キックボクシング
レポート

【RISE】番狂わせ3連発、憂也が緑川創からダウン奪い勝利、一馬は前口太尊をKO、超新星・田渕涼香が小林愛三をダウンさせて勝つ

2020/12/18 23:12
「RISE 145」2020年12月18日(金)東京・後楽園ホール ▼メインイベント(第8試合)ミドル級(-70kg) 3分3R延長1R×緑川 創(RIKIX/同級1位、元WKBA世界スーパーウェルター級王者)延長R 判定0-3 ※9-10、8-10×2〇憂也(魁塾/同級6位、ウェルター級5位、第2代DEEP☆KICK-65kg王者)  2021年のDEAD OR ALIVE(賞金トーナメント)開催候補に挙がっているミドル級(-70kg)で、同級1位・緑川創と同級7位・憂也がメインイベントで激突。。  2005年デビューのベテラン緑川は、新日本キックボクシング協会で日本ミドル級王座とWKBA世界スーパーウェルター級王座を獲得し、K-1 MAX世界王者アンディ・サワーにも勝利した実績を持つ。ムエタイの世界最高峰ラジャダムナンスタジアムのタイトルにも挑戦。日菜太には惜敗したがT-98には勝っており、国内ミドル級最強の一角として長く君臨している。RISEには7月大会で初参戦し、ベイノアから2度のダウンを奪って熱戦を制したが、10月にはシュートボクシングのエース・海人に判定2-0で惜敗。戦績は50勝(24KO)14敗7分2無効試合。  憂也は2010年にK-1甲子園で準優勝、同年にDEEP☆KICKでプロデビューを果たすと、様々なリングで活躍。2013年12月には第2代DEEP☆KICK-65kg王者となった。RIZINには2度出場して、全て1RでKO勝利。右ストレートに破壊力を持ち、前戦の11月1日RISE大阪大会では、DEEP☆KICK70kg王者の籔中謙佑を初回KOで葬り3試合連続で初回KO勝ち。戦績は24勝(12KO)12敗3分。  1R、憂也はローを蹴ってのジャブ、右ストレート。このジャブが何度も緑川の顔面を捉える。憂也は右ハイキックも浅くヒットさせた。緑川もロー、左ミドルからワンツー。  2Rもジャブを突く憂也に緑川は距離を詰めて左右フック。ジャブには右ローと前蹴りで対抗する。次第に緑川のパンチが憂也を捉え始めるが、憂也の取り込んでのジャブを命中させた。  3R、お互いに前蹴りを多用してパンチに繋ぐ中、緑川がパンチの回転力を上げて左右フックを次々と打って行く。この回転に憂也も打ち合っていくが手数で劣ってしまう。 (写真)ダウンを奪った憂也の右フック 延長R、打ち合いで緑川の右フックが効いたと思った直後、憂也が右フックでダウンを奪う。逆転を狙ってパンチを振るって前へ出る緑川に憂也はフラフラになりながらもちゃんと打ち返して応戦。最後まで打ち合いは続き、ダウンを奪った憂也が緑川を破る番狂わせを起こした。  憂也はマイクを持つと「緑川選手本当に強くて気持ちも折れかけたんですけれど、東京まで来てくれた応援の皆さんと、ABEMAで見てくれている皆さんの応援が力になって最後まで戦えることができました。来年のDoAはミドル級の予定と聞いたので、僕が出場してよろしいんじゃないでしょうか? よろしくお願いします。リベンジしたいベイノア選手もいますので、リベンジと全員倒してチャンピオンになるので期待してください。ミドル級を盛り上げていきます」と高らかに宣言した。 [nextpage] ▼セミファイナル(第7試合)スーパーフェザー級(-60kg) 3分3R延長1R〇一馬(MONSTAR GYM/同級1位)KO 3R 1分32秒 ※右フック×前口太尊(TEAM TEPPEN/元J-NETWORKライト級王者、同級2位)  一馬は中学時代に野球で日本代表になった経歴を持ち、海上自衛隊・航空士として体力測定で全隊員中トップの成績を収めたという身体能力を持つ。