2020年11月13日(金)、シンガポール・インドアスタジアムで事前収録された「ONE: INSIDE THE MATRIX 3」が配信された。
同大会では、日本から箕輪ひろば(総合格闘技道場STF ※リト・アディワンに判定勝ち)と、手塚裕之(ハイブリッドレスリング山田道場/TGFC)が出場した。第13代PANCRASEウェルター級王者の手塚裕之は、9戦無敗のムラド・ラマザノフ(ロシア)と対戦。
▼ウェルター級(77.2kg-83.9kg) ○ムラド・ラマザノフ(ロシア)83.75kg, 1.0018[判定3-0]×手塚 裕之(日本)83.0kg, 1.0233
“野生獣”の異名を持つ手塚は、PANCRASEでの勝利7勝のうち5勝が打撃によるKOという強打者。2019年10月のONE両国大会では、修斗世界ウェルター級王者のエルナニ・ペルペトゥオに判定勝利し、9月10日の前戦『Road to ONE:3rd TOKYO FIGHT NIGHT』では、グンダー・カルンダ(コンゴ)に左フックで1R KO勝利を飾っている。
対するラマザノフは2014年のプロデビューから、現在まで9戦全勝。2020年2月のONEデビュー戦で、ベ・ミョンホ(韓国)を1R TKOに下すなどフィニッシュ率77%を誇る。UFC世界ライト級王者ハビブ・ヌルマゴメドフと同じダゲスタン出身ファイターだ。
1R、「闘魂」の日の丸ハチマキで登場の手塚。ラマザノフもオーソドックス構え。いきなり走り込んで跳びヒザを狙うラマザノフ。カーフキックを狙う手塚。その2発目の打ち終わりに組み付くラマザノフ。スタンドバックにつくラマザノフはリフトしテイクダウン! すぐに立つ手塚だが、さらにリフトし崩す。立ち上がる手塚の背後から左ヒザを打つラマザノフはダブルレッグテイクダウンから両足を束ねる。
その際で打撃を入れるラマザノフ。手塚も打撃を入れながら上半身を金網で立てて立ち上がる。ボディロックから回して中央でテイクダウンするラマザノフ! 手塚は金網まで這うが、そこを両足を引っ張りテイクダウンするラマザノフはマウント! 半身になる手塚の下の手首を掴み鉄槌連打。手塚も腰を切りフルガードに戻す。
2R、右を振る手塚。バックステップのラマザノフ。来いと誘う手塚は追うとボディ打ち。圧力をかける手塚は左で飛び込むが避けるラマザノフが組みに。切る手塚は右ロー。左ボディから右も。しかしラマザノフも左ジャブ。ダブルレッグテイクダウンはラマザノフ!
蹴り上げで突き放し立とうとする手塚だが、すぐについてくるラマザノフは腰を殺して頭をつける。立ち上がる手塚のバックテイクを狙うラマザノフ。小手に巻く手塚をボディロックからテイクダウン。手塚はキムラのクラッチを狙うが、剥がしたラマザノフが上を奪う。
3R、左ハイから入る手塚。右ローを2度当て、右ハイも狙う。右のスーパーマンパンチはかわすラマザノフ。左フックを振りボディを当てる手塚。シングルレッグを突き放す手塚だが、さらにラマザノフは組み付いて、足を抜いてくる手塚を走っておいかけついに足を掴んでテイクダウン!
上半身を立てる手塚を手前に引き出し、背中を着かせると、すぐにマウントを奪う。ここも腰を切り1本ずつ足を戻す手塚だが、立ち上がり際をバックに。そこにアームロックを狙う手塚。クラッチを切られないラマザノフはバックスローで後方に手塚を肩から落としてゴング。
判定は3-0でラマザノフが勝利。フィニッシュされることはなかった手塚だが、突破口は開けず。MMA5連勝中だった手塚はONE2戦目で黒星となった。
手塚裕之「組みの強さは想定していましたが、想像以上でした」
「正直、やりたいことをやらせてもらえず完封されたな、という感想です。悔しいですがこれを糧に強くなるという気持ちでいます。組みの強さは想定していましたが、想像以上でした。もう少しテイクダウン切って打撃を当てて行きたかったのですが、距離の取り方もうまかったです。最初のラウンドでカーフの蹴り足を取られたのは想定外でした。
(作戦は)相手の組みを封じて無理矢理前に出てきたところにカウンターを合わせて打撃で勝とうと思っていました。試合後、ラマザノフに『強ぇな』って言ったら、『お前も強えよ』って。『戦ってくれてありがとう』と伝えました。
今回は新型コロナウイルスの影響下で試合前にPCR検査を5回程行い、さらにホテルの部屋に缶詰状態でした。外に出てリフレッシュできる時間がなかったのは嫌でしたが、皆同じ条件ですからね。無観客試合は初ですが、やはり観客がいた方が自分としては好きですね。いつもの試合での声援の有り難みを感じました。
次は、可能ならアギラン・ターニ選手と戦いたいです。皆様、応援ありがとうございました。今までも勝つか学ぶかの精神で強くなってきたので、日本の野獣は、進化を遂げてONEのリングに帰ってきます!」