(C)ONE Championship
2021年2月26日(金)シンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE Championship「ONE:FISTS OF FURY」にて、フェザー級キックボクシングマッチで、ダビット・キリア(ジョージア・33歳)との再戦に臨むジョルジオ・ペトロシアン(アルメニア/イタリア・35歳)。
両者の前戦は、2012年11月「GLORY 3:ローマ」での70kgスラムトーナメント準決勝でペトロシアンが判定勝ち。その後、決勝でロビン・ファン・ロスマレンにも判定勝利したペトロシアンが優勝を果たしている。
この10年間にわたり世界最高峰に君臨してきたペトロシアンは、ONEではひとつ無効試合があるものの5戦全勝。今回の試合は2019年10月のONE東京大会でフェザー級ワールドGP優勝を遂げて以来となる。
対するキリアは芦原会館空手出身で、15歳でキックボクシングに転向。スラムトーナメントではペトロシアンに敗れたものの、2014年3月にアンディ・リスティをKOしてGLORY世界ライト級王座に就いた。さらに2018~2019年にはKunlun FightのWORLD MAXトーナメントでも優勝している。2019年2月以降、試合から離れていたが今回ONEで復活する。
現在ONEには“人類最激戦区”と呼ばれる-70kgの主要ファイターがほぼ揃っている。
【ONE フェザー級ファイター】
ジョルジオ・ペトロシアン(アルメニア/イタリア)
ダビッド・キリア(ジョージア)
シッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)
チンギス・アラゾフ(ベラルーシ)
スーパーボン(タイ)
マラット・グレゴリアン(アルメニア)
タイフン・オズカン(トルコ)
アンディ・サワー(オランダ)
ジョネイ・リスコ(スペイン)
ヨードセングライ・IWE・フェアテックス(タイ)
ジャバル・アスケロフ(ロシア/豪州)
エンリコ・ケール(ドイツ)
ムスタファ・ハイダ(イタリア)
ペトロシアンはこの状況を、「自分の階級で最高の才能を持った選手たちが、ONE Championshipに参戦している。そして、誰もが私と戦いたいと思っている。それは当たり前だろう。この階級で倒すべき男は自分だから。そのことは、自分に火をつけてくれるし、スリルを与えてくれる。嬉しくてワクワクしているんだ」と、目を輝かせる。
なかでも、7年間無敗の“ザ・ドクター”への評価はゆるぎない。「ファンに『史上最高』と言ってもらえて光栄だけど、あまり深く考えないようにしている。次の対戦相手に集中して、一つずつレガシーを築いていきたいんだ。正直なところ、自分自身の試合に集中しようとしている。その他の選手のことを考えてエネルギーを失わないようにね」と、ペトロシアンは雑音をシャットアウトしている。
集中すべき相手、キリアについては、「よく知っている。数年前にローマで戦った。タフな相手だ」と語る。そして、その後の試合の評価も高い。バックボーンの芦原空手に警戒しながらも、弱点も見えているという。
「ダビットは大きく成長した。彼の試合を何度も見たよ。別のプロモーション(Kunlun Fight)で戦っていたが、タフな相手を倒していた。ダビットは空手の経験がある。だから、彼の打撃は型破りで、予測しにくい。だが、自分は何カ月も努力してきたし、何をすべきかははっきりしている。誰にでも弱点はある。彼の弱点が何だと思っているかは今は言わないけど、自分はそれをよく知っているし、私のトレーナーもそれを知っている」
キリアはここ5試合で4勝(2KO・TKO)1敗と上り調子だ。しかし、ペトロシアンにはその波が無い。常にハイレベルにいるからだ。
「前回から、お互いにより良いファイターになった。彼が進化したように自分も進化している。私も多くの経験を積んで、肉体的にも強くなった。勝利への渇望は変わらないし、この試合のためにハードなトレーニングを積んできた。100パーセント準備ができている。あらゆる面で自分が優れていると言える。自分の練習と自分自身を信じているから、彼に勝てると思っている」と揺るぎない自信をのぞかせる。
対するキリアも、「初めてジョルジオと戦ったのは8年前で、今よりもずっと経験が浅かった。あの試合は僕にとって初めての大きな大会だったし、その後、多くの経験を積んだ。彼よりもハングリーだと思っているし、自分がこの階級で最高のファイターの1人であることを証明したい。その準備は出来ている。キックボクシングと空手のスタイルをミックスして、前に出て、懸命に戦う僕の姿を見ることができるだろう」と、以前の自分とは違うと語る。
「ハングリー」であることについて、ペトロシアンはこう返す。
「最も重要なことは謙虚さであり、多くの人は持っていない。自分はそれを誇りに思っている。なぜなら、私は全てを勝ち獲ったけど、それでもアルメニアから家族で移住し、シェルターで暮らしハングリーだった16歳の小さな男の子だった時の自分がいる。自分がここまで成し遂げるためには、前を見るだけじゃなくて過去を忘れないようにすることが大事だったんだ。決して過去を忘れないことがね」
常に過去を忘れず“今を懸命に生きる”ことに集中している。
「第一目標は、2月26日の試合に勝つこと。そうしたらもちろん、世界タイトルマッチ(現在空位)のチャンスを得たいと思っている。それは、リングこそが証明する場所だ。だから相手のコメントには答えない。リングで拳で話そう」──ペトロシアンの準備は出来ている。