キックボクシング
レポート

【1990年7月の格闘技】日本vsタイ対抗戦で次々と日本勢が敗れる中、立嶋篤史が殊勲のTKO勝ち

2020/07/08 11:07
【1990年7月の格闘技】日本vsタイ対抗戦で次々と日本勢が敗れる中、立嶋篤史が殊勲のTKO勝ち

立嶋(右)がその後の彼の代名詞となるヒジ打ちでユタポンの額をえぐった

 1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去7月にあった歴史的な試合や出来事を振り返る。5回目は1990年7月14日に東京・後楽園ホールで開催された全日本キックボクシング連盟『JAPANvsTHAI 6対6全面対抗戦』で、立嶋篤史(習志野ジム)が台頭した一戦。


(写真左から)熊谷は秒殺KO勝ち、ヘンチャーの強烈なミドルを喰う小森、チューテンの左右連打に少は沈んだ

 佐竹雅昭vsドン・中矢・ニールセン、ピーター・スミットvsロブ・カーマンなど豪華カードが並んだ1990年6月30日の全日本キックボクシング連盟武道館興行『INSPIRING WARS HEAT630』から2週間後、場所を後楽園ホールに移して日本vsタイの6vs6全面対抗戦が開催された。

 日本からは上位ランカー選手、タイ勢は現役ランカークラスは出場しないものの50戦以上をこなして勝ち越している歴戦の強者ばかりが顔を揃えた。

 対抗戦第1試合は女子。半年ぶりに日本マットに上がった熊谷直子(不動館)は左ミドルを的確に決めて先制し、その後も猛襲。1R僅か90秒でチョンチットをマットに沈めた。好スタートとなったが、この後、日本勢はKO負けを山を築いてしまうことに。


(写真左から)サックチャイのヒジで流血に追い込まれた水越、チャムナンスックの重い左ミドルが青山を襲う

 第2試合、全日本ウェルター級5位の小森次郎(大和ジム)はヘンチャーにヒジ打ちをカウンターで決められ1R2分7秒、KO負け。第3試合、全日本バンタム級2位・少白竜(谷山ジム)もチューテンの左右猛打を喰い1R1分34秒、KO負け。

 第4試合、元MA日本フェザー級王者で全日本ライト級3位の青山隆(小国ジム)も元ルンピニースタジアム認定ライト級2位チャムナンスックの前に2R1分31秒、マットに沈んだ。そして第5試合では全日本フライ級1位・水越文雄(町田金子ジム)までもサックチャイにヒジで斬られて1R終了時にTKO負けとなった。これで日本勢は大将戦を待たずして敗北が決定。

 大将戦に登場したのは全日本フェザー級1位・立嶋篤史(習志野ジム)。4月大会で須藤信充とのフェザー級ホープ頂上対決を制し、のりにのっている若手キックボクサーだ。


 開始早々、立嶋はヒジを振るって切り込む。ユタポンも鋭利なヒジを繰り出す。凄絶なヒジ打ち合戦だ。このヒジ打ち合戦を制したのは意外にも立嶋だった。中盤に差し掛かったところでユタポンの額から鮮血が流れる。場内からは「オーッ!」と歓声が沸き上がった。

 2Rにはユタポンのヒザ蹴りが立嶋のファールカップを破壊し、試合が一時中断されるアクシデントもあったが、立嶋の勢いは衰えない。決してシャープとは言えないスイングではあるが、臆することなくヒジを乱打して前進していく。


 そして2分20秒過ぎ、もみ合った直後に放たれた立嶋の右ショートフックがタイミングよくヒット。ユタポンが崩れるようにダウン。カウント8で立ち上がったがヒジで切られた額の傷が深く、レフェリーが試合をストップしてTKO勝ちとなった。歓喜のガッツポーズを繰り返す立嶋。2R2分36秒、ユタポンは負けを宣せられた瞬間に、マット上にしゃがみ込むようにして泣き崩れた。

 ファイトタイムは対抗戦6試合トータルで僅か18分18秒。対抗戦は4-2でタイに軍配が上がったが、最も光ったのは立嶋の金星だった。

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