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インタビュー

【ONE】ライト級世界王者エドゥアルド・フォラヤンが青木真也との再戦を語る「彼は私に近づくこともできないだろう」=3月31日(日)「ONE:A NEW ERA」両国

2019/03/07 07:03
3月31日(日)、東京・両国国技館でONE Championshipが、初の日本大会「ONE:A NEW ERA -新時代- 」を開催する。 同大会のメインイベントでは、ONE世界ライト級選手権試合として、同級王者のエドゥアルド・フォラヤンに、青木真也が挑戦する。 フォラヤンは2011年9月3日の「ONE Fighting Championship」──まだ「ONE FC」だった頃のONE旗揚げ戦から参加した選手だ。 当時6連勝中でDEEPやHEATで猛威を振るっていたクォン・アソルとメインイベントで対戦し、アソルの圧力を跳ね返し、鼻骨を折りながらもパンチに蹴りも織り交ぜ打ち勝ち、強豪アソルに判定勝利、ONE旗揚げ戦のベストバウト賞を獲得した。 もともと高校教師だったフォラヤンは、アジア・ゲームスの散打でメダルを獲得。チーム・ラカイでMMAを学び、フィリピンMMAをけん引するエース的存在となった。 そんなフォラヤンが青木真也と最初に対戦したのは2016年11月のシンガポール大会。当時、王者だった青木のテイクダウン狙いを切り続けた挑戦者フォラヤンが3R、跳びヒザ蹴りからのパウンドで青木にTKO勝ち。新王者となった。 フォラヤンはその1年後に豪州のマーティン・ヌグエンと対戦し、後ろ廻し蹴りに右フックを合わされてKO負け。一度はベルトを手放したが、2018年11月、ヌグエンが返上した王座をアミール・カーンと争い、判定3-0で勝利。王座に返り咲いた。 旗揚げ大会から参戦したフォラヤン、その1年後にONEに参戦した青木。ONEという存在の一部となっている両者が2016年11月以来の再戦を、初の日本大会のメインイベントとして戦うことは、大きな意味を持っている。 カードを見れば、ONE史上最大の大会になると確信できる 「非常に楽しみだ。この大会がどれだけ大きくなるのか期待している。なぜならカードを見れば、この大会がONE史上最大のものになると確信できるから」。フォラヤンは日本大会について、自身も大きな期待とともにメインに臨む思いを語った。 フォラヤンはタイトル防衛に自信を見せている。「アオキとの唯一の違いは私が防衛する立場にあるということ。完璧な準備をして自分の力を100%発揮し、良い結果を出したい」と、堂々と待ち受けている。 “跳関十段”の異名で知られる青木真也は、これまで数多くの鮮やかな関節技でファンを魅了してきた。 青木は直近3試合で2つの一本勝ちと1つのTKO勝ちを収めており、充実の時間を過ごしている。ファラヤン青木との再戦を予期し、青木の状態の良さを認めている。 「アオキはタイトル争いに早々と戻ってきた。私はタイトルを一度失ってしまったけど取り返すことができた。そのタイミングで日本大会が発表になれば、当然アオキとの試合になるだろうと思っていたよ。アオキは最高の選手だし状態も良い。だから、これまで以上に注意を払って、試合に臨みたい」。 アオキが距離を詰めるならば、カウンターを入れる 強い組み技・関節技を持つ青木真也からファラヤンがタイトルを防衛するためには、技術面での対策が必要だった。フォラヤンは青木の技術がいまなお向上していることを指摘し、決してグラウンドで戦わないことが重要であると理解している。そして、自身の打撃こそが青木を倒す武器だと確信している。彼は、所属するチーム・ラカイのマーク・サンジアオコーチと共に青木対策を練ってきた。  「できるだけグラウンドの状態に持ち込ませないこと。これしかない。アオキが関節技を狙ってくることは一目瞭然だ。ならば、私はテイクダウンからしっかり自分を守るのみ。この試合の鍵はそこにある。