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【2008年4月の格闘技】藤井惠とハム・ソヒ唯一の激突は、藤井が鮮やかな一本勝ち

2020/04/28 12:04
【2008年4月の格闘技】藤井惠とハム・ソヒ唯一の激突は、藤井が鮮やかな一本勝ち

スタンドではソヒの打撃とタックルを切る上手さに苦しめられた藤井だったが、寝かせてしまえば独壇場に

 1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去4月にあった歴史的な試合や様々な出来事を振り返る。60回目は2008年4月25日に東京・後楽園ホールで開催された女子総合格闘技団体『SMACKGIRL』から、藤井惠(AACC)vsハム・ソヒ(韓国)の一戦。


 2000年12月にスタートした、世界的に見ても女子総合格闘技のパイオニアである『SMACKGIRL』が、4年に一度のワールドトーナメントとして開催した『SMACKGIRL WORLD ReMix TOURNAMENT 2008』。その準決勝戦が2008年4月25日に東京・後楽園ホールで開催された。

 メインイベントはこの年に初めて開催されたライト級(-52kg)トーナメントの準決勝戦、藤井惠vsハム・ソヒ。藤井のセコンドにはジョシュ・バーネット、ソヒのセコンドにはキム・ドンヒョンとベ・ミョンホが就く。


 藤井は柔道(全日本学生選手権52kg級3年連続ベスト8)からサンボ(世界選手権で4度銀メダル)へ転向し、ブラジリアン柔術を経て2004年8月に『SMACKGIRL』でプロデビュー。驚異的な極めの強さでデビュー以来14連勝、そのうち11勝が一本勝ち。ライト級王者・辻結花と並ぶ2大エースとして君臨していた。


 対するソヒはキックボクシングと散打をバックボーンに持ち、2007年2月の『DEEP』に初来日するといきなり渡辺久江を破り注目を集める。4戦目にはSMACKGIRLライト級王者・辻結花の挑戦者に抜擢された(判定負け)。このトーナメント1回戦では期待のホープ・石岡沙織を破り、準決勝の藤井へ駒を進めた。


 1R、ソヒはワンツーを中心に繰り出し、よく動いて藤井のテイクダウンを警戒。藤井はジャブでけん制し、高速タックルを仕掛けていったが、ソヒは反応よくしっかりと切って組み付かせない。サウスポー同士で、藤井が出す右ジャブをソヒは右手で叩くようにして距離をとり、長い左ストレートを繰り出す。藤井はパンチからタックルにつなげたいところだが、ソヒの距離でなかなか踏み込むことが出来ない。


 意を決した藤井は一気に前へ出て距離を詰めると、ソヒの腕を取って立ったままアームロックを極めにいく。走るようにして逃げようとするソヒだったが、藤井は腕を巻き込みながら寝技へ持ち込み、今度は足関節狙い。


 足を抜いて逃れようと背中を向けたソヒ。藤井はスルスルと背中を登るようにバックを奪うと、リアネイキドチョークを仕掛ける。しかし、ソヒがディフェンスすると藤井は素早く腕十字狙いに切り替え、今度は見事な一本勝ちを収めた。1R1分39秒だった。


 強い打撃を持つソヒに「パンチを当てるよりもディフェンスを重視しました」と藤井。最後の技の切り替えは、「ハムはディフェンス力が高いので、展開を早めに切り替えることを考えていました」と、作戦通りだったと話した。

 この勝利により、藤井はデビュー以来の連勝記録を「15」へ伸ばし、トーナメント決勝戦へ進出したが、予定されていた大会が中止。『SMACKGIRL』は活動休止となり、ついに決勝戦が行われることはなかった。


 また、藤井の弟子である浜崎朱加とハム・ソヒは3度も対戦し、昨年大晦日の『RIZIN』でソヒが初勝利を収めたのは記憶に新しい。

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