2021年3月7日(日)東京・後楽園ホールにて『skyticket Presents DEEP JEWELS 32~アトム級GP2021開幕戦~』が開催された。
Skyticket Presents DEEP JEWELS 32~アトム級GP2021開幕戦~
▼第8試合 メインイベント DEEP JEWELSアトム級(47.6㎏)GP一回戦 5分2R○大島沙緒里(AACC)47.50kg[1R 0分45秒 キムラロック]×富松恵美(パラエストラ松戸)47.60kg※大島が準決勝進出
大島「富松選手は強い選手だと十分分かっていますが、これから勝ち上がって行くためにもこの試合は絶対に落とせないので、しっかり勝ちに行きます」
富松「富松は「久々に47.6kgの試合で。アトム級なんですけれどだいぶ違う体重でやっていたので禁酒がきつかったです。2日前くらいから(笑)。
今回アトム級トーナメントということで私がずっと辞めたいのに辞められない理由が正規チャンピオンになるってことで、そのチャンスがまた来たということで。しかも初戦がDEEPミクロ級王者の大島選手ってことで、チャンピオンになるからには強い人を倒して、誰も文句を言わないチャンピオンになりたいので大島選手をしっかり倒していきます
それとウチのジムの浅倉カンナと、RIZINのベルトとDEEP JEWELSのベルト、二冠を2人で獲って2人でチャンピオンになるという目標を掲げていますので、必ずそれをクリアーして、私もベルトを獲って頑張ります。まずは強敵・大島さんを倒したいと思います」
2021年3月7日(日)東京・後楽園ホール『skyticket Presents DEEP JEWELS 32~アトム級GP2021開幕戦~』から、前王者・前澤智が引退のため返上した第7代DEEP JEWELSアトム級(-47.6kg)王座を8名の選手が争う「アトム級GP2021」が開幕した。
出場選手の中で唯一人の現役タイトルホルダーが大島沙緒里(AACC)だ。“さおりん”こと大島は、3歳から始めた柔道歴は21年を数え、2019年の全日本アマチュア修斗で圧倒的な強さで優勝。2020年1月には修斗女子初代スーパーアトム級王座決定トーナメントに抜擢され、一回戦でKO勝ち、5月の準決勝では元DEEP JEWELSアトム級王者の黒部三奈相手に敗れはしたものの、新人離れした才能を発揮した。
2020年7月の『DEEP JEWELS 29』では柔術出身のさくらとの寝技合戦をアームロックで制してさくらにプロ初黒星を付け、9月の『DEEP』ではしなしさとこが返上したDEEP女子ミクロ級王者決定戦をにっせーと争い、1R2分10秒、ハンマーロックによるTKO勝ちでプロわずか4戦目にして王座に就いた。しかし2020年12月、今回のGP優勝候補であるパク・シウに判定3-0で敗れた。
「正直、前回負けてしまったので出る事は凄く悩みました。でもこのようなチャンスは普通であればこないと思うので、挑戦させてもらうことにしました」と、ためらいもあったが挑戦することを選んだ、と大島。
1月31日に選手参加で行われたトーナメント組み合わせ抽選会では5番を引き、まだ誰もいなかった第4試合の赤コーナーを選んだ。そして6番を引いた富松恵美(パラエストラ松戸)がその隣、第4試合の青コーナーを選び対戦が決まった。
「前の4人がもう決まっていたので、第1試合にするか、第4試合にするかという選択肢しかなかったので、試合が無くなってはしまいましたが(同門の)本野美樹(当初はメインイベントでタイトルマッチの予定だったが怪我で欠場)の前になる第4試合を選んで勝って、繋げられればと考えていました」と、その位置を選んだ理由を話す。
ベテランの富松の印象は「立っても寝てもできるオールマイティーな選手だと思います」と評し、トーナメント全体では「ミクロ級の選手もいるので、この中でもやっぱり負けられないなと思いました」と、一階級上でのトーナメントでもミクロ級王者としての誇りを胸に戦う。
優勝への意気込みを聞くと大島は「優勝は目指していますが、まずは1回戦。目の前の試合を全力で戦って、まずは5月の準決勝への挑戦権を得ます」と、目の前の試合にひとつひとつ勝っていくだけだとする。
