2020年6月13日(日本時間14日)、米国ラスベスのUFC APEXにて、『UFC on ESPN 10:Eye vs. Calvillo』が開催された。
【セミメインイベント】
▼190.5ポンド契約 5分3R〇マービン・ヴェットーリ(イタリア)186lbs/84.37kg[1R 4分17秒 リアネイキドチョーク]×カール・ロバーソン(米国)190.5lbs/86.41kg ※※ロバーソンは体重超過
イタリアのヴェットーリは16歳のとき、PRIDEでエメリヤーエンコ・ヒョードルが戦っているビデオを見て、MMAにハマったという。「ヒーローを1人選ばなきゃいけないとしたら、試合を通してオレをこのスポーツに導いてくれたエメリヤーエンコ・ヒョードルだ」と語るほどのPRIDEファンだ。
UFCでは4勝2敗1分け。黒星は現王者のイスラエル・アデサニヤにスプリット判定負けと、ランカーのアントニオ・カーロス・ジュニアに判定負けと強豪相手のみ。いずれも判定まで持ち込んでいる。前戦は2019年10月にUFC2連勝中だったアンドリュー・サンチェスに判定勝ちを収めた。
対するロバーソンはGLORY米国大会で活躍した元キックボクサー。2015年のプロキックボクシングのデビュー戦ではジェロム・レ・バンナから完全なダウンを奪うも判定負け、2016年2月の「Glory 27」ではダスティン・ジェコビーに2R KO負け。同5月「Glory 30」マイク・レメイヤー戦でも判定負けと立ち技で連敗した。
2017年にMMAに戻り、「DW's Contender Series 2017」などで3連勝し、2017年11月のダレン・スチュワート戦の一本勝ちでオクタゴンデビュー。これまでセザー・フェレイラと、直前オファーで階級を上げて臨んだグローバー・テイシェイラとの2試合で、いずれも肩固めにより一本負けも、2019年11月の前戦ではローマン・コピロフを相手にカーフキックを効かせてリアネイキドチョークで一本勝ち。UFC4勝2敗と勝ち越している。
しかし、前日計量でロバーソン(190.5lbs/86.41kg)が4ポンド(1.8kg)の体重超過。ヴェットーリとロバーソンは5月13日の『UFC Fight Night 171: Smith vs. Teixeira』で対戦予定だったが、ロバーソンが2.5ポンド・オーバーの体重超過、さらに体調不良により直前に試合が中止となっていた。今回は試合は予定通り行われるものの、ロバーソンはヴェットーリに報奨金の一部を支払い試合に臨む。
1R、サウスポー構えから左のかけ蹴りも見せるロバーソン。ヴェットーリのシングルレッグにバックテイクを狙うロバーソンだが、ヴェットーリはシングルレッグでテイクダウン。それを下から跳ね上げてスクランブルから立つロバーソン。その立ち際にギロチンチョークを合わせるヴェットーリ。スタンドで絞め上げるヴェットーリだが、ロバーソンは押し込んで首を抜きサイドを奪う。
しかし、足を手繰るヴェットーリは再びテイクダウン。その立ち際でバックを狙うロバーソンだが、シングルレッグが強いヴェットーリは、ヒザ着きのシングルレッグから左手でロバーソンの右足を持ち上げて立ち上がり、右手をロバーソンの左肩口まで伸ばして押し引きで見事にテイクダウン!
ハーフガードから亀になるロバーソンの腰を抱き、左手でパウンドを連打し、レフェリーの顔を見るヴェットーリ。最後は背後からリアネイキドチョークを極めて、体重超過のロバーソンからタップを奪った。
これでヴェットーリは、MMA15勝3敗1分けに。試合後、ハファエル・コルデイロ率いるキングスMMAに感謝の言葉を述べたヴェットーリは、「6カ月間ハードワークしてきた。試合前にテンションが上がりすぎて泣きたくなったくらいだ。MMAは自分が愛してやまないことだからね。とにかく戦いたかった。いつだって準備万端だったんだ」と、自粛期間も気を緩めず練習してきたことを振り返った。
また、UFCデビュー戦でも極めた得意のギロチンチョークで追い込み、キャリア3回目のリアネイキドチョークでの一本勝ちを極めたことについて、「相手(ロバーソン)は4ポンド体重超過してきたし、自分の方がグラップリングは得意だと言っていたけど、それは俺がテイクダウンを躊躇するように牽制していたから。俺は自分のグラップリングの方が上回っていると分かっていた」とグラウンドでの絶対の自信を語った。
これでUFC3連勝。ミドル級の強豪以外には敗れていない“イタリアン・ドリーム”ヴェットーリは、「自分が世界一だと思っている。みんな俺を避けようとしているけど誰も俺は超えられない。名を挙げたいんだ。アデサニヤとリマッチ(2018年4月にスプリット判定負け)がしたい。俺たちはもう一度、やらないといけない。この階級で上がっていくためにはランカーとやらないといけないし、俺はそれにふさわしいと思う。すぐにトップ戦線をかき回す存在になってやる」と、上位ランク入りして、現UFC世界ミドル級王者イスラエル・アデサニヤとの再戦の実現をアピールした。