2021年2月28日(日)東京・後楽園ホール『REBELS~The FINAL』にて、S-cup2018世界王者・海人(TEAM F.O.D)の挑戦を受け、REBELS-BLACKスーパーウェルター級タイトルマッチ3分3R延長1Rで対戦する王者・日菜太(クロスポイント吉祥寺)のインタビューが主催者を通じて届いた。
日菜太は2005年6月にRISEでプロデビューし、満15周年を迎えた大ベテラン選手。2008年7月に初代RISEミドル級王座、2013年4月にREBELS初代王座を獲得。K-1 WORLD MAXや新生K-1 WORLD GPにも出場し、アンディ・サワー、ジョルジオ・ペトロシアン、アンディ・リスティー、アルバート・クラウスら世界トップクラスと拳を交えてきた。2020年9月には田村聖を初回KOに破り、現在3連勝中で戦績は51勝(17KO)19敗。
この試合に勝った方がコロナ明けに世界の強豪とやらせてもらえる査定試合
──日菜太選手は、『REBELS』初参戦からちょうど10年になるんですね。
「そうみたいですね。新宿FACE昼夜興行の、昼のメインだったと思います」
──ですね。2011年1月23日、『REBELS-EX ~HINATA's wave~』という大会名でした。
「まだK-1 MAXに参戦していた頃で、試合がしたくて組んでもらったと思います。韓国人選手と試合して、ハイキックでKOしてますよね」
──はい。チェ・ウヨン選手に3R、左ハイでKO勝利です。
「懐かしいな(笑)。思わずそう思ってしまうぐらい古い試合ですね。ちょうどその年(7月)に『REBELS.8 & IT’S SHOWTIME JAPAN』でジョルジオ・ペトロシアンとやって、その後にクロスポイント吉祥寺に移籍したんですよね。K-1 MAXも終わり始めてる頃で、『日菜太君、どうする?』みたいな時期だったんですよ。だから少しでも強い相手とやれる舞台がいいということで、IT’S SHOWTIME JAPANに出たと思います」
(写真)ジョルジオ・ペトロシアンと対戦──それまではRISEやJ-NETWORK、それからK-1 MAXなどで戦ってきましたが、以後は『REBELS』がホームという意識になりましたか?
「移籍したクロスポイントの山口代表が主催するイベントだったので、必然的に出続けることになりましたよね。だから『REBELS』に出てた選手って数多くいると思うんですけど、最初の方から今まで出てる選手って、もうかなり少ないですよね」
──はい。炎出丸選手、T-98選手など、数えるほどです。日菜太選手自身、やはりREBELSを背負う気持ちというのは強くなっていきましたか?
「そうですね。REBELSのリングでアンディ・サワーとの再戦もやらせてもらいましたし(2015年9月、『REBELS.38』)、いろんな大会に出させてもらいました。もともと山口代表がムエタイ志向で始めた大会だと思うんですけど、僕は『ムエタイはやらない』ということはずっと言っていたので、ヒジなしの部分では僕がずっとメインカードをやってきたという自負はあります」
(写真)シュートボクシングのリングで敗れたアンディ・サワーにREBELSのリングでリベンジした──自分の道を貫いてきたと。
「周りからは『REBELSはムエタイのイベントなんだからムエタイやれよ』とか『ラジャダムナンのベルトを目指すべき』とか言われることもあったんですけど、『僕はそういうつもりでキックボクシングを始めたわけじゃないです』って、昔言った気がしなくもないです(笑)。そもそもヒジありの試合自体、デビュー当初のJ-NETWORKとタイでの試合、合計数試合しかしてないですからね」
──2017年からは新生K-1に上がるようになりましたが、その時も最初は「REBELSの代表」としての言葉が多かった記憶があります。
「あの時は、僕が動いたことによって他の団体からもいい選手が集まって、一番K-1に人が集まった感じがしたんですよ。REBELSが『K-1で頑張ってこい』って気持ちよく言ってくれたので、REBELSの代表として戦っていこうという気持ちで挑戦しました。結局、チンギス・アラゾフには勝てなくて目標としていたベルトは獲れなかったですけど。その後も参戦していこうという気持ちはあったんですけど、『次からは67.5kgで』という雰囲気が出てきたこともあって、復帰戦はREBELSを選びました」
──その中で、今回防衛戦を行うREBELS-BLACKスーパーウェルター級王座は2013年に獲得して(当時は「REBELS 70kg級王座」と呼称)、8年間保持しています。このベルトへの思いはどんなものがありますか?
