11月大会ではTKOに敗れた渡慶次が再起戦に臨む
2020年12月6日(日)東京・後楽園ホール『REBELS.68』(昼の部)にて、津崎善郎(LAILAPS東京北星ジム)と71.5kg契約 3分3R延長1R REDルールで対戦する渡慶次幸平(クロスポイント吉祥寺)のインタビューが主催者を通じて届いた。
渡慶次はパンクラスを主戦場とするMMAファイターだったが、2017年からミャンマーの超過激格闘技ラウェイに参戦。現在まで6勝4敗5分と本場ミャンマーの選手を相手に勝ち越しており、その勝利の中には2018年6月にミャンマーの英雄ソー・ゴー・ムドーをKOした試合や、同年12月にミャンマーで開催された国際大会の『KBZ グランドファイナル』でKO勝ちして日本人2人目の同大会王者に輝いた試合も含まれる。
新型コロナウイルスの影響でミャンマーの選手が来日できない状況のためラウェイの試合が組まれず、9月の『KNOCK OUT CHAMPIONSHIP.2』でキックボクシングルールに初挑戦。NKBミドル級4位・釼田昌弘(テツジム)を左ローと左フックでダウンさせ、3R1分59秒でTKO勝ちを収めた。しかし、11月の2戦目で長身のムエタイファイター小原俊之のヒジ打ちで負傷ドクターストップに追い込まれ初黒星。その後、試合で受けた傷口の回復経過を確認した上で、4週間での連続出場が決まった。
ヒジを狙ってくれたら僕の勝ちが確定するので楽しみ
――前回、11月8日の『REBELS.67』小原俊之戦では2Rにヒジ打ちによるカットでTKO負けでしたが、敗因は?
「僕のローが効いていてパンチもいい形で何発か入って、完全に倒せる流れが来たので、倒しちゃおうと思って突っ込んだらまんまと相手はヒジを狙っていて、大きなフックにヒジを合わせられて斬られてしまいました。相手に勝つ気がある状態の時に僕が行ってしまったことが敗因になります」
――まさに油断大敵ですね。
「試合当日、会場に来る前にたまたま大月晴明選手に会ってアドバイスをもらったんです。『リングに上がったら相手を殺す気で行くけれど、自分の攻撃が効いたからといってイケると思ったら絶対にダメだ』と言われたんです。自分がイケると思った時は相手のことを冷静に判断できていないので、そういう時に相手が僕に勝つ気だったり気力が残っていると一撃をもらって逆転されちゃうということでした。
――まさにその通りの展開になってしまったんですね。
「そういう時にどうするかと言ったら、相手を効かせた時こそ慎重に相手が生きているのか死んでいるのかを確認した上で殺しにいくと。それを今は徹底して練習しているので、12月6日は“見るに耐えない渡慶次幸平”が見られるんじゃないかと。お客さんをドン引きさせますよ」
――試合が楽しみになりました。改めてラウェイとは違うキックの難しさを感じました?
「早めに試合が止められてしまうことですね。ラウェイではあんな傷では試合が止められないのですが、キックはスポーツなのでストップが早い。自分は斬られてもいいや、というスタンスではダメだなと。ラウェイでは目が塞がったりしない限りは試合が止まらないんです」
「前に出てくる根性があって、頑丈なので叩き甲斐がありますね。キャリアもあってタイトルマッチも経験されていて『REBELS』でも何戦もされているので、そういう意味では凄く尊敬している選手なんですが、僕はここで負けては死んでしまいます。映画『迷子になった拳』の全国ロードショーも控えてますし、本決まりではないのですが、来年は地上波で僕のドキュメンタリー番組の放送も決まりそうなんです。大晦日のRIZIN出場も見据えて、グローブを付ける業界に“これはやばいやつが出て来たぞ”と震撼させるような凄い試合を見せないといけないと思っています。格闘技を始めて14年経つのですが、今一番練習してますし、一番強い渡慶次幸平がいます」
――津崎選手は、渡慶次選手と同門の吉田英司選手と昨年10月に「REBELS-MUAYTHAIスーパーウェルター級王座決定戦」を争って敗れています。吉田選手からアドバイスはありました?
