ジャパンキックボクシング協会「CHALLENGER 1」2021年1月10日(日)東京・後楽園ホール
▼第7試合 メインイベント WMOインターナショナル・スーパーバンタム級王座決定戦 3分5R○馬渡亮太(治政館/元チェンマイスタジアム認定バンタム級王者、前ジャパンキック バンタム級王者)判定3-0 ※49-48×2、49-47×クン・ナムイサン・ショウブカイ(タイ/MAX MUAYTHAI 55kg王者)
馬渡は長身から繰り出すしなやかなミドルキック、切るだけでなく倒すヒジ、首相撲からヒザと、ジャパンキック屈指のテクニックを有する。昨年5月12日のプレ興行でチェンマイスタジアム王座の初防衛戦、8月4日の旗揚げ戦でジャパンキックバンタム級初代王座に就くも、さらなる高みを目指すべく、両王座を返上。8月のジャパンキックではダウサコンと引き分けたが、10月の『NO KICK NO LIFE』では福田海斗に敗れている。
1R、上背で優る馬渡は前蹴りと右ローで距離をとっての戦い。クンは圧力をかけつつ左フック、ジャブ&右ロー。馬渡は終盤組みに行くがクンはヒジを放つ。
2R、蹴りの威力を強めた馬渡が左ミドル、左ロー。組みにいくクンは明らかに首相撲からのヒジを狙う。馬渡も前へ出てくるクンに左ヒジを打ち、組むとヒザ蹴りを突き上げる。
3R、クンの左フックをブロックしてヒザを蹴る馬渡は、前に出てくるクンに左ヒジを叩きつけてヒザ蹴りを突き上げる。馬渡のヒザで苦しくなったか口が開き始めるクン。首相撲でも馬渡がいい組み方でイニシアチブを握る。
4R、馬渡の右ミドル、右ロー、組んでくるクンにヒザ蹴りと先手を取る。クンは右のパンチで前へ出るが、馬渡のテンカオ、首相撲からのヒザをもらい続ける結果に。
5R、うなり声をあげて左右フックで前へ出るクンに馬渡は左ミドルとヒザ蹴りで応戦。クンの右フックが馬渡を捉えるが、すぐに首相撲に捕まえる。クンは投げを見舞う。馬渡は前蹴りで突き放す。残り1分30秒、馬渡は流しモードとなって負けを認めたクンもこれに応じる。
本場タイのムエタイでは“もう逆転は無理”と勝敗が決した場合、両選手がリング上を旋回して残り時間を流すという光景は多く見られる。しかし、後楽園ホールには微妙な空気が流れ、一部からはヤジも飛んだ。残り15秒でもう一度左右フックを思い切り叩き込むクンだが、馬渡のブロックは崩せず。
判定3-0で馬渡が勝利、水色のWMOインターナショナル王座のベルトを巻いた。馬渡はマイクを持つと「もっと強くなって、次このリングに帰ってこれる時は倒せる選手になって帰ってきます」と語った。
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▼第6試合 セミファイナル ジャパンキックvsNJKF交流戦 ウェルター級 3分3R○モトヤスック(治政館/ジャパンキック ウェルター級王者)TKO 2R 2分36秒 ※右フック→レフェリーストップ×野津良太(NJKF/E.S.G/NJKFウェルター級2位)
モトヤスックは高校を卒業して大学生になったばかりで、2020年1月大会で同門の政斗と初代王座決定戦を争い王座に就いた。王者としての第一戦となった8月大会ではジャクチャイに判定負けを喫している。今回が再起戦。
野津は2019年6月にNJKFライト級タイトルに挑戦したが結果はドローとなり、王座まであと一歩まで迫った選手。今年9月には新日本キックで高橋亨汰にTKO負けを喫しており、こちらも再起戦。
1R、ワンツーと左縦ヒジで開始から前へ出る野津にモトヤスックも右を打ち返す。野津が右ローとヒジで前へ出るとモトヤスックも重い右ミドルで快音を響かせる。モトヤスックはローを丁寧にスネブロック。
2R、モトヤスックは首相撲でもパワフルなところを見せ、ヒジも打つ。野津はジャブから前へ出て左フック、右前蹴り。両者正面に立ったところでモトヤスックの右ストレートがクリーンヒット。ロープを背負った野津へモトヤスックが右を連打し、倒れ掛かった野津にも右を打ち込んで野津はガードもできず打たれ続ける。そこでレフェリーがストップし、モトヤスックの圧巻TKO勝ちとなった。 全大会終了後には、今大会プロデューサーの武田幸三より、大会MVPの武田幸三賞がモトヤスックに贈られた。
▼第5試合 セミファイナル ジャパンキックバンタム級 3分3R△石川直樹(治政館/ジャパンキック フライ級王者・前スックワンキントーン スーパーフライ級王者)ドロー 判定0-0 ※29-29×3△ジョムラウィー・Breve muaythai gym(タイ/Breve muaythai gym/元TV9chバンタム級王者)
石川はジャパンキック・フライ級王者で、5月のプレ旗揚げ戦、8月の旗揚げ戦ともにメインを務めた同団体のエース。2020年8月大会ではHIROYUKIに挑むもKO負け。首相撲からのヒザ蹴り・ヒジ打ちを得意とする。 当初は幸太(ビクトリー)との対戦が決まっていたが、ジョムラウィーに変更。ジョムラウィーは元タイ国9ch&パタヤスタジアム認定バンタム級王者の肩書を持ち、11月22日の『ジャパンキック』で瀧澤博人に判定負け、12月の『BOM』では朝陽・P.K.SaenchaiMuayThaiGymにダウンを奪われて判定負けしている(いずれもフェザー級での試合)。
