「ECO信頼サービス株式会社 PRESENTS K-1 WORLD GP 2020 JAPAN」2020年11月3日(火・祝)福岡国際センター
▼第10試合 K-1 WORLD GPクルーザー級タイトルマッチ 3分3R延長1R×シナ・カリミアン(イラン/POWER OF DREAM/王者)TKO 1R 1分54秒 ※セコンドからのタオル投入〇K-Jee(K-1ジム福岡チームbeginning/Krushクルーザー級王者/挑戦者)※K-Jeeが第2代王座に就く。カリミアンは2度目の防衛に失敗
カリミアンはアマチュアムエタイで活躍後、2018年9月の「K-1 WORLD GP初代クルーザー級王座決定トーナメント」に初来日。トーナメントを制して初代王者となった。2019年3月には加藤久輝を下して初防衛に成功、2020年3月には愛鷹亮の挑戦を退けて2度の防衛に成功している。戦績は10勝(5KO)1敗。
K-Jeeは福岡を拠点としてデビュー当初はスーパー・ウェルター級で試合をしていたが、2016年からヘビー級に転向。クルーザー級が新設されると再度転向して2018年9月のK-1初代クルーザー級王座決定トーナメントではベスト4。2019年には初代Krushクルーザー級王座決定トーナメントで3試合ともKOして初代王座に就いた。今年3月に加藤久輝をボディブローで初回KOに下し、初防衛に成功している。戦績は19勝(16KO)10敗。
1R、開始と同時にバックハンドブローを放ったカリミアン。K-Jeeは左ボディを連打。接近戦でK-Jeeが左右ボディを叩きながら左右フックを連打し、カリミアンの頭が揺れる。K-Jeeの速い強打でほぼ棒立ちのカリミアン。そして右フックでダウン。
カリミアンは立ち上がるも目がうつろ。ボディを打ちながら左右フックを叩きつけるK-Jee。ロープを背負ったカリミアンへ一方的に連打を叩きつけ、カリミアンのセコンドからタオルが舞った。
速攻KO勝利に喜びを爆発させるK-Jee。満面の笑顔でベルトを巻かれ、トロフィーを受け取る。「無事に大会が出来て試合も終われて、皆さんに感謝しています。今日は文化の日で九州の選手が九州で格闘技を盛り上げてくれたと思うし、来年も再来年もK-1福岡で九州の格闘技祭りとして定着していったら嬉しく思います。今日10名以上の九州の選手が出ていて、チャンスがあればもっと育つと思うし、KHAOSとかKrushもイベントを開いてくれたら間違いなく九州からスターがいっぱい生まれると思います。今回王者になってひとつ夢が実現できて、クルーザー級では一番になったけれど、K-1にはいろいろな階級があって、まだまだ軽量級に負けているので俺がこれからこの階級を責任もって引っ張って行ってどの階級よりも面白い階級にしていきます」と、九州大会の継続とクルーザー級を自分が盛り上げていくとアピールした。
▼第9試合 スーパーファイト 女子フライ級 3分3R延長1R×KANA(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ/K-1 WORLD GP女子フライ級王者)判定0-3 ※28-29、29-30×2〇壽美(NEXT LEVEL渋谷)
KANAはK-1&Krush女子部のエースとして活躍。2016年4月に紅絹との王座決定戦を制し、第2代Krush女子フライ級王者となった。同王座は2017年1月にメロニー・ヘウヘスに奪われるも、同年12月に奪回。2019年12月に行われた初代女子フライ級王座決定トーナメントで優勝し、初代K-1女子フライ級王座も手にした。前戦は3月にグロリア・ペリトーレを1RでKOに下している。戦績は17勝(7KO)2敗。
壽美はKHAOSとKrushで3連勝をあげて2019年8月にヨセフィン・ノットソンと対戦したが、判定で敗れている。12月のK-1初代女子フライ級王座決定トーナメントのリザーブマッチでは真優に判定勝ち。前戦は6月のKrushでNA☆NAから勝利を収めた。戦績は8勝(2KO)4敗。
