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インタビュー

【ONE】和田竜光が11カ月ぶり復帰戦「オリジナルなものを作りたい」=12月18日(金)シンガポール

2020/12/16 11:12
【ONE】和田竜光が11カ月ぶり復帰戦「オリジナルなものを作りたい」=12月18日(金)シンガポール

(C)ONE Championship

 2020年12月18日(金)、シンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE Championship「ONE:COLLISION COURSE」で、日本の和田竜光が、タイのヨッカイカー・フェアテックスと対戦する。

 新型コロナウイルスの影響から、2020年6月26日にチャトリ・シットヨートンCEO兼会長が、7月31日にタイで大会を再開することを発表した頃、この未知のウイルスの情報を集めていた一児の父である和田も練習を再開した。当時、和田は下記のコメントをONEを通じて発表している。

「自粛している間は練習会には参加せずに、のんびりしながら出来る運動をしてました。しばらく格闘技をしてない間になんだかリフレッシュされた気がするし、早く練習したいなぁとも思えたのでこれはこれでいいかな。とも思ってます。ONEが再開されるかも……と連絡が来たのと丁度同じぐらいの時期に自分も練習を再開しました。

 練習再開初日にはビックリするぐらいのゲキ弱で笑っちゃいました(笑)。怪我と体調に気をつけて少しずつコンディションを上げて行きたいと思います。今はとりあえず全開で練習出来る所を目指します。一人ひとりやっつけて行ける様に修行、修行!」

 試合は2020年1月のイヴァニルド・デルフィノ戦以来となる。前戦では無敗のブラジリアンを相手に得意のカーフキックを効かせ、近づけば首相撲&ヒジ・ヒザ、そして柔道の小外刈りテイクダウンを合わせるなど、12年目のプロMMAファイターとして格闘技の多様性を見せつける完勝劇を披露している。今回の試合に向け「最近のお気に入りの技は、うなぎ逃げとジャブ」という“うなぎ逃げ”とはいかなるものか。

 コロナ前の2019年8月には、フィリピンでデメトリアス・ジョンソンと戦い、バックを奪うも判定負け、頂点に触れた。そして、今回、11カ月ぶりの試合に向け、和田は言う。「一戦一戦に賭けているし、一人ひとりやっつけていけばチャンピオンに近づく」と。

急遽対戦相手変更も「相手によって対策を立てて練習することはしない」

──前回の大会でゲイリー・トノン選手が、試合前の隔離生活で弁当の肉にお湯をかけて食べている動画を見て、少し心配になったのですが、和田選手は現状の隔離生活での食生活はいかがですか。

「ルームサービスなども使ってそれなりの物は食べれてます。あとは日本から持っていったものあるので、それも」

──なるほど。日本から用意していったものもあるのですね。さて、今回のフライ級戦で和田選手の対戦相手は当初、韓国のキム・デファン選手でした。若松選手からマウントを奪ったデファンを相手にどんな戦いをするのかな、と試合を確認していたところ、タイのヨッカイカー・フェアテックスに変更という報が届きました。和田選手にその連絡が行ったのは……。

「3日から4日の金曜日に日付が変わる頃ですね。日本を出発する前日ですね」

──それを聞いたときにどのように思いましたか。

「ああ、キム・デファンに何かトラブルが起きたんだな、と。試合がポシャらなくて良かったなと思いました」

──前向きにとらえたと。しかし、デファンはオーソドックス構えのグラップラー。対してムエタイベースのヨッカイカーはサウスポー構えのムエタイベースです。対策してきたことが急に覆るのは大変ではないですか。

「そもそも、相手によって対策を立てて練習することはしないので、別に同じですね。そのあたりの選手なら誰とやっても同じで、僕が持っているものを出すだけです」

──ヨッカイカーはムエタイで90戦の実績を持つと聞いています。MMAでは2015年のプロデビューから6勝2敗1分で、2020年8月にはアレックス・シルドをローキックで粉砕しました。レフェリーが何度も立たせたあの試合での強烈な左右のローキックをどのように見ましたか。

「そうですね……まともにいっぱいもらったら痛そうだな、と感じます」

──「まともにいっぱいもらったら」と、と。カーフキックの使い手である和田選手はまともにもらわない自信もありそうです。

「この前対戦した選手は受け方も対応もよくなかったので、そりゃあ、あんなもの受けてたら効いちゃいますね」

──あの試合ではハイエルボーのチョークなども見せていましたが、グラップリングでもADCCに出ていたDJジャクソンと練習を積んでいるようです。MMAファイターとして組みの部分をどう見ていますか。

「ストライカーとして最低限のテイクダウンを切ったり、立ち上がったりというスキルは持っているかな、とは思いますけど、まあ、僕が普段組み合っているのは上久保周哉なんで……問題ないです。立っていても寝ていても、僕がほとんどの時間をコントロールする試合になると思います」

