(C)山本美憂 MiyuuYamamoto チャンネル
2020年8月9日(日)の「RIZIN.22」(横浜ぴあアリーナMM)の第1試合で加藤ケンジ(K.O.SHOOTO GYM/3POUND)と対戦する山本アーセン(KRAZY BEE/SPIKE 22)の試合までのドキュメントを、母の山本美憂が自身のYouTubeチャンネルにアップした。
2015年12月にカナダ国籍を取得し、カナダ代表としてリオデジャネイロオリンピック出場を目指していた美憂は、このコロナ禍の影響で日本に入国出来ず。今回アーセンは拠点としているグアムから一人出国し、日本へ向かうことに。
映像では、SPIKE 22での練習後、アーセンが「黒帯の選手とやらせてもらえたのはすごい貴重だから、いい勉強になる。ただ、今までチームで行動してたじゃん、何があっても。それに慣れてたから。寂しいっちゃ寂しいけど、やることはやったし、自分の距離もだんだん見つかってきているから、そんなに怖くはないけど、やっぱり一人に慣れてないから寂しい」と吐露する姿が映し出されている。
美憂は「向こう(日本)に行ったら向こうの仲間(KRAZY BEE)がいるから」と勇気づけると、カイル・アグオンらSPIKE 22のチーム全員と次男のアーノン、長女のミーアらもアーセンの頭に手を置きアーセンを送り出す、貴重な場面を見ることが出来る。そこには、プロファイターがすべてを賭けて戦いに向かうリアルがある。
練習後、アーセンを中心に祈りを捧げるチームメイトたち。メルカ・マニブッセン代表の掛け声とともに拳を合わせたメンバーとハグを交わすアーセンは、感極まり涙を流している。
アーセンを抱きしめた美憂は「GO!」と背中を叩き、アーセンは「絶対勝つ、負ける気しないよ」とガッツポーズを見せた。長いキャンプを経て、単身日本へ向かうアーセンにとって、その祈りは大きな力となったようだ。
「空港にもカイルと母ちゃんと、アーノン、ミーア、俺の親友ジョイが見送ってくれる。最後まで愛をもらってすげー嬉しいし、すごい自信がつくし、やっぱり俺は一人でやってるんじゃないなって、ほんとう、つくづく思う瞬間。
昨日の練習が終わってからも、俺を輪の真ん中に入れてお祈りしてくれて、力と愛を感じ過ぎちゃって泣いちゃったし、すごくいい涙で、泣いたら力抜けるってよく言うけど、そのときは泣いてすごい力が入った瞬間だった。不思議な特別な瞬間だった。
これは俺一人の力で戦うんじゃなくて、みんなの力で戦うということだから、これほど幸せなことはないと思います。この出会いを捧げてくれたノリ(KID)にほんとうに感謝します。俺の人生は最高で最強な人生だと思っています。LOVE」
美憂たちに見送られたアーセンは、「ソーシャルディスタンスを保ったガラガラの飛行機」に乗り、日本へ到着。空港検疫でPCR検査も受け、政府による新型コロナウイルスの水際対策のため、2週間の自主隔離生活へと入った。
「気合は十分だけど、やはり一人は寂しい。でも頑張ります。じいちゃん、ばあちゃんの家に着きました。(バックのKIDの写真を見て)ノリ、久しぶり。ここが俺の2週間自粛生活の部屋になります。ここから頑張ります」
日本の実家で、山本“KID”徳郁の遺影を背に、気合を入れるアーセン。度重なる怪我を経て、グアムで再生し、2019年2月には第一子も誕生した。
RIZINでは、マネル・ケイプ、宮田和幸と強豪相手に敗れたが、2019年6月のティム・エスクトゥルース戦ではスタンドでのレスリングの差し合いからヒザ蹴り、さらに右ヒジでダウンを奪い、1Rでパウンドアウト。2年ぶりの勝利を飾っている。
日本在住のファイターとは異なる形で、1年2カ月ぶりの試合に臨むアーセン。9日の対戦相手の加藤は、プロ修斗環太平洋バンタム級ランカーで、カウンターの右ストレートなど打撃のキレに定評がある。MMA歴も11年(10勝7敗)と、アーセン(3勝4敗)の倍以上のキャリアを持つ。アーセンにとって決して与しやすい相手ではない。
レスリングと打撃の融合を図って来たアーセンは、チームの祈りを背に成長した姿を見せられるか。「このタイミングで試合をもらえたのは、絶対に俺にしか出来ないことがあるから」とSNSに記した、アーセンの第1試合に注目だ。
「本当にこの凄いタイミングで最高な舞台で、最高な人達と最高なリングで闘える、この幸せを皆様に分かち合える、伝わる、景気の良い試合を見せたいと思います、このタイミングで試合をもらえたのは、絶対に俺にしか出来ないことがあるからだと思うので、派手に行きます! みんなのストレスがスカッとする試合を見せます!」山本アーセン