そして「12月の試合では途中からスピードが落ちてしまいました。その面でフィジカルやスタミナ等のトレーニングを増やし、打撃も練習しています。練習してきたことを活かして勝ちに行きます!」と、前回の試合での反省点を克服して、ベテランであり元DEEP JEWELSアトム級暫定王者の富松を“喰う”と宣言した。
対する富松は、2006年10月にプロデビューした、参加メンバー中一番の大ベテラン。2014年2月にはDEEP JEWELSライト級暫定王者となったが、今回のトーナメント出場にあたっては複雑な想いもある。
「正規チャンピオンになるチャンスが来た! と、嬉しいのと反面、コロナ禍による自粛で韓流ドラマを観たりする事にハマり、歳により身体の不調もあり、出場を悩みましたが、若者に負けられないし、リベンジしたい選手もいるし、暫定じゃなく正規チャンピオンになるラストチャンスと思い奮い立ちました」と、トーナメント出場を決めた理由を話す富松。タイトルは獲ったものの“暫定”というのがずっと心に引っかかっていたのだという。
トーナメントの組み合わせ抽選会では、自ら進んで大島との対戦を選んだ。その理由は「どうせチャンピオンになるなら、強い人を倒したいという気持ちと、戦った事がないというところから選びました」と、大島がベルトを持っているためと初対戦ということから。大島の印象を聞くと「優しいけど、強いお母さん! 私より全然若いけど(涙)」との答えが帰って来た。
出場選手全員を見て「8人集めてくれたのはさすが! ですね…」と8人も揃ったことを喜び、「そりゃあ出るからには勝って、優勝して、ベルト巻いて、賞金頂きます! ゴールドジムでのウエイトも欠かしてません! 筋肉は嘘をつかない!」と、ウエイトトレーニングで鍛えたパワーで新鋭たちを迎え撃つ。そして最後に「私の生き様の試合を是非会場まで観戦に来てください」とメッセージを送った。
1R、大島がシングルレッグから小外がけテイクダウン、すぐにバックに回る大島に、防御し立ち上がる富松のシングルレッグに大島は手首を掴みキムラクラッチに。そのまま後方に回して富松を寝かせて、上からキムラロックを極めた。
試合後、大島はマット上で「前回、パク・シウ選手に負けてすごく怖くて、AACCでも阿部さんに最後の調整まで、しっかり休めと言われるまで調子が悪くて……今日勝てて良かったです。私は1年前にここでデビューして、ベルトも獲った思い出深い場所です。この後楽園ホールで、5月、本野選手も伊澤選手と戦います。ぜひこの後楽園ホールに来て応援よろしくお願いします」と5月準決勝もアピールした。
[nextpage]
▼第7試合 セミファイナルDEEP JEWELSアトム級(47.6㎏)GP一回戦 5分2R○パク・シウ(TEAM MAD)47.60kg[判定5-0] ※20-17×5×にっせー(フリー)47.35kg
パク「(日本語で)こんにちは、パク・シウです。明日、試合楽しくしたいです。よろしくお願いします」
にっせー「沖縄から来ましたにっせーです。明日は優勝候補と言われている選手と戦えて嬉しいです。明日はバチバチ殴り合いしましょう。よろしくお願いします」
優勝候補と目されているのが、キム・ドンヒョンやハム・ソヒなどのMMAトップファイターが所属するTEAM MADの一員であるパク・シウ(TEAM MAD)だ。
シウはテコンドーをバックボーンにMMAとキックボクシングでも活躍。日本勢とは2018年5月に『GRACHAN 35』で沙弥子に判定負けも8月の『DEEP 85』ではパンチ&ロー、ヒザ蹴り、左ミドルで富松恵美に大差の判定勝ち、2019年12月には青野ひかるをTKOでマットに沈めている。2020年12月にはDEEP女子ミクロ級王者・大島沙緒里からも判定勝利を収めた。
すでに今回のトーナメントに参加する3名から勝利を奪っているシウは、「特にトーナメントという意識よりは、いつもの試合と同じ感じでしたね」と、トーナメントということは意識せずワンマッチとの認識。
