1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去6月にあった歴史的な試合や様々な出来事を振り返る。第33回目は2003年6月8日、横浜アリーナで開催された『PRIDE.26』より、エメリヤーエンコ・ヒョードル(ロシア)vs藤田和之(猪木事務所)の初対決。
1R、ジャブを突きながら右へ回り込んでいく藤田。フェイントをかけながら様子を見ていたヒョードルだが、左フックで飛び込む。胴タックルでのテイクダウンを狙ったが、これは藤田が切って離れる。再びジャブを突きながら右へ回り込む藤田に、ヒョードルは右手をグルグルと回して挑発。その右でフックを放ち、藤田に組み付くと藤田が転倒。すかさずパウンドを打ち、サッカーキックを見舞うヒョードル。
藤田は立ち上がりながら片足タックルでのテイクダウンを狙うが、ヒョードルはバランスを保つ。離れ際に左フックを打つ藤田。回り込む藤田にヒョードルが左右フックを放つが、藤田がカウンターの右フック。これでヒョードルの身体が泳ぎ、足がもつれる。
千載一遇のチャンスをつかんだ藤田だったが、ヒョードルはフラフラしながらもすぐに組み付く。しかし、両腕を抱え込んでテイクダウンしたのは藤田。場内が大歓声に包まれる中、藤田は上になるがヒョードルはディフェンス。立ち上がろうとすると藤田が片足タックルから大きくリフトアップしてテイクダウンしに行くが、ヒョードルの反応は速くすぐに立ち上がる。
左目上から流血するヒョードルに右フックを狙う藤田。ヒョードルは右で飛び込むと意表を突く左ミドルキック。これに気を取られたところ左フックから右フック、ダウンした藤田のバックへ回るとすかさずリアネイキドチョーク。ヒョードルが1R4分17秒、逆転の一本勝ちを飾った。
ピンチにも冷静に対処して勝利を収めたヒョードルは「藤田さんは思っていたよりも打撃が強くて速かった。慣れるまで時間がかかってしまった。藤田さんの技術を見抜いてからは上手く試合を運ぶことができたよ」と試合を振り返った。