1R、サウスポーの壽美に右ストレート、右オーバーハンドを放っていくKANA。壽美はKANAの右ローに左フックを合わせ、連打で前へ出る。KANAはジャブで下がらせていくが、ロープを背負った壽美も左ストレートを伸ばしてくる。KANAが右ミドルから右ストレート、さらに右フックで畳み込む。
2R、壽美の左ストレートを頭を振ってかわしていくKANA。壽美はジャブと左ストレート、さらに右手を伸ばしてKANAをなかなか入れさせない。KANAはローキック。KANAは距離が届かず右ストレートが空を切る。逆に壽美はKANAのローに左ストレートを合わせた。 3Rも手数を出し、蹴りとジャブでKANAを入らせない壽美。KANAは右フックをヒットさせるが、右ストレートは空を切る。右ハイキックも壽美はブロック。打ち合いの中でも手数と前蹴りで自分の距離を保って戦い続ける壽美。
判定は3-0で壽美が勝利。日本人に無敗を誇ったKANAから初めての勝利を奪った。
壽美は「今回自分のジムの先輩とか家族とスポンサーさんが私が勝つことを信じてくださって、絶対に勝ちに行くと決めてこの試合に臨みました。だから大好きなみんなありがとうございます。私はそろそろベルトが欲しいです。そのチャンスをもらえるためにまだまだ頑張ります」と号泣しながらマイクで語った。
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▼第8試合 スーパーファイト K-1ウェルター級 3分3R延長1R〇野杁正明(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/第2代K-1スーパー・ライト級王者)判定3-0 ※30-27、30-26×2×ヴィトー・トファネリ(ブラジル/ブラジリアンタイ・闘英館)
野杁は空手からキックボクシングに転向し、2009年にK-1甲子園初となる高校1年生王者になり、“怪物”と呼ばれるようになった。圧倒的なテクニックと類まれなるセンスでプロ転向後すぐにトップクラス入りし、WBCムエタイ日本スーパー・ライト級王座、第2代Krushウェルター級王座、NDC -66kg王座などを獲得。2017年6月には日本人選手として初めてゲーオ・ウィラサクレックに勝利し、第2代K-1 WORLD GPスーパー・ライト級王者となった。翌年にはウェルター級に転向し、ジョーダン・ピケオーには敗れたもののその後は3連勝している。戦績は41勝(19KO)10敗。 トファネリはMMAとキックボクシングの二刀流で、キックボクシングでは2018年5月の『RISE』で直樹に判定負けしているが、中野椋太や麻原将平を鮮やかなバックスピンキックでKOしている。2020年7月のRISEで原口健飛に敗れたが、圧倒されながらもジャンプしての蹴りなどで対抗して3Rを戦い抜くタフさを見せつけた。戦績は14勝(10KO)8敗1分。
1R、いつものようにガードを上げて前へ出る野杁はジャブと右ロー。トファネリはロープ伝いにリングを回り込み、野杁の左フックに左フックを合わせに行く。サウスポーに構えた野杁は右ローを狙い撃ちにし、左インローも蹴る。
2Rも前に出る野杁は右ヒザでもトファネリの左足を蹴る。野杁は左ストレートを7連打してトファネリを追い込んだかと思えば、右ボディを叩く。野杁は左ボディを打ち、ボディに反応したトファネリへ右ストレートを突き刺してダウンを奪う。左ヒザ蹴りをボディと顔面、そしてコーナーで顔面への連打、かと思えば左右のボディと攻撃を散らす野杁。
3R、野杁は右フックから右アッパー。トファネリの後ろ廻し蹴りはかるくブロック。タフなトファネリはクリンチも使って野杁の攻撃に耐える。野杁がボディを連打すると左フックを返すトファネリ。野杁はパンチを連打するもトファネリは前に出て組み付き、試合終了のゴング。野杁はKOを逃したことから顔をしかめたが、判定での完勝となった。