「今まで3回防衛して、今回は2年ぶりの防衛戦なんですよね。コンスタントに守ってきたというわけじゃないですけど、その分、自分にとっての敵がいなかったことでもあると思うので。今でも70kgの日本人では自分が一番強いと思ってるし、今度戦う海人選手は今の若手では一番強い選手なので、しっかりと勝って、日本人最強をもう一度証明したいですね」
──海人選手も「日菜太選手に勝てば日本人最強を名乗れる」と言っています。まさにそういう戦いですね。
「僕も気づいたらいい年になっちゃっているので、もう一度だけアラゾフみたいなヤツらと戦いたいんですよ。だからあと1年ぐらいは、海人選手には悔しい思いをしてもらって、僕の後に行ってもらいたいと思いますね(笑)。ホントに、この試合に勝った方がコロナ明けに世界の強豪とやらせてもらえる査定試合だと思っているので、ここはしっかり、落とさないようにしたいなと思います」
──そしてこの試合が行われるのは、『REBELS』がいったん封印されるという大会でもあります。
「そこはステップアップだと捉えてます。宮田プロデューサーが就任して、しっかりブランディングしていくために『KNOCK OUT』というブランド一本でやろうという話じゃないですか。だからイベントとしても挑戦の1年になると思うので、僕がずっと戦ってきた『REBELS』のいい幕引きにしたいなと思ってます。僕はあと10年はできないですし、今回と3月の『KNOCK OUT~The REBORN~』に出る若い選手たちには、これからの10年を担っていくような選手たちがいっぱいいるじゃないですか」──このところ、安本晴翔選手や龍聖選手を中心に、「『REBELS』の“顔”」争いが明確になってきています。「『REBELS』の“顔”は俺だ」という意識というのはありますか?
「いや、そこは……昔からずっと思ってるのは、僕ぐらいの選手、1人出れば300人400人お客さんを呼べるみたいな選手が、団体に5~6人いた方が面白いんじゃないかと思っていて。その中でステップアップしていった方が、いい興行を回せると思ってるんですよね。正直、ここまで『REBELS』でやってきて、僕ぐらいまで来た選手って他にいないと思うんですよ。だから飛び抜けた存在になる若手がもっと出てきて、5試合ぐらいで後楽園ホールを満員にできたら、大きい大会もすぐできるじゃないですか。そうなってほしいなって思ってます。(電話の向こうから赤ちゃんの声)」
──お子さんの声がしますね。
「はい(笑)。ウチの赤ちゃんが今回は見に来られなくて、見に来れらるぐらいの歳になるまでは負けられないので。会場に来てくれて、『見に行ったよ』っていう記憶がちょっとでも残ってくれたら、『お父さんの仕事はこういう仕事だったんだ』と思ってくれると思うので。そこまでは負けられないなと思います。ここまでずっと、11年ぐらいは日本人選手に負けてないし、ずっといい試合をしてきたと思ってるので。僕は昔、佐藤嘉洋さんや魔裟斗さんとやりたかったですけど、やれなかったですからね。でもだからこそ、僕は若い選手とやらなきゃいけないなと思ってますし、まだまだ彼らに勝っていかなきゃいけないと思ってます」
──分かりました。熱戦を期待しています!