徹底して腕十字を仕掛けていった赤野がHIROKOに初黒星を付けた
1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去4月にあった歴史的な試合や様々な出来事を振り返る。61回目は2008年4月25日に東京・後楽園ホールで開催された女子総合格闘技団体『SMACKGIRL』から、女子としては重量級となるミドル級の一戦。
2000年12月にスタートした、世界的に見ても女子総合格闘技のパイオニアである『SMACKGIRL』が、4年に一度のワールドトーナメントとして開催した『SMACKGIRL WORLD ReMix TOURNAMENT 2008』。その準決勝戦が2008年4月25日に東京・後楽園ホールで開催された。
ライト級(-52kg)と同時に開催された無差別級トーナメントの準決勝を争ったのは、第2代SMACKGIRLミドル級女王・赤野仁美(AACC)とSMACKGIRL無差別級女王HIROKO(B CREW)。
赤野は藤井惠の盟友で、柔道時代はイタリア国際で優勝するなど全日本強化選手に選ばれたほど。2004年11月にプロデビュー戦を行い、藪下めぐみに敗れるも2戦目からは連戦連勝。そのほとんどを腕十字による一本で極めてみせた。2006年9月には王座決定戦を制して第2代SMACKGIRLミドル級王座に君臨。同王座は2007年9月の初防衛戦で失った。トーナメント1回戦では薮下に一本勝ちしてリベンジを果たし、準決勝へ進出。ここまでの戦績は12勝5敗。
対するHIROKOは身長180cm、体重77kgと日本人離れした体格を持ち、前職がSMクラブの女王様という肩書もあって2006年11月のプロデビュー当初から注目された。目立った運動歴があったわけでもなかったが、2007年5月にSMACKGIRL無差別級トーナメントで優勝、同年9月にはSMACKGIRL無差別級王座に挑戦し、デビュー以来4戦無敗で第4代王座に就いてこのトーナメントに臨んだ。
1R、左ローで前へ出ていくHIROKOは組み付くとそのまま赤野をコーナーへ押し込む。赤野は両足をHIROKOの胴へ巻き付け、そのまま寝技へ引き込むと腕十字狙い。いきなりのピンチを迎えたHIROKOだったが、しっかり防ぎきるとボディへのパンチで反撃(顔面パウンドはルールにより禁止)。
ブレイクとなってスタンドで再開後、パンチでHIROKOが前に出てくると赤尾は内股でHIROKOを綺麗に投げ、再び腕十字にいったがHIROKOはまたも耐える。
2R、パンチとローで攻めるHIROKOにテイクダウンを狙う赤野。HIROKOは立っての試合を選択し続けるが、赤野の両足タックルを切ると上になり、赤野がフルガードの体勢に。胴へパンチを打つHIROKOだったが、赤野がリバーサルに成功してマウントを奪い、またも腕十字の体勢に。
体重を浴びせてこれを潰し、腕を抜くとボディへパンチを見舞うHIROKOだったが、赤野はこだわりの腕十字へ。今度は腕が伸び切り、HIROKOはタップ。HIROKOのデビュー以来の連勝をストップさせ、赤野が決勝へ駒を進めた。