▼第7試合 スーパーファイト K-1スーパー・フェザー級 3分3R延長1R〇朝久裕貴(朝久道場)判定3-0 ※30-27×3×大岩龍矢(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
朝久は父であり、朝久道場の朝久篤館長のもとで5歳から空手を学び、10歳の時にキックボクシングの練習を始めた。2015年からKrushに参戦し、無尽蔵のスタミナから繰り出すパンチ&蹴りのラッシュで小澤海斗や佐野天馬から勝利を収めている2016年からは中国の格闘技イベント『武林風』に定期参戦し、中国でも活躍。2018年3月には武林風WLF -60kg級王座決定トーナメントで優勝を果たした。戦績は20勝(6KO)7敗。
対する大岩は幼少期に空手を学び、中学・高校時代はラグビーで活躍して愛知県代表にも選ばれたアスリート。大学在学中にキックボクシングを始め、卒業後にプロデビュー。重いパンチを武器にKrushフェザー級王座、Krushスーパー・フェザー級王座に挑戦しているが、いずれも延長戦で惜敗してタイトル獲得ならず。しかし、スタウロス・エグザコスティディスと芦澤竜誠に勝利。7月にKrushスーパー・フェザー級王者レオナ・ペタスに挑戦したが、判定で敗れた。戦績は18勝(6KO)7敗。
両者は2016年1月17日のKrushで対戦し、朝久が判定勝ちを収めている。
1R、サウスポーの朝久は左前蹴り、左ミドル、左ローと左の蹴りを連発。左インローを連打する朝久に大岩は右フックで襲い掛かるが、距離があっていないため空振り。大岩の右ボディに朝久が左ボディを返すと、大岩は右フックから左ボディ。朝久は左ハイをかすめるが、大岩は前へ出てパンチを繰り出す。
2Rも左インローを蹴る朝久に大岩も右インローと左フックを打つ。かなりの蹴りをもらう大岩だが下がらず前へ出て右ストレートを当てる。奥足への左ロー、そして左ボディを打つ朝久に大岩はワンツーと左右ボディ。どれだけ蹴られても前に出る大岩。朝久も手を休めず、飛びヒザ蹴りを放って左右フック連打。
3R、前に出る朝久に攻撃を止めない朝久。パンチ一辺倒になってしまった大岩に朝久はパンチと蹴りを上下に散らしていく。顔面前蹴りも放つ。疲れた表情が見える大岩に全く攻撃が止まらない朝久。顔面前蹴りを直撃させ、さらに左ハイ、左右のストレートで攻め込む。朝久が最後まで攻め切り、判定3-0のフルマークで朝久が完勝を収めた。
朝久はマイクを持つと「計量の時にレベルの差を見せるだのKOするだのとえらそうなことを言いましたが、やはり大岩選手はトップの選手でした。僕の攻撃を受けても立っていたのは大岩選手だけです。僕は大岩選手の強さを知っています。僕も大岩選手もこれから頑張っていきます。強いのは知っています」と、笑顔で大岩を称えた。
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▼第6試合 スーパーファイト K-1クルーザー級 3分3R延長1R×RUI(K-1ジム五反田チームキングス)KO 2R 2分53秒 ※3ノックダウン〇ANIMAL☆KOJI(LEGION TOP TEAM/DEEPフューチャーキングトーナメント2017ミドル級優勝)
RUIは193cmの長身を誇るサウスポーで2017年からK-1 JAPAN GROUPに参戦。2019年の初代Krushクルーザー級王座決定トーナメントでは1回戦で愛鷹亮を3R2分31秒、顔面ヒザ蹴りでKO粉砕。5月の準決勝では植村真弥を判定3-0で破り、決勝へ勝ち上がったが元同門のK-JeeにKOで敗れた。その後、今年1月に中平卓見をKOして再起を果たしている。
ANIMAL☆KOJIはMMAファイターとして2017年のDEEPフューチャーキングトーナメントでミドル級優勝。2020年2月の『ONE Warrior Series』にも出場している。MMAでの戦績は6勝9敗、キック戦績は1戦1勝。
