2020年12月18日(金)シンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE Championship『ONE:COLLISION COURSE』で、2位のロートレック・PK・センチャイムエタイジム(タイ)の挑戦を受け、防衛戦を行うONEムエタイ・バンタム級王者ノンオー・ガイヤーンハーダオ (タイ)の直前インタビューが主催者を通じて届いた。
ノンオーはシンガポールのメガジム「Evolve MMA」に所属する32歳。260勝54敗1分の驚異的な戦歴を誇り、ルンピニースタジアムでスーパーバンタム級からライト級まで四階級制覇、ラジャダムナンスタジアムのベルトも獲得している、まさにムエタイの伝説的存在だ。2019年2月にONEムエタイ・バンタム級王者となり、5月のバンコク大会では元SB世界スーパーライト級王者の鈴木博昭を2Rに腓骨を骨折させるなど、強豪ぞろいのONEで4連勝中。前回は2019年11月にセーマペッチ・フェアテックスを4Rに右ストレートでKOして3度目の防衛に成功している。
挑戦者のロートレックは10歳でムエタイをはじめ、高校を卒業するとタイの首都バンコクに拠点を移し、経営学の学士号を取得しながらムエタイの試合を続けて2016年4月、BBTV(7ch)スーパーフェザー級王者に。その後はラジャダムナンとルンピニーの両スタジアムで活躍し、2019年6月からONEに参戦。リアム・ハリソンらに3連勝を収めたが、ONEバンタム級ムエタイトーナメントでは1回戦でセーマペッチに敗れてONEで初黒星。しかし、セーマペッチが怪我により欠場したためロートレックが敗者復活で決勝に代打出場し、クラップダムを破る番狂わせを起こして優勝。今回の挑戦権を手に入れた。
ルンピニー&ラジャダムナンの王座には手が届かなかったロートレックが、合わせて5冠を手にしたノンオーを破ってONEで頂点に立つか。それとも、ムエタイの最高傑作が格の違いを見せつけるのか。
<ノンオーとの一問一答>
――2020年は色んなことが起きました。ノンオー選手とって2020年はどんな年ですか?
「パンデミックは世界中の人に影響を与えましたよね。自分にももちろん影響はありました。トレーニングにも支障がありましたが、数カ月前からトレーニングを再開することが出来ています」
――バンタム級トーナメントでのロートレックのパフォーマンスについてはどう思いますか?
「バンコクで行われた試合を自分も見ていました。両選手のパフォーマンスを見てどちらもとてもタフな選手でどちらも自分の対戦相手にふさわしいと思いました。どちらも良いパフォーマンスでしたが、セーマペッチが怪我のため自分の相手はロートレックに決まりましたね」
――クラップダムvsロートレックの試合も観ましたか?
「はい、観ました。クラップダムが勝つと思っていましたが、ロートレックがとても良いパフォーマンスを見せて、ほぼ100%ゲームプランに沿って戦っていたと思います。それが彼が勝てた要因だと思います」
――ロートレックを選手としてどう思いますか? 彼の強みや弱みは何でしょうか?
「ロートレックについて何か述べるとすれば、彼はとてもタフで強い選手だということ。彼の武器は超パワフルなパンチです。彼に弱点はあまり思いつきません」
――戦略には触れないとして、この試合はどんな展開になると思いますか?KOできると思いますか?
「自分は今年に入って一度も戦っていません。そして今週の金曜にやっと試合を迎えます。しかし、その間、ロートレックはバンコクで何戦かしているので、それに向けて常にハードなトレーニングを積んできたはずです。だから自分も前回の試合前よりもハードに、彼よりももっとハードにトレーニングしなくてはなりませんでした。ロートレックがこの試合でパワー溢れるパンチを浴びせてくることはもちろん分かっていますが、彼をKOできるチャンスを逃さず、ベルトを守ります」
――ロートレックの弱点は何でしょうか?
「ひとつだけですね。彼のスピードです。自分の方が彼よりスピードがあります」
――この試合は今年最大のムエタイマッチになると思います。そしてノンオー選手にとっては今年最初の試合ですね。リングに戻れることについてどう感じますか?
「通常の一年であれば試合をするチャンスがありますが、今年はそうではありませんでした。何しろ今年はまだ、1試合もしていません。ようやく年末に入って試合をできて、それがムエタイ最大の試合です。相手のロートレックとは過去に数回対戦しています。もちろんリングに戻れることはとても楽しみです。ですが、自分が持っている武器を試合で発揮することを少し心配しています。長い間リングで戦っていなかったから、少し不安です。とはいえ、この試合に向けて、今までで一番の準備をしてきました。今までより何倍も努力を積んできました。できる限りのことを尽くして、ベルトを守ることを自分自身とファンの皆さんに約束します」
――シンガポールに在住していることで、他の選手と比べて隔離などの規制が少ないことはアドバンテージに感じますか?
「シンガポールに住んでいることで渡航も隔離もしなくて良く、トレーニングにより時間を割けることは、少しアドバンデージと言えるかもしれませんね。ですが、パフォーマンスについては別です。試合になってみないと分かりませんからね」
――階級を変えてジョルジオ・ペトロシアンとの対戦についてどう思いますか?
「とても興味があります。もちろんジョルジオ・ペトロシアンと対戦してみたいですよ。相手がタフな選手だとしても、バンタム級では誰が相手でも勝てる自信があります。なぜなら自分がチャンピオンだからです。だから、新しい挑戦としてフェザー級でペトロシアンと戦ってみたいです。彼は世界最高の選手ですから。自分にとってとても素晴らしいチャレンジになると思っています」
――最後に、タイ、シンガポール、世界中のファンに向けてコメントはありますか?
「タイ、シンガポール、そして世界中のファンの皆さん、金曜日は是非、僕の応援をよろしくお願いします! ベストを尽くしてベルトを守りますので見ていてください。皆さんに楽しんでもらえるようにKOしたいと思います」