2020年8月29日(土)東京・後楽園ホールで開催された『Krush.116』の一夜明け会見が、30日(日)に行われた。
会見には「第7代Krushウェルター級王座決定トーナメント」を制し、第7代Krushウェルター級王者となった山際和希(谷山ジム)が出席。前夜の試合を振り返った。
復活したワンデートーナメントの準決勝、山際はKOSウェルター級&スーパー・ウェルター級王者の一吉(RAOU JAPAN)と対戦。1R 1分35秒、右フックによるKO勝利を収めた。
「1回戦の一吉選手は、映像を見た感じだとパンチからキックのコンビネーションでもう少しキレイに来ると思っていたんですが、開始と同時にガンガン詰めてきて蹴りが打てない距離できたので焦りました。でも3月の試合が終わってからボクシングジムへみっちり通わせてもらって、接近戦の練習をしてきたのですぐ冷静に切り替えられて、運良くパンチが当たって早い段階で倒せたのでよかったっです」
決勝戦は3月大会で対戦し、ダウンを奪われて判定で敗れた近藤魁成(大成会館)とのリベンジマッチ。試合は、近藤が回り込みながらの右フックを打ったところでしゃがみ込み、レフェリーが近藤本人に状況を確認したところ「右手首を負傷した」とのことで試合続行不可能と判断されてのレフェリーストップ。1R3分ちょうど、山際のTKO勝ちとなった。
「魁成選手とは3月にやって、僕の中でこうやっていけば勝てるという対策を見つけられ、それをやったんですが魁成選手も上手くて5割くらいしかできませんでした。でも2分過ぎたあたりから魁成選手の勢いやパワーが落ちるのを感じて、2Rで畳みかけようと思ったら、最初は何か分からずうずくまっていて。アクシデントで、実力で獲ったとは思っていませんが、試合が決まっていない時、連敗中でも腐らずにハードな練習をして体重管理もしてチャンスをつかむ準備はしていたので、それは胸を張ろうと思います。王者としては実力も内容も不十分なので、これから倒せる王者を目指していこうと思います」
改めて王者になった心境を聞かれると「ああいう終わり方なので実感がないです。ベルトがあるのが不思議なくらいで。ただ、スポンサーさんや応援団の方が凄く喜んでくれてそれはよかったと思います。でも王者になった感じはないですね」と、あまり実感がないという。
山際は本来ミドルキックを主体とした蹴りの選手だが、昨夜の2試合ではパンチを主体としたスタイルを見せた。これについては「蹴りを捨てたわけではありません、持論ですが、トップ選手は何が苦手とか言ったらトップ選手じゃない。全部できたうえでそれから戦略を考えるのがトップ選手。自分には明らかにパンチが足りないと分かっていました。昨日は一吉選手があの距離で来たからパンチで付き合って、魁成選手との試合ではパンチで削ろうと思っただけで蹴りを捨てたわけじゃないんです」と、たまたまパンチを多く使う場面になったと説明。
「昼はボクシングジム、夜は谷山ジムでキックボクシングの練習をしてきました。でも5カ月は谷山ジムでもほとんど蹴らないで、サンドバッグはボクサーかと思うくらいパンチを連打していました。まだ蹴りに比べたらパンチに自信がないので、もう少しパンチをやって蹴りと同じレベルにして。相手が何をしくるか分からないというようにしたい」と、さらにパンチに磨きをかけていきたいとした。
今後の防衛戦については「強い選手と戦いたいというのがあります。松岡力選手は1回負けているし、魁成選手にも勝ったとは思ってないので3度目の対戦でもいいと思っています。それに加藤虎於奈選手、海斗選手も強い選手なのでそういう強い選手とやりたいです」と具体的な名前をあげた。
当初は加藤がトーナメントにエントリーしており1回戦で松岡と対戦するはずだったが、負傷欠場で山際の代打出場が決定。その松岡も欠場となり、一吉が1回戦の相手となった。海斗は準決勝で近藤に敗れている。今後はこの5人による争いが繰り広げられていきそうだ。
ちなみに、山際がチャンピオンとなって初めて口にしたのは「ウィダーインゼリーでした」と言い、食事は「冷え切ったマカロニグラタンでした。味は覚えてないです」と笑った。
最後には「皆さんの応援のおかげで腐らずにこだわって獲れたベルトだと思っています。KOが少ないので、倒せるチャンピオンになっていきます」とファンにメッセージを送った。
中村拓己K-1プロデューサーは「出場選手の怪我などでカードが変わる波乱の大会という印象がありましたが、どういう結果になるか分からないワンデートーナメントらしい結果になったと思います。空位となっているベルトを初期にやっていたようなワンデートーナメントで争うというのを復活させて、昔のKrushを思い出させるようなトーナメントができて、ワンデーをやって良かったと思っています。山際選手は幸運があったと言っていましたが、弱点のボクシングの練習を重ねていつでも準備できているという姿勢がベルトにつながった。ウェルター級はこれから動いていくと思います。松岡選手、海人選手、虎於奈選手…ほかにもたくさんいます」と、トーナメントの成功に手応えを感じ、これから新王者の山際を中心としてウェルター級が活性化していくとした。
なお、近藤魁成については「病院へ行って右手首と右手の中手骨に異常があるとのことですが、骨に異常はないという報告を受けています。明日、大阪で精密検査を受けることになりました。MRIの結果を受けて今後の試合を考えていきたい」との報告もあった。