1月31日に選手参加で行われたトーナメント組み合わせ抽選会では1番を引き、第3試合の赤コーナーを選んだ。その理由は「実は、ABCD(第1試合がA~第4試合がD)の位置がよく分からなかったので(笑)。特に意味はありませんでした。赤コーナーを選んだ理由は、今までの試合が青コーナーばかりだったので、今回は赤コーナーで選びました」と、特にこだわりなく選んだようだ。
2番を引いたにっせー(フリー)がパクの隣を選んだため、いきなり対戦相手が決定。にっせーの印象を聞くと「ショートカットで私と少しイメージが似てるかな? と思いました(笑)」との答え。
トーナメントに出場する全選手を見渡して、「アトム級の女子選手が多いということと、バックボーンとかそれぞれ得意な所が違うんだなと思いました。これから戦う選手がたくさんいるんだなとワクワクしてきました」と、優勝まで3試合戦えることが嬉しくて仕方がない様子。
「私は自分の根性を信じて行動しています。常に自分を乗り越えて試合に臨むので、練習をすればするほど心と身体がより強くなりますね。そのため、私は自信があります」と、根性と厳しい練習を乗り越えて強くなった自分でトーナメントに臨むとした。
「私は生まれつきの強い人ではありません。日々厳しい努力を重ねて、昨日の自分より今日の自分の方が一層強くなっていると思うので、前回の試合よりは成長できたと思います」と、また成長した姿でリングに上がる。今回の大会に向け、日本に滞在し、山本美憂と練習を積んできた。
1月31日に選手参加で行われたトーナメント組み合わせ抽選会で、優勝候補と目されているパク・シウ(韓国/TEAM MAD)の相手に、自ら名乗りをあげたのがにっせー(フリー)だった。
にっせーは、沖縄在住で高校時に半年レスリングを学んだ後にMMAジムに入門。2018年9月のDEEP JEWELSアマチュア大会での活躍が佐伯繁DEEP代表の目に留まり、2019年3月の後楽園ホール大会でプロデビュー。KOTORIに敗れはしたものの好試合を展開した。9月大会では山崎桃子を腕十字で破りプロ初勝利を飾ると、プロ3戦目にして女王しなしさとこと対戦。しなしをパウンドでTKOに仕留めた。しなしは2017年3月以来、日本人選手に敗れたのは実に11年ぶりでにっせーは一躍注目の的に。
その後、しなしが保持するDEEP女子ミクロ級(-44kg)王座への挑戦が決定していたが、しなしが新型コロナウイルスの影響による練習量の低下から試合ができる状態ではないと判断、王座を返上したため2020年9月に大島沙緒里と王座決定戦。しかし、1R2分10秒、大島のハンマーロックに敗れて王座獲得はならなかった。
再びタイトル獲得のチャンスが巡ってきたにっせーは「ミクロ級の自分を選抜してくれてとても嬉しく思っています」とコメント。なぜ抽選会で自ら進んでパク・シウとの対戦を臨んだのかと問われると「私は強い人と戦いたくて格闘技をしています。アトム級トーナメントに出場している8名の中で1番強い人は誰か考えて、チームで相談して第一候補はパク・シウ選手を選ぶと決めておりました。運が良かったです」と説明した。誰もが1回戦での対戦を避けたがるはずのシウを選べたのは“運が良かった”と言ってのける。
「パク・シウ選手は打撃・寝技どちらもできるファイターだと思っています。とても強いと思っています」と、その強さはもちろん分かっている。「優勝というか、まずはパク・シウ選手に勝つことを考えています。パク・シウ選手に勝ったら自然に優勝に近づくと思うので、勝って次につなげたいと思います」と、パク・シウに勝つことが優勝への近道だと考えている。
GPについては「強い人がたくさん出場していると思いました。アトム級初参戦で強い人がたくさん居るトーナメントに出場出来てとても嬉しいです」と、上の階級の強豪たちと戦うのが楽しみだという。
前回の自分とは違うところはと聞かれると、にっせーは「全て違うと思います。フィジカル・戦い方すべて変えたので、前回からの成長を見てほしいです」と、生まれ変わった自分に自信を持っている。
1R、ともにオーソドックス構え。詰めるシウに左アッパーを狙うにっせー。左前蹴り、右カーフキックを突く。ワンツーからラッシュしたシウに左にサークリングするにっせー。走って追うシウは、組んできたにっせーを払い腰テイクダウン! ここはすぐに立ったにっせーだが、なおも崩したシウが上に。立ち上がるにっせー。
