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【ONE】スタンプを破った“ベビーフェイス”ロドリゲスとは? 女王メクセンと元K-1&GLORY王者グレゴリアンもONEと契約

2020/08/29 03:08
【ONE】スタンプを破った“ベビーフェイス”ロドリゲスとは? 女王メクセンと元K-1&GLORY王者グレゴリアンもONEと契約

(C)Allycia Araujo

 2020年8月28日(金・現地時間)タイ・バンコクのインパクト・アリーナにて「ONE: A NEW BREED」がリング使用の無観客で開催された。

 メインイベントでは「ONEムエタイ世界女子アトム級(52.2kg)選手権試合」が行われ、既報通り、挑戦者のアリシア・ヘレン・“アラウージョ”ロドリゲス(ブラジル)が王者スタンプ・フェアテックス(タイ)を判定2-0で破り、新王者に輝いた。

 元二冠女王のスタンプは2020年7月31日の前戦バンコク大会で、約半年ぶりのMMA(総合格闘技)マッチに臨み、1RでTKO勝利しているが、2月28日のキックボクシングルールでのジャネット・トッド(米国)戦では、ボクシンググローブを着けたキック戦で判定負け。キック王座を手放している。

「ムエタイのベルトは死守する。キックのタイトルも取り戻し、いつかはアンジェラ・リーが持つMMAのONE女子アトム級世界タイトルに挑戦したい」と表明していたスタンプにとって、オープンフィンガーグローブで戦うヒジ・首相撲ヒザありのONEムエタイ戦は、2019年6月のアルマ・ユニク(豪州)戦以来の試合だった。

 一方のロドリゲスはスタンプと同じ22歳。ブラジルで活躍した後、2018年にタイに移り、技術を磨き試合経験を積んだ。「プーケット・ファイト・クラブ」所属で、戦績は30勝5敗。2019年にタイ・アユタヤで開催された『ミラクル・ムエタイ』では、51kgミニトーナメントで優勝している。

 実は、ONEと同じくMMAグローブで戦う『ムエ・ハードコア』でも活躍中で、大きなグローブの間では通しにくい縦ヒジをヒットさせていた。パンチの技術ではスタンプが上回るが、身長157cmのスタンプに比べ、ロドリゲスは161cmと手足が長く、タナンチャノックを出血させたヒジ打ち、KOしたボディ攻撃は、スタンプにとっても注意が必要な試合だった。

 試合は、序盤でパワフルなパンチで攻めるスタンプに対し、サウスポー構えのロドリゲスは左ミドルをヒット。そして、中盤からロドリゲスは、得意のヒジ打ちを解禁。さらに薄いグローブでノーモーションの左ストレートを打ち込み、スタンプの鼻にダメージを負わせた。

 判定は2-0のマジョリティディシジョンでロドリゲスが接戦を制し、戴冠。「ラウンド毎にスタイルを変えるのは作戦だった」と新王者は涙とともに語った。試合前、スタンプは「(彼女の一番の危険な武器は)おそらく、ヒジ打ち。彼女は自分のリズムを掴んだら、ヒジ打ちを急にどこからともなく繰り出してくるから気をつけないといけない」と警戒していたが、恐れていた通りの展開で、元王者は虎の子のベルトを剥がされた。

 前述した通り、ONEではキックボクシングと首相撲ヒジありの組み技もあるムエタイではグローブが異なり、また、テイクダウン、グラウンドもあるMMAでは重心も距離も異なる。今後、スタンプは二足の草鞋から、MMAに専念していくのか。

 新女王ロドリゲスの格闘技キャリアはまだ6年。

「2014年に姉に続いて私もこの“8つの手足(両手・両足・両ヒジ・両ヒザ)の芸術” であるムエタイに惚れ込んだの。最初の試合はわずか3カ月の練習でブラジルのマスターから『戦わないか』と聞かれて『はい』と答えました。自分を試してみたかったし、試合がどんなものか知りたかったんです。そうして、私は戦うことになり、それ以来、私は戦うことを止めたことはありませんでした」

 プーケットでムエタイを極めるために移住し、そのことで今回のコロナ禍のなか、タイ在住ファイターが多く起用されたONE本戦でタイトルマッチに抜擢された。まだあどけなさが残る22歳のロドリゲスだが、この女子アトム級の立ち技には、さらなる強豪が参戦を決めている。

 ONE Championshipは今大会前に、前GLORYスーパーバンタム級王者アニッサ・メクセン(フランス)と、GLORYライト級王者マラット・グレゴリアン(アルメニア)と契約を結んだことを発表したのだ。

 ムエタイとキックボクシングの世界王者に9度輝いたアニッサ・メクセンは、32歳でプロ戦績100勝(32KO)5敗。WAKOフライ級世界王者、ISKA K-1世界王者、WPMFムエタイ世界王者、GLORYバンタム級世界王者に輝いている。

 メクセンが参戦する階級は、ONEアトム級(52.2kg)のキックとムエタイの両部門。現ONEムエタイ世界王者はスタンプを判定で下したロドリゲス。さらに、現ONEアトム級キックボクシング世界王者は同じくスタンプを判定で下したジャネット・トッドとなっている。

 また、2015年7月の『初代K-1 WORLD GP -70kg(※現スーパー・ウェルター級)王座決定トーナメント』覇者でもあるグレゴリアンは29歳のアルメニア系ベルギー人。63勝(36KO)11敗1分1NCのプロ戦績を誇る。2015年のK-1では決勝でジョーダン・ピケオーを下すなど、3試合連続KO勝ちで優勝している。

 現在、ONEスーパーシリーズのフェザー級キックボクシングは激戦区。ONEフェザー級キックボクシング世界GP覇者のジョルジオ・ペトロシアン(イタリア)を筆頭に、シッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)、スーパーボン(タイ)、タイフン・オズカン(トルコ)、ダビッド・キリア(ジョージア)、ジョネイ・リスコ(スペイン)、ジョン・ウェイン・パー(オーストラリア)、ヨドサンクライ・IWE・フェアテックス(タイ)といった強豪が揃っている。

 新女王にロドリゲスとトッドが君臨した立ち技の女子アトム級で、はたしてメクセンはどんな活躍を見せるか。また、グレゴリアンは強者ぞろいのフェザー級でいかに勝ち上がるか。両者のONEデビューの日程は決定していないが、公式サイトでは「2020年内にもONEの舞台に登場する姿を目にすることができるだろう」と記している。

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