4月21日(日)『RIZIN.15』横浜アリーナ大会に出場する渡辺華奈が11日、所属ジムである高田馬場「FIGHTER'S FLOW」にて公開練習を行った。渡辺はポーランドの現役軍人であるヤスティナ・ハバと57kg契約・5分3R・ヒジありルールで対戦する。
柔道で元全日本女子指定強化選手だった渡辺はMMA転向後、6勝1分。2018年8月の赤林檎戦の腕十字での一本勝ち以降は、大晦日に杉山しずかとの再戦で11秒TKO勝利、2019年3月9日のガン・スミン戦でも1R4分33秒パウンドでのTKO勝ちと、このところ3試合連続でフィニッシュしている。
「ファイトスタイルに迷いがなくなった」という通り、柔道ベースの強みを活かし組んで投げて極めるために、打撃から始まるMMAにおいてハバとスタンドで対峙する時間がくると考えている渡辺は、公開練習でも2分3R、上田貴央代表が持つミットにパンチ・キック、さらにパウンドを打ち込み、「しっかり打撃をやって試合展開を作っていきたい」と抱負を語った。
また、大晦日に真珠の腕を縛ってのリアネイキドチョークで一本勝ちしているハバの組み技については、「キックボクシングべースと聞いていたけど、寝技も出来てオールラウンダーな一本が取れる選手」と、グレイシーバッハ仕込みの寝技を評価する一方、「負けるイメージはない。上は取れると思います。それで、逃さない」と、得意のトップからの攻撃、さらに相手にバックを取られることなく、抑え込んで極める自信をのぞかせた。
公開練習の最後に、「いま70kgはある」という練習仲間で初代Fighting NEXUSバンタム級王者の渡部修斗を肩にかついだまま渡辺は、「クソ軽いです」と笑顔で難なくスクワットを披露した。渡辺華奈との一問一答は以下の通り。
渡辺「現役軍人と聞いて『だから何?』て感じです」
──試合まであと10日ほど。コンディションはいかがですか?
「コンディションはバッチリで、特に怪我もなく体重も順調ですごくいいです」
──現時点での練習メニューはピークを過ぎていますか?
「今はもうある程度確認作業をする感じですね。ここからは疲労を溜めずに万全に臨めるようにしている感じです」
──試合のイメージは出来ていますか?
「はい、出来上がっています」
──打撃、寝技どちらの展開をイメージしていますか?
「どちらでも穴のないように、自分のやるべきことは明確に定まっているので、それをしっかり遂行します」
──理想的なフィニッシュは?
「やっぱり完全決着というか、判定じゃなくて一本かKOでしっかりフィニッシュしたいと思っています」
──改めて対戦相手のヤスティナ・ハバ選手の印象を教えてください。
「映像は1試合しかなくて、1試合しか見ていないのですが、キックボクシングベースと聞いていましたけど、寝技もしっかりできて、オールラウンダーな選手だなと感じてます。一本取ることが出来る選手ですので、もちろん自分も一本を狙っていくので、結構バチバチした面白い試合ができそうなので楽しみです。……あとは美人な選手だなって思います(笑)」
──今日は打撃中心の練習でしたが、今回は打撃が鍵になる?
「そうですね。自分が得意なのはグラウンドなんですけど、しっかり打撃をやって試合展開を作っていきたいと思っているので、その意味では鍵になるかと思っています。寝技に行くための打撃というか」
──これまで無敗で連勝しているのはプラス、あるいは重圧になる?
「連勝はすごい嬉しいことで、プラスに捉えていますけど、一戦一戦やってきた結果が連勝に繋がっているので、毎試合勝つと思ってやっているので、連勝について特に意識することはないです。今回もこの1試合に全力を注いだ結果、連勝に繋がればいいなと思います」
──会場は横浜アリーナですが、横浜への思い入れはありますか?
「横浜アリーナは湘南乃風のライブで一回行ったことがあります。めちゃくちゃタオルを振り回した記憶があります(笑)。あとは中華街のイメージ。毎年横浜では柔道の試合が行われていて、今年も同じ日に違う会場で柔道の試合があります(4月21日横浜文化体育館で『第34回皇后盃全日本女子柔道選手権大会』)。同じ日に一緒に仲間も出るんで、同じ日に戦うって気持ちで。アガる試合をしていきたいですね」
──ここ最近は一本、KOが多いですが、何が変わった?
「自分の中でファイトスタイルに迷いがなくなったというか。自分の得意分野で勝負しようと開き直った部分があります」
──迷いとは?
「色々なことをやった方がいいのかなぁとか。やっぱり自分の柔道ベースをしっかり活かせるように相談して練習していて、それがやっと1年経ったくらいからやっとちょっとずつ試合で出来るになってきました」
──互いに寝技を得意としていますが、異なる部分もあると思います。ハバの寝技をどのようにとらえていますか。
「寝技の技術は……というか技は知っている選手かなと思うんですけど、まあ負けるイメージはないので、柔道と総合格闘技は違うと思うんですけど、しっかりとアジャストしてやっていけるかなと思います」
──得意の上のポジションは取れますか?
「上は取れると思います。そして、逃さないと思います」
──相手は現役軍人ですが、何か思うことはありますか?
「あんまり関係ないかなと思います(笑)。軍人の方と聞いてますが、自分も積み上げてきたものがあるので、そこは特に。『だから何?』て感じです」
──「強さを求める」と言っていましたが、強い軍人に対してのライバル意識も?
「女性で軍人なので強い女性だと思いますが、特にそこに関してはライバル意識だったり敵対意識はないです。同じ総合格闘技をする女性アスリートだと思っています」
──女性に対して伝えたいこと、メッセージなどはありますか?
「やっぱり、私も女性で柔道、格闘技を頑張ってきたので、頑張っている女性を応援したいという気持ちはすごくあります」
──その意味でほかの女子の試合も意識しますか?
「そうですね……あんまりしないです(笑)。ライバル心とかはないです」
──柔道時代も海外勢とやってきました。国際戦という事に対しての苦手意識は?
「全くないです。外国の方は得意なので、いいイメージです。総合では前回の韓国の選手しか戦っていないんですけど、柔道では色んな国の選手と試合して、全然負けないというか、結構勝てていたので。むしろ日本の選手の方が緻密に作戦を立てているようなイメージなので、日本人選手の方が嫌だなっていう感じです」
──会見でベルトを作って欲しいと言っていましたが?
「やっぱりこの階級(57kg)を盛り上げていかないといけないし、私が(ベルトを)直訴させていただいたので、自分が目立った試合をしてもっと強く言えるようにいい試合をしてアピールしたいなと思います」
──もっと押しが必要?
「そうですね。まだ自分の実力、実績が伴っていないとは思うので、今回の試合もそうですし、試合の結果でアピールできたらなと思います」
──大晦日までにはタイトルを作って欲しい?
「そうですね。タイトルマッチとかできたらすごく幸せですね」