UFC、PRIDEなどで活躍したケビン・ランデルマン(米国)のUFC殿堂入りが発表された。
5月16日(日本時間・17日)米国フロリダ州ジャクソンビル・ヴィアスター・ベテランズ・メモリアル・アリーナにて行われた「UFC Fight Night: Overeem vs. Harris」大会中でのこと。
「UFCホール・オブ・フェーム」の「パイオニア」部門で殿堂入りを果たしたランデルマンは、オハイオ州立大学時代にNCAAディビジョン1で2度優勝に輝いたレスリング出身の総合格闘家。
師と仰ぐマーク・コールマンの勧めで1996年に「Universal Vale Tudo Fighting」で総合格闘技デビュー。ワンデートーナメントでいきなり優勝すると、1999年3月からUFCに参戦。1999年11月19日の「UFC 23」でピート・ウィリアムスに勝利しヘビー級王者となった。2000年11月17日の「UFC 28」でランディ・クートゥアーに敗れ王座陥落も、2002年9月からPRIDEに参戦。
2004年4月25日の「PRIDE GRANDPRIX 2004 開幕戦 ヘビー級グランプリ1回戦」では、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ戦以外負けなしだったミルコ・クロコップを相手に、1R 左フックでダウンを奪いパウンドでKO勝ち。番狂わせを実現した試合後に、リング上で熱いマイクアピールを行ったことで日本でも印象深い。
「ファンのみんな、日本人であっても、クロアチア人であっても、ロシア人であっても、アメリカ人であっても、みんなに神のご加護がありますように。そして世界平和と、みんなのもとに愛が届くように祈るよ。
俺がこの試合に臨む前、怖かっただろうと思っただろう? その通り、怖かったよ。俺もみんなと同じように、1人の人間だ。でもな、YOU! YOU!! YOU!!! お前らのために、俺は闘っているんだ。お前らのためなら、地獄を見てもいい。そして、その地獄を潜り抜けて天国を見ると決意していたんだ。また、お前らのために戦うぜ。愛してる。また会おう。ありがとう!」
続く2回戦では、15連勝中だったエメリヤーエンコ・ヒョードルと対戦。バックスープレックスで頭から皇帝をマットに叩きつけたが、上四方をスイープされ、直後にキムラロックで一本負けを喫するなど、粗削りながらファンを魅了するファイトを繰り広げた。
2005年には、真菌感染症により左肺を取り出して洗浄する手術を行い、闘病生活を余儀なくされるも翌年に復帰。戦極、Strikeforceを経て、2011年5月7日のロシア「FEFoMP: Mayor's Cup 2011」でバガ・アガエフに腕十字で敗れたのを最後に試合から遠ざかった。
2016年2月11日(日本時間・12日)に、家族がランデルマンの死去をSNSで報告、死因は肺炎による心不全で、44歳の若さだった。
2009年には、4年半練習してきたブラジリアン柔術で青帯を取得するなど、苦手な寝技にも取り組んでいたランデルマン。MMA戦績は17勝16敗だった。