3度目の防衛を果たして次のステージへ進みたい、とする王者・安保 (C)K-1
2020年9月22日(火・祝)エディオンアリーナ大阪『K-1 WORLD GP 2020 JAPAN』で、山崎秀晃(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)を挑戦者に迎えて防衛戦に臨むK-1 WORLD GPスーパー・ライト級王者の安保瑠輝也(team ALL-WIN)が大阪の所属ジムにて公開練習を行った。
安保は2019年6月の両国大会でゲーオ・ウィラサクレックからスーパー・ライト級王座を奪取すると、12月の名古屋大会でゲーオとのダイレクトリマッチを志願し、王座初防衛に成功。今年3月に開催された『K’FESTA.3」では不可思を下して2度目の王座防衛にも成功し、同級において敵なしの選手へと成長した。
その安保のキャリアにおいても大きなインパクトを残したのが、2018年12月の山崎との一戦だ。舞台は奇しくも今回と同じエディオンアリーナ大阪。両者の一戦は、倒し倒されの激闘となり、最後は延長戦にもつれたところを安保がハイキックによるKO勝利。この一戦は「K-1 AWARDS 2018」のベストバウトにも選出され、K-1の歴史に残る名勝負となった。
今回、その山崎を相手に3度目の王座防衛に臨む安保は、同大会のプレリミナリーファイトに出場する永井卓海とスパーリング形式での練習を公開した。安保は得意の飛びヒザ蹴りや左ミドルキックを中心に、ボクシングジムで磨いたパンチも披露。仕上がりの良さをうかがわせた。
前回の不可思戦を「倒せて当たり前」とKO防衛を己に課していた安保だが、結果は1Rにダウンを奪っての判定防衛。安保自身「自分は冬場の減量が嫌いで、2Rから失速しちゃったかな、と。正直、実力差もあったし、倒して当然の試合だったので、試合としては60点ですね」と自己評価は厳しい。
今回の防衛戦に向けてボクシングジムでの練習も取り入れ「自分は無駄な力みがあったんですけど、最近はそれもなくなってきた」という。
安保はteam ALL-WINで日々繰り広げられている実践さながらの“ガチスパー”の様子をSNSで公開している。「うちのプロのスパーリングはみんな壊し合い。10回やったら、ペチペチやるのは2回くらいで、あとの8回は壊し合い」と断言する。「それでもうちの選手で壊れた選手はいないんですよ。自分も怪我する・相手も怪我するというのは、自分が相手の攻撃をもらってしまう打ち方。みんなそうじゃないやり方ができていると思うし、そこで生き残ってきた選手たちだからALL-WINの選手は強いです」と壊し合いで強くなるALL-WIN流の練習方法を語った。
挑戦相手の山崎について安保は「2年前の僕に負けている選手。山崎選手は2年前から衰退、もしくは停滞している選手で、逆に僕はまだ24歳、どんどん伸びている実感がある」と一刀両断。さらに山崎との一戦を次への「踏み台」と表現する。
「山崎選手に対してどうこうは一切ないです。別に舐めているわけではなくて、自分の力を出せば勝てるのは当たり前。テーマとしては次のステージに進むための踏み台にしてやろうと思います」
またスーパー・ライト級王者として実績を積むことで、自分が目指す理想の王者像・ファイター像も見えてきた。
「今、僕は自分の色を発信していきたいと思っていて、昔はそのやり方があえて悪ぶってみたり、いい子ぶってみたり、キャラクターを作っていたところがあったんです。チャンピオンとはこうあるべきだろうというものを作っていたのかな、と。でも今は素の自分を出すようになって、それを受けて入れてもらえるようになりました。
最近分かったのは僕はまっすぐなヒーローキャラじゃないんですよ。でもヒールでもない。ヒールぶった方が注目されると思うんですけど、それは自分には向いてないと思ったんです。まっすぐなヒーローじゃないけど、言いたいことはズバッと言う。そうやって芯を通しながら、自分の中のヒーローでありたいと思います。僕は矢沢永吉さんが好きなんで、矢沢さんみたいな濃いおじさんになりたいです」
理想とするヒーローとしてのストーリーを築くためにも、今回の山崎戦は絶対に落とすことはできない。最後に安保は「僕も山崎選手も絶対に負けられない。だから熱い試合になる」と熱闘を予告した。
「山崎選手からしたら『安保が舐めたこと言ってるな』と思うかもしれませんが、僕からしたら通過点です。山崎選手はどうしてもここでベルトを獲りたいと思っているはずですし、僕も自分のストーリーを作っていくうえで絶対に負けられません。僕も山崎選手も絶対に負けられない。前回を超えられるかどうかは分かりませんが絶対に熱い試合になると思います」と語った。