2020年7月12日(日)、RISE初となるテレビマッチ『Cygames presents RISEonABEMA』が都内某所で行われ、テレビ&ビデオエンターテインメント「ABEMA(アベマ)」が大会を完全独占生中継した。
同大会は、新型コロナウイルスの影響により、従来通りの興行開催が難しい状況を受け、RISE初のテレビマッチを無観客にて実施。那須川天心(TARGET/Cygames)の対戦相手を公募で決定し、大会開始前から大きな話題を呼んでいた。
大会当日も無観客大会であることを感じさせない演出に注目が集まった。あえてリング回りに客席を配置し、スタジオマッチの空疎な雰囲気を払拭。LEDを観客席に敷き詰め、高揚感を表現するなど、これまでの無観客大会では見られなかったユニークな施策を実施。
また巨大スクリーンに視聴者を映し出し、“カメラの向こうに視聴者がいる”でことを可視化した演出で、リング上の戦いを映し出した。
エンタメ界では、最新AR技術と3Dグラフィックスを用いた世界同時配信が進んでおり、韓国の「Beyond LIVE」等ではいち早くリモートライブを実施。ステージ上に映るファンのかけ声とともにライブが行われている。また、LDHが新たなライブ・エンタテインメント有料配信ライブ「LIVE×ONLINE」を開催し、6月25日にはサザンオールスターズが、バンド史上初となる無観客ライブを開催。動画配信サービスを通じて「有料」配信されたライブの総視聴者数は約50万人にのぼったという。
こうした動きに格闘技界も反応し、新型コロナウイルスの感染状況の変化とともに、「リアルファイト」の配信方法も日々、変化している状況だ。ABEMA「格闘チャンネル」において視聴数が140万を突破した『RISEonABEMA』は、コロナ禍で苦しんだ格闘技の本格的なリスタートを宣言する斬新な大会となったことは間違いない。
格の差を見せつけた那須川、90秒圧倒的勝利で40連勝
2020年初戦の相手を公募で決め、シュートボクシングの笠原友希(シーザージム)という初の年下選手との対戦となった那須川天心。
サウスポー同士の緊張感あふれる戦いは、1Rで三度のダウンを奪いほとんど笠原に触れさせずわずか90秒でKO勝利を収める圧倒的な試合展開となった。
試合後のリングでは、「格闘技が帰ってきました!」と声を上げた那須川は、「まずはこうやって笠原選手が挑んでくれて、僕は本当に嬉しかったです。格闘技がまだまだ盛り上がるなと思いました。下克上をやろうと思って僕に挑んでくれた笠原選手、本当に彼は格闘家だなと思いました」と対戦の名乗りを挙げた笠原への感謝と共に、半年ぶりのリングをを振り返った。
初の無観客試合については「また新たな形の格闘技もできたんじゃないかな」と手ごたえを語ると、「自粛期間中も、毎日何ができるかを考えて生きてきたので、その差はしっかり見せられたんじゃないかなと思います。今日からまた格闘技がスタートするんで、これからの那須川天心にご注目ください!」と格闘技の新たな幕開けを感じさせる言葉で締めた。
白鳥は小川と魂の延長戦へ
大会前に、「今回は過去最高の仕上がり」と熱く語った“キックの王子”こと白鳥大珠(TEAM TEPPEN)と、そんな白鳥の鼻を折ってやりたいと意気込んだ“沈黙の野武士”こと小川翔(OISHI GYM)の対戦は、百戦錬磨の小川の老獪な戦いと鋼の肉体の前に、白鳥が苦戦。
互いに距離を読んだ1Rを経て、2Rでは手数を増やしてペースを上げた白鳥だが、小川はガードを固め攻め入る隙を与えず。3Rでは、白鳥がバックブローを入れるも、小川は倒れることなくガードを固め続け、勝負は延長戦の末、判定へ。3-0で勝利を収めた白鳥は、試合後のインタビューで「しょっぱかったですね」と話し、「(小川選手は)KO負けがないから、俺が倒してやろうと思ってたんですけど、実際向き合ってみると頑丈でした。蹴った方が痛かったくらい」と、悔しさをにじませながら、小川の強靭なガードと肉体を讃えた。
同大会は「ABEMAビデオ」にて全試合を配信中だ。コロナ禍において、格闘技ファンに安全に格闘技の大会を楽しめる取り組みを見せた『RISEonABEMA』。今後も格闘技の生中継で生まれる熱狂をいかにファンに届けるか注目だ。