1R、KOJIは右ストレートと左フックで前へ出ていき、RUIは前蹴り、左ミドル、左ストレートからヒザ蹴りのカウンター。飛び込んで左のヒザを顔面とボディへ打ち分けるRUIはカウンターでもヒザをボディへ突き刺していく。それでもKOJIは左右フックで前へ出る。
2R、左ミドルを蹴ったRUIにKOJIが左フックをヒットさせてダウンを奪う。左ミドルを蹴るRUIだがKOJIは止まらない。動きが鈍ってきたKOJIだが、飛び込んでの右ストレートでダウンを追加する。右フック、右アッパーをもらって下がるRUIへ連打するKOJIが右フックをヒットさせ、RUIがダウン。KOJIが番狂わせのKO勝利を飾った。
KOJIはマイクを持つと「今日からK-1ファイターになったANIMAL☆KOJIです。好きなバナナは食べ物です。今日は勝ってホッとしましたが、このままこのペースでチャンピオンになります。クルーザー級で僕とキャラが被っていると言われている選手がいて、エレファントパンチの愛鷹選手。僕と似てるって言われるので、同じ階級に同じキャラクターは1人でいいんだよ。エレファントパンチと野獣どっちが強いか、俺と戦おうよ」と愛鷹に対戦をアピール。来場していた愛鷹が立ち上がり、笑顔で応えた。
▼第5試合 スーパーファイト K-1スーパー・フェザー級 3分3R延長1R×山本真弘(N.F.T.T./Krushライト級GP 2009王者)判定0-3 ※28-30×2、27-30〇SATORU成合(K-1ジム総本部チームペガサス)
山本は2002年9月プロデビューの大ベテランで、スピード&テクニックと絶対的なディフェンスの良さで国内フェザー~ライト級のトップに君臨。これまでIT’S SHOWTIME世界 -61kg級王座、Krushライト級GP 2009王座、第22代全日本フェザー級王座、2007 Kick Return 60kgトーナメント王座、2005 IKUSA-GP U60トーナメント王座とタイトルを総なめにしてきた。しかし、2015年頃から黒星が増え、2017年2月から2018年8月まで4連敗。今回は約2年ぶりの復帰戦となる。戦績は47勝(12KO) 22敗7分。
成合はまだキャリアは浅いながらも3勝(3KO) 3敗で勝ちは全てKO。2019年12月に元Krush王者・島野浩太朗に敗れはしたものの、場内熱狂の打ち合いを展開して名を挙げた。今年3月に友尊に敗れ、連敗からの脱出を懸けてベテランに挑む。
1R、両者慎重な立ち上がり。サウスポーの山本は独特な身体のムーブから左右フック、成合は飛び込んでのフックやストレートを繰り出すが、お互いにヒットを奪えない。成合は意表を突くカカト落としを見せた。
2R、強打を放つ成合に山本はステップでかわして回り込む。成合の右ストレートに左フックを返す山本だが、ラウンド終盤に成合が前へ出て連打を繰り出すと山本はかわしきれず右を顔面にもらう。
3R、成合は連打で詰めていく。山本はステップやスリッピングアウェーでパンチをかわしていくが、よけきれずにもらう場面も。山本はフェイントを使いながら左ストレートを狙うが不発。接近しての成合の細かいパンチをもらうが、山本も左ボディストレートを突き刺す。さらに左ミドル。ボディを攻める山本だが、コーナーへ押し込んで行ったところで体を入れ替えた成合から逆に右ストレートからの左ボディをもらってダウン。成合がボディを攻め込んだところで試合終了。
倒しきれなかった成合は叫んで悔しがった。
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▼第4試合 スーパーファイト K-1女子アトム級 3分3R延長1R〇山田真子(KINGS/元WBO女子世界ミニフライ級王者)判定3-0 ※30-29、30-28×2×優(北斗会館押上道場)
