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2020年9月10日(木)東京・渋谷O-EASTにて、『ROAD to ONE 3rd:TOKYO FIGHT NIGHT』が有観客で開催された。
第4試合のONEウェルター級(※83.9kg)では、実家の農業と格闘家の二足の草鞋を履く“ラストサムライ”手塚裕之が参戦。2019年の10月の「ONE: CENTURY」両国大会でのエルナニ・ペルペトゥオ戦の判定勝ち以来、約11カ月ぶりの試合に臨んだ。
会見ではフェイスオフで胸を突くなど“ザ・ビースト”の異名通り、喧嘩腰だった長身のグンター・カルンダ(コンゴ)に対し、手塚は試合で、カウンターの左フック一閃! さらに追撃のパウンドで1R 74秒、アフリカ王者をマットに沈めた。
試合後、ケージの中で、「栃木の野生獣こと手塚裕之です! 日本のビースト、強いっしょ」と胸を張った手塚。試合前にも特別ゲストの松井珠理奈とともに「筋肉とお米は、裏切らない!」というメッセージで話題を集めてきた。
自然に囲まれた栃木県塩谷町の山村の農家に育った手塚は、現在、自ら作った“ファイター米”も販売。「一般の人は糖質過多に注意が必要ですが、格闘家やアスリートが糖質制限をしてしまうと、“ガソリン”となる糖質を入れていないことで動けなくなってしまうので、それを抜いて痩せて減量しても不健康になって力が出ない。よくタンパク質を多くと言われますが、僕にはタンパク質より糖質の方が重要で、しっかり糖質を採るという意味でも、日本人は慣れ親しんだ米から採った方が力になるんじゃないかなと、僕は考えています」と持論を展開している。
サプリメントは一切摂らず「極上の米に極上の卵を乗っけて納豆つけたら“スーパーバランス栄養食”。筋肉をつけたければタンパク質ではなく炭水化物だよ」と豪語する。
「“生物基準”で強くなりたい。一番はフィジカルです」と公言し、坂道で軽トラックを押す・田んぼを走る・川の流れと逆に泳ぐ、裸で登山などの特訓でマッチョな身体を作り上げている。
特に最近、手塚のYouTubeでも話題となっているのが、“アイスマン” として知られるオランダ人・ヴィム・ホフのメソッドだ。
「去年の12月に豪州に行く機会があって、そこで出会ったトレーナーの方からヴィム・ホフの“コールドトレーニング”を教わって、さらにブレストレーニングを組み合わせています。コールドトレーニングをするときに呼吸法がしっかりしていないと、身体が寒さに耐えられないので、身体を温める呼吸方法でブレスします」という。
自身の身体を実験台に、その効用を確認している手塚は、「コールドトレーニングと呼吸トレーニングをすることによって血中酸素が多くなり、日常生活でも疲れが取れたり、怪我の治りが早かったりします。練習・試合中もスタミナが持つように感じていますし、いいことばかりだと実感しています。マスクをして感染予防するのもいいですけど、もっと自分の免疫力を上げることにフォーカスした方が、風邪にもかかりにくいように感じます」と、身体へのこだわりを見せた。
大学卒業後に米国に農業研修に行き、総合格闘技も学んだ。実は、研究肌でもある。帰国後は、地元栃木で中学校の体育教師をしながら、地元の道場でトレーニングも続けてきた。現在は、農業と格闘技に専念し、ONEで頂を目指している。
ONEウェルター級(※83.9kg)では、王者のキャアムラン・アバソフ(キルギス)を筆頭に、元王者ゼバスチャン・ カデスタム(スウェーデン)、ジェームズ・ナカシマ(米国)、タイラー・マグワイア(米国)、ルイス・サントス(ブラジル)、アギラン・ターニ(マレーシア)、そして日本勢でも岡見勇信、秋山成勲ら強豪が名を連ねる。
アバソフが持つベルトが目標という手塚は、岡見と秋山が激闘を繰り広げたアギラン・ターニとの試合を望み、「自分の実力をはかることができる相手」と語っている。