左ミドルを当てるシウ。右バックスピンキックを見せたにっせー。シウはにっせーの右の蹴りの打ち終わりに右で差して組むと、首もがぶりヒザ! 首を抜き、シウの首を掴み低い首投げに行くにっせー、頭でマットに着き、投げられないシウばバックに回りゴング。
2R、ワンツーからヒザを突くシウ。左右ラッシュににっせーは金網背に。距離を取るにっせーにシウは左ストレート! 下がるにっせーに右の三日月蹴りを蹴るシウ。にっせーも右を返す。
左で差して後方に崩すシウに残すにっせー。クリンチボクシングで右を突いて、今度は右差しに切り替え前方に崩してテイクダウン! マウント&パウンドもにっせーも凌いでゴング。
判定は5-0(20-17×5)で圧倒したシウが勝利。優勝候補本命らしい強さを見せた。
[nextpage]
▼第6試合 DEEP JEWELSアトム級(47.6㎏)GP一回戦 5分2R村上 彩(フリー)47.85kgさくら(フリー)49.05kg→48.95kg ※再計量も体重超過、緊急搬送され試合中止に※村上が「不戦勝」に
村上「今回はアトム級トーナメントに、プロ2戦目なんですけれど参加させてもらえること嬉しく思います。練習してきたことを出せるように自分のペースで頑張りたいと思います」
さくら「(計量リミットの)4時までに落としてきます。すいませんでした」(※再計量もクリアできず、緊急搬送される)
不戦勝で5月の準決勝進出が決まった村上がケージイン。「今回、こういう結果になってしまって、試合を楽しみにして応援に来ていただいた方々にも申し訳ない気持ちでいっぱいです。自分自身も試合を楽しみにしていたのに、試合を見せられなく残念です。5月までの準備期間が出来たと思ってしっかり練習して、思った通りの試合をお見せしたいです。成長した姿を見せたいです」と語り、佐伯繁代表から誕生日のお祝いを受けた。
[nextpage]
▼第5試合 DEEP JEWELSアトム級(47.6㎏)GP一回戦 5分2R○青野ひかる(ストライプル新百合ヶ丘)47.50kg[判定5-0] ※20-17×3, 20-18, 20-16×佐藤絵実(毛利道場)47.30kg
青野「3年ぶりの再戦、デビュー戦以来の再戦になるんですけど、3年間で成長したところをしっかり見せて勝ちます。応援よろしくお願いします」
佐藤「このトーナメントに出られることになってすごく嬉しく思います。40歳になって今の私をすべてぶつけたいと思います。応援、よろしくお願いします」
青野ひかる(ストライプル新百合ヶ丘)は日本大学レスリング部出身で、2013年東日本学生女子選手権48kg級優勝、2014年全日本社会人レスリング選手権大会48kg級優勝などの実績を持つ。2017年12月にDEEP JEWELSでプロデビューも、佐藤絵実に逆転一本負け。以降、桐山安奈、古瀬美月、ARAMIを相手に3連勝したが2019年3月にベテランの富松恵美に一本負け。
その後は2連続一本勝ちを収めるも2019年12月、ハム・ソヒの妹分パク・シウにTKO負けを喫した。再起戦となった2020年7月のリオン戦ではTKO勝ち、10月には前DEEP JEWELSアトム級王者・前澤智とのタイトルマッチに挑んだが、得意のテイクダウンで試合を優勢に進めるも3Rに逆転一本負けで王座奪取に失敗した。
「タイトルマッチに負けて、その直後に佐伯代表から今回のトーナメントの話を聞いて。その時は出るのを辞めようかなって気持ちが強くて。気持ちの切り替えが全然できなくて…」と、最初は今回のトーナメントに出るのをためらったという青野。
しかし、「そう思っていたんですが『出れば1%でも可能性があるから、失うものは何もないんだからチャレンジしてみなよ』って言われて、じゃあ出てみようかなって気持ちになりました」と、デビュー当時からのコーチであり、選手活動も二人三脚でしてきた渡部修斗に背中を押されて出場を決意したという。
前澤戦を経て学んだことは、「あんなに勝っていたのに一瞬で試合に負けちゃって。何が足りないんだろうって。1週間くらいずっと考えていたんですが、何も頭が回らない状態でした。それで練習を始めてからいろいろな人からアドバイスをもらって。自分なりに立ち直ってまた頑張ろうって気持ちになりました」と、ショックで当初は何も考えられなかったが、周りからのアドバイスで何かをつかんだようだ。
