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【RIZIN】朝倉未来戦が幻となった朴光哲、ヒクソン式ヨガの呼吸と“BPM”で戦う「もうちょっと続けたら見えてくるものがある」

2020/07/30 12:07
【RIZIN】朝倉未来戦が幻となった朴光哲、ヒクソン式ヨガの呼吸と“BPM”で戦う「もうちょっと続けたら見えてくるものがある」

(C)RIZIN FF

 カツカツカツカツカツ……まるで読経で打ち鳴らす木柾(もくしょう)のように、鋭くメトロノームがテンポを刻むなか、あぐらをかいて、腹を波打たせて呼吸をする朴光哲(KRAZY BEE)。

 ビーガンでもある朴によれば、インドの言葉で「うねり」の意味をもつ「ナウリ」の呼吸で、「ヒクソン(グレイシー)がやっていた腹を引っ込ませて動かす呼吸系をYouTubeで独学で採り入れた」という。

 メトロノームは「フンフンフンと息を吐くときに、呼吸が乱れないように」鳴らしている。このの横隔膜を使う呼吸とテンポを格闘技のなかで、朴は達人のように採り入れ、世界と戦ってきた。

 朝倉未来戦決定時の『ゴング格闘技』本誌の取材で朴は、「たまにメトロノームを鳴らしながら練習をするんですけど、“メトロノームの外の速さ”でやってる奴がやっぱりやりにくい。腕っぷしが強いっていうのは、BPM(Beats Per Minute=テンポ)が速いんです。そうなるとやり辛い。でも、ただ速ければいいのかと言ったらスタミナが持たない。試合でも相手がどんなBPMで来るかは分からないし、相手に“やりにくいな”って思わせる、いいあんばいのBPMがあるんです」と、ニヤリと笑って見せていた。

 2020年8月10日(月・祝)横浜・ぴあアリーナMMで開催される『RIZIN.23』で、元ONE世界ライト級王者・朴光哲は、元修斗環太平洋フェザー級王者の青井人(BLOWS)と対戦する。

 その公開練習で垣間見せたトランス状態のような呼吸。相手の呼吸を読むかのように、ギリギリのところでカウンターを決めて勝負をしてきた朴に、公開練習後、いったんは消えた朝倉未来戦のことも含め、聞いた。

──試合が迫ってきましたが現在の心境はいかがですか?

「『やっと来たな』と言う感じですね。4月(大会)が中止になってから、この先どうなるかっていうところから色んな人が頑張って、やっと試合という形まで漕ぎ着けたので、そこで自分のパフォーマンスを全部発揮できたら良いなと思います」

──今回は自身のどういった部分に注目してほしいですか?

「どうなんですかね……まぁ、脱いだら凄いんで、出落ちになんないように頑張ります(笑)」

──約1年ぶりの試合となりますが、ファンにどういったパフォーマンスを見せたいですか?

「すごい調子が良いはずなので、歳を取っても全然まだパフォーマンス上がるっていうところを見せたいですね」

──対戦相手の青井人選手は、2017年10月の修斗で同門のKRAZY BEEの高橋遼伍選手と対戦しましたが、ファイトスタイルを見てどういう印象を受けましたか。

「やっぱり、若いというか勢いがありますよね。その勢いに飲み込まれないように、老獪に頑張ろうかなと思ってます」

──その印象を踏まえた上で、どう戦う予定なのか言える範囲で教えていただけますか。

「勢いがある攻撃に飲み込まれないように、自分のペースで戦えるようにしたいです」

──自粛期間、試合に向けてどのような練習をしてきましたか。

「ヤッチくんと被っちゃいますが、本当に気持ちも身体もすごいどん底に落とされたところから、自分を一から見つめ直して、フィジカルだったりスタミナだったり、時間はいっぱいあったので、一から技術をレベルアップ出来たんじゃないかなと思ってます」

──朝倉未来戦の中止決定前の取材では、「メッチャ仕上げた。また、これを一から仕上げようとすると、相当お金がかかる」と言っていました。正直な話、青井戦はどうあれ、その仕上がりを未来選手にぶつけたかったという思いはありませんでしたか。

「そうですね……実は今回もすごく仕上がったんですよ。いろんな人に借金してね(笑)。試合の日にあんまし……シークレットマッチをやりたいくらい(仕上がっている)。ここでやるって言っちゃうと借金取りが来ちゃうんでアレですけど(笑)。結果、未来戦が中止になる前より強くなったので『結果良ければすべて良し』です」

──青井選手に勝てば朝倉未来戦に繋がると思いますが、その思いを聞かせてください。

「次の試合に勝てばもちろんその先は無限に広がって来るんで、いっぱいお金も入ってくるだろうし、だけど次勝たなかったら話にならないので、足元すくわれないように、明日ばっか見てないで、ほんとうに目の前の敵を全力で、出し惜しみなくぶっ飛ばせるように頑張ります」

──会見で「自分を見つめ直すいい期間になり、コロナの前よりも絶対に強くなっている」と仰っていましたが、その根拠をもう少し具体的に教えてください。

「そうですね(笑)。なんなんだろうな……虐げられたり、嫌なことがあった方が自分は強くなるタイプだと思っているので、その鬱憤を──選手はみんなそうだと思いますけど、凄いフラストレーションが溜まっていたと思うんですけど──それを出せる機会を与えてもらえたというのは、すごい幸せだと思うので、まだ試合できない選手もいっぱいいるし、そういうのはRIZINさんにはすごく感謝しているので、それを踏まえて、まあ、試合を見てくれという感じですね。試合で本当に“おおー強くなったな”と思われるように、そういう試合になると思っているので頑張ります」

──対戦相手の青井選手は修斗でもタクミ選手に勝利したように、ベテランを越えて名を挙げてきました。今回の「ベテランvs若手」の構図のマッチメークを聞いたときに、どんな反発心を感じましたか。また、青井選手と対戦した高橋遼伍選手とも青井対策を練られてきましたでしょうか。

「オヤジ狩り、ですね(笑)。高橋にはセコンドについてもらうし、このマッチメークに関しては、まあしょうがないです。長くやってたら『ベテラン対若手』みたいな試合は組まれるんで、そこできっちり勝つか、若手に道を開けるか、どっちかしかないんで、ただもうちょっと続けたいです。もうちょっと続けたら見えてくるものがあるので、続けるためにも絶対勝ちたいです」


【写真】公開練習での朴の呼吸のデモンストレーション。その後でシャドーを行う矢地は、「この妙技の後にやるの嫌なんだけど。妙技すぎる」と苦笑していた。

──最後にファンにメッセージを。

「貴重な時間、午後1時にライブ配信を見てくれてありがとうございます。皆の期待に応えられるように良いパフォーマンスをして、“大会開いて良かった”って思われるような試合をするので、応援よろしくお願いします」

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