ナカハラの空手技に対し、桜庭はしつこいタックルでテイクダウンを狙っていった
1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去4月にあった歴史的な試合や様々な出来事を振り返る。59回目は2008年4月29日にさいたまスーパーアリーナで開催された『DREAM.2 ミドル級GP2008 開幕戦』より、メインイベントで行われた桜庭和志(Laughter7)vsアンドリュース・ナカハラ(ブラジル)。
2007年4月8日の『PRIDE.34』を最後に消滅したPRIDE。ライバル団体『HERO'S』を運営してきたFEG(K-1の母体でもある)の谷川貞治K-1プロデューサーは、PRIDEの元スタッフたちとPRIDEとHERO'Sを合体させた新たな総合格闘技大会『DREAM』を2008年3月15日に旗揚げさせた。
『DREAM.1』ではライト級(-70kg)グランプリの開幕戦が行われ、この『DREAM.2』ではミドル級(-84kg)グランプリが開幕戦を迎えた。メインイベントは、円熟の域に達した桜庭と、極真会館の中量級空手世界王者からMMAに転向してこれがデビュー戦となるナカハラが激突。試合時間は1R10分・2R5分。
1R、桜庭は左ミドル、ローでナカハラを誘うと、ナカハラがパンチで前に出てくる。桜庭はナカハラの右ストレートに得意の片足タックルを合わせてテイクダウンを狙ったが、ナカハラは右足一本でバランスをとって立ち、桜庭の顔面にパンチを連打する。
足を引き抜いて脱出に成功したナカハラに、桜庭はしつこくタックルを仕掛け続ける。ナカハラはハイキック、ローキックで桜庭に組ませまいとする攻防が続く。何度も組み付く桜庭だが、腰の重いナカハラをテイクダウンするには至らない。逆にナカハラが両脇を差して桜庭をロープに押し込む場面も。
ブレイクの後、桜庭のローにナカハラが右ストレートを合わせて桜庭が尻もち。しかし、桜庭はそのまま片足タックルに行ってついにテイクダウンすることに成功する。立ち上がろうとするナカハラを桜庭は必死に抑えつけ、ついに完璧に背中を着かせた。
桜庭は足関節を狙いながらパスガード。桜庭がパンチ、ヒザ蹴りを入れるとナカハラは亀の状態となり、桜庭はナカハラの背後からフェイスロック。さらに顔面に巻き付けていた腕をナカハラの首に滑り込ませてリアネイキドチョーク(公式発表は顔面絞め)を極めた。
ナカハラの極真空手仕込みの打撃に苦しんだ桜庭だったが、最後は1R8分29秒、見事な一本勝ちでトーナメント2回戦へ駒を進めた。