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2020年は、大晦日格闘技大会が開催されてから20年目を迎える。
2001年に“猪木祭”と呼ばれた『INOKI BOM-BA-YE 2001』でK-1vs.猪木軍が行われてから、今年でちょうど20年目。その7年目にあたる2007年12月31日、さいたまスーパーアリーナにて、「やれんのか! 大晦日! 2007」が開催された。
同大会は、PRIDEが2007年に米国UFCのオーナーに買収された末に活動を停止。行き場を失ったスタッフと選手が、日本のFEGとDEEP、米国で新たに旗揚げするM-1 GLOBALの協力を得て開催することになった大会だ。
「集結セヨ。」と銘打たれた大会には、主催者発表で27,128人のファンが集まり、第5試合では「Dynamite!! 協力試合」として、三崎和雄vs.秋山成勲が行われている。
前年の桜庭和志戦のノーコンテスト後、韓国でデニス・カーンを一撃KOした秋山。デニス・カーンに判定勝利し、米国での敗戦を経て、秋山戦に向かった三崎和雄。「やれんのか! 大晦日! 2007」は、1Rが10分でサッカーキックあり。HERO'Sとは異なるPRIDEルールでの試合だった。
試合は、入場時に大ブーイングを浴びた秋山が、右ストレートでダウンを奪い先制。しかし立ち上がり、“第2エンジン”を発動させた三崎が逆転の左フックでダウンを奪い返し、起き上がろうとした秋山にサッカーキックを打ち込み、1R 8分12秒KO。しかし、それは後に反則のポジションでの蹴りと認定され、試合結果は「ノーコンテスト」に変更されている。
あれから13年を経て、三崎と秋山が本誌『ゴング格闘技』(11月21日発売)にて初対談を行った。
笑顔の握手から始まった13年目の邂逅。しかし、あの日の大晦日の会場の動画が流れると、両者の表情は途端に険しくなった。
「誇り高き最強トーナメントのテーマに乗せて、ヤツがやってくる。秋山、敵地へ。文字通り怪物──」
ヒールとして描かれた煽りVを、秋山は入場前に待機スペースで見たという。柔道衣を纏っての入場。そこには超満員の観衆から容赦ない大ブーイングが浴びせられた。
「ヒール役……そういうふうな感じにはなっていましたね。ただ、心が乱れるとかは無かったです」と、秋山は振り返る。
「ただ、会場はほぼ100パーセント、三崎選手の応援だったので、ものすごいなと感じたのが記憶にあります。会場の空気は、想像以上でした」。
対する三崎は、いつもの入場曲に腕を回して花道に登場。その表情はすでに感極まっていた。泣いているようにも見えた。
「そうですね。この一戦に関しては、やっぱり今までと違う感情も正直あったし、自分の使命感というか、もう俺は行かなきゃという気持ちが先走っていました」
Dynamite!! で試合が組めず、貸し出しの形で「向こうで戦ってくれ」とアウェーに送り出された秋山。「誰が止めるのか、誰も止められないかもしれない」と煽られ、迎撃することになった三崎。
両者は何を思い、どう戦ったのか。そして、その後の13年をいかに生きたのか──。今回の大晦日特集号では、大晦日「8分12秒の真実」にフォーカスし、両者がリング上での歴史的な死闘を、初めて語り合っている。また、対談の一部は秋山のYouTubeチャンネルでも公開予定だ。
『ゴング格闘技』2021年1月号(NO.311)は11月21日(土)発売だ。