1R、ジョムラウィーはタイミングのいい前蹴りで石川を何度も下がらせ、石川は右ローを蹴る。両者とも慎重な立ち上がりとなった。
2R、石川はジョムラウィーの右ミドルをキャッチしてのパンチを多用。ジョムラウィーは圧力をかけるがなかなか入り込めない。ローの蹴り合いが続く。
3R、ジョムラウィーは右ローと右ヒジ、石川は得意の首相撲に持ち込もうとするが、ジョムラウィーはなかなか組ませない。ならばと石川はパンチを連打して前へ出ると、右ストレートを2度クリーンヒットさせ、ボディにも打ち込む。下がるジョムラウィーを右ストレート、ワンツーで追う石川。
判定は両者痛み分けのドローとなった。
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▼第4試合 70kg契約 3分3R×光成(ROCK ON/ジャパンキック ミドル級1位)判定 ※29-30、28-30×2○政斗(治政館/ジャパンキック ウェルター級1位)
1R、右ローと右ストレートでアグレッシブに攻めるのは政斗。光成はジャブ、飛び込んでの左ストレートを繰り出すが手数は少なめ。
2R、右ストレートからの連打で果敢にアタックする政斗だが、上背で優る光成の顔面を捉えることがなかなかできない。光成は右ロー、ミドルを蹴るがやはり攻撃は少ない。
3Rもストレートの連打で前へ出るのは政斗。光成は右ミドルを蹴り、首相撲に捕まえるとヒザ蹴り。前蹴りで突き放す。残り40秒で打ち合いになり、政斗が右ヒジを多用してカットする。血は少なく試合は続行され、攻めの姿勢を見せた政斗が判定勝ちを飾った。
▼第3試合 バンタム級 3分3R×義由亜JSK(治政館)判定0-3 ※27-29、28-29、28-30○景悟(LEGEND)
手足の長い義由亜は射程距離の長いミドルと左右ストレート、景悟は返しのローとミドルをキャッチしてのパンチ。お互いに左フックをヒットさせた。2Rはジャブを多用して接近するとヒジを打つ義由亜。3Rも左ミドルで距離をとる戦いで優位に進めていた義由亜だったが、残り50秒を切ったところで景悟が鋭い右フックでダウンを奪う。最後も右フックでダウン気味に膝を着かせ、景悟が判定勝ちした。
▼第2試合 フライ級 3分3R×空明(治政館)TKO 2R 2分50秒 ※レフェリーストップ○吏亜夢(NJKF/ZERO)
サウスポー同士。足を止めての打ち合いから組んでのヒザとの展開が繰り返される。2R開始と同時に打ち合いに行った吏亜夢がジャンプしての左ハイキックでダウンを奪う。2Rは左ストレートを当てに行った空明だが、スタミナの消耗が激しく吏亜夢のラッシュに倒れ、レフェリーがストップした。▼第1試合 55kg契約 3分3R○樹(治政館)TKO 1R 2分00秒 ※レフェリーストップ×猪野晃生(ZEEK)
開始早々、樹のヒザ蹴りがローブローとなり中断。再開後、樹が右カーフキックでダメージを与え、右ストレートでダウンを奪う。立ち上がった狩野だがカーフキックのダメージは深そうで最後は右ヒジでマットに沈んだところでレフェリーストップ。
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【ジャパンキック】レイザーラモンHGがリングアナで久しぶりの“正装”も、武田幸三のタイキックに撃沈
2021年1月10日(日)東京・後楽園ホールにて開催されたジャパンキックボクシング協会『CHALLENGER 1』で、ハードゲイキャラと“フォー!”で一世を風靡した芸人レイザーラモンHGがリングアナウンサーを務めた。
選手入場式にて各選手をコールして呼び出したHG。今大会プロデューサーである、かつてK-1 WORLD MAXで活躍した武田幸三が「CHALLENGERはこの状況の中、太平洋の荒波を行くがごとく厳しい船出になりましたが、必ず日本一の戦いが繰り広げられる場所にします」と挨拶した後、選手と共にリングを去ろうとすると「セイセイセイ!」と武田を呼び止める。
「何の説明もなしに呼び出しだけやって終わりっておかしいでしょう」と、紹介すらされなかったHGが不満をぶちまけると、武田は「今日はおふざけはなし。お前スーツでやれって言ったよな。なんでこの恰好になっているの?」と、話と違うじゃないかと詰め寄る。
するとHGは「オープニングの時はスーツでやったけれど、誰にも気付かれなかった」と、実は素顔にスーツ姿でオープニングのリングアナもしていたと明かす。
HGは「新春だから、棚から引っ張り出して久々に着たんですよ」と、この大会のために久しぶりにHGのコスチュームを引っ張り出してきたといい、「一緒にやってもらっていいですか? 縁起物だから。この1年縁起がいいように、チャレンジャーの発展を祈念して“フォー!”にしましょう」と、武田と往年の持ちネタである“フォー!”を披露した。
ノリノリで応えた武田だったが、「俺にこんなことをさせて。ちょっとここに立て」とHGを中腰にさせると、「タイ・キック」と“超合筋ローキック”と呼ばれた蹴りでケツキックをお見舞い。HGはダウンし、痛さに悶絶した。