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【LEGEND】元K-1王者・武居由樹が元世界王者の木村翔を相手に可能性を見せつける、畑山隆則・竹原慎二も絶賛、井上尚弥は比嘉大吾と白熱のスパーリング、内山高志も奮闘

2021/02/11 17:02
LEGEND 実行委員会チャリティーボクシングイベント「LEGEND」2021年2月11日(木・祝) 東京・国立代々木競技場第一体育館写真提供=LEGEND 実行委員会ABEMAにて配信 ▼第7試合 3分3R エキシビション(勝敗なし)井上尚弥(大橋ジム/WBAスーパー・IBF世界バンタム級王者)勝敗なし比嘉大吾(Ambition GYM/WBOアジアパシフィック バンタム級王者、元WBC世界フライ級王者) “モンスター”井上の相手を務める比嘉は、2017年5月にWBC世界フライ級王座に就いたが、3度目の防衛戦で体重超過のため王座ははく奪。JBCからのライセンス無期停止処分を受けた。処分は2019年10月に解除され、2020年2月に復帰。復帰後は2勝1分となっている。 「お客さんはぬるいスパーリングなんか見たくないと思うのでガチで行きます」と宣言した井上に、比嘉も「試合だと思っているのでいつも通りに倒しに行きます」と宣言。  両者ヘッドギアを着用。1R、低めに構えて前へ出る比嘉。ジャブから右ストレートにつなげる比嘉に、井上はアッパーを突き上げて右ストレート。ロープを背にした井上は比嘉のパンチをブロックして右アッパーを突き上げて左ボディ。井上はノーガードでジャブを次から次へと当て、右の強打。ロープを背負って比嘉の攻撃を誘う余裕もある。  2R、比嘉は左フックを2発、ロープを背負った井上は右ショートアッパーを連打し、身体を入れ替えると右ストレート。軽快なステップを踏んでジャブを突き刺し、顔を前に突き出して挑発。顔面、ボディとフックを打ち分ける。比嘉はそれでも前に出て右アッパー。すぐに井上が左ボディ、そして右ストレートで比嘉が下がらされる。  3R前に両者ともヘッドギアを外す。ジャブを打つ井上とそれを?い潜って入ろうとする比嘉。頭を下げて比嘉が入ろうとすると井上は左アッパー。比嘉がロープに詰めても井上は強い右で下がらせる。井上が右ストレート、左フック、ガードを固めて比嘉に打たせると右アッパーを突き上げる。そして比嘉のパンチをボディワークでかわす。ほぼノーガードで比嘉のパンチをかわし、右アッパーを何度も突き上げる井上。比嘉は必死の形相でフックを繰り出すが、井上はほぼ当てさせない。  解説の畑山隆則は思わず「これはもう試合と一緒だね」と言うほどのエキシビション。終えた比嘉は「コロナ禍の中、集まってくれてありがとうございます。疲れました」と悔しそうにも見える表情。  井上は「コロナ禍の中、会場にお越しいただきありがとうございました。このイベントが決まって相手がなかなか決まらない中、スパーリングを受けてくれた比嘉選手ありがとうございました。これはあくまでもスパーリングなので、また普段見せない動きやサウスポーに構えてとかいろいろやりましたが、決して手を抜いたわけじゃありません。ガチでやらせていただきました」と語った。 [nextpage] ▼第6試合 3分3R エキシビション(勝敗なし)内山高志(元WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者)勝敗なし坂 晃典(仲里ジム/現・日本スーパーフェザー級王者) “KOダイナマイト”の異名をとった内山が41歳で一夜限りの復活。対する坂は現役の日本スーパーフェザー級王者で、20日前にはTKO勝ちで初防衛にも成功している。  坂はヘッドギアを着用。1R、序盤はジャブ。内山が機を見て右ストレートを繰り出す。そしてワンツーから左ボディ。坂も右ストレートを顔面とボディへ。内山は強烈な左ボディを入れ、ジャブで坂を突き放す。  2R、坂はロープを背にした内山へボディ連打からの右ストレート。内山がカウンターで見事な右フックを決める。奇麗なワンツーも。しかし終盤、坂も負けじと左右フックの連打から右ストレートを入れた。  3R、坂はヘッドギアを外して臨む。ロープを背にして坂のパンチをかわす内山。内山の右カウンターに坂も右を返してパンチが交錯する。同時に放った右は坂の拳が内山の顔面を捉える。