早くからYouTuberとして活動していた選手で、2018年6月にはボクシングからキックボクシングにカムバックした白鳥大珠の復帰第一戦の相手を務めた(1Rで白鳥がKO勝ち)。1年に1~2試合しかしない“RISEのレアキャラ”。今回の試合は2019年2月以来となる。  前口は2010年4月にプロデビューし、同年のJ-NETWORK新人王に。2013年8月にはJ-NETWORKライト級王座を獲得した。パンチを武器にトップクラスで活躍し、近年は『KNOCK OUT』を主戦場に。TEAM TEPPENへ移籍し、7月にRISE参戦。5連敗と厳しい状況だったが11月に初代WBCムエタイ日本統一フェザー級王者・氏原文男から勝利を収め、連敗をストップした。9月大会では階級を下げて森本“狂犬”義久と対戦し、激闘の末に判定勝ち。今回はスーパーフェザー級転向第2戦となる。  1R、一馬のジャブに前口はローで対抗。リーチで優る一馬はジャブを多用して長い距離で戦い、打ち下ろしの右ストレートを何度も狙ってくる。前口はなかなか入れない展開が続くが、終盤にバックキック、バックブローと回転系の技を見せた。  2R、距離を詰めてパンチを打って行く前口だが、中盤を過ぎると再び一馬がジャブで距離を取り始める。打ち合いにいく前口に一馬も応じ、足を止めての打ち合いになるが右ストレート、左フックを被弾してグラついたのは前口の方。  3R開始直後、一馬が左フックからの狙いすました右ストレートでダウンを奪う。前口はダウンを奪い返そうと打ち合いを仕掛け、両者のパンチが激しく交錯する。前へ出て攻める前口だったが、ロープを背負った一馬が前口の右フックに縦に振り落とすような右フックで前口を横倒しにする。レフェリーが即座にストップし、一馬の壮絶なKO勝ちとなった。  マイクを持った一馬は「初めてのセミファイナル、盛り上げられてよかったです。コロナの大変な時期に応援していただいてありがとうございます。これからも応援してください。来年タイトルマッチ挑戦できるように練習して備えます」とアピールした。 [nextpage] ▼第6試合 フライ級(-52kg) 3分3R×小林愛三(NEXT LEVEL渋谷/RISE女子フライ級暫定王者、WPMF女子世界フライ級王者)判定0-2 ※28-30、28-28、28-29〇田渕涼香(拳聖塾/第22回全日本少年少女空手道選手権大会 高校生女子軽量級優勝) (写真)試合開始前に暫定王者として認定された小林にベルトが贈られた 小林は2015年2月にプロデビューすると、2018年7月にシュートボクシングの試合でイリアーナ・ヴァレンティーノに敗れるまで13戦無敗を誇った。KNOCK OUTでは女子部のエースとして活躍。2018年12月には伊藤紗弥との国内頂上対決を制し、翌年4月にイリアーナとKNOCK OUTで再戦してリベンジに成功。11月にはWPMF世界女子フライ級王座を奪取。9月の「初代RISE QUEENフライ級(-52kg)王座決定トーナメント」1回戦ではスック・ワンキーントーン女子ミニフライ級王者KOKOZを判定3-0で破り決勝へ進出。  当初、今大会のメインイベントは初代RISE QUEENフライ級(-52kg)王座決定戦の小林vs陣内まどかが務めることが決まっていたが、陣内の右膝半月板損傷による欠場で中止。代わって2017年第22回全日本少年少女空手道選手権大会(極真会館関西総本部主催)高校生女子軽量級優勝の実績を持つ空手歴17年をベースにした田渕が小林と対戦することになった。田渕は『ACCEL』や『S-BATTLE』などに参戦。プロ戦績は3戦3勝3KOのパーフェクトレコードを更新中の20歳。  1R、両者前蹴りとローの蹴り合いからスタート。