RIZIN大晦日で五輪銀メダリストのレスラー太田と対戦する所(左)が、前田からのアドバイスを受けた (C)前田日明
2020年12月31日(木)さいたまスーパーアリーナ『Yogibo presents RIZIN.26』にて、2016年リオ五輪レスリング男子グレコローマン59kg級銀メダリスト・太田忍(フリー)と対戦する所英男(リバーサルジム所プラス)が、前田日明と対談した。
RIZINには3年5カ月ぶりの出場、MMAもそれ以来となる所。2017年7月の堀口恭司戦は、「チャレンジしてよかったなと今でも感じます。ただ結果や内容が何も残せなかった悔しさはありますが、チャレンジしたのはよかったなと思っています」と振り返る。
なぜその後、RIZINに出場しなかったのかと聞かれると「オファーは頂いたんですけれど、自分がやりたいこととRIZINが求めることとの差があった。自分のタイミングが合わず3年経った、と。いま現役バリバリの選手たちと、またそこでしのぎを削ってというのは考えられなくなったのもあります」との苦悩があったと打ち明けた。
対談前に所の練習を見た前田は「HERO'Sの頃と比べると基礎体力は落ちたね。でも遊んでやっているわけではないので、それなりの成長は見えた」と、若い頃と比べると体力は衰えているものの、その分成長したところもあるという感想。
今回対戦する太田については「オリンピックで銀メダル獲って、そこでまた総合格闘技の道へ来て凄いチャレンジ精神だなと思いますし、続けていけば間違いなく日本のトップになる方で、格闘技を引っ張って行くような選手になって欲しいなって素直な気持ちがありました」とべた褒めするが、「もちろん勝つっす。勝ちます」と勝利は譲らないとする。
前田は「オリンピックレスリングから来ると一個は大きな壁があって。宮田(和幸)君もぶつかった壁なんだけれど、ペース配分でスタミナを失っちゃうというのがあるんですよね。2R目になるとバテバテになってしまう。所はボクシングを習っているんだからさ、フォローして2、3発放り込んで上手く倒していけば負ける相手じゃないと思うんだよね。自分がポカやらなければ。いつも自滅するんだよ、お前」と、所は“自滅癖”があると指摘。
所が「そういう相手に勝てなかったりするのが自分なんで」と自虐的に苦笑すると、「自分なんで、って誰が決めてるんだよ」と喝を入れる。
前田は「所は自分の持っている技術を使い切れていない。いつも出たとこ勝負。これからはそういうことを考えないとダメだよ。所は素直すぎるんですよ。あまりフェイントも入れないし」と、所の悪い部分をあげていく。
「試合の中で自分の技術を有効に使うための駆け引きというのを考えないとダメなんだよね。頭使わないとダメだよ、頭。今まで出たとこ勝負でよくこれまでやってきたと思うよ。本当、奇跡だよ。出たとこ勝負でここまでできるのはある意味凄いんだよ。でも出たとこ勝負でここまでできたんだったら、ちょっと頭を使って試合をしたら全然勝てるよ、誰とやっても。植物のように相手の反応に対応するだけで試合に勝ってきてるんだから、これが動物になって自分から仕掛けてどういう風にやるか駆け引きを考えて、相手が思わぬ方法をね。今回の相手は全部未経験でさ、まっさらな処女だよ。お前の手あかが全部相手に付く。こんなにおいしいことないんだよ。しかも相手はオリンピックレスラーで。真っ白だよ、穴開け放題だよ」と、前田独特の表現で今回の試合はチャンスだと所に檄。
「それに今回の相手が、今後また2回目の所の名を上げるためのスタートラインなんだよ。だから試合なんだけれど、本当はいい練習相手。お前が新しいことを試す、やり放題。駆け引きを真剣に考えないとあかんぞ」と、練習相手のつもりでやれとアドバイス。
最後に所は「自分に期待したいと思います」と、前田の前で勝つことを誓った。
この動画は前田日明のYouTube公式チャンネル『前田日明チャンネル』で見ることができ、ほかにも今回は幻に終わった佐々木憂流迦戦への想いや、vs太田忍に関する作戦の話などが語られている。