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【ONE】クラップダムがセンマニーを豪快KO、ピンカがMMAデビュー熱闘も判定負け、Little Tigerが東欧美女に完敗

2020/08/21 12:08
「ONE: NO SURRENDER III」2020年8月21日(金・現地時間)ABEMA配信※試合はタイ・バンコクのインパクト・アリーナで2020年7月31日に、リングで行われた。 ▼第6試合 ONE SUPER SERIES バンタム級(※65.8kg)ムエタイトーナメント準決勝 3分3R×センマニー・クロンスアンプルリゾート(タイ)KO 1R〇クラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイ(タイ)  センマニーは6歳でムエタイを始め、15歳でルンピニースタジアム認定ミニフライ級王座を獲得。その後はラジャダムナンスタジアムで3階級制覇も達成し、2012年にはタイ・スポーツ記者協会が認定するムエタイMVPも獲得した 「近代ムエタイの最高傑作」と称されるムエタイ界のスーパースターだ。今年1月にはONEで健太から勝利を収めている。  クラップダムはサウスポーのファイタータイプで、左ストレートを決め技とする元ルンピニー2階級制覇王者。2018年にはプロムエタイ協会ライト級王者の肩書を引っ提げて初来日。REBELSのリングで梅野源治とルンピニースタジアム認定ライト級王座決定戦を争い、4Rに強打で梅野を2度ダウンさせてのTKO勝利を収め、日本のムエタイファンにも強烈なインパクトを残した。  ムエタイではディフェンスやスタミナに難のあるクラップダムが不利とされるが、ONEのオープンフィンガーグローブ使用3分3R(ロープの四角いリング)のルールならば、強打のクラップダムが引っ繰り返す可能性は十分にあるという戦前の予想。この試合の勝者が8月14日に配信された「バンタム級(※65.8kg)ムエタイトーナメント準決勝」でロートレックに勝利したセーマペッチ・フェアテックス(タイ)と決勝戦を争うことなり、優勝者が現バンタム級王者ノンオー・ガイヤーンハーダオ(タイ)に挑戦することが予定されている。  1R、サウスポー同士。クラップダムはジャブで距離を測りながら右アッパーからの左ストレートを繰り出す。クラップダムはこの右アッパーと左ストレートを多用。センマニーはジャブと左ミドルで様子を見ていたが、飛び込んでの左ヒジを繰り出す。  センマニーが強烈な左ローを蹴り、クラップダムの右足がくの字に曲がるが、クラップダムはすぐに前へ出てパンチを放ち、狙っていた右アッパーでセンマニーにスウェーさせてからの左ストレートをセンマニーのアゴに直撃させて一撃KO。  一発の破壊力をオープンフィンガーグローブの拳で発揮し、センマニーを破る大金星。クラップダムが豪快KOでセーマペッチの待つ決勝へ駒を進めた。 [nextpage] ▼第5試合 ONE SUPER SERIES フライ級(61.2kg)3分3R〇モンコルペット・ペッティンディーアカデミー(タイ)判定3-0×ソク・ティー(カンボジア)  モンコルペットは元ルンピニースタジアム王者で、100勝以上をあげてきたというベテラン。ONEでは2019年1月にアレクシィ・セレピソス(ニュージーランド)に完封勝利、同年9月にもジョセフ・ラシリ(イタリア)から判定2-0で連勝を飾っている。  対するティーはカンボジア版ムエタイと呼ばれるクン・クメールの世界王者。2019年5月にはロッタン・ジットムアンノンに挑んだが、2R1分36秒、強烈なローとボディでKO負けを喫している。  1R、モンコルペットはいきなりの顔面前蹴りを繰り出すが、ティーは冷静にかわすと左フックからの右ロー。右ストレート、左ボディ、左フックと強い一発を打ち込むティー。モンコルペットは隙あらばヒジを放つが、ティーは強打を打ち返してくる。両手を広げて“来いよ”と煽るティーに、モンコルペットも同じように両手を広げて笑顔を見せる。  2R、モンコルペットはハイキック、左右ミドル、左右ローにパンチを交えながら順番に蹴る。ジャブで距離を測りながら蹴りを放つモンコルペットに、ティーも蹴り返すがパンチが当たらない。ジャブを突きながら左右ミドル、左右ローで完全に試合を支配するモンコルペット。  3Rになるといきなり首相撲に持ち込んでヒジを出すモンコルペット。離れるとワンツーから高速の右ハイ。ヒジ、パンチで倒しに行くモンコルペットは首相撲でも主導権を握る。前に出るモンコルペットに下がるティー。モンコルペットは左アッパーを突き上げての右ストレート。