山田は姉の紗暉と共に幼き頃から格闘技に打ち込み、空手、テコンドー、キックボクシングなどのアマチュア大会で活躍。2010年5月にJ-GIRLSでプロデビューすると、同年12月にLittle Tigerを破りJ-GIRLSアトム級王座に就いた。
2012年3月にはプロボクサーに転向し、2014年2月には韓国でWBO女子世界ミニフライ級王座を奪取。2014年5月、所属ジムとのトラブルから現役を引退。キックボクシング6勝無敗2分、ボクシング7勝(2KO)無敗とパーフェクトレコードを残す。
その後、2014年12月にキックボクシングの試合、2018年11月には元OPBF東洋太平洋女子スーパーバンタム級王者・高野人母美と事実上無差別級のボクシングルールで対戦し、6回判定勝ちを収めている。2019年11月にはKrushに初参戦し、MOEから勝利を収めた。ボクシングとキックボクシングを通じて16戦無敗という記録を打ち立てている。今回は地元で約1年ぶりの試合。
対する優は中学・高校と陸上部に所属し、インターハイで4位の実績を持つ。30歳を過ぎてからキックボクシングを始め、現在は代官山にある美容室のオーナーでありアイリスト(アイメイクアーティスト)。2017年5月にKrushでプロデビュー。7月の第3代Krush女子アトム級王座決定トーナメント準決勝で菅原美優に敗れ、戦績は2勝4敗1分となった。 1R、身長で7cm上回る優がリーチ差を活かし、左手を前に出しての右ストレートで山田をけん制するが、山田はスーパーマンパンチで距離を詰めると一気にパンチをまとめて打ち合いに行く。
2Rも左手を前に出し、前蹴りも使って距離をとる優。しかし、山田は左フックからの右ストレートで飛び込むと打ち合いで右フックをヒットさせ、一気に左右フックのラッシュ。優を防戦一方に追い込む怒涛の連打を見せた。優のフックをかわした山田は一気に距離を詰め、顔面とボディへ素早くパンチを打ち分けて連打する。優を完全に翻弄した。
3R、山田のパンチに優は鼻血。前へ出てくる優に山田は右ロー、右ミドル。優が右ストレートを放つとワンツーを返す。このラウンドは両者手数が少なく、クリンチが増え、判定3-0で山田が勝利するも納得のいかない表情。プロ無敗記録をまた伸ばした。
▼第3試合 スーパーファイト K-1ライト級 3分3R延長1R〇水町 浩(士魂村上塾)延長R 判定3-0 ※10-9×3×竜樹(WSRフェアテックス九州)※本戦の判定は30-29、29-29、29-29。
40歳で52戦(28勝12KO19敗5分)のキャリアを持つ大ベテランの水町は、これまで第3代RISEライト級王者、第4代MA日本ウェルター級王者、第17代MA日本スーパー・ライト級王者、初代WMAF世界ウェルター級王者と四冠に輝いた実績を持つ。長崎県の出身。竜樹は3勝(1KO)3敗3分の新鋭で、前回は1月のKrushで佐野純平にKO勝ちしている。福岡県出身。両者の年齢差は20歳。
1R、お互いにローを蹴り、水町は左右フックを繰り出すがヒットは奪えず。バックハンドブローと後ろ廻し蹴りも放つがやはり竜樹を捉えきれない。逆に竜樹はジャブを当てに行く。
2R、パンチと後ろ蹴りでボディを攻める水町。竜樹がパンチを出すと両腕ブロックを固めて頭を下げるため、そこへ竜樹がヒザを突き上げる。竜樹のパンチはブロックする水町だが、竜樹のワンツー&右ローに下がってしまう。
3R、スピードとパワーで優る竜樹がパンチ&ローで前へ出て行くが、水町も左ボディ、左右フックを打ち返す。竜樹が接近戦でのパンチ勝負を望み水町もこの距離でパンチを当てる。ガムシャラに左右フックを振り回して顔面とボディに打ち込む水町。右フックでヒットを奪い、竜樹が下がる。ひたすら連打で前へ出る水町が最後まで攻め込み、ジャッジ1名が水町を支持したが判定は1-0でドロー。
