2020年12月9日(水)に米国のMMA団体『Bellator』と契約したことが明らかとなった女子MMAファイターの渡辺華奈(FIGHTER'S FLOW)が『ゴング格闘技』の独占インタビューに答えた。
渡辺は柔道で2016年アジアオープン準優勝、ヨーロッパクラブ選手権準優勝などの実績を残し、MMAに転向。2017年12月3日にDEEP JEWELSでプロデビューを果たすと、その26日後に開催されたRIZINにも出場。両団体を主戦場に9勝1分といまだ無敗を誇る。2019年12月のRIZIN×BELLATOR対抗戦でイララ・ジョアニを破り、「海外にも挑戦したい」とアピールしていた。
インタビューではBELLATORを契約を結んだ経緯、今後のプラン、“絶対女王”マクファーレンを破りBellator女子世界フライ級新王者となったジュリアナ・ヴェラスケス(ブラジル)について、米国デビューの時期などについて語っている。
組めば投げられないことはないと思います
(写真)BELLATOR MMA――最初にお話があったのはいつ頃だったんですか?
「10月の上旬か中旬くらいからです。そこから徐々に話が本格化していきました」
――最初に聞いた時はどう思われました?
「素直に嬉しかったですね。MMAを始めた時から世界と戦っていきたいとの目標があったので、やっとスタートラインに立てるかなって」
――RIZINに未練はなかったんですか?
「もちろんありますよ! BellatorはRIZINとも交流があるので、RIZINにも出られると思っています。どちらにも出られたら最高ですね」
――拠点はアメリカに移すのですか?
「いえ、今のところはそのまま日本でやる予定です。今後はどうなるか分かりませんが」
――では、アメリカでの試合前は隔離生活を送らねばなりませんね。
「そうですね。ただ、おそらくBellatorでの試合は春先くらいになりそうなので、それまでに治まってくれればいいなと思っています」
(写真)BELLATOR MMA――12月10日に開催された『Bellator 254: Macfarlane vs. Velasquez』はご覧になりましたか? Bellator世界女子ストロー級タイトルマッチで、王者イリマレイ・マクファーレン(米国)が挑戦者ジュリアナ・ヴェラスケス(ブラジル)に敗れました。
「全部のラウンドは見ていないんですが、後半は見ました。ジュリアナ選手は柔道出身なんですけれど打撃が凄く上手いなって思って。自分ももっと強化していかないといけないなと思いました。外国の選手なのでフィジカルも強いし、組み技や寝技もできるからこそ、打撃も思い切りできるところが強みな選手だなって」
――身体が大きいのに驚きました。
「私も思いました。マクファーレン選手より二回りくらい大きかったですし、リーチが長い。気になって調べてみたら、身長は私と同じくらいなんですがリーチがかなり長いです。打撃に寄った体型なのかなって思いました」
――奇しくも同じ柔道出身というのは?
「そうなんですよ。年齢は向こうの方が2つ上で、現役時代は知らなかったんですけれど、多分階級はもっと上だったと思います。見た感じですけれど。だからリカバリーも凄いしているのかなと。元々のフレームが凄く大きいので」
――投げる自信はありますか?
「組めば投げられないことはないと思います」
――柔道の実力が違う、と。
「いやいや(笑)。相当強いと思うんですけれど、私の内股は特殊なので初見では投げられるかなって思っています」
――ジュリアナが寝技になって自分から立った場面がありましたよね。あれを見ると寝技がそこまで得意ではないのかも、と思ったんですが。
「それは多分、マクファーレン選手がグラップラーなので、そこで立って勝負した方がいいという判断だったのかなと読みました。寝技はもちろんできると思うんですけれど、ストライキングで勝負した方が分があると判断したんじゃないかなと予想しました」
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日本人のストロングポイントは絶対にある
(写真)BELLATOR MMA――Bellatorの同じ階級の選手たちはどれくらいチェックされていますか?
「いや、まだそこまでチェックできていないですね(苦笑)。これから勉強します」
――どの辺りの選手からやっていきたいと考えていますか?
「上の方の選手とやりたいです。強い選手とやりに行くので、守ってもしょうがないです。挑戦なので。段階を踏んでいきたい気持ちもありますけれど、いきなり強い選手とでもやります。現時点でジュリアナ選手とやるとなるとまだ分が悪いと思いますが、ストロングポイントが自分にもあるので、そこを活かしてしっかり戦略を立てれば上の方には食い込めるかなと思っています」
――では、何戦以内にベルトを巻きたいと思っていますか?
「3戦くらいでタイトルマッチまで辿り着きたいと思っています。最短最速で行きます。もちろん厳しい場所だということは分かっているので、そこは強い意志を持って取り組んでいきます」
――海外での試合となると環境や試合会場の雰囲気も違うと思いますが、そこに不安はないですか?
「柔道の試合は結構海外でやっていたので、そこまで気負うことはないですね。減量だけちゃんとやれればって感じです。海外での試合に全然苦手意識がないんですよ。柔道時代は海外での試合の方が調子よかったり、けっこうのびのびとやれていたので、ネガティブな印象は全くなくポジティブな印象しかないです」
(写真)BELLATOR MMA――UFCの村田夏南子選手を始め、イリー・プロハースカ、Bellator世界ライトヘビー級王者になったワジム・ネムコフなどRIZINのリングに上がった選手たちが活躍していますよね。
「めちゃくちゃ刺激を受けますね。続きたいなって気持ちもあります。DEEP JEWELSとRIZINで試合をしてきたので、その2つを勝手に背負って、DEEP JEWELSとRIZINは強いってところを見せたいです。その2つへの愛は強いので、自分が勝ったらRIZINのレベルも高いことが証明されるのでそうなったらいいなと思いました。MMAって海外勢が強いじゃないですか。勢いもあるし。でもやっぱり、日本人には日本人の強さが絶対あると思っていて。だって柔道とかレスリングは日本強いじゃないですか。だから日本人のストロングポイントは絶対にあるので、日本人の強さを見せていきたいなって思っています」
――ちなみに、今度RIZIN vs Bellatorの対抗戦があった時はBellator側として出てくるわけですね。
「えーっ! それは…(笑)」
(写真)BELLATOR MMA――春先のBellatorデビュー戦を楽しみにしています。
「まだ先なのでしっかりと地力を上げて、万全の態勢で挑みたいと思います」
――しかし、随分と試合間隔が空いてしまいましたね(2019年12月29日が最後)。
「いやー、本当ですよ! ちょこちょこあるかもっていう話があったので減量していたんですけれど。実はもしかしたら大晦日であるかもと思って12月入るくらいまでは気を引き締めていたんですが、もうないと分かったので普通にご飯を食べています(笑)」
――最後にファンへのメッセージをお願いします。
「いつも応援ありがとうございます。日本の強さをしっかりと見せて、Bellatorのベルトを持って帰ってきたいと思いますのでこれからも応援よろしくお願いします」