最後はモンコルペットが笑顔で両手を広げて流し、試合終了。  モンコルペットがテクニックと試合運びの差を見せつけ、判定3-0で圧勝を遂げた。 [nextpage] ▼第4試合 MMA フェザー級(70.3kg)5分3R○シャノン・ウィラチャイ(タイ)[判定2-0]×ファビオ・ピンカ(フランス)  MMA9勝6敗のシャノンが、MMAデビューを迎えるフランスのピンカと対戦する。  2010年のタイファイト-67kgトーナメント初代王者で、外国人として7人目のラジャダムナン王者(ウェルター級・66.7kg)に輝いたピンカは母国のスネークジムでMMAトレーニングを始め、現在はタイのタイガームエタイを拠点とし、クレベル・コイケや長倉立尚らと対戦経験を持つジョージ・ヒックマンをコーチに、トレント・ガーダムとも練習を積んでいる。  迎え撃つウィラチャイは、2018年7月の青木真也戦からツォゴーフ・アマルサナ、ユーリ・ラピクス、ホノリオ・バナリオ相手に4連敗中だが、MMA経験の差は歴然。練習では相手のテイクダウンを切り立ち上がる姿を見せているピンカだが、バックテイクも許しており、そこからの成長具合が気になるところだ。  1R、サウスポー構えのウィラチャイ。オーソドックス構えのピンカ。右ハイで牽制する。圧力をかけるピンカだが、左ミドルを受けながらキッャッチしてコーナーに押し込み両差しも、四つに戻すピンカ。右足で小外がけで崩すウィラチャイだが、ピンカはロープでヒジをかけて凌ぐ。ブレーク。  サウスポーから右フックを振るウィラチャイ。しかしピンカは自ら圧力をかけ左ジャブ、左ロー、ウィラチャイのローの打ち終わりに右ストレートで入るがバッティングに。左ローを3連打するピンカ。左ハイでバランスを崩して尻餅を着くピンカ。そこにウィラチャイはパウンド連打するが、ピンカはガードよりも蹴り上げで凌ぐ。  2R、右ロー、左ローはピンカ。ウィラチャイの前足にダメージをためる。さらに右を振って自ら組みに。しかし四つに組むウィラチャイ。その離れ際にピンカは右ヒジを当てる。戻しの速い左ロー、ミドルはピンカ! しかしウィラチャイは左ハイを空振り、1回転して右バックフィスト! 前のめりにダウンしたピンカは鉄槌、立ち際にヒザを受けるが、ウィラチャイも決めきれず。立つピンカは右ローをインローで前足に突く。後が無いピンカはワンツーで前に出る。さらに前足にローを突き、左ミドル、ハイも当てるがウィラチャイは深追いせず。  3R、左ローを突くウィラチャイ。ピンカも詰めると右ロー。右フック。ウィラチャイの足が止まる。右インローがローブローとなり中断。再開。前に出始めたウィラチャイは右フック。圧力を返すピンカは左ロー。ウィラチャイの右に左目尻から出血はピンカ。しかし左ローを効かせ、続く左ハイはブロックされる。ウィラチャイのテイクダウン狙いは切るピンカ。前に詰めて右バックフィストはピンカ。下がりながら回るウィラチャイ。ピンカは後ろ蹴りもゴング。  判定は1Rにパウンドを連打し、2Rにダウンを奪ったウィラチャイが勝利した。 [nextpage] ▼第3試合 ONE SUPER SERIESムエタイ ストロー級(56.7kg)3分3R〇ワンダーガール・フェアテックス(タイ)KO 1R×ブルック・ファレル(オーストラリア)  ワンダーガールはスタンプと同門の女子ムエタイ選手で、今回がONEデビュー戦。前に出て戦うアグレッシブファイターで、組み付いてのヒザ蹴りが得意だが、右ローを執拗に連打して勝利した試合も。柔術の練習にも取り組んでいるようで、いずれスタンプのように二刀流となるかもしれない。  対するファレルはタイでの試合経験も豊富で、所属はタイのタイガージム。パワーは感じられないが、左右ミドルを軸に左フックからの右ローを多用する。  1R、右ローの相打ちからスタート。ファレルの左ミドルにワンダーガールはワンツーを合わせる。  その後もローやミドルを蹴るファレルにパンチを合わせていたワンダーガールだが、蹴りの威力がないと見たか、パンチで前に出る。  ワンダーガールは右フックがクリーンヒットすると、すかさず連打で畳みかけて右フックからの左フックでダウンを奪う。続いて右ハイからの左右ストレート連打で、ロープを背負ったファレルはマットに沈んだ。  ワンダーガールがパンチ主体の圧倒的なKO勝利で、ONE初陣を飾った。 [nextpage] ▼第2試合 ONE SUPER SERIESムエタイ アトム級(52.2kg)3分3R〇マリー・ルーメット(エストニア)判定3-0×Little Tiger(=宮内彩香/日本)  Little Tigerこと宮内彩香は、初代タイガーマスク(佐山聡)の教えを受けてTigerのリングネームをもらい2007年10月にプロデビュー。