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【UFC】日本縁のファイターが続々登場! ロクサンが接戦制し、DEEP王者マルティネスは新鋭に敗れる。メインはウォーターソンが勝利

2020/09/13 06:09
 2020年9月12日(日本時間13日)米国ネバダ州ラスベガス「UFC APEX」にて、「UFC Fight Night: Waterson vs. Hill」が開催された。 UFC Fight Night: Waterson vs. Hill 【メインイベント】 ▼女子ストロー級 5分5R○ミシェル・ウォーターソン(米国)115lbs/52.16kg[判定2-1] ※47-48、49-46、48-47×アンジェラ・ヒル(米国)115.5lbs/52.39kg  女子ストロー級8位のウォーターソンと13位のヒル。メインイベントに予定されていたチゴ・サントスvs.グローバー・テイシェイラがテイシェラの新型コロナウイルス陽性により、中止に。ヒルとウォーターソンの試合が繰り上がりメインとなった。  1R、ともにオーソドックス構え。右のオーバーハンドで牽制するヒル。ジャブを突くウォーターソンはインロー。しかしそこを詰めるヒルは右ストレート。内側に頭を傾けかわすウォーターソンは左で差して組み付くと、右に差し替えるが突き放すヒル。  ウォーターソンの右ローに右オーバーハンドを合わせるヒル。ウォーターソンの組みをいなしていく。スイッチしての左ハイはウォーターソン。右で差して組むが、ここもヒルは許さず。右から左右と3連打はヒル。ウォーターソンも右前蹴りを突く。左で差して頭をアゴ下に付けるヒル。離れ際にヒジを狙う。右サイドキック、左ミドルを当ててブザー。  2R、ジャブの刺し合いはウォーターソンが先に当てる。左ミドルはヒル。さらに前蹴り。ウォーターソンはヒザを触りに行くが深追いせず。ワンツーから右ローに繋ぐ。打ち合いからカウンターの右フックを当てるヒル! ウォーターソンのテイクダウントライは切る。シングルレッグで足をつかむも、片足立ちから足を抜くヒルが金網に押し込みヒザ蹴り。突き放すウォーターソンも右ストレートをヒット! 詰めて近い距離でヒジを突くヒル。踵落としも。  3R、細かいステップを踏み、前に出るヒルをサイドにかわすウォーターソン。ヒルは左ジャブ。右オーバーハンドをガード上に叩くウォーターソン。右で差して小外がけでついにテイクダウンを奪う! ハーフガードから徐々に上っていくウォーターソン。ヒルの立ち上がり際にバックを狙うが、ヒルは正対で下に。ヒザを押して足を抜こうとするウォーターソンに両足を戻すヒル。蹴り上げで距離を取るが、アゴに当たり、注意を受ける。  4R、ウォーターソンの組んでのテイクダウンを、回して金網に押し込むのはヒル。左ジャブを当てるウォーターソン。ヒルも左ハイ、詰めてボディロックから右で小外がけでテイクダウンを狙うウォーターソンだが、一瞬バランスを崩しながらも倒れないヒル。前に出るとウォーターソンは右の高い前蹴りをアゴに突く。今度はヒルが左で組むがウォーターソンも崩されず。  5R、左ジャブダブルから右ローはウォーターソン。ヒルが打ち気になったところにシングルレッグに入るが、切るヒル。右のサイドキックをジャブ代わりに使うウォーターソン。詰めて右アッパーはヒル。サウスポー構えから前足の右でサイドキックはウォーターソン。左ミドルで前へ。右ボディストレートから右を振り前進するウォーターソン。サウスポー構えからオーソに戻す。シングルレッグは切るヒルだが手数が減ってきた。左フックを当て、右ストレートを突くウォーターソンは踵落とし。かわすヒルだが、声を挙げてのワンツーローはヒル。しかしウォーターソンも金網まで押し込み、首相撲からヒザを突きブザー。  判定は47-48、49-46、48-47のスプリットでウォーターソンが勝利。中盤からサウスポー構えに変えて右の前足で顔面、ボディに突いた打撃がリプレイに映し出された。  接戦を制したウォーターソンは試合後、公式インタビューで、「長く戦っているので本当に大変……負けから抜け出すのはずっと坂を上る気分だし、少しも満足できないこともあるから、やっと満足できるのは嬉しい。もうどこにも行けないんじゃないかと思うこともある。タップアウトして次のレベルに行くこともある。自分を信じないといけないの。自分のスキルを、能力を信じる必要があるし、必ずそこに辿り着けると自分の体を信じないとそこに行けない。