。元王者相手にこういう形で勝利できたから、トップ5の相手とやれるチャンスはあるだろう。もしそれが実現せず、ディアスが復帰したいというのなら、それも最高の試合になるだろう。ネイト・ディアスとなら喜んでやるよ。彼のスタイルは最高だと思うし、ずっと楽しませてもらってきた。最高のマッチアップになるだろうね」
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【メインカード】
▼バンタム級 5分3R○ショーン・オマリー(米国)136lbs/61.69kg[3R 3分52秒 KO] ※左ストレート→パウンド×トーマス・アルメイダ(ブラジル)136lbs/61.69kg
バンタム級でキニョネス、ワインランドをいずれも1Rで下したオマリーだが、2020年8月にマルロン・ヴェラのカーフキックを受けて1R KO負け。MMA初黒星を喫して以来の再起戦となる。
対するアルメイダはUFC3連続KO勝ちから、2016年5月にコーディ・ガーブラントとの無敗対決で1RKO負けでオクタゴン初黒星。アルバート・モラレスには2R TKO勝ちも、以降、ジミー・リベラ、ロブ・フォント、ジョナサン・マルティネス相手に3連敗中だ。
1R、サウスポー構えから先にジャブ、右カーフキックを当てるオマリー。左の三日月蹴りを腹に。さらに後ろ蹴りも見せる。オーソドックス構えのアルメイダは右で詰めるも深追いはせず。
左ミドルを当てるオマリー。アルメイダの左右に、オマリーは下がりながら右を打ち下ろすと、さらに左ハイ! ダウンしたアルメイダに詰めず、両手を挙げて決まったと示すオマリー。
しかし立ち上がるアルメイダにオマリーは右跳びヒザ! さらに後ろ廻し蹴りも、そこに詰めるアルメイダがテイクダウン。立ち上がるオマリーは後ろ廻し蹴りを放つ。
2R、オーソドックス構えから入るオマリー。サウスポー構えに変えると左の前蹴りを腹に。さらに右のカーフキック。アルメイダの右の蹴りはバックステップでかわす。
オマリーがオーソになると右のカーフキックを当てるアルメイダ! サウスポー構えに戻すオマリーは右の関節蹴り。アルメイダの入りに左ストレートを突く。
ガードを挙げて詰めるアルメイダ。右フックを振るがオマリーはサイドに避ける。オーソから左ジャブ、右ストレートを狙うオマリー。さらにサウスポー構えに変えてインロー。
跳びヒザを打つオマリーを迎撃するアルメイダがパウンドを狙うと、オマリーが草刈狙いでブザー。
3R、オーソドックス構えから右のカーフを当てるオマリー。リーチを活かし、アルメイダより遠い距離を保ち、左ジャブ。アルメイダの右はスウェイでかわし、左前蹴りを当てる。
左右で詰めるアルメイダを右にかわしていなすオマリー。ジャブ&ローで間合いを制するとワンツーの右。アルメイダも右で飛び込むが、オマリーは左に潜ってかわす。
さらにアルメイダの右の前進に、下がりながらカウンターの左ストレート! ダウンしたアルメイダにゆっくり近づき右のパウンド1発を落として、オマリーが勝利した。
復活勝利を挙げたオマリーは、「1Rに相手がダウンしたと思ったけどすぐに立ち上がって来た。フィニッシュを狙っていたよ。悪いことは何もなかった。フルラウンド戦うのも。ここまで大きなストリーラインがあった。彼にはキャリアもある。自分との差があると言われていたけど勝ててよかった」と語った。
◆ショーン・オマリー「必要のない一発だった」「とても満足している。いろんな人にいろんなことを言われた。8カ月間それに対応してきたし、メッセージをもらったりした。足を狙う優れたキックボクサー相手にいい試合ができた。みんなを黙らせることができてうれしいよ。まあ、そういう人たちが黙ることはあるのかって話ではあるけど、でもいい気分だ。
試合になったら流れるように動ける。3Rできてよかった。2Rでフィニッシュするつもりだったんだけどね。試合前には1Rで倒して2Rで終わろうと思っていた。トーマスはタフだし、本当に手強くて尊敬もしているけど、3Rを戦えたことはいい気分だった。何をもって“いいパフォーマンス”と言うのか分からない。エディ(ワインランド)戦ではほとんど相手の打撃をもらわなかった。少しもらったかな……。ホセ(キノネス)の試合も、エディの試合も繰り返し何度も見た。その2試合はあっという間だったけど、今回はしっかり見直せるね。戻って振り返るのが楽しみだよ。
