(C)ONE Championship
PANCRASEフェザー級2位のランカーとして、ONE Championshipに挑戦した中原由貴(マッハ道場)。
2019年2月大会でエミリオ・ウルティアとの打撃戦を左ストレートKO勝ちで制したが、5月のゲイリー・トノン(米国)との戦いで、1R 55秒、ヒールフックで一本負けした。
3週間、松葉杖をついた生活後、向かったのは、米国NYでトノンが所属するヘンゾ・グレイシーのジム。そこでジョン・ダナハーコーチから、直に自身が極められたレッグロックシステムを学んだ。
一度は辞めようとした現役生活。コロナ禍のなか、気持ちを切り替え、“張り詰めた練習生活”に戻り、1年7カ月ぶりのマットに向かう。対戦相手は12勝無敗のルスラン・エミベック(キルギス)だ。
厳しい相手を前に、中原は「格闘技を10年やって、初めて自分で自信を持っている」と語った。中原の試合は、3月5日(金)21時30分から、ABEMA格闘チャンネルにて放送予定だ。
――シンガポールでの隔離生活はいかがですか?
「思ったよりは気楽に過ごせています」
――食事面とかも、これまで経験した選手たちから現地の状況を聞いて用意している感じですか。
「そうですね。いろいろ入る前とかにも連絡をいただいて想定していたのと、普段日本であんまりゆっくりできないので、逆にシンガポールについてゆっくりできてありがたいなという感じです。わりとリラックスして、部屋でやりたいことをやって過ごしていますね」
――今回の試合に向けて、前回の2019年5月のゲイリー・トノン戦の敗戦から時間が経ってしまって、その間はご自身でどのようにモチベーションを保ちながら練習してきましたか。
「モチベーションという面では、1回、辞めてしまおうかなと思うまで落ち込んだこともあって……。前回が2019年の5月で、その前にずっと試合のオファーが無くて、オファーがいつ来てもいいように張り詰めて、気持ちを高めつつやっていくんですけど、2020年4月にオファーいただいて、コロナで流れちゃったんです。そのときに気持ちが……“別になんかそんなに自分は試合求めてないかも”と思ってしまって……そのときに、“俺ファイターとしてやっていけるのかな”と、いろいろ考えたら負のスパイラルにハマってしまいました」
――それでも続けたのは……。
「それでも休まずに練習していたのは、やっぱり格闘技が好きだなって。そういった意味では、2カ月くらいで切り替えられた感じです。コロナの隔離期間もあって、1回、格闘技から離れざるを得なくなった。そこでリセット出来てからは、もういつ来てもいいようにずっと張り詰めた状態で練習を保てました」
――緊急事態宣言もあって、そのときに気持ちを切り替えることができたと。
「はい。休まざるを得なくなって、うまくリセットされた感じはあります。試合をするということ──結局、練習だと全力で戦えない──それが一番大きかったです。自分がどれだけ強くなったかとか、結局試したくなっちゃうんですよね。それで戦うしかないんだって」
――それは「強くなっている」という手ごたえを得た練習が出来ているということでもありますね。前回の試合がゲイリー・トノン戦で、その後トノンは松嶋こよみ選手にも判定勝利するなど、実力を発揮しています。その後、中原選手としてはどのような課題を持って取り組んできましたか。
「やっぱり一番は“知ること”だと思ったので、まずは彼の先生、ジョン・ダナハー先生のところにあの後すぐ行って。ニューヨークでひと月ちょっと練習はしてきました。自分の短所を知り、長所を伸ばすべく、いろいろ試行錯誤をしながらやってきました」
──敗れた相手のジム、名将ジョン・ダナハーがいるヘンゾ・グレイシーのジムに出稽古に向かったと!?
「はい。自分に何が起きたのか、詳しく知るべきだと思って。ただ、3週間くらいは杖をついた生活をしていたので、1回日本に帰って病院に通いました。足首の靭帯とヒザが骨挫傷、骨がぶつかっていたようで血が溜まっていて全治1カ月と診断されました。
ただ、シンガポールでの試合直後にトノンに、『足が治ったら、あなたのジムに練習行っていいかな?』と聞いたら、『ああ、もちろん、来なよ』と話をしてくれたので、治りかけの時点で飛行機のチケットを取って、ちょっと足は怖かったですけど、動きに問題が無くなったくらいであっちへ行きました」
――まだ新型コロナウイルスの影響が無かったときとはいえ、そうすべきだと考え、実行に移したのですね。トノンとも練習はできましたか
「いや、トノンがちょうどそのとき腕を怪我をしていて。なので、彼の周りとか、彼の先生から直接教わることはできました」
――ダナハーから直に教わった。いかがでしたか。
「かなりいい経験になりました」