マウスピースを噛み締めて頑張るしかない」と、自信を持って戦うことの難しさを語ると、判定が2-1と割れたことについて「スプリット判定を聞くのは嫌いだけど、もっと前進できるように踏ん張れると思っているし、自分が“あと少し”を求めてしまうのも分かっている。正直、もっと楽に彼女をテイクダウンできると思っていた。彼女のディフェンスは本当に凄かったし、ケージワークも本当に良くて、今回の試合は立ち技の力に頼るしかなかった」と、予想以上にヒルのテイクダウンデフェンスが強かったことを語っている。  さらに「試合に勝つというプレッシャーを(自分に)かけたくない。試合に臨んで、流れを掴むことにもっと力を込めたいし、ダメージを与えることに力を注ぎたい。だって結局、そういうものだから」と、本質的に強くあることを望むウォーターソンは、今後について、「私見だけど、女子ストロー級はUFC女子のロースターの中で一番スタックしている階級だと思う。(タティアナ)スアレスの負傷、ニーナ(アンサロフ)の妊娠とかがあって、トップが停滞気味。できるだけ早くトップに行きたい。ちょっと長くかかっているから、本気で辿り着きたいと思っている」と、トップ5に割って入ることを誓った。 【セミメインイベント】 ▼ライト級 5分3R○オットマン・アツァイター(モロッコ)156lbs/70.76kg[1R 1分33秒 TKO]×カーマ・ワーシー(米国)155.5lbs/70.53kg ワーシーの左ローにカウンターのワンツーを効かせたアザイターが左フックを効かせて、左ボディ、右アッパーでラッシュ。ダウンしたワーシーをパウンドウアウトした。 アツァイター「リスクを犯さなければ、みんなのハートは勝ち取れない」「あまり考えすぎないようにして、考えをすべてシャットアウトしたんだ。とにかく試合に集中する。結局、戦いだから。ダンスするわけじゃなし、遊ぶわけでも、他の何かをするわけでもない。試合の前も試合の後も、お互いにリスペクトできる。試合が終わった直後に、握手したようにね。リプレー映像は彼と一緒に見たくらいさ。でも、試合中は何も考えない。ベストを尽くすためにできることをやるだけ、この試合のために6カ月から7カ月も頑張ってやってきたことを出せるように。UFCにセミメインイベントとして戦うチャンスを与えてもらい、俺たちの試合をものすごく信じてくれたってことだと思っているから、本当に感謝している。ファンも、この試合を見たかったと思う。すべてのUFCファイターがUFCとファンに感謝を伝えるのはそういうわけだ。  最初からノックアウトしたかったとは言わない。でも、少なくとも、みんなが見たがっていることはやりたいと思った。戦いも、強打も、流血さえもね。みんなをワクワクさせないといけない。スコアのポイントをつけるだけなら、もっと安全な試合にだってできるし、気をつけてリスクを犯さないっていうのならもっと安全だけど、俺たちはリスクを犯さなければならない。リスクを犯さなければ、試合には勝つかもしれないけど、みんなのハートは勝ち取れない。それが大きな違いさ。いつでもいいよ。今回の試合では怪我がない。試合前にも言ったけどね。すべてがうまくいって、怪我がなければ、あとは兄弟とマネジャーの決断次第。次にどうするかは教えてもらうだけ。俺はなんに対してもオープンだよ」 [nextpage] 【メインカード】 ▼女子フライ級 5分3R○ロクサン・モダフェリ(米国)125lbs/56.70kg[判定3-0] ※29-28×3×アンドレア・リー(米国)125.5lbs/56.93kg  女子フライ級8位のロクサンと、9位のリー。2019年6月のローレン・マーフィー戦で敗れているロクサンは、2014年12月にInvicta FCでスプリット判定勝ちを収めているアンドレア・リーと6年ごしの再戦。ロクサンとしては王座戦線に踏みとどまるためにも負けられない一戦だ。前日計量では『ONE PIECE』のルフィのスタイルで登場するなど、気合十分の様子。  1R、ともにオーソドックス構え。リーは右ロー。左ジャブを突くロクサン。リーのシングルレッグは小手に巻いて残すと、両者スタンドに。右を振って組みに行くロクサンだが、カウンターで首を巻いて首投げで投げるリー! ハーフガードのロクサンは右で差して立ち上がり。右は差したまま金網に詰めて右足をかけると、後方に得意のテイクダウン! サイドからハーフガードの中に入り、細かいパウンド。左手でリーの左脇を差して手首をコントロール、パウンド。