その前澤戦だけでなく、デビュー戦から青野は序盤に圧倒しながらも逆転負けをすることが多く、あと一歩のところで足踏み状態が続いている。それを聞くと青野は「いつもなんかそうですよね(苦笑)。そういうのを今回断ち切りたいです! 強くなったところを見てもらいたいです」と、このトーナメントで過去の自分を払しょくしたいとした。
1月31日に行われたトーナメント組み合わせ抽選会では次々に対戦カードが決まり、7番を引いた青野はそこしか空いていなかった第1試合の赤コーナーへ。そして8番の佐藤絵実(毛利道場)が自動的に第1試合の青コーナーとなって1回戦での対戦が決まった。
「あの枠を選んだのは、あそこしか空いていなかったので(笑)。でも、一番戦いたい相手が佐藤絵実選手か富松恵美選手だったので、富松選手が大島沙緒里選手の隣に行った時は“ああっ…”と思ったんですけれど、最後まで残ったのが私と佐藤選手だったので“これは来たな”って思いました」と、望み通りの結果になったとする。
「“えっ、やったー!”って思いました。一番行きたかったところに行けてよかったです。リベンジ戦なので楽しみです」と青野が言うように、2017年12月のデビュー戦でのリベンジマッチとなる。
「あの時は本当に何もできなかったので、今の成長している姿をちゃんとぶつけたいと思います」と、デビュー戦とは全く違う成長した姿を見せたいとする青野。
他の6人については「アトム級とミクロ級のトップ選手が集まっているのと、いずれやるだろうなって思っていた選手ばかりだったので、ここを乗り越えていかないとチャンピオンにはなれないなと思いました」と、臨むところだとする。
その中でも一番の強敵は「パク・シウ選手ですね。決勝でリベンジできるのが最高の形です」と、2019年12月に敗れたパク・シウの名をあげた。また、富松には2019年3月に敗れており、これまでのキャリア6勝4敗の中で黒星を喫した相手(引退した前澤を除く)全員と今回のトーナメントで当たる可能性もある。
「優勝する自信はあります。過去の自分を断ち切ります。全員にリベンジできるので物凄く楽しみですし、トーナメントなのでしっかり勝たないと意味がないのでしっかり勝ちます」と、青野は言葉を結んだ。
当初出場が決まっていた永尾音波(AACC)は怪我で欠場となり、佐藤絵実(毛利道場)がトーナメント出場のチャンスを得た。1回戦では青野ひかる(ストライプル新百合ヶ丘)と2017年12月以来の再戦が決定(2R1分43秒、佐藤が腕十字で勝利)。
佐藤は小学生の頃に剣道を始め、中、高校時代には山口県大会で優勝を果たすなど県内の有力選手として活躍。大学卒業後に剣道を辞めると共に結婚して二児の母となるが、総合格闘技を始めて1年半で韓国のROAD FCにてプロデビュー。当時人気を誇ったソン・ガヨンと対戦した。プロ2戦目にしてDEEP女子フライ級の絶対女王しなしさとこと対戦して連敗を喫したが、2017年6月にプロ初勝利を飾ると青野ひかる、古瀬美月ら若手ホープから一本勝ちを奪って4連勝。
しかし、2019年3月のDEEP JEWELS後楽園ホール大会でアム・ザ・ロケット、10月にパク・ジョンウン、2020年2月に「DEEP JEWELSミクロ級初代王座決定トーナメント」1回戦で再びアムに敗れて3連敗中。「今回は出場する予定ではなかったんですけれど、永尾選手の欠場でお話をいただいて『これは出る運命なんだろうな』と思って、思い切って挑戦することにしました」と、出場を決めたという佐藤。
トーナメント組み合わせ抽選会では8番を引いたため対戦相手を選ぶ余地はなかったが、「トーナメントで優勝するためには誰と当たっても勝たないといけないので、特に誰とやりたいというのはなかったです」と誰でもよかったとする。 自動的に青野との対戦が決まったことには「対戦相手が青野選手と決まって、“ああ、ここでまた対戦するんだ”って正直思いました」と言い、「とにかくテイクダウン力とキープ力がずば抜けているなって感じなので、3年前に一度対戦していますが、もう別人だと思って戦います」と前回勝ったという驕りはない。