──TRIBEやロータス世田谷、TRY.Hスタジオに加え、福島でいわき合宿として田代勝久トレーナーにミットを持ってもらったようですね。

「そうですね。試合が決まる前から行かしていただいているんですけど、いま角海老ボクシングジムで奥村(謙太)トレーナーにも教えてもらっているんですけど、奥村トレーナーに教えてもらっているものと田代さんから教わるものを自分のなかで混ぜて、自分のオリジナルのものを作りたいなと思って。お二人の指導のどっちもいいものを身体に入れたいなと思って、行かせていただいています」

──和田選手ほどのキャリアがある選手が、ボクシングパートひとつをとっても、2カ所で習い「オリジナルなものを作りたい」と思うものなんですね。

「あとはシンプルにボクシングの練習が好きなので、取り組みとして、ここまで来たらもう好きなところを伸ばしたいので、やりたいことをやっている、という感じですね。逆にやりたくない練習は1ミリもやってないです(笑)」

──ちなみに「やりたくない練習」というのは?

「筋トレとかフィジカル系のトレーニングですね。練習の最後にみんなでサーキットをやるくらいで、重い物を持ち上げたりとか、そういったことは何年もやっていないです。要らないと思っています」

──スパーリングやミットなどの練習でそこはついていると。すべてが出来た上で、やりたいことをさらに伸ばしているのだと理解します(笑)。その意味では、コロナで試合が無い中、9月に「FINISH」で橋本知之選手とグラップリングを戦ったことは「やりたいこと」の一つだったのですね。

「そうですね。相手が相手ですから。橋本知之選手とやれるんだったらやらせてもらいます、と。やっぱり“触れたい”ので。日本で一番の組み技の人に極めに来てもらう」

──岩本健汰選手との練習も含め、いまなお進化する手応えを感じているのでしょうか。

「組み技とかは尽きないですよね。たぶん5年後の方が僕は強いと思いますし、10年後と言ったら分からないですけど、知識や引き出しが増えるのが寝技だと思っているので。いろんな相手と組み合って教えてもらって、飽きがこないというか、楽しんでやっていますよ」

──1月のイヴァルニド・デルフィノ戦での首相撲&こかしも目を見張るものがありました。ヨッカイカーとそういう展開になったら、あるいはそうはならないのがMMAの面白さなのか、いすれにしても楽しみです。再びONEのフライ級戦線のなかで戦う和田選手のモチベーションはどこにありますか。

「変わらず、チャンピオンを目指してやること。ただ、誰とやりたい、とかはないですね。もうDJとやっちゃったんで。で、DJと今やって勝てる気もしないですし……試合になったら分からないですよ。ランカーたちもみんな強くて、ランカー外でもデファンやヨッカイカーらがいる。バラつきはありますけど、弱い選手はいない。一戦一戦に賭けていますし、一人ひとりやっつけていけば、タイトル戦が見えてきて、チャンピオンに近づくとは思っていますけど……DJは……今のままいたら困るなとは思っています(苦笑)」

──和田選手は正直ですね。

「でもDJが現役のうちに僕がそこまで行けるんだったら、もちろんもう一丁やりたいです」

──フライ級GPで優勝したデメトリアス・ジョンソンは、2021年2月24日、ONE世界フライ級チャンピオンのアドリアーノ・モラエスとのタイトルマッチに臨みます。

「ただファンとして楽しみたいと思います」

──DJ、アドリアーノ・モエラスを筆頭にダニー・キンガッド、カイラット・アクメトフ、若松佑弥、リース・マクラーレンといったランキングのなかで、5位のマクラーレンとはスプリット判定でした。再戦を考えることはないですか。

「マクちゃん、キンガッドには負けてますけど、すごくやりたいということではないんです。もちろん組まれればやります。ランカーを倒せば僕の評価も上がると思っているので。戦いたい相手は特にいないですが、思っていることはあるので勝てたら言いたいと思います」

──格闘技に取り組むことで人生を豊かに過ごす。そして日々の成果を見せる場が「試合」ということでしょうか。

「その意味では“発表会”ですね、試合は。自分が取り組んできたものを“試す”。子供もだんだん、親父が動いていることを分かって来てきるので、もうちょっと頑張ろうと思っています」

──最後に、11カ月ぶりの試合を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。

「そうですね……気楽に、自宅でのんびりと楽しんで見てもらえたら嬉しいなと思います」

若松佑弥「和田選手がチョークでタップを奪う」

「和田選手は凄く頭が良くて全てが高いレベルでできる選手です。ヨッカイカー選手は結構テイクダウンをされるので、和田選手に捕まると思います。それで、バックでコントロールをされて、チョークでタップアウトすると思います。和田選手、いい試合を楽しみにしています。頑張ってください!」

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