リーも二十がらみから足を伸ばしてシングルレッグから立ち上がり。バックにつきかけるがロクサンも立ち上がりブザー。  2R、ジャブを突くロクサン。右ハイをガードの上に当てるリー。前後のフェイントから前に出ようとするリーだが、ロクサンは角度をつけて細かなステップからワンツー。リーは左フック、右ローを、右ボディを当てる。首相撲ヒザ蹴りから崩すリー。すぐに立ち上がるロクサンだが、続く首相撲からの投げで下に。しかしここもすぐに立つロクサンだが、リーの右のバックヒジがヒット! さらに左フックも受けてロクサンは厳しい時間帯。リーの蹴り足を掴んでテイクダウンするロクサンだが、リーは頭に足をかけて距離を取る。  勝負の3R、右ローを突くリー。ワンツーをボディに突くロクサン。ステップを止めず回るが、右で入るロクサンにリーも右ボディ。ローの打ち返しはリー。リーを中心に周囲を回るロクサン。ワンツーの連打で前に出るようになったリー。右のバックフィストをかいくぐって組んだロクサン! ボディロックから小外がけでテイクダウン。しかし左で差して立ち上がるリー。なおも左で差してボディロックから足をかけて後方に倒してロクサン! ハーフガードで凌ぐリー。ニーシールド気味の足が効き、ロクサンは上体に上がれない。最後はリーがリバーサルして上になりブザー。  打撃ではリー。コントロールではロクサンだが……、判定は3-0(29-28×3)でアタックを止めなかったロクサンが接戦を制し、前戦の判定負けから再起を果たした。試合後、“ハッピーウォリアー”は「とてもハッピーです。ハードに練習してきたから勝てました」と笑顔で両親指を立てた。 モダフェリ「改善していくこと。それが“ロキシー風”」 「タフな試合でした。素晴らしい試合をしてくれたアンドレアに感謝しています。プランでは押さえつけて動く、攻めていって引く、常に角度を作ることでした。上手くいったと思います。狙ったときにテイクダウンを決められたし、最後はジャブも当たって、常に動き続けられました。自分のパフォーマンスには満足しています。今回のキャンプで最高の準備ができたんです。目標をひとつも決めることなく、クリアなマインドで挑もうと思いました。  相手のキックをひとつでもキャッチしたかったんです。そんなようなことはできたと思うし、フォールダウンも取れました。今日の試合に向けてボディロックに取り組んできたので、レスリングをしっかり試したかったですし、今回のキャンプで取り組んできたことをほぼすべて発揮できたので本当に嬉しいです。とても気分がいいですね。今回の勝利は私にとって本当に大きい意味を持ちます。まだ自分がトップ10に相応しいことを証明し、コンテンダーでいられると示せたのでよかったです。  進化がカギですね。上手くできることばかりを練習してもしょうがありません。常に学んで成長し、時間とともに進化するんです。それが大事だと思っています。私の次の進化はストライキング、柔術、レスリングを引き続き改善していくこと。ロキシー風、です。一度は覚えたはずでも忘れてしまったテクニックを思い起こさせることができれば、後々、とても役に立ちますから。  17年も戦ってきました。私にとっては今回が47戦目だと思うんですが。トップ10の誰かと戦いたいですね。UFCのマッチメーカーが私に戦ってほしいという人なら誰でも構いません。いつでも連絡ください。イエスと言いますから」 [nextpage] ▼ライトヘビー級 5分3R○エド・ハーマン(米国)205.5lbs/93.21kg[3R 4分01秒 キムラロック]×マイク・ロドリゲス(米国)205.5lbs/93.21kg  今大会まで再三の対戦相手変更があったハーマンは、ライトヘビー級に上げてから3勝3敗。2019年5月にパトリック・カミンズ、11月にハディス・イブラギモフに勝利し、現在は2連勝中。  入国できなかったブラジルのジョン・アランに代わり出場のロドリゲスは8月22日の試合から3週間のインターバルで試合に臨む。2019年は7月にジョン・アランとノーコンテスト。12月にジョン・ダウンにパウンドでTKO負け。しかし、2020年8月にマルチン・プラチニオに1R、TKO勝ちで再起を果たしている。  1R、オーソドックス構えのハーマンは前に出て組もうとするが、下がりながら左ヒジ打ちを効かせるサウスポーのロドリゲス! 2R、首相撲から左ヒザをレバーに効かせたロドリゲスだが、レフェリーはローブローとみなし、試合を中断。十分時間を使って回復させたハーマン。