トーナメントメンバーを見て「単純に皆さん強いので勝ちたいと思っています」と、このメンバーの中で勝ち上がりたいとするが「まだ優勝は意識していません。青野選手との初戦に全てをぶつけていこうと思っています」と目の前の試合に集中。
今回は約1年1カ月ぶりの試合となるが「前回まではとにかくフィジカル負けしている部分が凄く多かったので、とにかく走り込みとフィジカルトレーニング、あと基本をしっかりやってきたのでそれを試合に出せたらいいなと思っています。あと私、40代になったので(笑)。40代は少し違います」と、1月31日に40歳となったことで違う自分を見せたいと語った。
1R、いきなりダブルレッグの弾丸タックルは青野。ハーフから佐藤に背中を着かせ、右で脇差しパス狙い。左腕で枕に巻きこつこつとパウンドを放つ。
2R、低いシングルレッグでテイクダウンし、足をさばいて片足をパスガードする青野。「ハーフでいい」の声に青野は固めようとするが、腰を切りクローズドに入れた佐藤も下から腕十字狙いで鉄槌も。
いったん体を離し、足をさばく佐藤に横三角絞め狙いは佐藤。頭にかかった足を外した青野はサイドから上四方に移りノースサウスチョーク狙い。さらにマウントへ。左脇に頭を入れて肩固めに入るが、佐藤も左ヒザ裏で左手と右手でクラッチして防御。
判定は5-0(20-17×3, 20-18, 20-16)で佐藤の防御に極め切れずもドミネートした青野が勝利。準決勝戦進出を決めた。
[nextpage]
▼第4試合 DEEP JEWELS 54kg以下 5分1R グラップリングルール○伊澤星花(高本道場)52.45kg[1R 0分58秒 リアネイキドチョーク]×杉本 恵(AACC)53.60kg
伊澤「急な試合になってしまったんですけど、受けていただきありがとうございます。明日は絶対に一本で勝ちますので、応援よろしくお願いします」
杉本「急遽参戦になったんですけど、久しぶりのJEWELSに出られてすごく嬉しいです。グラップリングではありますが、楽しい試合が出来るように頑張ります。勝って(本野)美樹に繋げられるように、絶対一本で勝ちたいと思います。よろしくお願いします」
今大会で予定されていた『DEEP JEWELS 32』のストロー級タイトルマッチが中止となった。ストロー級暫定王者の本野美樹(AACC)が練習中にヒザを負傷し欠場。挑戦者・伊澤星花(高本道場)との今回のタイトルマッチは中止となり、5月の『DEEP JEWELS 33』後楽園ホール大会にて、両者の対戦が行われることとなった。
伊澤は、本野と同門の杉本恵(AACC)を相手にグラップリングマッチ(54kg・5分1R)を戦うことに。
本野と伊澤は、2020年12月にノンタイトル戦で対戦。MMA2戦目の伊澤が王者の本野に判定3-0で勝利しており、今回はベルトをかけての再戦となっていた。
伊澤は「あと2カ月あるので、さらに成長しちゃいます。ぜひ予定を空けておいてください。今回はグラップリングマッチをさせていただけることになったので、私のグラップリング技術を堪能してください!」と、グラップリングでも自信のコメントを記している。
1R、足払いでの崩しは伊澤。杉本の低いタックルをがぶると、杉本をガードに入れず、バックに回り、リアネイキドチョーク! 1Rわずか0分58秒でタップを奪った。
試合後、伊澤は「今日、応援してくださった皆さんありがとうございます。初めて一本で獲れて、試合で極める感覚を掴みました。5月のタイトルマッチ、絶対に私が勝ってチャンピオンになります。フューチャーキングトーナメントでは兄と弟も総合格闘技でチャンピオンを目指して出場します。兄妹で応援をよろしくお願いします」と挨拶。
王者・本野もケージインし、「試合まで1カ月切ったところで靭帯部分断裂で欠場となり、申し訳ございませんでした。負けてからより一層気合も入っているので、しっかりリヴェンジして、まだベルトは渡しません」と防衛を宣言した。
[nextpage]
