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柔道のバルセロナ五輪男子71kg級金メダリストの古賀稔彦さんが24日、死去した。53歳だった。死因は不明も、関係者によると2020年にがんの手術を受け、その後療養していたという。
古賀さんは背負い投げを武器に、1988年ソウルから五輪に3大会連続出場。1992年のバルセロナ五輪柔道男子71kg級で金メダル、1996年アトランタ五輪では78kg級で銀メダルを獲得。世界選手権は1989、1991、1995年の3度優勝した。身長170cmの小柄な身体ながら、鮮やかな背負い投げで「平成の三四郎」と呼ばれた。
総合格闘技にも理解があり、本誌『ゴング格闘技』にも再三登場。2006年4月には、翌月にHERO'Sミドル級(70kg)で山本“KID”徳郁戦を控えた宮田和幸(45歳・BRAVE GYM主宰)と、乱取対談を行っている。
ともにオリンピアンで、小・中と柔道家だった宮田は、当時をこう振り返る。
「自分はレスリングの前に柔道をやっていたのですが、僕たちの世代の一番、凄い人でした。お会いしたときは、自分がKID戦前で、直に組んでいただき、貴重なアドバイスをいただきました」
対談前に「古賀塾」の畳の上で古賀と組んだ宮田。内股を仕掛けたが、びくともしなかった。
「組んだ瞬間に強さを感じました。子供のときに大人の先生と組んだ感じ。大人になってからその感覚を味わうことはなかったので驚きました」
“ヘラクレス”と呼ばれた宮田をもってしても、動かない古賀。
「古賀さんはすべてが強くて、もちろん力もあるんですけど、やっぱりタイミングが抜群。格闘技はすごい力があることや運動神経がいい、ということ以上にタイミングが重要なんです。そのタイミングが力を凌駕する。それが柔道の神髄なんだと思います。古賀さんはもちろん全部を兼ね備えたなかで、力でねじ伏せるんじゃなくて理合があり、様々な布石を打ってその一瞬のタイミングで入ってくる。ただ、やっている人から見るとあれはなかなか出来ない。斬り合っているような感じです」