2020年8月22日(日本時間23日)、無観客で開催される「UFC Fight Night: Munhoz vs. Edgar」に、ウェルター級の佐藤天(サンフォードMMA)と、女子ストロー級の魅津希(LAW MMA)が揃って出場する。
このコロナ禍のなか両選手はいかに米国ラスベガスでの試合に臨むのか。両選手のマネージメントを務めるOn The Road Managementのシュウ・ヒラタ氏に、今回はUFCの感染対策と、佐藤&魅津希の直前の状況を聞いた。
佐藤は練習拠点のフロリダ、魅津希はニューヨークから、今回の大会会場があるラスベガス入りする前に、出発前の最初のPCR検査を受けている。
試合10日ほど前に、自宅にてZOOMを起動し、UFCのドクターの見える位置で、送られてきた指定の検査キットのパッケージを開けて書類にサインし、鼻の奥を拭って検体を採取。封を閉めて、検査機関に送付する。
この結果で陰性が確認されない限り、飛行機に乗ることは出来ない。また、米国以外から米国入りする場合は、UFC手配のクリニックにて出発日の48時間前に検査を行い、陰性確認を行う。
現地到着後は、すぐに再度のPCR検査と検温へ。選手・セコンド勢全員が再びPCR検査を行い、この結果が翌日の朝9時に出るまで、ホテルを一歩も出ることは出来ない。
【写真】UFCバンタム級2位のアルジャメイン・スターリングの指導のもと、サウナスーツでグラウンドの動きをチェックする魅津希。
これまでのUFCでは、男子選手は選手とセコンドで1部屋、女子選手は選手とセコンド別の2部屋が用意されていたが、今回のUFCラスベガス大会では、全室スイートのホテルを丸々一軒借り切っており、全選手にスイートルール2部屋が用意されている。各部屋にはそれぞれベッドルーム2つにリビングルームとキッチンがついているという。
また、選手一人ずつに、ワークアウト用のマットルームが選手の泊まる部屋と同じフロアに設置してあり、選手は計量に向けて最後の調整を行う。「ホテルの部屋とワークアウトルームの往復のみ。他のチームとは接触しないようになっています」(佐藤)。
到着直後のPCR検査で陰性の場合は、UFC PI(UFCパフォーマンス・インスティチュート)などで調整。2日目と3日目は検査はないものの、減量の最中、毎朝9時から11時の間に検温。試合前日は午後に3度目のPCR検査を行い、以降は、再び選手もセコンドも試合までホテルを出てはいけないルールになっている。セキュリティがホテルのあらゆるところに配置され、関係者も含め、厳重に出入りがチェックされる。
試合日は、各選手ごとにリムジンが用意されて、会場入り。控え室も選手1人につき1部屋が用意され、選手が試合で入場すると荷物は全部撤収。控え室を清掃・消毒後、次にその控え室を使う選手が会場入りするという流れとなっている。
試合後は、メディカルチェックとインタビューが終わったら、控え室からすでに撤収されている荷物を積んだリムジンが待っており、チームはすぐにホテルまで戻る。つまり、会場入りして1時間30分ほどで試合、試合後すぐにホテルに戻るため、会場にいる時間はトータルで2時間半ほど。全関係者が検査を受け、換気・消毒済の会場においても、できる限り感染リスクを避ける体勢が取られている。
今回、メインカード入りした佐藤はMMA16勝3敗。UFCでは2勝1敗で今回が初回契約の4試合の最終試合となる。勝利して契約更新に繋げられるか。対戦相手のダニエル・ロドリゲスはMMA12勝1敗で、2月にティム・ミーンズに一本勝ち、5月にガブリエル・グリーンに判定勝ちするなどUFCでも2戦無敗の強豪だ。
現地では、佐藤がウェルター級(77.1kg+0.45kg)契約に向け、20日(日本時間21日)の日中の時点で、リミットまであと10ポンド(4.53kg)あったものの、ホテルに設置されたポータブルサウナなどで水抜きを行い、「1時間半くらいで3.5kg抜けてあと1kg! 寝ます!!」(佐藤)と最後は睡眠時の新陳代謝も含めた調整で、前日計量に向かう。
一方、プレリミナリーカードのメインでの登場が予定されている魅津希(MMA14勝5敗・UFC1勝)は、2019年8月の前戦では、急なオファーを受けて一階級上のフライ級でウー・ヤナンと中国で対戦し、アウェーながらスプリット判定で勝利したが、今回は本来のストロー級でブラジルのアマンダ・ラモスと対戦する。
ラモスはMMA7勝1敗1分で、7勝のうち5つがKO、2つが一本勝ちというオールフィニッシャー。2019年12月のUFCでバンタム級からフライ級に落としてミランダ・グレンジャーにリアネイキドチョークで一本勝ちしている。
現地到着後、同門のアルジェメイン・スターリングらをパートナーに動きを確認してきた魅津希は、ストロー級(52.2kg+0.45kg)契約試合に向け、体重調整が懸念されたが、20日(日本時間21日)の日中の時点で、116.6ポンド(52.88kg)と順調に減量が進んでいるようだ。
計量という試合前前の過酷な闘いのなか、現地でポスターへのサインや撮影などのルーチンもこなし、さらにPCR検査や行動の制限を強いられながら、観客のいないマットへと向かうファイターたち。その戦いを世界に配信するカメラの向こうにいる、ファンの応援を背に、覚悟とともに戦いに臨む。
UFC Fight Night: Munhoz vs. Edgar
2020年8月22日(日本時間23日)UFC APEX米国ネヴァダ州ラスベガス
▼バンタム級 5分5Rペドロ・ムニョス(ブラジル)フランキー・エドガー(米国)
▼ライトヘビー級 5分3Rオヴァンス・サンプレー(ハイチ)アロンゾ・メニフィールド(米国)
▼ライトヘビー級 5分3Rマイク・ロドリゲス(米国)マルチン・プラチニオ(ポーランド)
▼女子フライ級 5分3Rマリヤ・アガポワ(カザフスタン)シェイナ・ドブソン(米国)
▼ウェルター級 5分3R佐藤 天(日本)ダニエル・ロドリゲス(米国)
▼女子ストロー級 5分3R魅津希(日本)アマンダ・レモス(ブラジル)
▼ライト級 5分3Rオースチン・ハバート(米国)ジョー・ソレッキ(米国)
▼ウェルター級 5分3Rドゥワイト・グラント(米国)ケレン・ボーン(米国)
▼ライトヘビー級 5分3Rイケ・ビラヌエバ(米国)ジョーダン・ライト(米国)
▼ウェルター級 5分3Rマヒュー・セムレスバーガー(米国)カールトン・ミナス(米国)
▼バンタム級 5分3Rティムール・ヴァリエフ(ロシア)トレビン・ジョーンズ(グアム)
※ジョーンズの前戦は、2019年5月「DEEP89」で大塚隆史に2R リアネイキドチョークで一本勝ち。
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