▼第3試合 DEEP JEWELS フライ級(56.7kg)5分2R○奈部ゆかり(リバーサルジム新宿Me,We)56.90kg[判定3-0] ※20-17×3×ミッコ・ニルバーナ(AACC/今成柔術)56.70kg
奈部「自分は昨年怪我をしてしまって、1年半ぶりの国内戦になりますが、ほんとうはプライベートでも仲がいいミッコ・ニルバーナ選手、しかも『倒します』と言ってくれたので、すごく嬉しい気持ちになっています。自分と戦いたいと言ってくれてありがとうございます。でも明日はしっかり自分の強さを見せたいと思いますので、応援よろしくお願いします」
ミッコ「プロ3戦目になりますが、バックボーンとか経験とか関係なく、強い人間が勝つと思っているので、明日はすべてひっくり返します。応援よろしくお願いします」
約1年5カ月ぶりの試合に臨む奈部ゆかり(リバーサルジム新宿Me,We)。
奈部は柔道出身で高校生の時に富山県大会優勝、インターハイではベスト8。名門・国際武道大学の柔道部に所属し、韓国に柔道留学も果たしている。2015年5月にDEEP JEWELSでプロデビュー。2018年6月に渡辺華奈に判定負けも、以降、アミバ、高森惟舞、藤森祥子、ゲオチャイ・ザ・ロケットを相手に4連勝。MMAでは7勝3敗1分で、敗れている相手は渡辺、村田夏南子、杉山しずかと強豪のみ。
2019年10月のゲオチャイ戦以来となったのは「前回の試合で負った怪我の手術で、膝の前十字靭帯再建と半月板を摘出しました。時間があったので、プロレス観戦やタイマッサージの資格習得などいろいろなことに挑戦してました。あとは運動できず好きなものを食べる…という生活が続いて、周りが心配するくらいすごく太りましたね(笑)」との理由から。
ブランクの不安はあるかと聞かれると「もちろんあります。自分が休んでいた間もチームメイトはしっかり練習をしていたので、久しぶりに練習に参加した時はみんな強すぎて、当たり前の事ですが、こんなにも差が出るんだとショックを受けました」と、ブランクを感じたことを隠さない。 しかし、「新しい技術をというより、出来ることを丁寧に正確に行うことに重点をおきました。動きの確認が中心です」と元に戻る作業をしてきたという。
「膝の手術後の安静期間とコロナ自粛期間が重なっていた時期もあったので、退勤して真っ直ぐ家に帰る生活をしてました。最初は快適だったんですが、やはり物足りなくて『あー、格闘技がしたい。Me,Weのみんなに会いたい』って思っていましたね。格闘技はまだまだ辞められないなと再認識しました」と、格闘技の大切さを改めて自覚する期間になったようだ。
そして迎える今回の再起戦。対戦相手はミッコ・ニルバーナ(AACC)。DEEP JEWELSのアマチュア試合で藤田翔子に2勝、2019年6月にはブリットニー・ジョンソンからも勝利を収めた。2020年10月大会でプロデビュー戦を行い、柔道出身のゆりなを2R2分51秒、パウンドによるTKOに仕留めると、12月大会ではARAMIにも判定3-0で勝利している。AACCらしく打撃も寝技もバランスよく使いこなし、女子としては大型のため今後が期待されている選手だ。
1R、右を当て詰めて払い腰テイクダウンは奈部! すぐにリアネイキドチョークに入るが、後ろ手を剥がして横に落としたミッコ。すぐに詰めて左で差してヒザを突く奈部。
再び払い腰でテイクダウンを奪う奈部はすぐにバックに回るが、立ち上がるミッコ。なおも三度払い腰で投げる奈部! 右は差しているが奈部の鉄槌の防御で前に。バックに回れず。
2Rも左で差して金網に詰めるのは奈部。ミッコは前転して足関節狙いもヒザを抜いて立つ奈部。ダブルレッグに入る奈部はそこからバックテイク。そのクラッチをアームロックに掴むミッコが体を入れ替えるも、ここで奈部は左で差して押し込み。
またも前転から足関節を狙うミッコだが、バービーで足を後方に飛ばす奈部がボディロックからテイクダウン。すぐに立つミッコを何度も崩して立ち上がるミッコに背後からヒザ。最後のミッコの潜りヒザ十字狙いも潰してゴング。
判定は3-0(20-17×3)で奈部が勝利。見事、怪我からの再起を勝利で飾った奈部は、マットの上で「ありがとうございます。Me, Weの藤田選手とともに圧倒的な勝利を見せたかったですけど、皆さん、戻ってきました!」と元気一杯にあいさつした。
