シュートボクシング「SHOOT BOXING 2020 act.2」2020年11月28日(土)東京・後楽園ホール
▼第7試合 70.0kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R ※ヒジあり〇海人(TEAM F.O.D/S-cup2018世界王者、SB日本スーパーライト級王者)KO 3R 0分14秒 ※右ハイキック×喜多村誠(ホライズン・キックボクシングジム/第4代新日本キックボクシング協会ミドル級王者)
海人は2月大会でブアカーオからの刺客ピンペットと8Rにも及ぶ激闘を繰り広げ惜敗したが、8月の『RIZIN』で自身の階級より5kg以上重い契約体重(73kg契約)での試合(vsルクク・ダリ)に臨み完勝。10月の「RISE」では70kg級のトップファイター・緑川創とヒジなしの70kg契約で対戦し、判定2-0の激闘を制している。
喜多村は大学の空手部で主将を務めたのち、伊原道場に入門して2005年7月に新日本でプロデビュー。2011年10月に第4代日本ミドル級王者となった。2015年5月にはラジャダムナンスタジアム認定スーパーウェルター級王座にも挑戦している。2018年10月、元ラジャダムナンスタジアム認定スーパーウェルター級王者のT-98をヒジでカットし、TKO勝利。前戦は2020年3月のREBELSにて津崎善郎に延長戦の末に勝利を収めている。7月に新日本キックボクシング協会および伊原道場の所属から離れ、ホライズン・キックボクシングジム所属として活動していくことを発表した。
1R、海人は右ストレート、左ボディ、右前蹴りと前に出て積極的に攻めていく。そして右カーフキック。喜多村はジャブを多用し、左ローを蹴っていく。海人の右ストレートに右フックを返した喜多村。組み付くと海人がヒジ、喜多村はなんと投げを狙う。そしてラウンド終了間際に投げを決めたが、これはノーポイント。 2R、タイミングのいい前蹴りを放つ海人。喜多村もギアを上げてパンチの連打から右ヒジを放つ。柔道経験者だという喜多村は組むと投げを狙う予想外の戦法に。海人はヒジを空振りしてバランスを崩した喜多村の顔面へヒザを連打。さらに海人は右の縦ヒジを打ち込み、コーナーへ詰めるとパンチとヒジの連打。喜多村は左目下から出血してドクターチェックを受ける。
3R、海人は左ボディ。そこから打ち合いになるかと思われた瞬間、海人の右ハイキックが鮮やかにヒット。喜多村は一瞬にして意識を刈り取られて失神して崩れ落ち、海人の豪快なKO勝ちとなった。喜多村はしばらく起き上がれないほどのダメージを負った。
海人はマイクを持つと「SBのリングで挨拶できるのが久しぶりで凄く嬉しいです。大変な時期に会場まで来ていただきありがとうございます。僕は今年もう1戦できると思うので、去年は決まりそうで決まらなかったんですが、今年大晦日待っています。来年もシュートボクサーたちをよろしくお願いします」と、RIZIN大晦日大会への出場をアピールした。
▼第6試合 SB日本フェザー級(57.5kg)王座決定戦 エキスパートクラスルール 57.5kg契約 3分5R延長無制限R〇笠原友希(シーザージム/SB日本フェザー級1位)KO 4R 1分07秒 ※左フック×手塚翔太(Sublime guys・GONG-GYM坂戸/SB日本フェザー級4位)※笠原が新王座に就く。
笠原は11戦目のSB日本スーパーバンタム級王座決定トーナメント決勝戦で、植山征紀に敗れるまではプロデビュー以降10戦全勝をマーク。2019年6月には国内55kg級トップクラスの小笠原瑛作をヒジ打ちによるカットでTKOに破る大番狂わせを演じた。5連勝の勢いに乗って2020年7月、那須川天心への挑戦者募集に応募して対戦相手に選ばれたが初回KO負け。今回が再起戦で2度目のタイトル獲得に挑むこととなる。戦績は15勝(7KO)2敗。
対する手塚は笠原と同じ2001年生まれで、2018年3月にプロデビュー。笠原とは2019年4月に対戦し、初回KO負けを喫しており、今回はリベンジマッチ。タイトル挑戦権の懸かったCAESARS LEAGUE 2019で単独トップとなり今回のチャンスを得た。戦績は6勝(2KO)5敗1無効試合。