2009年12月にJ-GIRLS初代アトム級王座を獲得したのを皮切りに、WMC世界ミニフライ級王座やWPMF世界同級王座などムエタイの世界タイトルを含めて合計9本ものベルトを獲得。新たな挑戦としてONEへの参戦を表明し、2019年10月の『ONE WARRIOR SERIES』でサンドラ・ゴドヴィクに判定負けを喫していたが今回、ONE本戦出場のチャンスを手にした。49.35kgのLittle Tigerはアトム級リミットから2.85kgアンダーでパス。  対するルーメットは計量を51.6kgでパス。17歳で単身タイへ渡り、Team Quest Thailand所属で本場ムエタイのスタジアムで試合経験を積み、2019年2月にはチェンマイスタジアムの女子50kg級タイトルを獲得。前蹴りやミドルから入ってワンツーと長い手足を利しての攻撃から、首相撲はタイ人選手にも劣ることなくヒジ&ヒザを叩き込んでいく。2019年12月の『ムエタイ・スーパーチャンプ』(8チャンネルテレビマッチ)ではソムラッサミーに首相撲からのヒザ蹴り連打でKO、2020年1月の『ムアイ・ハードコア』(8チャンネルテレビマッチでオープンフィンガーグローブを着用)では縦ヒジでのTKO勝利を収めている。2月19日には『ONE Warrior Series 10』でMMAデビュー戦に臨んだがアニータ・カリムに判定負け。今回は本職のムエタイルールで戦う。 両者は前日計量で2.3kgという大きな差。実際向かい合ってもルーメットが圧倒的に体格で上回っている。  1R、サウスポーの宮内は左ローと左ストレートで果敢に攻めていくが、体格差はいかんともしがたくルーメットの右ストレート、抑えつけるような首相撲からのヒザ、そしてヒジを叩きつけられる。右ヒジの連打をもらって宮内の左目下は腫れ、ドクターチェック。  再開後も首相撲からのヒジとヒザ、右ストレートをもらう宮内。必死に左右のパンチを放って食らいついていく。  2R、ルーメットは顔面前蹴り、右ミドルで宮内を突き放すが、宮内は左ローで対抗。ルーメットは組み付くとヒザ蹴り連打。離れると右ストレートからの右ハイを放つ。宮内も左ハイを顔面にかすめさせるが、ルーメットはすぐに右ミドルを蹴り返してヒジを放ってくる。  3R、ルーメットの右ミドルを受けて、もしくは合わせてパンチやハイを返す宮内。闘争心を見せて前に出る宮内だが、接近すると首相撲で抑えこまれてしまう。ミドルの蹴り合いが続き、最後にコーナーへ詰めた宮内がワンツーの左をクリーンヒットさせて試合を終えたが、終始ペースを握りテクニックも見せたルーメットが判定3-0で勝利した。 [nextpage] ▼第1試合 MMA フェザー級(70.3kg)5分3R○ベン・ロイル(英国)[3R TKO]×クインティン・トーマス(米国)  アマチュアで6勝2敗、プロMMA4勝1敗のロイルは今回がONEデビュー戦。2017年10月の「Kunlun Fight MMA 16」で摩嶋一整に一本負けしているルーク・ジョーンズに一本勝ち。2019年10月の前戦「Eternal MMA 48」では、Rebel FCフェザー級王座戦で同じく摩嶋に一本負けしているホドルフォ・マルケスを、ロイルは判定で下している。  対するトーマスは、「2017 IMMAF World Championships」ライト級優勝などアマチュアで10連勝後(14勝2敗)、2020年1月のプーケット開催の「TFC Fight Night 2」でプロデビュー。地元タイ人選手にKO勝ちでONE出場を決めた。  1R、ともにサウスポー構え。右ローから入るタイガームエタイのトーマスは下がりながらスイッチ、右ボディストレートも。プーケットトップチームのロイルは右前蹴りと互いに遠間から。トーマスは右のサイドキック。ロイルは右ジャブ・右フックを振るが、トーマスはかわす。  2R、右ジャブを当てるトーマス。さらに左ロー。しかしロイルは左ローの連打をカーフに効かす! 足を流され、前足を変えてオーソドックス構えになるトーマス。サウスポー構えに戻すトーマス。ロイルは左ローをインローで打つ。  3R、オーソドックス構えになるトーマス。その入りに右を狙うロイルは左インロー! 足が流れるトーマス。トーマスの入りに左フックを当てダウンを奪うロイル! 立ち上がったトーマスに左右の連打を浴びせ、レフェリーを呼び込んだ。テイクダウンの攻防の無いスタンドの打撃でロイルがTKO勝利。ONE初陣をフィニッシュ勝利で飾った。
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