延長Rも左右フックを顔面とボディへガムシャラに打つ水町。打ち終わりには後ろ蹴り、胴廻し回転蹴りも放つ。竜樹もワンツー・ヒザ蹴りで攻めるが、水町のフック連打にガードを固めてしまう。ラスト10秒、思い切り左右フックを振り回してヒットも奪った水町が40歳にして20歳新鋭から判定勝利を奪った。
(写真)プレゼンターはかつてK-1 WORLD MAXで活躍したTATSUJI 水町はマイクを持つと「判定勝ちなのにマイクを持たせてもらって申し訳ないです。22年間頑張って来ましたが、今日をもって引退します。プロとして発信の場があったので頑張って来れました。人生は戦いの連続です。困難や試練が戦いたくなくても襲ってきます。そんな時に気持ちも言葉も人を支えるために使って欲しいと思います。皆さん一人一人が、人生においての戦いに無事勝利できるように心の底から祈っております」と、引退宣言をすると共にメッセージを送った。
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▼第2試合 スーパーファイト K-1スーパー・ウェルター級 3分3R延長1R〇小鉄(K-1ジム琉球チーム琉神)KO 3R 0分56秒 ※右フック×絢太(CUC)
K-1ジム琉球チーム琉神の代表である小鉄は2008年にプロデビューし、13勝(8KO)16敗の戦績を持つベテラン選手。今年3月のK-1では藤村大輔に判定で敗れている。今回は12勝(8KO)5敗の戦績を持つ初参戦の絢太と対戦する。
1R、小鉄はジャブと左右ローでじりじりと前へ出て、身長188cmでサウスポーの絢太は左ミドルと左ストレート。小鉄のローに左ストレートを合わせていく絢太。小鉄のボディへの前蹴りを嫌がる素振りを見せた絢太だが、逆に左右ボディブローと左三日月蹴りで反撃。
2R、右ローから左右の連打で前へ出た小鉄が狙いすましたワンツーの右ストレートでダウンを奪う。絢太は左ストレートで反撃し、左と左の相打ちになったところで小鉄がスリップ気味に倒れて絢太がダウンを奪い返す。小鉄がコーナーへ詰めての打ち合いの中で、右ミドルで小鉄がまたもダウンを奪う。
2R、小鉄はパンチとヒザ蹴りでボディを攻め、右ヒザ蹴りから至近距離での右フック。これで絢太が倒れ、小鉄のKO勝ちとなった。
小鉄はマイクを持つと「KOだったんですがすっきりした勝ち方じゃなくて申し訳ないです。ちょっとグダグダ感がありまして。新生K-1初の福岡大会ですが、来年は沖縄大会をやりましょう。僕がしっかりK-1ジム琉球をでっかくしていくのでよろしくお願いします。僕、ジムをやっているんですが現役バリバリなのでまた試合のオファーをください」と、沖縄におけるK-1と選手としての自分のさらなる飛躍をアピールした。
▼第1試合 スーパーファイト K-1スーパー・バンタム級 3分3R延長1R×晃貴(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/第4代Krushバンタム級王者)判定1-2 ※30-29、29-30、29-30〇壬生狼一輝(力道場静岡)
晃貴は現K-1 WORLD GPスーパー・フェザー級王者・武尊と同じ鳥取県出身で、鳥取時代も同じジムにいた弟分。2019年1月の王座決定戦で萩原秀斗を延長戦の末に下し、第4代Krushバンタム級王座に就いた。4月には初防衛戦を行い、隼也ウィラサクレックからダウンを奪って大差の判定勝ちを収めたが、6月のK-1でサンベル・ババヤンに敗れ、2019年11月の2度目の防衛戦では佐々木洵樹に敗れて王座を失った。さらに今年3月に新鋭の吉岡ビギンにも敗れて3連敗となったが、7月のKrushで黒田斗真に延長戦の末に判定勝ち。戦績を8勝(2KO)6敗とした。
対する壬生狼は8月に開催された『Krush-EX 2020 vol.1』でK-1 JAPAN GROUPに初参戦。欠場を受けてのスクランブル参戦だったが、メインで倉田永輝との打ち合いを制して勝利を収めている。戦績は7勝(2KO)でプロ無敗。