しかし、ロドリゲスは左ミドル、左ボディストレートを腹にヒット! さらに左跳びヒザを効かせてハーマンをダウンさせるとパウンド。ハーマンは蹴り上げで凌ぐ。  2R、ボディロックテイクダウンはハーマン。立つロドリゲスはシングルレッグに入るハーマンに上から左ヒジ連打! 崩れたハーマンにハーフからパウンドを仕掛けるが、ストップまであと一歩のところでハーマンは追打を許さない。下からロドリゲスの左腕をキムラクラッチで組むと、後方に回して足をかけて極めに、前転したロドリゲスだが、ハーマンのキムラは深い。ハーマンはロドリゲスの頭をまたいで固定してキムラロックを極めた。  試合後、「あのローブローの中断はレフェリーのミステイクだったが?」と問われたハーマンは、「自分には分からなかった」と語った。緊急参戦ながら、ほぼ勝利を手中に収めたかに思われたロドリゲスにとっては不運な結末に。MMA38戦のハーマンは老獪な試合運びで勝負を投げず。ワンチャンスをモノにした。 [nextpage] ▼ライト級 5分3R○ボビー・グリーン(米国)156lbs/70.76kg[判定3-0] ※30-27×3×アラン・パトリック(ブラジル)156lbs/70.76kg  1R、いきなり中央に走り組んでいく柔術黒帯のパトリックだが、体を入れ替えボディロックテイクダウンはレスリングベースのグリーン。亀になり立とうとするパトリックにサイドバックで押さえに行くが、立つパトリックは再三のテイクダウントライへ。しかしここもグリーンはボディロックテイクダウンで上に。下から腕十字はパトリックも、外すグリーンは上からパトリックの口を塞ぐ。さらにヒジ打ち。蹴り上げで立つパトリック。  2Rも先に詰めるパトリック。ヒザを着きながらのダブルレッグも差し上げるグリーンがボディロックテイクダウンで上に。下から腰に足を当て、手首をつかみ十字を狙うパトリックだが、すぐに反応するグリーンは片足をパスしてハーフに。潜り足関節ノトランジッションから背中を見せるグリーンについていくパトリック。ローを打つが、ノーガードのグリーンは、パトリックの組みを切る。  3R、この試合4度目のテイクダウンを決めるグリーン。金網使い立ち上がるパトリックは大きな左右を上下に散らして前へ。しかし、ジャブを当てるグリーンはスタンドバックに。前転して足関節を狙うパトリックは逃がれるグリーンの背中に飛び乗るが、すぐに落とすグリーン。なおも詰めて右ハイキックを極め、この試合初めてのダブルレッグテイクダウンを決めるパトリックだが、グリーンが立ち上がる。ここでスタミナを使い切ったか。パトリックは打撃に身体が流れる。そこに右ストレートを当てるグリーン。パトリックはマットに手を着いてのカポエイラキックを見せるが、かわしたグリンが詰めたところでブザー。  判定は、30-27×3の3-0でパトリックが完勝。クレイ・グイダ、ランド・ヴァンナータ、アラン・パトリックにいずれも判定で競り勝ち、4カ月でUFC3連勝をマークした。 ボビー・グリーン「アル・アイアキンタと試合がしたい」「うまくきっかけを作れなかった。きっかけを作れたらいいことが続くんだけど、それができなかった。もっと突っ込んでいくべきだったんだけど、相手のスタイルがかなり奇妙でおかしかった。とにかくずっと打ってくる。だから、あまり過剰にならないように気をつけたし、食らわないようにもした。あいつはほとんどのファイターと比べて違うゲームをやってくる。完全に別物だ。向こうは黒帯だから、リスペクトすべきだけど、この試合ではアドバンテージが一切ないってことを示したかったんだ。どうなっても準備はできていたと思う。何も変わらない。同じコーチだし、同じジムにいる。何も変わっていない。みんなは見ているだけだろうけどね。最悪の決断だって何度も下してきた。今はすべてが自分にうまくいっている。キャンプに関わってくれた全員に感謝だ。手伝ってくれたみんな、ありがとう。アル・アイアキンタと試合がしたい。彼がケビン・リーと戦ったときに話したんだけど、『おまえと試合するはずだったタイミングでヒザをやっちまってな。もしやりたいなら受けて立つぞ』と言ったら、向こうも『ああ、もちろんさ』って言っていた。向こうが受けるかどうか見てみようじゃないか」 [nextpage] ▼フェザー級 5分3R○ビリー・クアランティーロ(米国)145.5lbs/66.00kg[3R 0分07秒 KO] ※右ストレート×カイル・ネルソン(カナダ)145.5lbs/66.00kg  ともにオーソドックス構え。