内山は疲れが見えるが右ストレートの強打。坂もワンツーで襲い掛かる。内山も意地の右を当てる。最後は内山が前に出て攻めて見せた。  内山は「引退して4年経って酒を2日以上抜いたのは今回が初です。2月1日から10日間やめました。身体は20日間かけて作りました。最初は1R3分もたなかったです。負ける気満々でした(笑)。倒されなければいいなと思っていたんですが、練習しているうちにいい試合がしたい、勝ちたいなって感覚になってきました」と振り返った。  坂は「レジェンド内山選手、自分が高校3年生から大学までアマチュアをやっていた頃に世界王者になられて、ずっと防衛戦を楽しみに見ていました。そんな選手とエキシビションでも戦わせてもらえるということで楽しみにして、嬉しすぎてやってきました」と、かつて憧れていた選手と拳を交えたことを喜んだ。  そして内山は「コロナ禍でボクサーたちもなかなか試合ができない状態ですが、こうして開催できれば選手も嬉しいし、お客さんも喜ぶと思うのでコロナに最上級に注意して会場へ来てほしいと思います」と、全国のボクシングファンへメッセージを送った。 [nextpage] ▼第5試合 3分3R エキシビション(勝敗なし)岡澤セオン(鹿児島県体協/東京五輪内定/2018・2019全日本ウェルター級2連覇)勝敗なし佐々木尽(八王子中屋ジム/日本ユース スーパーライト級王者)  佐々木は10戦10勝9KOの戦績を持つ高校生のスーパーホープ。岡澤は東京五輪でメダルが期待されるトップアマ。  両者ヘッドギア無し。1R、佐々木のジャブにサウスポーの岡澤はノーガードになってステップでかわす。ジャブ、右ボディを打ち、佐々木のパンチをかわす岡澤。前に出る佐々木も右フックを当てると手を上げて“当たったぞ”とアピール。  2R、強引なまでに前へ出て右フックを繰り出す佐々木に、岡澤はかわしてのワンツー。佐々木は打ってこいと誘って両腕ブロックを固め、岡澤のワンツー連打を受けて見せる。岡澤は佐々木の突進をかわすと右フックをヒット。佐々木の右ストレートにジャブで応戦する岡澤。  3R、佐々木はおどけるような仕草で前へ出て左フック。岡澤はジャブを突いて左フックのカウンターを見せる。佐々木が上体を激しく振って前へ出ると、岡澤は両手を背中で組んでのノーガードで挑発。残り45秒で佐々木がノーガードで顔を打たせる。そして最後は打ち合いを見せて盛り上げた。  佐々木は「お客さんにちょっとでも盛り上がってもらえるように。めっちゃ強かったです」と岡澤を称え、岡澤は「19歳、自分の6個下なんてありえないですね。でも僕もアマチュアに誇りを持っているので、どんなプロが来ても絶対に負けないです。4月からスポンサーさんが付いて活動していきます。これってプロですよね。プロのアマチュアボクサーになります。いろいろな人を楽しませるアマチュアボクシングがしたいのでこれからもよろしくお願いします。最高の選手が東京五輪に出ます。最高のボクシングを見せます」とアマチュアボクシングをアピール。佐々木も「最終目標は世界チャンピオンです」とアピールした。 ▼第4試合 3分3R エキシビション(勝敗なし)秋山佑汰(自衛隊/2015年台北市カップ60kg級金メダル)勝敗なし平岡アンディ(大橋ジム/IBF世界スーパーライト級12位、元日本スーパーライト級ユース王者)※成松欠場  当初は成松が平岡と拳を交えるはずだったが成松が欠場。急遽、秋山が当日朝に代打出場することに。2Rから平岡がピッチを上げていき、3Rにはパワーのあるパンチを見せた。 ▼第3試合 3分3R エキシビション(勝敗なし)井上岳志(ワールドスポーツジム/WBOアジアパシフィック・スーパーウェルター級王者)勝敗なし森脇唯人(自衛隊/東京五輪内定/2017年から全日本ミドル級3連覇)  判定で屈した世界戦以外負けなしの井上が、トップアマである高校・大学の後輩の森脇と拳を交える。  両者ヘッドギア無し。1Rに偶発的なバッティングで井上が流血。重量級の迫力あるスパーリングで盛り上げた。 [nextpage] ▼第2試合 3分3R エキシビション(勝敗なし)京口絋人(ワタナベジム/2階級制覇王者、現WBA世界ライトフライ級スーパー王者)勝敗なし八重樫東(大橋ジム/元3階級制覇王者)  無敗の世界2階級制覇王者の京口が、元世界3階級制覇王者の八重樫と拳を交える。