ここに来て彼を倒したかった。オクタゴンでは判定で勝利はしたくない。彼を仕留めたかったし、それを実現できて非常に嬉しい。彼は打撃をヒットさせる前にもう終わっていた。レフェリーは1Rの後に『おい、試合を止めなかったら闘い続けろ』と言ってきた。必要のない一発だったけど、レフェリーは何も反応しなかった。彼は既に闘える状態ではなかった。だけどもう一発当てなくてはならなかった。
最近は良い打撃が打てている。自分のスピンは速くて強力だ。相手はそれに反応しなくてはならないから、その時はそれをフェイントにして右を叩きこむんだ」
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▼女子フライ級 5分3R×ジリアン・ロバートソン(カナダ)125.5lbs/56.93kg[判定0-3] ※27-30×2, 28-29○ミランダ・マーベリック(米国)126lbs/57.15kg
女子フライ級15位のロバートソンは柔術黒帯。UFC6勝3敗。対するマーベリックは2020年10月にUFCデビューし、リアナ・ジョジュアに2R TKO勝ち。
1R、サウスポー構えのマーベリックに、オーソドックス構えのロバートソンは右ハイ。マーベリックは左右で前に出るが、そこに右を返す。
ロバートソンの右の蹴り足を掴んでテイクダウンするマーベリックだが、ロバートソンは金網際で立ち上がる。圧力をかけるマーベリックは顔にパンチを振ってダブルレッグテイクダウン! しかしロバートソンは蹴り上げから立ち上がりブザー。
2R、サウスポーから左の蹴りを繰り出すマーベリック。さらにスーパーマンパンチも。それをキャッチしたロバートソンがテイクダウン。ハーフガードのマーベリックが亀から立つところをバックテイク。後方に引き込んでアゴで肩を押さえてキムラクラッチへ。対処するマーベリックは正対して立ち上がり前へ。ピンチから一転、金網に詰めて右アッパーから左ストレートをヒットさせるマーベリック。
勝負の3R。声を挙げて右ジャブ、左ストレートで前に出るマーベリックの前足にシングルレッグはロバートソン。切るマーベリックはバックテイク。そこにシングルレッグ&ディープハーフのロバートソンだが、切られると、下から腕十字狙い。ヒジを抜くマーベリックにバックテイクから二重がらみで上を取ろうとするロバートソンだが、正対し上を取るマーベリックがダブルレッグテイクダウン! シッティングガードのロバートソンを潰してブザー。
判定は3-0でマーベリックが勝利。試合後、「常に自分自身を批評する癖があって、大変な時期もあったけど、総合的に戦えたと思う。練習仲間が厳しくトレーニングしてくれました。またすぐに戻って来たいです」と語った。
◆ミランダ・マーベリック「『2年以内にワレンチナとタイトルをかけて戦えるようになりたい』って言ったの」
「私は自分にかなり厳しい。戻って試合を振り返ってみないと。2Rでは明らかにミスした。正直、どうやってテイクダウンされたのか具体的には覚えていない。サブミッションはうまく防げたけど、もう少し早く形勢を逆転してマウントを取りたかった。自分にその力があるのは分かっているけど、彼女のゲームプランが一本を取りに来ることだと分かっていたから関節技を受けないように慎重になっていた。
それはそれとして、打撃はかなり上手くいった。もっともっと自分の力を発揮して次の試合ではさらにいろんな技を身につけ、カーディオを改善させたいと思っている。私にしてみれば、すべてのラウンドを取ることには慣れているから、頭の中では“OK、たとえ数秒打たれたとしても諦めないこと、ダメージを受けないように。諦めずにに戦い続けよう”って感じだった。なんとか立ち上がれたし、グラウンドを脱したらすぐにパンチを打ち続けて攻撃していった。もう一度、彼女をテイクダウンできたから、それは良かったと思う。