リズムよく右ローを打ち込むクアランティーロ。ネルソンは押し込んで脇を差しに行くが、突き放すネルソン。クアランティーロは右ヒザを腹に当てる。金網まで押し込んで右を当てるネルソン! クアランティーロも右ミドルを返し、右オーバーハンド。  2R、強いミドルを当てるネルソン。しかし退かないクアランティーロは金網に詰めて右ヒジ、さらにテイクダウンを折り混ぜる。3R、ジャブを突いてきたネルソンに、クアランティーロはその場での重いワンツー! 前のめりに倒れたネルソンを見て、レフェリーが間に入った。TUF、Contender Series 2019を経て、本戦出場のクアランティーロはこれでUFC3連勝。 ビリー・クアランティーロ「柔術だけが得意分野ではないことを証明できたはず」「相手が試合開始と同時にアタックしてくるのは最初から分かっていた。序盤に相手の猛攻に耐えたあたりから自分のリズムになっていったと思う。第3ラウンドでは相手も完全に疲れていた。コーチからのアドバイス通り、右ストレートとかで相手を攻め崩して、最後は相手のアゴに一発決めることができた。柔術だけが俺の得意分野ではないのを証明できたはずだ。試合前から相手よりコンディショニングでは俺が優っていると分かっていた。自分のペースで慎重に戦えば相手はついてこられない。相手はKOが得意な選手らしいが、正直パンチ力はそれほどでもなかった。試合ではグラウンドでの攻撃も多少は使ったけど、最終的には打撃で勝つことができたから嬉しい。試合後はデイナにも声をかけられたしな。これでUFCは3戦無敗だ。本当にうれしいよ」 【プレリム】 ▼女子バンタム級 5分3R○シジャラ・ユーバンクス(米国)135lbs/61.24kg[判定3-0] ※29-27×3×ジュリア・アビラ(米国)135lbs/61.24kg  女子バンタム級14位のアヴィラと15位のユーバンクスによるランカー対決。  1R、ともにオーソドックス構え。いきなりの激しい打ち合い。互いにノーガードで連打すると、ダブルレッグから金網まで押し込んだユーバンクス。体を入れ替えたアビラはボディロックテイクダウン。サイドから亀になったユーバンクスのバックに回るが、左足をかけさせないユーバンクスは前に一気に落としてブザー。  2R、声を挙げてワンツー、ボディを当てて左右連打で前に出るアビラだが、シングルレッグテイクダウンはユーバンクス。下からのアビラの腕十字・三角絞めをかついで外し、ハーフから足を抜いてサイドへ。肩固めに入るが、右手を側頭部に当ててデフェンスするアビラ。ならばとバックからフェイスロックでチョークを狙うユーバンクス。ラウンド終了間際にバックマウントから再びフェイスロックを狙う。  3R、左右を振ってダブルレッグはユーバンクス。差し上げるアビラは突き放す。しかしなおも組むユーバンクスはボディロックテイクダウン。背中を着かせてハーフから鉄槌。右手で腰を抱き、顔面にパンチを入れる。下から三角絞め・腕十字狙いのアビラをしっかり防いでパウンドを入れてブザー。  判定は3-0で、テイクダウン&パウンドを決めたユーバンクスが勝利。2連勝でUFC戦績を4勝2敗としたユーバンクスは「15年も柔術をやってきたからグラウンドはホーム」と自信を見せた。 シジャラ・ユーバンクス「ラウンドを取られても巻き返す力を持っていることは示せたはず」「勝利を手に入れられればいつだって嬉しいものよ。もちろん、すごくクレイジーな出だしだったわ。相手がかかってくることは分かっていたし、最初の数秒は“確かに話はしたけど予定にはないわ”って感じだったから、ひどいスタートだったわね。でも、最初のラウンドの終盤には盛り返せたと思う。セコンドと相談して、いくつか調整したら第2ラウンドは取れたし、第3ラウンドも間違いないと思った。足に自信が持てるようになったら調子が良くなったけど、グラウンドで彼女に勝てるってことも分かっていたから、そこに戻そうって。第2ラウンドで調整したとき、彼女が急襲をしかけてきて、私はパンチをもっときつめにいこうとしていたときで、ど真ん中に打ち込んでいったら、プレッシャーをかけることができてテイクダウンのスキが生まれたの。驚きは全然なかった。何度か関節技を食らったけど、少しだけ抜け出せる部分があったから、とにかく耐えようと思って。私くらい柔術をやってきた人なら、柔術の1,000試合で接戦なんてごまんとあるし、冷静に切り返すだけよ。ちょっとでも息ができるなら落ちないわ。