1R、サウスポーの笠原は左ミドル、左ボディストレート。手塚も負けじと左フック、右ボディを打つ。右ストレートを顔面とボディに打ち込む笠原。手塚は左フックの3連打で笠原を追い込み、ピンチに陥ったかに見えた笠原が豪快な裏投げでシュートポイント(2点)。打ち合いに行く手塚に笠原も応える。
2R、右を打とうとした手塚に笠原がカウンターのヒザをグサリと突き刺す。それでも向かって行く手塚。笠原は左ハイもヒットさせるが、手塚は全く怯まずプレッシャーをかけて左フックを打ち込む。さらに激しい打ち合い。左フックで笠原がダウンを奪う。笠原の左ストレート強打へすかさず左フックを返す手塚。そして手塚の左フックで笠原の身体が泳ぎ、左フック3連打でついに笠原ダウン。立ち上がったところでゴング。
3R、両者のスピーディーかつ軽量級とは思えないパワフルな打ち合い。ダイナミックな見ごたえある攻防が続く。ダウンのダメージがある笠原に襲い掛かる手塚。笠原も必死に打ち返す。危険な打ち合い。笠原が右フックから左ボディを打てば、手塚は右ストレートを直撃させる。さらに手塚の右フックがヒット。
4R、笠原が右フックと左ストレートの連打でラッシュを仕掛け、手塚を追いかけまくる。次々と強打がヒットし、逃れようとする手塚だが笠原は逃さず連打。そして最後は左フック。手塚がバッタリとダウン。壮絶な倒れ方にレフェリーはその場でストップ、笠原のKO勝ちを宣した。
ベルトを巻いた笠原は「無事勝てて王者になれました。自分はたくさんの人に支えられて、会場には160名以上は自分の応援に来ていただいています。応援でここまでなれたり、みんながいないとダメになってしまうのでこれからも応援お願いします。当たり前ですが、自分は親がいないと何もできず、おばあちゃんがいないとまだまだ未熟者ですが、たくさんの人に支えられて兄の背中を追ってここまで来ました。これからもっと大舞台に立てるように、他の団体のチャンピオンに負けないように頑張りますので応援よろしくお願いします」と、王者としての所信を表明した。
大激闘に終止符が打たれたが、手塚のセコンドは「ヒジ打ちが後頭部に当たった」とリング上で抗議。後日、審議が行われる可能性もありそうだ。
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▼第5試合 62.0kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R〇笠原弘希(シーザージム/SB日本フェザー級王者)判定3-0 ※30-27、30-28、30-26×ハルク大城(ボスジムジャパン/パンクラス2013年ネオブラッド・トーナメントフェザー級優勝、TRIBELATEキックライト級王者)
笠原はSB次期エース候補として期待され、2018年9月、SB日本フェザー級王座決定戦で元貴を下して王座を獲得。6月大会では前SB日本スーパーバンタム級王者・ 内藤大樹との接戦を制し、2019年9月のSB日本スーパーフェザー級タイトルマッチでは王者・深田一樹を2RKOで下して二階級制覇を達成した。12月の新日本キック対抗戦では重森陽太のヒジ打ちによるカットでTKO負けを喫したが、今年2月には前口太尊を大激闘の末にTKOで降した。
ハルクは2004年ウェイトリフティング全国高校総合体育大会でトータル272.5kgを上げて優勝。アマチュアを経てプロMMAデビューを果たすと、ぶんぶん振り回す強打を武器に主戦場とするパンクラスでは2013年新人王トーナメント優勝の実績を持つ。2012年から2018年までパンクラス上位ランカーと激戦を繰り広げ、8勝4敗2分の戦績。戦いの舞台をキックのリングに移しても、現在連勝記録を更新中。
1R、サウスポーの大城の左右フックに笠原は“もっと来いよ”と手招き。大城のボディフックに左フックを合わせようとするが、大城はパワフルな左右フックを打ち込む。そのパンチをブロックする笠原だが、被弾も許す。強烈なパンチを受ける笠原だが、左フックで大城の足がもつれ、後退するところへ左の追い打ちでダウンを奪う。コーナーへ詰めての連打とヒザでラッシュを懸ける笠原。城もフックで応戦。