小林が圧力をかけて前へ出るが、小林が右を出そうとしたところへ田渕が右ストレートのカウンターで小林に片膝を着かせてダウンを奪う。。すぐに立ち上がった小林は再び前へ。小林も右ストレートをヒットさせた。  2R、前蹴りを出しながらパンチでアグレッシブに攻めていく小林に田渕も右ストレートで応戦。前へ出る小林に田渕は前蹴り、右ロー。小林のパンチで田渕は鼻血を出す。田渕のジャブ、前蹴り、右ストレートに小林は連打で強引に前へ出ていく。  3R、逆転を狙ってどんどん前へ出て右ミドル、左右のストレートを出す小林。田渕は下がりながらも回り込み、右ストレートで顔をのけ反らされながらも前蹴り、右ストレート、右後ろ蹴りで対抗。小林が右ストレートからパンチを連打していくが、田渕は胴廻し回転蹴り。そして試合終了のゴング。  ジャッジ1名は小林の追い上げを評価してドローを付けたが、2名は田渕。判定2-0で田渕が小林を破る番狂わせを起こした。 [nextpage] ▼第5試合 スーパーフライ級(-53kg) 3分3R延長1R〇松谷 桐(VALLELY KICKBOXING TEAM/元NJKFフライ級王者、同級5位)判定3-0 ※29-28、30-28、30-28×佐藤九里虎(FAITH/WMC日本スーパーフライ級王者、同級11位)  元NJKF王者の松谷は10月大会で鳩を破り3連勝中。佐藤は今年6月にWMC日本スーパーフライ級王者となり、昨年12月以来のRISE参戦を果たす。  1R、佐藤は右ミドル、サウスポーの松谷は左ミドルを蹴る。松谷がストレートを伸ばしてヒットを奪えば、終盤に佐藤が右フックでヒットを奪う。  2R、左右のストレートを伸ばす松谷は回転力を活かしてのパンチ連打。松谷のペースで進むかと思いきや、佐藤が左フックからの右ストレートをヒットさせて形勢逆転。そのまま攻め込むかと思われたが、今度は松谷がカウンターのヒザをボディに突き刺して佐藤を後退させ、一気に攻め込む。  3R、口から血を流す佐藤は待ちの姿勢でカウンター狙い。松谷も慎重になるが、残り1分で佐藤が右ストレートを多用して攻める。しかし、応戦する松谷の左フックがヒット。一気にコーナーへ追い込んで攻め込む松谷。判定3-0で勝利を収めた松谷は嬉し泣きした。 [nextpage] ▼第4試合 スーパーフライ級(-53kg) 3分3R△鳩(=あつむ/TSKjapan/MuayThaiOpenスーパーバンタム級王者、WMC日本バンタム級王者)ドロー 判定1-0 ※29-29×2、29-28△酒井柚樹(TEAM TEPPEN)  10月大会でRISEに初参戦するも松谷に敗れた鳩が出直しの一戦。酒井は9月大会で片島聡志と引き分けた。両者ともRISEでの初勝利を目指す。  1Rからパワフルなパンチと三日月蹴りで攻める鳩に酒井は右ローと左フックで対抗。2Rにはその酒井の右ローが強烈に決まり、鳩の脚が流れる場面も。鳩の左右フックvs酒井の右ローという図式に。  3Rはどんどん前へ出てパンチを放っていく鳩。強烈な右ボディをめり込ませる。酒井もパンチで応戦しようとするが、勢いよく突進してくる鳩をクリンチで受け止めてしまう。  アグレッシブに攻めた鳩だったが、決め手なく判定はドローとなった。 [nextpage] ▼第3試合 バンタム級(-55kg) 3分3R〇知花デビット(エイワスポーツジム/元WMC日本フェザー級王者、元WMC日本バンタム級王者、元WBCムエタイ日本統一バンタム級王者)KO 3R 2分59秒 ※左フック×内藤凌太(BELLWOOD FIGHT TEAM/元DEEP☆KICK-55kg王者、SB日本スーパーバンタム級2位)  知花は元WMC日本フェザー級王者、元WMC日本バンタム級王者、元WBCムエタイ日本統一バンタム級王者でムエタイにて活躍した選手だがパンチを得意とする。