2021年2月28日(日)東京・後楽園ホール『REBELS~The FINAL』で、MuayThaiOpenスーパーフライ級王者・白幡裕星(橋本道場)の挑戦を受けて3度目の防衛戦に臨むREBELS-REDスーパーフライ級王者・老沼隆斗(STRUGGLE)のインタビューが主催者を通じて届いた。
老沼は空手仕込みの多彩な蹴り技で2018年6月に総当たりリーグ戦で優勝して王座に就き、REBELS軽量級のエースとして君臨。これまで2度の王座防衛に成功している。9月の『KNOCK OUT』ではNJKFバンタム級2位・清志を上段後ろ回し蹴りでKO、12月のREBELSでは延長戦の末に心直から勝利をもぎ取った。戦績は16勝(6KO)3敗1分。
挑戦者の白幡とは2020年2月29日にノンタイトル戦で対戦しており、延長戦へもつれ込む接戦の末に老沼が判定勝ち。約1年ぶりの再戦となった。
唯一無二の『老沼スタイル』を築きたい
──まずは白幡選手との前回の戦いについてお聞きしたいと思います。今改めて振り返ると、どういう試合でしたか?
「自分のいいところを出すよりも、相手のいいところを引き出しちゃったというか。自分のいいところをあまり出せなかったというのはありますね」
(写真)2020年2月の白幡(右)との初対決──相手のペースになってしまったため?
「そうですね。1Rのバッティングで出血して左目が全然見えなくなって、慌ててしまって。それで空回りしたところをうまく攻められたなと思います」
──思うように進まなかった時の立て直しは課題だったりしますか?
「はい、うまくいかないのに、意地になってその技を当てようとしてしまったり。『絶対当てる!』って感じでそこにしか向かなくなっちゃって、頭が回らない時は全然自分の動きができなくなっちゃうので。そういう試合が何試合かありますね」
──ただ、前回の白幡戦ではそんな中でも最終的に勝利できました。その理由とは?
「そこは、『負けたらダメだ』という気持ちの面で勝ったかなと。技もそうですけど、一番は自分の気持ちだと思います」
──負けられないという気持ちは、チャンピオンだからというのも大きい?
「そこは全然意識していません。チャンピオンだからというより、勝ちにこだわっていて負けたくないという気持ちが強いだけですね。ベルトは持たせてもらっていますが、意識しすぎると守りに入ってしまうので、そこは全然気にしないでやっています」
──その試合も踏まえて、白幡選手とタイトルを懸けての再戦になります。今回はどういう試合にしたいですか?
「毎試合そうなんですけど、自分らしい試合にしたいですね。蹴りの選手と思われがちなんですけど、蹴りだけじゃなくて全部できるので。練習でも、パンチとか組みも含めて全部できるんですよ。試合になると蹴りに頼っちゃうところがあるので、全部をいい形で出せたらいいなと思ってますね。蹴りで倒す、蹴りで魅せるということも意識はしてるんですけど、蹴りだけじゃなくてほかの技も見せたいなと思ってます」
──蹴りでいい勝ち方をしてしまうから、余計にイメージがついているのでは?
「蹴りで勝ってる時でも、意識しすぎてない時の方がいい勝ち方ができてるんですよ。意識しすぎると動きが固まってしまうので」
──では、そうするために一番カギになるのは?
「この前、会長と話した時に、試合までに持っていくメンタルの部分でいいアドバイスをいただいたんですよ。詳しくは言えないんですけど(笑)、それを生かせば今までうまくいかなかったこともうまくいって、いい動きができるんじゃないかなと思ってます」
──このところ、『REBELS』と『KNOCK OUT』の“顔”争いというテーマが活発になっていると思うんですが、老沼選手はチャンピオンの一人として意識していますか?
「僕自身は“顔”になるとか引っ張るとかいうことは特に意識していなくて、『唯一無二』の存在になりたいと思ってます。イベントの“顔”として他の選手と競うというよりは、『老沼隆斗という選手』の価値を上げることの方を目指していきたいというか」
──それはそれで大きなテーマですね。そうやって価値を上げていった先の理想像はどういうものですか?
「僕のスタイルは空手をバックボーンにしてムエタイをミックスしたもので、さらにステップを使ったりもしてるんですけど、『唯一無二』という点では、『老沼スタイル』と呼ばれるようになるのが理想ですね。他の選手が僕のような動きをした時に『老沼スタイルっぽいね』と言われるような、そういうスタイルを確立したいと思ってます。キックボクシングとか空手とかムエタイというのと別で、『老沼スタイル』があるという、そういうところでの『唯一無二』ですね。戦い方が既存の枠にはまらないというか、そういう形になれればいいなと」
(写真)スイーツ大好き格闘家でもある──現状では、その理想像にどれぐらい近づけていると思いますか?
「15%ぐらいですかね。まだまだです(笑)。まだまだ、全然ダメダメなので。今度の試合でも、自分が追い求めているものに近づけたらと思います」
──また今回は『REBELS』のファイナルとなる大会でもあります。『REBELS』を主戦場として、チャンピオンにもなっている一人として、どんな思いがありますか?
「このイベントで初めてチャンピオンベルトを巻いたので、やっぱり淋しさはありますね。でもこれからは『KNOCK OUT』一本になってさらに成長していくと思うので、『あの『REBELS』最後の興行は神がかってたね』と言われるような興行になって、僕も出場選手の一人として貢献できたらいいなと思ってます」
──本当は「貢献」どころではないのでは?
「本心では、その興行の中でも一番になりたいです(笑)。『特に老沼がすごかったね』みたいな。『REBELS』のファイナルという大会でこのタイトルマッチが組まれたのは、何か意味があると思うので、そこにふさわしい試合をしたいです。これだけ意味のある場でのタイトルマッチで、自分らしい試合をして勝ちます!」