2R、笠原は右ミドルをクリーンヒットさせ、大城が組み付いてくるとヒザ蹴り。大城が低い体勢からの右フックをヒットさせた。
3Rは序盤から激しい打ち合いに。笠原がオーソドックスに戻った大城に左右フック、左ボディを次々とヒットさせ、大城も左右のフックで前進。笠原は右ミドルとジャブ、大城もボディから顔面を打つ。笠原の左ボディが強烈にヒットしても、ハルクは打ち返す。 最後は打ち合い。笠原はつかむと頭部へのヒザ蹴りを連打、そして左フックのクリーンヒット。粘った大城だったが、判定は3-0で笠原の勝利となった。
▼第4試合 SB日本女子ライト級(62.5kg)初代王者決定戦 エキスパートクラスルール 3分3R延長無制限R〇未奈(秀晃道場/SB日本女子ライト級1位)判定3-0 ※30-25、30-24×2×溝口孝湖(WATANABE GYM/HOOST CUP女子スーパーライト級王者)※未奈が初代王座に就く。
未奈は女子大生ファイターとして2010年10月にプロデビュー。“東北の剛腕美女”の異名を持ち、女子離れしたパンチ力で連続KOを飾ったとともにその端正なルックスでも注目され、雑誌グラビアを飾った。2011年8月からはSBを主戦場とし、対戦相手を“フルボッコ”にするスタイルで戦績は14勝(5KO)8敗。昨年のGirls S-cupではMMAルールに初挑戦してKO勝ち。前戦は2019年9月大会でシン・ミンヒ(韓国)に完勝して現在5連勝中。
対する溝口は“尾張の重戦車”の異名を持ち、女子離れした破壊力のある攻撃力が光る国内女子重量級のエース選手。こちらも強すぎて相手探しが難航、ここ数戦は主戦場とする『HOOST CUP』で外国人選手との対戦が続く。昨年5月にはHOOST CUP女子スーパーライト級王座決定戦でアーネスト・ホーストの愛弟子でWKU世界スーパーライト級王者マーレーン・オクックスを右フックで1R62秒の秒殺でタイトルを獲得した。以前から未奈との対戦を熱望しており、ようやく決まった一戦にモチベーションは高いという。
未奈は白ランのコスプレで入場した。
1R開始早々、足を止めて打ち合う両者。2度目の打ち合いでは皆が首投げでシュートポイント(1点)を奪う。さらに足を止めて左右フックで打ち合う両者に場内はどよめく。ワンツーで攻める溝口に未奈は右ストレートから左フック。組み付くと鮮やかな首投げで2度目のシュートポイント(1点)。
2Rもいきなり打ち合う両者。連打の応酬に合わせて手拍子が起こる。パンチの回転力に優る未奈が打ち勝つ場面が目立つ。未奈の左ボディに右ストレートで対抗する未奈。そして3度目の首投げでのシュートポイント(1点)。続けて首投げでまたもシュートポイント(1点)。未奈は笑顔を浮かべてパンチを繰り出す。
3R、笑顔の皆はストレート連打で打ち合うと投げを狙う。溝口も左右フックで応戦。未奈はジャブからワンツー、そして組み付くと首投げでシュートポイント(1点)を加算する。ラスト10秒で両者足を止めて左右の連打で打ち合いを繰り広げ、場内は拍手に包まれた。
判定は大差で未奈の勝利。見事、初代王座に輝いた。白いコスチュームに赤いベルトを巻いた未奈は満面の笑み。 未奈はマイクを持つと「欲を言えば倒したかったんですけれど、溝口選手も強かったので。今回はSBルールで勝つというのを目標にしていました。毎日練習したくないとか、ミット持ちたくないとか言いながら練習に付き合ってくれた会長、ありがとうございました」と言うと思わず涙が込み上げた。
続けて「大晦日に出たいとか海外の大会に出たいとか他の協会に出たいとか言ってる人がいますが、私はSBが大好きでこれからもSBで頑張りたいと思っています。これからもSB協会をよろしくお願いします」と“シュートボクシング愛”を語った。
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▼第3試合 63.0kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R〇村田聖明(シーザージム/SB日本ライト級2位)判定3-0 ※30-29×2、30-28×般若HASHIMOTO(クロスポイント吉祥寺/元グラディエーター武士道キックフェザー級王者)
