2020年12月18日(金)シンガポール・インドアスタジアムにて事前収録されたONE Championship『ONE:COLLISION COURSE 2』が12月25日(金)、配信され、日本の仙三(パラエストラ松戸)とMOMOTARO(OGUNI GYM)が勝利を収めた。
60kg契約で中国のリャン・フイと対戦した仙三は、1R早々に右の拳を骨折する重傷を負いながらも、左のレバー打ち、ヒジ・ヒザ、テイクダウンとMMAのなかで、負傷した箇所以外の武器を使って勝利したことを明かし、「40歳までにONEでチャンピオンになるために、全てを賭ける」と今後の決意を表明した。
試合後、練習仲間の扇久保博正は、「仙三さんはランニング中、坂から転がってきたみかんをなんの躊躇もなく食べる漢です。負けるわけがない」と祝福のコメント。
また、ONEムエタイフライ級でブラジルのボルター・ゴンサルベスの負傷により、2R TKO勝利を収めたMOMOTARO(OGUNI GYM)は、今後について「次はジョナサン・ハガティーと戦いたい」と元王者を指名した。
──仙三選手、試合を終えての感想をお願いします。
「かなり厳しい試合でした。1Rの1分初めに打ったワンツーで右拳が折れてしまい、痛みで感覚がなくなりヤバいと思いちょっと考えていたら、ペースを持っていかれました。1Rが終わり、“やられたな、このままじゃ負ける”そう思いました」
──1Rの序盤で拳を折った!? 全然そんな素振りも見せずに戦っていました。
「試合前は1R目は足を使って、後半は自分からガンガン倒しにいこうと思っていましたが、やられて全部吹っ飛びました。2Rからいくしかないと思いましたが、身体と足に力が入らなくて“これは本当にヤバイ”と思い、そこからは気持ちでいくしかないと思い、必死に戦いました。2Rからは力が入らなくなっていたので、“左のパンチとジャブをとにかく出していこう”、あとは強いパンチも打てなかったので、前に出てヒジやヒザを使って戦おうと思っていました」
──たしかに、首相撲からのヒザ、拳を使わないヒジ打ち、そして左のレバーブローーを相手に効かせました。
「途中、ボディー打ちに相手が嫌な感じを出した様な気がしたので、ボディーを攻めようと思ったような気がします」
──試合前にほとんど相手の情報が無いなか、実際に戦ってみてリャン・フイは左右の強打とレスリングの強い選手でした。戦ってどう感じましたか。
「ケージに上がった時、顔を見て全体を見て強そうだと感じましたが、1R戦って、その通りだと感じました。タフだし力が強い、また気持ちも強い。“勝ちにきている、この試合にかけてきている、強いな”と感じました。組み・寝技に関しては、ティクダウンも強かったので、倒されたらいいポジションを取らせず、すぐ立ち上がり削ろうと。自分がいいポジションを取れたら攻めて決めに行こうと考えていたと思います」」
──ダニー・キンガッド、リト・アディワンと強豪相手に敗れ、怪我にも苦しんだ仙三選手ですが、3度目の正直でONE初勝利を挙げました。勝因は何だと思いますか。
「気持ちだと思います。2Rからは身体も足も動かなくて、気持ちで押されたら負けると思い必死でした。“気持ちで絶対に負けるな、前に出るんだ”と自分に言い聞かせました。苦しかったですが、絶対に勝つんだと思い、前に出続けた事が勝利に繋がったと思います。
でも、自分のやりたい事、仲間と練習してきた事が出来なかったし、想像していた展開にもならなかったし、何とか勝った、ギリギリの試合だったと思います。反省点ばかりです。終わった直後は嬉しさより悔しさがかなりありました。“今回負けたら終わりだと、引退だ”と思っていましたので、今は勝った事、次に繋げられた事を褒めてあげたいと思っています」
──ONEで次は誰と戦いたいですか? 今後の目標も。
「いつでも誰とでも戦います。あとどれくらい出来るか分からないので、全てを賭けていこうと決めています。自分の中で“40歳まで(※現在38歳)にONEでチャンピオンになろう、ベルトを取ろう”そう決めています。その為に全てを賭けようと思っています。2021年は、全勝して2022年にONEのベルトを取る、そう思っています」
MOMOTARO「次はハガティーと戦いたい」
※ゴンサルベスの負傷によりMOMOTAROがTKO勝ち
「1R目で距離を詰めた時にパンチの打ち合いでも首の展開になっても大丈夫だと思い、1R目の後半から自分の攻撃が当たり出したので、ローや変則の攻撃で距離を詰めながらパンチの距離を探って当てに行く予定でした。(相手の攻撃は)ミドル、三日月蹴りの攻撃力には面食らいました。
(ボルダーの負傷は)こかして倒れたときに捻ったのかもしれません。(試合後、負傷したボルターと)話す事は無かったのですが、戦う前に向き合った時やラウンドが始まって手を合わせに来る時の彼の礼儀正しさは素敵でした。1Rに鼻血を出してしまい、印象の悪いまま試合が終わってしまったのでとても複雑な気持ちですが、次戦に向けて切り替えます。(次は)ジョナサン・ハガティーと戦いたいです」