[nextpage]
▼第2試合 DEEP JEWELSストロー級(52.2kg)5分2R×アミバ(AACC)52.95kg ※体重超過により「減点1」からスタート[判定0-3] ※15-20×3○藤田翔子(リバーサルジム新宿Me,We)52.85kg→52.70kg ※再計量パス
ともにオーソドックス構え。体重超過で「減点1」のアミバの低いダブルレッグを切る藤田は、アミバの下からの腕十字を切り、1Rにマウントを奪取。2Rも蹴り、パンチともに上回る藤田がアメバの組みを切り、的確にジャブ&ロー、右ストレートの打撃を入れて判定3-0(20-15×3)の勝利。
藤田大和の戴冠に続き、嬉しいプロ初勝利を決めた藤田は「今回やっとプロとして立つことが出来ました。弟の大和が先日暫定王座に就いて、姉も負けずに活躍しようと思いましたが、判定になってしましました。今後も頑張りますので応援よろしくお願いします」と挨拶した。
[nextpage]
▼第1試合 DEEP JEWELS 55kg以下 5分2R×ケイト・ロータス(KING GYM KOBE)54.15kg[判定0-3] ※19-19×3マスト判定HIME○HIME(毛利道場)54.40kg
ケイト「明日は一発目ということで、その後に出てくる選手たちに負けないくらい会場を沸かせたらと思います」
HIME「プロ初試合ということで、第一戦目からバチバチの試合で盛り上げていきたい」
柔道、糸東流空手の型、ボディビル、スポーツインストラクターを務めていた経験をバックボーンに持つケイトは、2020年10月に『DEEP JEWELS』でアマチュアSPルール(防具無し、3分2Rでパウンドは禁止)にて初試合、その可能性を見せつけて、12月にはプロデビュー戦で熊谷麻理奈(WSRフェアテックス札幌)を腕十字で極める一本勝ちを飾った。
対するHIMEは毛利道場所属。2018年までバスケットボールに取り組んでいたアスリートで、2019年12月のDEEP JEWELS大阪大会でアマチュアMMAルール(3分2R)で川西まゆ(総合格闘技道場BURST)と対戦。1R、リアネイキドチョークで一本負けを喫したが、2020年度、中国・四国アマチュア修斗選手権の女子フライ級で準優勝(川畑名美子)となりプロ昇格を果たすなど、成長を見せている。
大晦日RIZINの出場候補にも挙がっていた大型新人・ケイトがプロ連勝を飾るか。HIMEがプロデビュー戦で話題のケイトを喰うか。
1R、サウスポー構えのケイト。オーソドックス構えのHIMEの飛び込みにケイトは首投げテイクダウン! 袈裟固めも両足を背後から胴に回すHIME。膠着ブレークに。
スタンド再開。詰めて右、左ボディのケイト。互いに組んでヒザから押し込むのはケイト。左で差して互いに体を入れ替え、押し込んで左のパンチはケイトも、再びケイトは強引な首投げ。
バックに回られそうになると立ち上がり、HIMEを突き放す。HIMEの右ミドルを掴んで押し込み右の突きを放つケイともゴング。
2R、右の飛び込むパンチはHIME。さらに前手の左フック狙い。右ジャブを突くケイト。HIMEの飛び込みに下がりながら右を当てる! さらに入りに左ストレートも当てるケイトは、四つから右で差してクリンチボクシング。左から右の二段蹴りのHIME。ブロックするケイトは打ち合いの中で右を当てるが、HIMEも左を当てて前に! 金網に詰めてゴング。
判定は3-0(19-19×3)3者マスト判定HIMEに挙がり、有効打を当てたHIMEがプロ初陣を飾った。
[nextpage]
▼オープニングファイト 第2試合DEEP JEWELS 51kg以下アマチュアSPルール 3分2R×吉川桃加(禅道会駒ヶ根道場)[判定1-2] ※19-19×2(マスト堀井)×2, 19-19(マスト吉川)○堀井かりん(リバーサリジム東京スタンドアウト)
[nextpage]
▼オープニングファイト 第1試合 DEEP JEWELS 53kg以下アマチュアKICKルール 1分30秒2R△サラ(坂口道場)[判定1-0 ドロー] ※20-19, 19-19, 20-20△ラジーナ(コンパス幼保園)