MMA
コラム

【2000年6月の格闘技】佐山聡率いる掣圏道とPRIDEが対抗戦、佐竹雅昭が勝利、カフカズはディック・フライをKO

2020/06/12 13:06
 1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去6月にあった歴史的な試合や様々な出来事を振り返る。第23回目は2000年6月11日、横浜アリーナで開催された『掣圏道×PRIDE全面対抗戦』。初代タイガーマスクこと佐山聡が新たに創始した市街地型実践格闘技・掣圏道がPRIDE選抜軍を迎え撃った。 (写真)開会式の挨拶で創始者・佐山聡は「私はよく人から10年早いと言われることがあります。今日の会場は1999年ではなく、2009年10月2日だと思ってください」と挨拶 修斗の創始者である佐山聡が「これこそ理想の格闘技」として1999年6月にコンセプトを発表した新格闘技「掣圏道」。その試合形式として作られた「アルティメットボクシング」の旗揚げ戦が横浜アリーナで行われた。  大会にはPRIDEが協力して選抜軍を送り込み、8vs8の対抗戦が行われることに。迎え撃つ掣圏道側は全員がロシア人選手となった。結論から言えばアルティメットボクシングルール(ボクシンググローブ着用、寝技の攻防は無しだがグラウンド状態でのパンチはあり)対抗戦は5勝3敗で掣圏道が勝利を収めたのだが、PRIDE軍は佐竹雅昭(怪獣王国)、エベンゼール・フォンテス・ブラガ(ブラジル)、太刀光(フリー)を除く5名はPRIDEには出場していない選手たちであった。  第1試合ではアフメド・ズラフ(ロシア/掣圏道)が打撃で先手を取り、太刀光をコーナーに詰めて1R54秒の秒殺KO勝ち。  第2試合ではブラガが2Rにヒザ蹴りでダウンを奪ってミルザマゴメドフ・マゴメド(ロシア/掣圏道)に判定勝ち。佐山代表は「掣圏道向きの選手」とブラガを絶賛した。  第3試合はキルサノフ・アンドレイ(ロシア/掣圏道)が、キックボクシング世界王者グレン・ブラスドープ(スリナム)と互角の試合を展開。テイクダウンを奪ったアンドレイが判定2-0で勝利した。  第4試合にはサンボでヴォルク・ハンとアンドレイ・コピィロフに1勝1敗の戦績を持つというボリショフ・イゴリ(ロシア/掣圏道)が登場し、この日唯一のアブソリュートルール(オープンフィンガーグローブ着用で関節・絞め技あり)でジャイアント落合(怪獣王国)を1R7分5秒、グラウンドでのパンチでTKOに仕留めた。  第5試合はシュートボクセ最後の大物と呼ばれ、ヴァンダレイ・シウバも一目置いていたペレ(ブラジル)が日本初ファイト。メジドフ・アブドゥルナシル(ロシア/掣圏道)に判定3-0で勝利を収めたが、豪快な勝利が期待されていただけにやや不満の残る試合内容に。  第6試合はドロズド・グレゴリー(ロシア/掣圏道)が、選手の欠場を受けて急遽代打出場した園田隆(A3ジム)を右ハイキック、右ロシアンフックで1R1分45秒でKO。  そして第7試合では、掣圏道のエース格と言われていたスルタンマゴメドフ・カフカズ(ロシア)が、元リングス・オランダのディック・フライと対戦。スタンドの攻防で身長13cm、体重16kgも上回るフライと互角に渡り合った後、カフカズはフライの蹴り足を捕えて片足タックル。1度目はフライがロープをつかむ反則で堪えたが、2度目はカフカズが上になってパンチを浴びせ続けた。  何とか逃れたフライだったが、続くスタンドでも、カフカズがローをキャッチしてテイクダウン。再び中腰の体勢からパンチを連打した。フライがうつ伏せになったところでレフェリーがダウンを宣告。フライは痙攣したまま動けず、カフカズのKO勝ちとなった。  メインの第8試合には佐竹が登場。ボドリャチン・デニス(ロシア/掣圏道)と対戦し、3Rに右ハイキックでダウンを奪って判定3-0で勝利した。2000年1月にK-1からMMAに転向し、PRIDEでマーク・コールマンとガイ・メッツアーに連敗を喫していた佐竹だったが、この試合では腰が重く簡単にテイクダウンを許さず、マウントポジションを奪われても凌ぐなど成長の跡がうかがえた。  なおその後、ボリショフ・イゴリは同年8月の『PRIDE.10』に参戦したが、マーク・ケアーに敗れた。最もPRIDE参戦が期待されたカフカズの参戦は幻に終わっている。
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