テイクダウンのタイミングなど、色々と修正点があったから改善したよ。テイクダウンの防御を重点的に練習してきたし、すでに手応えも感じている」 「もしグラウンドに持ち込まれても、脱出する自信がある。冷静に抜け出して元の体勢に戻れるだろう」と、フォラヤンは話す。 「アオキには独自の世界観があり、相手のペースで試合をしてしまうと、パニックに陥るかもしれない。そうなってしまっては相手の思うツボだ。そうならないためにも、まずはテイクダウンをしっかり切らなければならない」 フォラヤンは青木が前回の試合よりも積極的に攻めてくると予想し、テイクダウンに対して防御する時間が増えると考えている。そこに打撃を組み合わせて、応戦する構えだ。フォラヤンは、青木戦での鍵は相手を警戒させ、前に出させないことだと言う。 「私には一発があるということを分からなせなければいけない。彼が、距離を詰めるならば、カウンターを入れるよ」 2016年に“生きる伝説”である青木真也を、不屈の闘志で打ち破ったフォラヤンは「精神的な強さでは私の方が上」と断言する。 「厳しい試合にはなるが、それでも伝説であるアオキと再び戦えることは光栄に思う。私はアオキ・シンヤという格闘家を尊敬している。彼は素晴らしい格闘家であり、格闘技界の真の英雄でもある。彼は、ずっと前から格闘技界を牽引して、 最高峰の舞台で戦ってきた。彼は既に、伝説的な選手だと言ってもいい。しかし、3月31日の試合で勝つのは私だ。イメージはできているし、彼は私に“近づくこともできない”だろう」 努力すれば、栄光を掴める。夢は実現できるんだ ONEの舞台で、今なお進化を遂げつつあるフォラヤン。彼はONEと出会ったことを感謝しているという。そして、その実体験から、こう断言する。 「努力すれば、栄光を掴めるということをファンに伝えたい。夢は実現できる。そして、フィリピンの格闘技の未来のためにも私は全力で戦う。私は、この試合を家族やチーム・ラカイのメンバー、そしてフィリピンのすべてのファンに捧げる」。 そして、フォラヤンは最後にこう締めくくった。 「この試合に判定決着はない。試合をフィニッシュさせたい」と。 常にフィニッシュに向かう圧力をもって、青木と対すること。青木はいかにフォラヤンにアプローチするか──積み上げた練習と確かな技術、そして覚悟が問われる、つまり「格闘技」のすべてが詰まった、メインイベントまで、あと4日だ。 EDUARD FOLAYANG ONE世界ライト級王者であるエドゥアルド・フォラヤンは、逆境を跳ね除けて世界の頂点に辿り着いた。 フィリピンの貧しい家庭で生まれ育ち、5人の兄弟を病気で失い、 文字が読めない両親は、教育の重要性を痛感し、フォラヤンたちを学校に通わせた。フォラヤンはそんな両親を助けるために、武道を志すようになり、遂に人生の道を切り拓いた。奨学金で大学に行く傍ら、武術太極拳のフィリピン代表チームに加わり、メダルを獲得。その後、MMAジム・チームラカイに参加し、総合格闘技の道に入る。2007年にデビューし、URCCなどフィリピン国内でウェルター王座を獲得。その後、シンガポールに主戦場を移し、2011年にはONEでメインイベンターを務めるまでなった。2016年には、「ONE:DEFENDING HONOUR」にてONE世界ライト級王者の青木真也とタイトルマッチを行ない、同王座を奪取。 その後、防衛も果たした。あのマニー・パッキャオもフォラヤンを「フィリピンのレジェンドの一人」と絶賛し、国内で大きな人気を誇っている。その後、1度はマーティン・ヌグエンに敗れタイトルを失ったが 、そこから怒涛の3連勝で王座に返り咲いた。2019年3月31日に行なわれる初の日本大会「ONE:A NEW ERA」では2016年以来、再び青木真也と戦う。青木真也のリベンジ達成か、それともフィリピンの英雄が勝つのか。注目の一戦だ。
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