我慢が大事だって分かっていたし、関節技は決まっていなかったから、自分のポジションをキープして、そうしたらグラウンドアンドパウンドでいけた。いつだって試合はしたいものよ。サブミッションにトライする姿勢も少しは見せられたと思う。フィニッシュはできなかったけどね。ラウンドを取られても巻き返す力を持っていることは示せたはずよ」 ▼ライト級 5分3R○ケビン・クルーム(米国)154.5lbs/70.08kg[1R 0分31秒 ギロチンチョーク]×ルーズベルト・ロバーツ(米国)155.5lbs/70.53kg  MMA22勝12敗、33歳のクルームは、日本では2016年11月の修斗で安藤達也に一本負け。2019年3月に朝倉未来とも対戦しているジョン・マカパにBellatorで判定負け。8月にはPRIDEで活躍したチャールズ・ベネットをリアネイキドチョークで極めている。ベネット戦から3連勝中だ。フェザー級を主戦場としているが、計量当日にマット・フレヴォラが負傷したため、急遽ライト級でUFCデビュー戦に臨む。  ロバーツはMMA10勝3敗。CXF、Bellator、DW's Contender Series 2018を経て、2018年11月の「TUF」Finaleでのギロチンチョーク一本勝ちからUFC4勝2敗。2020年5月にブロック・ウィーバーをリアネイキドチョークで極めた後、20日後のジム・ミラー戦で一本負け。  1R、右ローを当ててから右ボディ、さらに対角の左フックを死角から叩き込んだクルーム! ヒザを折って倒れたロバーツの首を獲り、ノーアームギロチンチョークへ。相手の頭を胸の中に折り畳んでタップを奪い、11回目の一本勝ちを極めた。 ケビン・クルーム「来週も戦おうと思っている」「これをずっと待っていたんだ。人生をかけて頑張ってきた。ここにたどり着けないんじゃないかと思うくらい長くかかったけど、世界の頂点にきたぜ! 13年だ。人生そのものさ。それほどたくさんのものを持っていたわけじゃないけど、それでもすべてを捨ててきたし、ここに来るためにいろんなことを諦めてきた。こんなふうになるためにね! ジェームスが“行け!”と言うから、そうした。あのフックでとらえた。向こうが落ちて、首を差し出してきた感じ。コーチたちは“打て! 打て! 打て!”とか言っていたけど、首を取っていたから、絞め上げながら腰を入れて、相手をケージに押し込んだ。タップを引き出した気分は今まで味わった中で最高だったよ。これ以上ない物語を生きている。来週も戦おうと思っているんだ。やろうぜ! 今夜にでも体重は作れる。純粋にワクワクするし、純粋に楽しい。オクタゴンの外でも中でも、それは関係ない。俺は行くぜ」 [nextpage] ▼ヘビー級 5分3R○アレクサンドル・ロマノフ(モルドバ)261lbs/118.39kg[2R 4分22秒 肩固め]×ロッキー・マルティネス(グアム)258.5lbs/117.25kg  ともにUFCデビューのヘビー級戦。DEEPメガトン級王者のマルティネスはMMA15勝5敗2分の34歳。RIZINではジェロム・レ・バンナに一本勝ち、ミルコ・クロコップにはヒジ打ちによるカットでTKO負けを喫したが折れないハートとハードワークの試合で日本のファンの支持を得ている。グァム在住で、今回は急遽のオファーを受けてオクタゴンデビューを決めた。  対するモルドバのロマノフはMMA11勝無敗の29歳。5KO&6一本勝ちという驚異のフィニッシュ率を誇る。4月、7月、9月5日のUFCデビュー予定がいずれも新型コロナウイルスの影響でキャンセルとなっていた。188cmの長身、191cmのリーチも規格外だ。  スキップをしながら入場したマルティネス。対するロマノフは、“キングコング”の異名通り、コールに胸を叩いてドラミングを見せる。  1R、サウスポー構えのロマノフは右ローを打っておいてからダブルレッグテイクダウン。パウンドを落とすも立ち上がるマルティネスの117kgの巨体を見事にバックスープレックスで投げ切る。  投げられたマルティネスも下から足関節狙いも、後ろを向いて外したロマノフは、すぐに押さえ込み。肩固め狙いから強烈な袈裟固め、それを耐えるマルティネスが立ち上がると、金網に詰めて左跳びヒザ蹴りを突き刺す。  ノンストップの攻撃のロマノフは、さらに金網に詰めてシングルレッグで引き出してテイクダウン。怒涛の攻めでラッシュする。ハーフガードからアメリカーナを狙い、マウントから鉄槌連打、さらに両手でのダブルパンチ。マルティネスの腹にヒザを置きニーオンでピン留めし、鉄槌。