前戦は9月大会で京谷祐希に敗れており、2019年7月以来勝ち星から遠ざかっているため勝利が欲しいところ。  対する内藤は元DEEP☆KICK-55kg王者でSB日本スーパーバンタム級2位。現在『ONE』で活躍する内藤大樹の弟で、プロ戦績は16勝9敗3分。今回がRISE初参戦となる。  1R、前に出ていくのは内藤。それを右ミドル、右ストレートで迎え撃つ知花。勢いよく前へ出てパンチを出す内藤だが、知花の左右フックが内藤の顔面を捉える。左ボディの打ち合いも見られた。  2Rも前に出る内藤が左インローで揺さぶりをかけながら左ミドル、左右ストレートで攻める。知花も右ミドルを返してパンチで応戦。両者足を止めての打ち合いでお互いに被弾した。  3R、さらに手数を増やす内藤が左の蹴りからのパンチを繰り出す中、下がっていた知花も前へ出る。打ち合い、蹴り合いで内藤の手数が目立つ中、知花が左右フックを何度もヒットさせていき、残り1秒、知花の左フックがクリーンヒットして内藤がダウン。レフェリーが様子を見てストップし、知花のKO勝ちとなった。 [nextpage] ▼第2試合 ミニフライ級(-49kg) 3分3R×ユリカ・グラップリングシュートボクサーズジム(グラップリングシュートボクサーズ/SB日本女子ミニマム級4位)判定0-3 ※28-29、28-30×2〇AKARI(TARGET/2018年KAMINARIMON全日本女子-52kg級優勝)  初参戦のユリカはこれまでにMIO、紅絹といった日本トップクラスとの対戦経験もあり、2017年には香港で開催されたアマチュアムエタイ大会の48kg級で金メダルを獲得。昨年11月には前ONE王者キル・ビーが所属する、名門ジムのワン会長一押しであるジンロンを迎え撃つと、強打を当てて判定勝ちを収めた。戦績は8勝3敗。  AKARIはジュニア時代から第2代RISE QUEENなど5冠王の神村エリカに憧れ、教えを乞い神村の遺伝子を継ぐ16歳の女子高生ファイターで、2019年9月大会にてプロデビューを飾り判定勝ち、その後も宮崎若菜、RANとの女子高生対決、ベテランの後藤まきに勝利して4連勝。“8頭身”の長い手足を利した攻撃を得意とし、特に神村ゆずりのミドルキックを得意としていることから“美脚炸裂シンデレラ”のキャッチフレーズが付いた。  1R、ローの蹴り合いが多く見られた序盤。左右フックを狙うユリカに対し、AKARIは蹴りでフェイントしてのパンチ、ジャブを突いて右ストレートの長い攻撃を見せ、ユリカが蹴りをキャッチしてくるとキャッチされた瞬間に顔面を打つ。  2R、前に出て詰めてきたユリカにAKARIは下がりながら回り込み、ジャブを多用。ロー、前蹴りでユリカを止めようとするがユリカはどんどん前へ出てくる。終盤にはAKARIがヒザで迎え撃つ。  3Rも展開は変わらず、前に出るユリカにAKARIは下がりながら回り込みユリカのパンチをかわしていく。要所要所でミドルを蹴り、ジャブを突くAKARI。試合の山場を作り出すことはできなかったAKARIだが、ペースを支配して判定勝ち。無傷の5連勝をマークした。  試合後の涙は勝利した嬉し泣きか、思い通りにいかなかった悔し泣きか。 ▼第1試合 フェザー級(-57.5kg) 3分3R延長1R〇YUU(リアルディール/同級11位)判定3-0 ※30-29、30-28×2×青木朋哉(和術慧舟會 駿河道場)  YUUがパンチとヒザ蹴りで徹底したボディ攻め。青木は右ローと左の三日月蹴り。2Rも徹底してパンチとヒザでボディを攻めるYUUに青木は失速。YUUの顔面へのパンチも入り始め、ペースを握る。  3Rは両者バテながらも左右フックで打ち合い、最後まで攻撃し合って試合終了。YUUがタフファイトを制した。
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