試合中に自分を責めてしまうという自分の精神的なハードルを乗り越えるようなものね。ひとつは年齢について言われること。若くて前途洋々というのはいいんだけど、ダメだったときの言い訳にはならないと思う。メイシー(バーバー)もとても若いし、UFCには若くして活躍しているファイターが何人もいる。私も、ただ持ち上げられるんじゃなくて、そういう存在になりたい。自分が有望株であること、その力があることを証明したい。ただ、もしかしたら若さは関係ないかもしれないけれど、このスポーツに長く携わっている人たちよりも、私の方が素早く戻って何かを変えたり、改善したりできるという事実はあると思っている。5年やって、まだ強くなっているから、とてもうまくやれているんじゃないかしら。
自分がオールラウンダーでかなりなんでもできるってことを示せたと思う。テイクダウンディフェンスのことをよく酷評されるけど、それだけじゃなくて、テイクダウンを仕掛けていけるんだってことも示せたはず。私にはレスリングがあるし、打撃だってあるから両方を兼ね備えている。UFCのデビュー戦ではその一部しか見せられなかった。みんなは過去の試合なんて見ずにそこだけ切り取っていく。でも、基本的に私は何でも上手くできるし、もっと成長して強くなれる。私よりも経験豊富な人たちとだって戦える。
他のインタビューでも何度か言ったけど、ワレンチナ・シェフチェンコは誰もが目指す先にいる。私はUFCデビューのときに批判された。“すでにチャンピオンを指名している”と。私にしてみれば“そうじゃない”の。『2年以内にワレンチナとタイトルをかけて戦えるようになりたい』ってそう言ったの。今でもその気持ちに変わりはないし、まずは彼女の姉、アントニーナとやりたい」
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▼ライト級 5分3R○ジェイミー・ムラーキー(豪州)155.5lbs/70.53kg[1R 0分46秒 KO] ※左フック×カーマ・ワーシー(米国)155.5lbs/70.53kg
1R、ともにオーソドックス構え。先に圧力をかけるムラーキーは左ジャブ、右ストレート。さらに右のボディ打ちで沈むフェイントから、左フック! 足が泳いで前のめりに倒れたワーシーにパウンド連打、KOに下した。
これでMMA13勝4敗、UFC3戦目にして初勝利を挙げたムラーキーは、「前回は判定だったから、今日は最初から全力で行こうと思った。タイミングが合った。インサドを打とうと思っていて、来たな、という感触があった。ヴォルカノフスキー、頑張って」と、新型コロナウイルスに感染した豪州の同じラグビー出身のフェザー級王者にエールを送った。
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【プレリム】
▼ライトヘビー級 5分3R○アロンゾ・メニフィールド(米国)205lbs/92.99kg[1R 1分11秒 ヴォンフルーチョーク]×ファビオ・シェラント(米国)206.5lbs/93.67kg※※シェラントは規定体重をオーバー。試合は予定通り行われるものの、対戦相手のメニフィールドに報奨金の20%を支払う
▼ウェルター級 5分3R×ジャレッド・グッデン(米国)171lbs/77.56kg[判定0-3] ※27-30×3○アブバカル・ヌルマゴメドフ(ロシア)170.5lbs/77.34kg
▼ライトヘビー級 5分3R×モデスタス・ブカウスカス(リトアニア)205.5lbs/93.21kg[判定1-2] ※28-29×2, 29-28○ミハル・オレクシェイチュク(ポーランド)206lbs/93.44kg
▼フェザー級 5分3R×シェーン・ヤング(ニュージーランド)145.5lbs/66.00kg[判定0-3] ※27-30×3○オマール・モラレス・フェレール(ベネズエラ)146lbs/66.22kg
【アーリープレリム】
▼ミドル級 5分3R○マルク・アンドレ・バリオー(カナダ)185lbs/83.91kg[3R 4分56秒 TKO] ※パウンド×アブー・アツァイター(ドイツ)185.5lbs/84.14kg