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レポート

【UFC】“彼女をコーナーウーマンにした”マイク・ペリーが“CMパンクを絞めた男”に競り勝つ

2020/06/28 07:06
 2020年6月27日(日本時間28日)米国ネヴァダ州ラスベガス「UFC APEX」にて『UFCファイトナイト・ラスベガス 4』が開催された。  セミファイナルでは、ウェルター級でプロレスラーの“CMパンクを絞めた男”と“彼女をコーナーウーマンにした男”が対戦した。 ▼ウェルター級 5分3Rミッキー・ガル(米国)170lbs/77.11kg[判定3-0] ※29-28×3マイク・ペリー(米国)171lbs/77.56kg  ガルはボクシング、ブラジリアン柔術をバックボーンに19歳でMMAをスタート。グラップラーズ・クエストなどで活躍後、ダナ・ホワイト代表の「Lookin' For a Fight」で勝利し、試合後のマイクパフォーマンスでCMパンクとの対戦を直訴。1R、リアネイキドチョークで一本勝ちすると、超新星セイジ・ノースカットもチョークで極め、2連勝。しかし、その後はランディ・ブラウン、ディエゴ・サンチェスに敗れるなど2勝2敗。  対するペリーは、MMA20戦目。UFC最初の5戦で4勝1敗と好戦績も、そこから2勝5敗。2019年は4月にアレックス・オリヴェイラに判定勝ち後、8月にヴィンセンテ・ルケにスプリット判定負け。12月にジェフ・ニールにハイキックを効かされ、パウンドでTKO負けを喫している。  試合前のインタビューでは、ジョン・ジョーンズから新しいガールフレンドであるラトリー・ゴンザレスを紹介してもらったと話し、ミッキー・ガル戦で「唯一のコーナーウーマンにする」と予告し、話題を振りまいている。  BJ PENN.comの事前インタビューでは、どうやらペリーは、2018年11月のドナルド・セラーニ戦での腕十字での一本負けを根に持っているようで、「誰も『アームバーに気をつけろ』と叫んでいたのを聞いていない。なぜ彼らがここにいて、何らかの手柄を得る必要があるのか」とセコンドワークに不満を持っているという。  さらに「地球上で最高のショーを最前列の席で観られるなんて、一体何をしてくれたんだ? “プラチナ”マイク・ペリーの試合だ。この世界には1人だけ最前列の席に座る機会に値する人がいる。これまで見た中で最も美しいもの。俺の女、ラトリー・ゴンザレスだ」と、ゴンザレスに首ったけであることを語ってた。  これらのニュースを受け、英語版のウィキペディアでは、チーム名が「Mike Perry girlfriend Latory Gonzalez (2020-present)」と追加されるなど、ニュースのヘッドラインを飾っていた。 「命を預ける」とも呼ばれるコーナーマンだが、ネバダ州においてはタオル投入は反則。試合を止めたいときはコーナーの陣営はインスペクターにその旨を伝えることができる。そして、試合間のアドバイスはペリーにとって不要なのか……果たしてペリーの決断は?  1R、ともにオーソドックス構え。大きな左右を振るペリーに、金網を背にサークリングするガル。ペリーの右をかわして左ストレートを入れると右ミドルをクリーンヒットする。四つの組みでも右ヒザを突くガル。自分だけが当てられる距離から右ミドル、右ロー。リーチが短いペリーは詰めて右を強振するがかわすガル。ペリーの右ローには左ストレートを合わせる。  ガルの右ミドルの打ち終わりを掴んだペリーはその引きに合わせてついていきボディロックからバックテイク。ガルの向き上がりに肩固めを狙うがガルも察知し抜ける。1Rが終了。  インターバルでオクタゴンの中で、ペリーのコーナーについたのはUFCのカットマンと、予告どおりゴンザレスのみ。彼女はペリーの首後ろに氷をあてがい、二言三言囁いている。  2R、右ミドル、二段蹴りで牽制はガル。ペリーの飛び込みに右フックをカウンターで入れ、シングルレッグへ。しかしそれを切ったペリーが逆にシングルレッグでテイクダウン。下のガルはギロチンから背中越しにクラッチしフルネルソンにしてスイープを狙うが、ペリーは上からパウンド。ガルは腕十字狙い、キムラクラッチでスイープすると金網に押し込みダブルレッグ、さらにシングルレッグへ移行も足を抜くペリー。  ジャブの刺し合いからカウンターの右ストレートでダウンを奪うペリー! 鉄槌、マウント&パウンドもガルはブザーに救われる。  インターバルで再びゴンザレスのアイシングを受けるペリー。  最終3R、ワンツーから右ストレート、左アッパーで詰めるペリー。下がるガルはサークリングも反撃できず。ペリーの右のハンマーパンチがガルを襲う。さらに右をボディにも突くペリー。スタミナが苦しいガルをとらえテイクダウンするとハーフから左腕を右ヒザで釘つけにクルスフィックスにとらえパウンド。さらにマウントに移行しパウンド・ヒジ。マウント返しのガルだが立ち上がらずボトムを選択。ガードの中に入って来たペリーに三角絞めを狙うが、はめられないペリーがかついで上のままブザー。  判定は3-0でダウンを奪ったペリーが勝利。たった1人のセコンドの彼女とオクタゴンを後にした。  2016年8月のイム・ヒョンギュ戦の1R TKO勝ちからUFCに参戦し、この試合まで6勝6敗と五分の戦績だったペリーは、UFCで勝ち越しを決めた。  試合後バックステージでペリーは、オフィシャルのインタビューに、今回の1人セコンドについて、「自分だけでやりたかった。数年前に彼女にこの経験を味わわせてあげたいと言っていたんだ。最初に出会ったときに、セコンドにつかせてあげる、と。人生は逆に行ってしまったけど、頭ではそう考えていた。それを実現させて、勝者として達成できた」と、彼女との約束を果たすためだったと明かした。  続けて、「試合に向かったらすべては俺自身にかかっている。キャンプをしっかり生かす。それが大事だった。この勝利をつかむためにやるべきことをやったんだ。ミッキーはチームと一緒にトレーニングしていたから、勝つためのゲームプランを一緒に考えていただろう。テクニカルな部分を持っているけど、俺は試合でそれを掴んだ」と一人で試合中に作戦を組み立てたことを語り、「これからトレーニングキャンプができるか探してみて、チームメイトも探してみるつもり。南フロリダに引っ越そうと思ってね。勝つためにやるべきことはこれだ、とか、単純にそういうことを言ってくれるだけじゃなくて、友情とも言える関係を持てる人を探している」と、新たなチームを探すことを語っている。
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