2020年12月13日(日)東京・両国国技館『K-1 WORLD GP 2020 JAPAN』にて、ゴンナパー・ウィラサクレック(タイ/ウィラサクレック・フェアテックスジム)の挑戦を受けての初防衛戦に臨むK-1 WORLD GPライト級王者・林健太(FLYSKY GYM)が所属ジムにて公開練習を行った。
これまで対戦相手に合わせてネタを仕込んで公開練習を行ってきた林だが、この日は一切笑いの要素はなし。信頼するキヨソンセン・トレーナーを相手にパンチのみのミット打ちを披露した。
公開練習後のインタビューでも「試合も近づいてきて疲労も今が一番ピーク。練習前に『やるぞ!』と気持ちを入れ直さないと動けないぐらい疲れてきてるんですけど、せなアカンことをやってきて、無意識に動きが出るぐらいまで刷り込んできてるので、いい感じです」と、限界ぎりぎりの練習で決戦に備えている。
昨年3月のタイトル獲得から初防衛戦となる今回。挑戦者のゴンナパーには3年前にKO負けを喫し、リベンジを誓ってきた相手でもある。当時所属していたK-1 GYM SAGAMI-ONO KRESTからFKYSKY GYMに移籍したのもゴンナパーへのリベンジが理由の一つだ。
「ゴンナパー対策はしっかりできてます。そもそも3年前にゴンナパー選手に負けて、ムエタイを一から理解しようと思ってこのジムに来たというのもあるので。それで対策がバッチリじゃないと『お前、この3年間何やっとんねん』ということになるんで、しっかり対策はできていると思います」
そのゴンナパー対策にあたっては、前回の対戦も参考にしつつ、改めてどうすればいいか勝ち方を練ってきた。
「実際にゴンナパー選手と向き合った時のプレスだったり動作だったりを思い出すために、前回の対戦を参考にしました。警戒するのはやっぱりあの蹴り。頑なに蹴りに対しての動きを刷り込んできたので、試合を楽しみにしていてください」
KREST時代の先輩・兄貴分でもある山崎秀晃が9月のK-1大阪大会で安保瑠輝也を劇的なKOで沈め、スーパー・ライト級王座を戴冠。林も「9月のヒデさんのタイトルマッチを見ていて、相当なプレッシャーもあって、すごい大舞台のメインイベントで、進退も懸けた大一番だったのに、あの勝ち方ができるというのは、プロとしてすごい。いつでもエンターテイナーの試合をするなと自分も刺激をもらいました」と感じるものがあったという。
理想の勝ち方を「ただ勝つんじゃなくて、ああやっていろんな人を感動させられるような試合」とする一方、今回の防衛戦は「何が何でも勝ちたい」という気持ちもある。
「理想はKOですし『いい勝ち方したい!』という気持ちはあるんですけど、正直に言うと、今回はとにかく勝ちたい。何が何でも勝ちたい。それが一番ですね。自分がやってきたことを出すことができれば、頭の中で何百回・何前回とゴンナパー選手に勝てるんで、自信はあります。(3月に朝久泰央に敗れて)いろんな人の期待を裏切っちゃったんで、今回は何が何でもみんなの期待に応えたいです、ホンマに。その気持ちがすごく強いですね。
練習がしんどいのは当たり前で、『今日は疲れたな』とか『今日は動きが悪いからオフにしようかな』とか思うことはあるけど、応援してくれてる人たちの声を、野菜コーナーの『生産者の声』みたいな感じで、『頑張ってな』『頑張ってな』というのを頭の中でずっとスライドショーで流してるんですよ。それがメチャメチャ力になるんです、『やらな! この人たちのために頑張らな!』って思うんですよね。(朝久戦の敗因は)熱くなりすぎて周りが見えてなかったし、周りの声も聞こえてなかったし、ただただ熱くなってしまったというのが、一番ダメな点でした。だから今回、一番心がけるのは、冷静に、クレバーに戦うことです。『心は熱く、頭は冷静に』です。任せてください」
今回は王者でありながら、リベンジマッチということもあり、「挑むという気持ちなのか」と問われると、林はうなずいた。
「チャンピオンになってから、他のチャンピオンと比べられるわけじゃないですか。武尊君もそうですけど、『あのチャンピオンは強い』とか。でも『林だけはすごくない』みたいな感じで思われてるから、技術的にももっとレベル上げて頑張らなとか、もっとチャンピオンらしい試合をせなとか、いろいろ考えました。でも前回負けて、チャンピオンらしい試合をするとかそんなんは考えずに、とにかく勝ちたいと思うようになりました。だから防衛戦というよりも、王座決定戦ぐらいの気持ちでいます」
最後に、改めて「KOするとしたらパンチになる?」と聞かれると、林は「KOできるとしたらパンチしかないですね。俺が蹴りでKOする姿なんて、自分でも想像できないんで」と回答した。