シューズ着用はOKも、蹴りはNGに=RIZINルール改定
2020年9月3日、RIZINが一部ルールの改定を発表。「シューズを着用した選手による、ヒザを含む足によるあらゆる打撃行為」が反則となる。
しかし、シューズの着用自体は許可されており、レスリングシューズ等を履いて戦う最大のメリットである、踏ん張りやステップの部分においては、選手によっては有効活用が可能だ。と同時に、シューズを履くことによって、足関節などが極まりやすくなるデメリットもある。
またRIZINでは、PRIDE時代同様に、道衣、ロングスパッツ、シングレットなどの着用もOKとなっている。
出来る限り「イコールコンディション」であることがスポーツの前提だが、様々な競技出身者が総合格闘技のなかで、その持ち味を活かせるように作られたのがRIZINルールであり、それはPRIDE時代からの歴史を踏まえたものであると、笹原圭一RIZIN広報は語る。
「時代に合わせてルールを微調整したり、思い切った変更をしたりすることはありますが、ルールとはその団体の歴史や成り立ちそのものを表しているので、PRIDE時代から、各競技出身者の特性を活かして戦えるようにしてきたRIZINが、レスリングシューズの着用や、道衣などの使用をNGとすることは今のところありません」(笹原氏)
では、なぜ今回のRIZINルール改正では、シューズ着用での足(ヒザを含む)による打撃が反則となったのか。
笹原氏は「これまでに例はありませんが、シューズを着用して三日月蹴りをした場合、かなり危険なのでは、という議論は2016年頃からしていました。三日月ではなくても、シューズを履いてトーキックをする選手がいた場合、靴先の指を固めて力を入れて蹴ると、仮に肝臓に入らなくても危険なのではという意見もありました。
一方で、2019年の大晦日の神龍誠選手の試合で見られたような、シューズを履いた足での、素足の相手の足への踏みつけは、特段、危険視しておりませんでした。ですから、見栄えはともかく、神龍選手の試合がきっかけで禁止した、ということはないです。
あとは、これまでは足関節の取り合いなど、両者グラウンドの時にシューズを履いた選手も蹴りがOKでしたが、これもかなり危険であるという意見があり、また『靴を履いて顔面を蹴る』という行為自体が、生理的に受け入れ難いと感じる人が多いということも考慮されました。シューズ着用でのヒザ蹴りも禁止にしたのは、“ヒザ蹴りをしようとしたら、キックになった”というようなことが起こり得るので、『シューズを着用する場合は、足による攻撃(ヒザ含む)は反則』とした、ということです。
また、RIZIN全283試合中、選手がシューズを履いた試合は20試合のみというデータからも勘案し、今回の改正に至っています」と説明している。
今後、レスリングからMMAに転向するファイターは現れるか。前述の太田忍は、「フリースタイルと違ってグレコローマンは上半身だけの攻防なので、より足での踏ん張りが大事。マットから下半身への力の伝達が重要になってくるのでグリップに優れたシューズが重宝する」と語っているが、すでにYouTubeでの格闘家とのコラボでは裸足で戦っており、MMAへの柔軟性を見せている。