1R、両者とも軽快なステップを踏み、前に出るのは晃貴。前蹴りとローの晃貴に壬生狼はロー&ミドル。ロープを背負った壬生狼がボディを混ぜたコンビネーションを繰り出すが晃貴はブロックして右を打ち返す。
2Rもプレスをかけて前蹴りで前へ出る晃貴。壬生狼の左に右を合わせる晃貴。そこから至近距離で打ち合う。晃貴が左ミドルからの左ボディ。壬生狼はカーフキック、飛びヒザ、胴廻し回転蹴りと多彩な蹴りを繰り出すが晃貴を崩すには至らない。
3R、右ストレートと左フックを両者が同時に放ち、かわしあう展開が多くみられるが、晃貴の右がヒットする場面が目立つ。壬生狼は1分が過ぎたところで前に出始め、左ボディをヒットさせる。パンチの回転力を上げて前へ出て行く壬生狼が左ボディ、右ストレートで晃貴を手数で上回る。
判定は2-1と割れ、勝者は壬生狼。Krush-EXからK-1への“飛び級”で元バンタム級王者を破る金星を得た。
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▼プレリミナリーファイト第4試合 K-1スーパー・バンタム級 3分3R〇野田 蒼(月心会チーム侍)判定3-0 ※30-27×3×紫苑(KIZUNA田川本部道場)
野田はK-1甲子園2020 -55kg王者で戦績は2勝1敗1分、兄はK-1&Krushで活躍するTETSUだ。紫苑は福岡県出身で2戦2勝(1KO)。1Rに紫苑の蹴りがローブローになってしまい試合は中断。蹴りで距離を取る紫苑とパンチで飛び込む野田という展開。2Rに一度下がった野田が飛び込みの左フックでダウンを奪う。3Rは紫苑が前に出て攻めるが野田はカウンター狙い。左フック、右ストレートでグラつかせる場面もあり野田が判定で勝利した。
▼プレリミナリーファイト第3試合 -59kg契約 3分3R〇寺田 匠(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)KO 1R 2分06秒 ※右ストレート×貞松宏隆(Mataharigym)
寺田は宮崎県出身で1戦1勝、貞松は佐賀県出身で2戦2勝(1KO)。1Rが始まってすぐ、ロー蹴る貞松が左フックを放ったところで寺田が左フックを合わせてダウンを奪う。貞松も強打の左フックと左ミドルで反撃するが、寺田がパンチをまとめて貞松を下がらせ、左フックからの右ストレートを打ち抜いて見事なKO勝ちを収めた。
▼プレリミナリーファイト第2試合 K-1スーパー・フェザー級 3分3R〇勇治(K-1ジム総本部チームペガサス)判定3-0 ※30-25、30-26、30-27×志樹(=もとき/シルスジム)
勇治は福岡県出身で『TRIBELATE』ではライト級とスーパー・ライト級の2階級を制覇。5勝(2KO)5敗の戦績だが、K-1 JAPAN GROUPでの試合は3戦3敗。志樹も福岡県出身で今回が初参戦だが、13勝(4KO)10敗1分の戦績を持つ。1R、志樹が左フックでグラつかせると、勝負に出た勇治がワンツーでダウンを奪う。続いて連打でスタンディングダウンを追加。2R以降は志樹がミドル、前蹴り、ヒザと蹴り技で粘ったが、勇治が前へ出てパンチを当てていき大差の判定勝ちとなった。
▼プレリミナリーファイト第1試合 -53kg契約 3分3R〇大石和希(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)判定3-0 ※30-29×2、30-28×西林翔平(K-1ジム福岡チームbeginning)
福岡県北九州市出身の大石(1勝1敗)と熊本県出身の西林(1敗)がオープニングを飾る。身長差(大石171cm、西林160cm)のある両者。西林はローを中心とした蹴り、大石は接近してのパンチ&ヒザと対照的なスタイルで、2Rから大石が距離を詰めてボディブローとヒザ、右ストレートでグラつかせる。西林は右ハイに活路を求め、3Rには強気に打ち合って優勢な場面も作り出したが、追い上げならず大石が判定勝ちした。