上からヒジも打ち込む。マルティネスの左腕を足で押さえ、鉄槌。続くストレートアームバーは危険な角度になるが、マルティネスは凌いで脇を挙げて防ぐ。  2R、左ミドルを腹に突くロマノフ。相撲経験もあるロマノフは電車道で反対側のケージまで押し込みテイクダウンを奪う。ハーフガードのマルティネスだが背中を着かされる。肩固め狙いからマウントを奪うロマノフ。荒々しいパウンドを連打する。マルティネスはガードを固めるが、動けず。サイドポジションに移行したロマノフは、肩固めへ。しばらく耐えたマルティネスだが、息が荒くなり、タップした。  試合後にコーチを後方に投げてハグしたロマノフは、直前の試合を受けたマルティネスを招き入れて、オクタゴンの中で12連勝の記念撮影に共に収まった。 アレクサンドル・ロマノフ「ヘビー級の全員に言いたい。この俺がやってきたぞって」「ヘビー級の全員に言いたい。この俺がやってきたぞってね。誰とでも戦いたい。気分は最高。次の試合も準備万端さ。明日だろうと次の土曜日だろうと、どっちでもいい。俺はいける。初めての試合じゃないし、ただのUFCデビュー戦だ。経験豊富なファイターだと思っているし、調子もすこぶる良い。この後はベガスでチームと一緒にお祝いするけど、その後は家に帰って家族と一緒に祝いたい。家を離れてもう長いからね。子どもたちにも会っていないし、少なくとも1週間か2週間は家族と過ごしたい。家族、友達、チーム、ファンにメッセージがある。みんなの時間もそうだし、いろんなことを与えてくれて本当にありがとう。自分のやりたいことができて本当に幸せだ」 ▼キャッチウェイト 5分3R○ジェイリン・ターナー(米国)163.5lbs/74.16kg[2R 4分20秒 リアネイキドチョーク]×ブロク・ウィーバー(米国)164lbs/74.39kg  ともにダナ・ホワイトContender Series出身。MMA15勝5敗のウィーバーはUFC1勝1敗。BAMMAからBellator、DWCTSを経てオクタゴン入りを果たした。ウェルター級からライト級に戻したターナーは、UFC2勝2敗。191cmの長身に、192cmのリーチを誇る。  1R、ともにサウスポー構え。右インローを突くウィーバーに、左アウトサイドロー、前手で触り、右フックから左ストレートでダウンを奪うターナー! しかし、ウィーバーは下から足関節を仕掛け、背中を見せたターナーを追って左右を振る。  2R、速い右ジャブはターナー。前蹴り、さらに近づくと首相撲ヒザも突き上げる。ウィーバーの左の前進に右をかぶせてダウンを奪うが、ターナーは追い打ちに行かず。ウィーバーを立たせて右フックを当てる。さらに金網に詰めて右ストレートを当ててダウンさせたターナーは、バックから首に腕を巻き、パームトゥパームで絞め上げ、タップを奪った。ターナーはUFC2連続KO・TKO勝ち。 ジェイリン・ターナー「25歳と若いし、このスポーツで、UFCで、自分がやりたいことを再評価しないといけないと思ってきた」「覚悟は決まっていたし、やってやろうと思っていた。先週にはティアゴ・モイゼスと戦うはずだったのにダメになった。キャッチウェイトの試合を用意してくれたから、行く気だった。誰が相手だろうと気にしない。戦う準備はできていた。最初のラウンドで仕留められたら、もっとド派手な結果にできたんだろうけど、ケージの中で過ごす時間はいいもんだからな。自分の経験にもなる。自分が証明すべき力は見せられたと思うけど、もっと実力を示していかないと。  改善の余地は常にある。今回の試合を500回くらいは見ようと思っているんだ。自分のちょっとした部分もあら捜しする。すでに取り組んでいきたいと思っているのはもっと力のある打撃を打てるようになること。もっとパンチを打って、もっと手数を増やして、今よりうまくカウンターを当ててペースを維持できるようになること。俺的には一撃必殺のウオークオフKOだったと思うけどね。誰かを落として打っていっても起き上がってしまうことが何度もあったから、とにかく落ちていることを確実にしたかった。ハーブ(レフェリー)はまだだと思ったみたいで、相手に戦うチャンスを与えた。それはレフェリーの決定権だから、俺たちはそれに従う。ここに来ることをずっと夢見てきた。25歳と若いし、このスポーツで、UFCで、自分がやりたいことを再評価しないといけないと思ってきた。トップに上り詰める覚悟はある。今でもティアゴ・モイゼスと戦いたいと思っているし、きっといい試合になるはずだ。俺の経歴にもいいだろう。