村田は無尽蔵のスタミナから繰り出されるワンツーを主体とした手数を武器に、2017年9月にSB日本スーパーフェザー級王座を獲得。2階級制覇を狙い、昨年9月にSB日本ライト級王座決定戦で西岡蓮太と対戦。7Rに及ぶ大接戦の末に敗れたが、前口太尊、マサ佐藤、山口裕人、ラウェイ戦士・東修平といった国内強豪との一戦を次々とクリアーしている。
対する般若は被弾しても止まらない前進で会場を沸かせる攻撃型ファイター。勝利した試合のほとんどをKO勝利しており、過去にはKrush、HEAT、巌流島、超過激格闘技ラウェイなど様々なリングでの試合を経験。2018年8月の『RIZIN』では内藤大樹とも対戦している。打ち合いにも自信を持つ村田との一戦は激しい乱打戦となるか。
1R、サウスポーの般若に村田は右インローと右ストレート、般若は左ミドルを返す。下がる般若に右フックをクリーンヒットさせる村田。じりじりと歩み寄る村田に下がる般若という展開で初回は終了。
2R、組み付いた般若はバックドロップを狙ったがこれは不発。前に出て右ミドルと左右フックを繰り出す村田だが、カウンター待ちの般若に村田もあまり手が出ない。残り10秒で打ち合いとなり、般若はまたしても組み付いての投げを狙ったが失敗。
3Rはパンチを出してくる般若に村田の右ストレートがヒット、般若もボディを叩く。ワンツーで仕掛ける般若に村田は右ミドルを連発。最後まで両者単発、展開の少ない試合となり、村田の判定勝ちとなった。
▼第2試合 69.0kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R〇村田義光(シーザージム/SB日本ウェルター級4位)判定3-0 ※10-9×3×璃久(志真會舘/SB日本スーパーウェルター級5位)※本戦の判定は30-29、29-30、29-29でドロー。
1R、サウスポーの村田へ右ストレート、右ミドルと見の攻撃を多用する璃久。村田は逆に左ストレートと左ミドル、組んでのヒザを見舞う。前へ出る村田に璃久の右ミドルが何度もクリーンヒット。 2Rもどんどん前へ出るのは村田。璃久の右ストレートを顔面とボディにもらっても前へ出て左ストレート、右フック、そしてヒザ蹴り。璃久の右ミドル、右ストレートの攻撃が目立つが、村田が前へ出続けている印象も強い。
3R、璃久の強烈な右のカウンターが決まるが、それでも村田は前へ出る。しかし、璃久のパンチが顔面へ。村田も右ストレートを直撃させ、組んでのヒザ蹴りで璃久を消耗させる。最後は村田が攻める形で終わり、本戦の判定は三者三様でドロー。
延長R、村田は左ミドルと右のジャブ&ストレートで前へ出る。さらに前蹴りで突き放し、璃久は下がってしまう。どんどん前へ出て攻める村田に璃久は単発に終わり、右フックを命中させるなどした村田の判定勝ちとなった。
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▼第1試合 58.0kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R―山田彪太朗(シーザージム/SB日本フェザー級)無効試合 2R 2分13秒―田渕神太(国際空手道 拳聖塾/ABWバンタム級王者、ACCEL同級王者)
1R、まずはジャブ&ローの交換から。山田は右ストレートから左フックを返し、田渕は左ボディを狙い撃ち。山田は蹴り足をキャッチしてのコカしを何度か見せる。
2R、田渕が入ってくるところにジャブを合わせる山田。田渕は左フックからの右フック、左フックのダブルを繰り出すが、山田が右ストレートをヒットさせる。田渕が組んでくるとフロントチョークに体勢に入る。これは逃げられ、続いて肩固めを仕掛けるが同体で倒れたため極まらず。ここで両者が出血したためドクターチェック。
田渕の出血が激しく、ドクターストップで山田の勝利と一度は告げられたが、第2試合終了後に負傷はバッティングによるものだと判断され、ノーコンテストとなった。両者は次回再戦となることも告げられた。