八重樫は2019年12月23日にIBF世界フライ級タイトルマッチを戦った最後の試合以来のリングとなる。  両者ともヘッドギアを着用。1R、右フックから左ボディで前へ出るのは京口。八重樫はブロックを固めてジャブ、左アッパーを突き上げる。左右ボディを叩く京口に八重樫は左右フック。八重樫は身体を沈めて京口のパンチをかわし、左右フックを返す。  2R、スピードと手数を上げる京口。八重樫が左右ボディを叩くと京口も同じ技を返す。ジャブを出す八重樫に京口は左ボディを返すが、両者とも3Rの備えてか後半は温存。  3R、ショートの距離でフック、アッパー、ボディを打ち合う両者。お互いに下がらずパンチを繰り出す。ボディの打ち合い、八重樫は左右フック、すかさず京口は左ボディを突き刺す。京口のショートの連打が八重樫の顔面を捉えるが八重樫は下がらない。両者が足を止めて打ち合いを挑む。八重樫が左フックをヒットさせると、京口も右ストレートを返す。最後まで打ち合って終了した。  八重樫は「疲れました。大先輩の3人の世界チャンピオンの方(解説の竹原慎二、畑山隆則、渡嘉敷勝男)の文句なのか激励なのかのおかげで戦えました。ありがとうございました」と笑う。  京口は「コロナ禍の中、駆けつけてくれたファンの皆さん、視聴してくれたファンの皆さん、ありがとうございました。めちゃくちゃいい刺激をいただきました。ありがとうございました。今回のイベントは僕の中で大事な1日で、アメリカでの防衛戦の前の大事な1日かもしれませんが、餞別という形で大先輩が胸を貸してくれたので感謝の気持ちしかないです」と、八重樫に気合いを入れてもらったと語った。 [nextpage] ▼第1試合 3分3R エキシビション(勝敗なし)木村 翔(花形ジム/元WBO世界フライ級王者)勝敗なし武居由樹(大橋ジム/元K-1 WORLD GPスーパー・バンタム級王者)※2021年3月11日プロボクシングデビュー  元K-1 WORLD GPスーパー・バンタム級王者の武居が、3月11日のプロデビュー戦を前にエキシビションマッチに臨む。「ただのデビュー戦前の6回戦ボクサーじゃないぞってところを見せたい。暴れたいと思います」と意気込んでいる。対するは世界2階級制覇を目指している元WBO世界フライ級王者の木村。  両者ともヘッドギアは着用せず。1R、前に圧力をかけてくる木村にジャブ、右フックを放つサウスポーの武居。木村の左フックに武居も右フックを返す。武居の右フックには木村がワンツーのお返し。ジャブからの左ボディを多用する武居は右フックを強打するが、木村もすぐに右ストレートで武居を下がらせる。飛び込んでの左フックを繰り出した武居に、解説の竹原慎二は「思ったよりも上手い」、畑山隆則は「判定があるなら1Rは武居選手」とコメントした。  2Rも前に出るのは木村。思い切り右フックを振り抜く。武居は左右のボディとワンツー。右フックと左ボディもヒットさせる武居はジャブを突き、木村の左フックはかわす。畑山は「(武居は)目がいい。センスを感じさせる」とコメント。  3Rも前に出る木村に武居はジャブを突き、木村が放つ右ストレート、左フックはかわす。竹原は「いい選手とは聞いていたが、ここまでいいとは思わなかった」畑山は「デビュー戦でも日本チャンピオンに勝てるんじゃないか」と武居を絶賛する。お互いに右を出し合うと、武居が前に出て木村のパンチをブロックしながら左ストレート、左ボディを打つ。  3Rを終えると、竹原は「驚きました。武居選手の完成度の高さに。将来有望ですよ」と評した。  武居は「K-1から来ました大橋ジムの武居です。今日はコロナの中ご来場いただきありがとうございました。みんなにいい力を渡せたと思っています。3月11日にデビューするので、もしよろしければ応援してください」と挨拶。  木村は「武居選手強かったです。さすがK-1王者だなと思いました。ナメていたわけじゃないけれどセンスがあるなと思いました。階級は違うけれどパンチもあるし、これからボクシング界を盛り上げてくれる選手だなと思いましたね」と、拳を交えた感想。  解説の渡嘉敷勝男は「狙っているのは世界でしょうから相当練習しているでしょう。いい先輩がいるから必ず世界王者になってくださいね」と武居にエールを送った。
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