どのくらいで癒やして戻って来られるかを見てみるよ。11月か12月か、そのくらいかな」 ▼ウェルター級 5分3R○ブライアン・バーバリーナ(米国)170lbs/77.11kg[判定3-0] ※30-27×2, 29-28×アンソニー・アイビー(米国)169.5lbs/76.88kg  MMA14勝7敗、UFCでも5勝5敗と五分の戦績のバーバリーナ。2016年1月にセイジ・ノースカットに肩固めで一本勝ちしているが、10KOを誇るストライカーでもある。MMA8勝3敗のアイビーは6月の前戦でUFCデビューもクリスチアン・アギレラに59秒KO負け。  ケージに押し込みテイクダウンを狙うアイビー。尻餅を着かされるバーバリーナは金網を使って立ち上がり、サウスポー構えから左フックをヒットさせる。アイビーも下がりながらワンツーを当てるが、バーバリーナは退かず。最終ラウンド、クラッチを組んでテイクダウン奪うアイビー。パウンドを打つが立つバーバリーナは、アイビーのタックルにギロチンを合わせてスイープ。立ち上がるアイビーはダブルレッグでテイクダウン奪うが、バーバリーナはそこに下からストレートアームバー、キムラを狙う。 ブライアン・バーバリーナ「今年中にもう2試合できたら」「長い道のりを経て今日の勝利にたどり着くことができた。痛みや苦痛も乗り越えてここまできたんだ。それだけこの一勝がうれしい。序盤から相手がテイクダウンを中心に攻めてきたのが分かった。それと同時に相手はテイクダウンに力を使いすぎて疲れているようにも見えたね。俺はしっかり相手の動きを見て、一発を狙っていたよ。しっかりラウンド間で戦略のアジャストもして、第3ラウンドではレスリングを有効活用するように心がけた。できるだけ早くまた試合がしたい。今年が終わるまでに2試合できたらうれしい」 ▼女子フライ級 5分3R○サビーナ・マゾ(コロンビア)125.5lbs/56.93kg[3R 3分57秒 リアネイキドチョーク]×ジャスティン・キッシュ(ロシア)125.5lbs/56.93kg  1R、オーソドックス構えのマゾに、サウスポー構えからスイッチするキッシュ。右ローを前足に突く両者。リーチのあるマゾは左ジャブ。右ロー・右ハイ。右前蹴りでキッシュの左目尻から出血させる。その蹴り足を掴んだキッシュがテイクダウン。インサイドガードに入れた柔術茶帯のマゾが手首を掴んで蹴り上げたところでブザー。  2R、圧力をかけるマゾにオーソドックス構えから右バックフィストを狙うキッシュ。さらに右前蹴りを腹、右ローも突く。そのキッシュの入りに前足を挙げてヒザ蹴りのモーションを見せるマゾ。サイドキックでレバーを打つと、首相撲ヒザでコントロールする。  3R、ジャブから右ハイを連続でヒットさせるマゾ! キッシュも得意のサイドキック。バックフィスト。マゾは右を見せてからそのまま右ハイをアゴに当ててダウンを奪うと、起き上がろうとしたキッシュのバックに回りリアネイキドチョーク! タップを奪った。 サビーナ・マゾ「前回の試合で1Rの入りを一番変えたいと思っていた」「試合の序盤からキックを打ちながら、距離を取って、相手を徐々に追い詰めていこうとしたんだけど、彼女は本当にタフな相手よ。最後のラウンド終盤にはもうすでにキックを浴びていたと思っていたし、グランドのスペースを開けたの。もちろん、最初からパンチとキックの応酬になるってことは分かっていたし、最初のラウンドはまさにそうだった。テイクダウンを取られたけど、すごく激しい試合だったと思うし、結局は私が一本を取ったわ。最初のラウンドがすごかった。正直、私にしてみればペースがちょっと遅くなったみたいに感じたし、第3ラウンドでキックがいい感じに当たった。最初から激しかったけど、ペースにはまったく問題なかったし、他のラウンドでは私の方が押せているのも分かっていたけど、最初からずっとノンストップだったわ。自分の思い通りにスタートできたと思っているし、もちろん、どんな相手も違っているし、リアクションも違うし、最初のラウンドもすべてのラウンドも別々のゲームプランを用意してくる。でも、私は自分が1Rで思い通りにできたと思っている。前回の試合で一番変えたいと思っていたのがそれなの。とりあえず対戦相手を用意してくれれば私は戦うわ。もっと経験を積みたい。もっともっと高みに行きたい。特に誰かということはないけど、戦いたいって人がいたら受けて立つわ」
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