「距離を詰めさせない方法や、相手の癖、弱点を聞いたので、自分の中ですり合わせていてもう万全です」
――津崎選手にインタビューしたところ、小原戦を参考にして「渡慶次選手が中に入ってきたところを僕もヒジ打ちを狙おうと思います。彼にとってはデジャヴのような試合になるでしょう」と言われていました。
「それはそう来るでしょうね。ヒジを狙ってくれたら僕の勝ちが確定するので楽しみにしてます(笑)。それを見たら僕にヒジを当てに来る選手もいなくなるでしょう」
――映画の全国ロードショー、地上波放送と今、渡慶次選手に注目が集まる中、『REBELS』から渡慶次選手のコメントで「2021年いっぱいで渡慶次は現役選手を引退します。狂戦士の闘いを生で観られるチャンスはあと6試合から8試合だと思います。見ないと損します」と発表されました。なぜ来年に引退なのでしょう?
「今やっているミャンマーの子供支援だったり、格闘技界を次の世代に大きくして渡していきたいという想いが僕の中にはあって、それをどういうふうにやっていくかと考えた時に僕自身がパンチドランカーといったダメージを負ってしまうと、自分の活動が必ず制限されてしまいます。まともに喋られない選手の話を誰が聞くんだと。あと、僕の美学としては、負けが続いた状態での引退は嫌なのでカッコいいまま引退したいんです。前回は負けてしまいましたが、渡慶次の試合はやはり面白い、まだイケる、もっと戦いを見たいと思われる、希少価値のある選手になりたい。一戦でも多く僕の試合を見たら自慢になるような試合をお見せするので見逃さないように。僕の可能性、凄さ、強さを見せ付けて辞めていく。惜しまれつつ辞めていくのはカッコいいですよね」
――K-1MAXで強さを見せていた魔裟斗さんの引退を思い出します。あと6~8試合ということでしたが、実現したい試合はありますか?
「アメリカのラスベガスでやっているベアナックルファイトのような大きな舞台でやってみたいですね。あと、来年はミャンマーではラウェイの大会も再開すると思うので、敵地に乗り込んで今強いと言われているやつを倒しにいきたい。まあ、キャリアの最後なので『こいつに勝てるの?』と思われる選手とやって倒す。そういう渡慶次幸平を自分自身は見たいですし、お客さんにも見せたいですね」
――国内でやり遂げたいことはあります?
「同じ大会に出る松倉信太郎君とはツイッターで『やりましょう』というやり取りをしたのですが、ジムの先輩の日菜太さんからは『渡慶次のベストパフォーマンスのできる体重は70kgだよ』と言われたので、松倉君には『REBELS』『KNOCK OUT』の75kgを盛り上げてもらって、僕は70kgを盛り上げようかなと。僕はMMAもできるので、70kgのMMAファイターで強いと言われている選手とやりたいですね。MMAでも以前とは違う戦い方も見せられます」
――同じジムのT-98選手がボブ・サップ選手との対戦をアピールしていましたが、無差別級の戦いに興味は?
「そういう大きな選手と戦うのはT-98さんに任せて、僕は『こいつ誰とやったら勝てるの?』と思われている選手を倒したいんです。K-1MAX(2004年2月24日)で村浜武洋選手をKOした時の山本"KID"徳郁選手のような選手がカッコいいと思いますし、そういう選手がどんどん『REBELS』『KNOCK OUT』に集まってきてほしい。今だったら鈴木千裕、龍聖君のような、ただ華があるだけでなく、殺傷能力が高くてお客さんを満足させる選手たちが『REBELS』『KNOCK OUT』で育っています。他団体にいこうと思っている選手が、やはり『REBELS』『KNOCK OUT』でしょ! と思われるような大会にしていくのも2021年の僕の目標、目的ですね。やはり自分が出ている団体が盛り上がっていると気持ちいいですしね」